担当者が契約・ドメイン・サーバー・制作データの回収表を確認する場面

NOTES

ホームページ制作データをもらえない時の回収表|契約・権限・復旧手順

制作会社からホームページのデータや管理権限を受け取れないときに、契約・ドメイン・DNS・サーバー・WordPress・素材・計測・個人データを12項目で確認。回収、部分引継ぎ、代替復旧、再構築の判断順と証拠の残し方を解説します。

チップス

ホームページの制作費を払い終えていても、編集元データ、著作権、ドメイン名義、サーバー契約、管理アカウントが自動的にすべて自社へ移るとは限りません。「データをください」と一括で頼むだけでは、相手が納品物、素材、認証情報のどれを探せばよいか分からず、引継ぎが止まりやすくなります。

この記事では、制作会社の変更や担当者退職で困っている企業が、契約・権利、登録名義、Webデータ、個人データ、計測権限を12項目で確認し、全面回収、部分回収、代替復旧、再構築、専門家相談を選ぶ順番を整理します。個別の契約解釈や紛争の結論を示すものではないため、判断が対立する場合は弁護士等へ相談してください。

最初に削除・解約・無断の認証変更を止める

連絡が取れないときほど、推測でパスワードを変える、旧アカウントを消す、サーバーを解約する、DNSを書き換える、といった操作を急がないことが重要です。現在もフォーム、メール、予約、決済、計測が動いている可能性があります。権限の根拠と影響範囲を確かめずに触ると、表示だけでなく顧客対応や証拠まで失います。

初動で残す事実と証拠
対象残すもの避ける操作
契約見積書、発注書、契約書、請求書、検収記録、メール原本の上書き、口頭だけの合意
稼働状態URL、表示時刻、HTTP、フォーム、メール、管理画面の可否確認前の解約・停止
アカウント所有者、管理者、請求先、二要素認証、回復先根拠のないリセット・一括削除
やり取り依頼日、回答、未回答項目、期限、受領物責任追及だけの曖昧な依頼

WordPressへ入れないことだけが問題なら、ほかの資産回収と混ぜずにWordPressログイン不能の切り分けへ分けます。更新停止が長期化している場合は更新が止まったホームページを再開する確認順も使い、緊急修正と所有権回収を別の担当・期限で進めます。

回収対象は12項目へ分けて有無と操作権限を確かめる

「制作データ一式」では受入条件が曖昧です。手元にファイルがあっても、契約更新や本番操作ができなければ引継ぎは完了しません。反対に、編集元データがなくても、登録名義と稼働環境を押さえれば当面の運用を続けられる場合があります。各項目を「閲覧できる」「変更できる」「組織側で回復できる」「第三者利用条件が分かる」に分けます。

ホームページ引継ぎで確認する12の資産と権限を4群に整理した図
ホームページ引継ぎで確認する12項目
項目確認する内容受入の証拠
契約・登録1. 契約と検収成果物、保守、解約、返却・消去、追加費用契約書、見積書、検収記録
2. ドメイン登録者、指定事業者・レジストラ、期限、ロック組織側ログイン、登録情報、更新可否
3. DNS・証明書ネームサーバー、各レコード、DNSSEC、TLS設定一覧、用途、変更権限
Web・データ4. サーバー・CDN契約、請求、容量、ログ、アクセス権管理画面と接続確認
5. ファイル・ソース公開ファイル、テーマ、プラグイン、リポジトリ、ビルドファイル一覧、形式、ハッシュ
6. DB・CMSデータベース、WordPress管理者、設定、予約投稿読取・編集・復元確認
素材・個人データ7. 原稿・画像・デザイン元データ、ロゴ、写真、フォント、利用範囲素材一覧、権利者、ライセンス
8. フォーム・顧客データ保存先、通知、自動返信、委託範囲、保存期間件数照合、受領、返却・消去証跡
9. メールMX、送信認証、転送、配信サービス、共有アドレス社内外送受信テスト
計測・運用10. 計測・検索Analytics、Tag Manager、Search Console、広告組織側管理者と権限一覧
11. 外部機能予約、決済、地図、API、SNS、連携キー契約主体、許可先、更新方法
12. バックアップ・手順対象、取得時刻、保管、暗号化、復元方法、ログ復元試験記録、変更履歴

既存URL、素材、権限、計測を一緒に洗い出す場合はリニューアル前のサイト資産整理表へつなげます。パスワードやAPIキーを表へ直接貼るのではなく、秘密情報の保管場所、管理者、回復方法への参照だけを残してください。

契約では納品物・所有・著作権・利用許諾を分ける

公開されたページを納品済みとしていても、デザイン元データ、写真、フォント、ソースコード、プラグインライセンスが同じ範囲とは限りません。文化庁の著作権契約マニュアルでは、利用許諾と著作権譲渡を分けています。現行条文はe-Govの著作権法で確認し、譲渡、改変、再利用、第三者提供の可否は契約文言に基づいて判断します。

契約と権利を確認する分け方
論点確認する文書・表現引継ぎで決めること
成果物納品物一覧、形式、納品時期、検収不足物、代替形式、再納品費
所有・保管機器、アカウント、ファイルの保有主体返却、複製、保管期限、消去
著作権譲渡譲渡対象、27条・28条の権利、対価改変・再利用・別会社への引継ぎ
利用許諾目的、期間、媒体、地域、再許諾移管後も使えるか、差替えが要るか
第三者素材写真、フォント、ライブラリ、SaaSの規約契約変更、再購入、代替素材
保守・終了解約通知、引継ぎ支援、秘密保持、返却・削除期限、担当、完了証跡、追加費用

IPAの情報システム・モデル取引・契約書も、業務範囲、役割、成果物、検収、変更管理を明確にする材料です。ただし、モデル条項をそのまま個別契約へ当てはめず、相手と解釈が対立する、損害や差止めが関係する、緊急の法的措置を検討する場合は、技術作業を進める前に弁護士へ相談します。

ドメインは登録者・管理窓口・期限・ロックを先に確保する

ドメインは「Web制作会社のサーバーにあるデータ」とは別の登録資産です。JPドメインはJPRSの指定事業者制度で、登録者と指定事業者の役割、変更窓口を確認できます。登録者名、管理指定事業者、更新期限、請求先、ネームサーバー、変更権限を一行ずつ記録し、組織側で実際にログインできるか試します。

ロックがある場合は、意図しない変更を防ぐ仕組みか、移管を止める状態かを管理事業者へ確認します。JPRSのレジストリロックの説明、gTLDならICANNのDomain Name TransfersTransfer Policyを参照し、AuthInfo、連絡先、移管ロック、拒否条件を現在のレジストラで確かめます。期限直前の移管は避け、先に更新継続を確保します。

WordPressはWXRだけでなくファイルとDBの範囲を照合する

WordPressのエクスポート機能で作るWXRは、投稿、固定ページ、コメント、カスタムフィールド、分類、ユーザー等を移すXMLです。テーマ、プラグイン、アップロード、設定ファイル、サーバー設定、外部連携、データベース全体まで含む完全な復元セットとは区別します。

公式のMigrating WordPressは、ファイル、データベース、wp-config.php、home/siteurl、リライト、マルチサイト等を移管条件に応じて扱います。引継ぎ後に移管する場合はサーバー・ドメイン・WordPress移管の実行表へ進みます。制作会社選定後の検収・変更管理は制作開始後の進行と受入確認へ分けます。

フォームの個人データは安全な受領・返却・消去まで決める

問い合わせ、応募、予約、購入情報がサーバーやメール、外部サービス、バックアップに残っている場合は、単なる制作物の受け渡しではありません。個人情報保護委員会の通則編ガイドラインを基に、委託範囲、安全管理措置、取扱状況の確認、再委託、事故連絡、契約終了後の返却・消去を確認します。

受領時は対象期間、件数、項目、形式、暗号化、受渡経路、受領者、ハッシュを記録します。パスワードを同じメールへ同封せず、必要最小限の担当者だけが受け取ります。旧制作会社側の複製やバックアップを消す場合は、保持義務や障害復旧との関係を確認したうえで、対象・完了日・確認者が分かる証跡を残します。

Search Consoleと計測は組織側管理者を複数確保する

Google Search Console、Analytics、Tag Manager、広告、ビジネスプロフィールは、タグがサイトにあるだけでは管理権限が移りません。Search Consoleの所有権確認所有者・ユーザー・権限管理を確認し、組織側所有者、回復先、複数の確認方法を確保します。

元担当者を削除する前に、HTML、DNS、Analytics、Tag Managerの確認トークンがほかの所有権やサービスと共用されていないか照合します。GoogleのGoogleタグのユーザー管理も参照し、一人だけが管理者、個人メールだけが回復先、という状態を解消します。

依頼書は対象・形式・期限・受入条件を1行ずつ書く

依頼文は「データ一式をください」ではなく、12項目の表から必要なものを選びます。対立を前提にせず、運用継続、保守先変更、社内管理のためという目的を添え、出せないものは理由、権利者、代替形式、再取得方法を書いてもらいます。認証情報はファイルと別経路で渡し、受領後の変更時刻も合意します。

受け渡し依頼書に入れる項目
記載例受入確認
対象ドメイン登録情報、WordPress、ファイル、DB、素材、計測12項目の番号で照合
基準時点取得日時、最終更新、対象環境稼働画面・台帳と一致
形式CSV、XML、SQL、ZIP、原寸画像、文書開ける、文字化けなし、欠損なし
証拠ファイル一覧、容量、SHA-256、権限一覧受領物と一致
秘密情報別経路、受取人、二要素認証、変更時刻組織側ログインと回復
未提供理由、契約根拠、権利者、代替案次の判断者と期限
終了処理旧権限、返却、保管、消去、請求終了完了日と双方確認

保守・移管の見積範囲はホームページ保守費用と作業範囲の確認表、自社運用・スポット外注・継続保守の選択は更新体制の決め方を使い、回収作業と将来の運用費を混ぜないようにします。

回収結果を4経路へ分けて次の一手を決める

全面回収・部分回収・代替復旧・専門家相談の4経路を示す判断図
制作データと権限の回収後に選ぶ4経路
経路判断条件次の作業停止条件
全面回収契約・登録・ファイル・DB・素材・権限が受入済みパスワード変更、複数管理者、復元試験、移管計画復元不能、名義不一致、未確認ライセンス
部分回収稼働継続に必要な資産はあるが一部欠ける不足一覧、代替素材、段階改修、期限付き追加回収欠落がメール・個人データ・決済へ影響
代替復旧・再構築公開情報は確認できるが管理・復元資産が取れない権利確認済み素材と原稿から別環境を構築無断取得、利用範囲不明、顧客データの推測復元
専門家・事業者相談契約解釈、登録名義、損害、個人データで対立証拠保全、弁護士、レジストラ、サービス事業者へ照会証拠を消す操作、無権限の変更・公開

公開ページから文章や画像を取得できることと、それを再利用・再公開できることは別です。アクセス制限を回避した取得、他社契約の素材やフォントの転用、顧客データの推測復元は行いません。再構築を選ぶ場合も、契約、権利、登録名義、個人データの判断を先に終えます。

回収できたら移管・受入・再発防止へ進む

回収後は、組織側管理者の追加、回復先の変更、二要素認証、権限最小化、契約更新日、担当者、復元試験日を台帳へ残します。移管時は表示だけでなく、メール、フォーム、予約、決済、Search Console、計測、バックアップ復元を受入条件にします。保守先変更を伴う場合はホームページ保守・引継ぎ支援の範囲も確認できます。

WordPress公式のBackupsが示すように、本番復旧にはデータベースとファイルの両方が必要です。ただし、この記事候補を作る現在の段階では、対象投稿の読み取り専用スナップショット1点だけを使い、記事ごとのフルバックアップやサイト全体保存は繰り返しません。全48記事の完成後に最終承認が得られた場合だけ、書き込み対象全体について同時点のファイルとDBを一つの検証済みバックアップセットとして用意します。

まとめ

制作データをもらえないときは、ファイル一式の有無だけで判断しません。契約と権利、ドメイン登録、DNS、サーバー、WordPress、素材、個人データ、メール、計測、外部機能、バックアップを12項目に分け、「閲覧・変更・回復・再利用」ができるかを確認します。削除や解約を急がず、依頼対象・形式・期限・受入証拠を具体化すると、全面回収、部分回収、代替復旧、専門家相談のどこへ進むべきかが見えます。

契約書や請求書はあるものの、管理先や依頼項目を自社だけで切り分けにくい場合は、お問い合わせページからご相談ください。現在の稼働を止めないことを優先し、何を保全し、誰へ何を依頼し、どの時点で移管・再構築・専門家相談へ切り替えるかを整理します。