小規模事業者の担当者2名がリニューアル前の資料を仕分ける場面

NOTES

ホームページリニューアル前の資料一覧|URL・権限・計測を引継ぐ

ホームページリニューアル前に揃える資料を、URL・コンテンツ、契約・権限・基盤、計測・運用の3群で整理。旧新URL対応、301、ドメイン・サーバー・メール、GA4、Search Console、バックアップ、権利、フォームの確認手順を解説します。

チップス

ホームページをリニューアルするとき、最初に集めるべきものは新しいデザイン案ではありません。今のサイトに何があり、誰が所有し、どのURLが利用者や検索から使われ、どの仕組みが問い合わせやメールを支えているか。その証拠を先に揃えます。

既存サイトには、文章や写真だけでなく、URL、検索評価、外部リンク、ドメイン、DNS、サーバー、メール、CMS、フォーム、アクセス解析、契約、ライセンスがつながっています。見えない資産を把握しないまま作り直すと、公開後にページが消える、メールが届かない、計測が切れる、管理権限が戻らないという問題が起こり得ます。

この記事では、リニューアル相談前の資料を、URL・コンテンツ資産、契約・権限・基盤、計測・運用基準の3群に分けて整理します。新規制作を含む一般的な初回相談準備は制作相談前の8項目メモ、制作会社比較はホームページ制作会社の選び方へ分けます。

結論:リニューアル前は3つの証拠群を作る

資料を大量に集めることが目的ではありません。相談先が「何を残し、何を直し、何を統合し、何を終了候補にするか」を判断でき、公開前後を比較できる状態を作ります。

資料群1:URL・コンテンツ資産

現行URL、ページの役割、検索・利用実績、内部リンク、外部リンク、原稿、画像、ダウンロード資料、構造化データをまとめます。サイトマップだけでなく、実際に閲覧されるURL、広告やSNSから使われるURLも対象です。

資料群2:契約・権限・基盤

ドメイン、DNS、サーバー、CDN、SSL証明書、CMS、メール、フォーム、バックアップ、制作契約、素材ライセンスの名義と管理者を確認します。パスワードそのものではなく、所有関係と復旧経路を記録します。

資料群3:計測・運用基準

Search Console、GA4、Googleタグ、広告、フォーム通知、問い合わせ台帳、更新手順、公開前後の確認項目をまとめます。リニューアル後に「良くなったか」だけでなく、「計測が同じ条件で続いているか」も判断できます。

リニューアル前資料をURL資産・権限基盤・計測運用の3群に分ける図

相談前に揃える資料一覧

最初からすべてを完全にする必要はありません。存在と確認者が分かる資料、次に調査が必要な資料、契約後でなければ共有しない資料を分けます。

優先度Aは相談範囲を決める資料

資料分かること最低限の形未確認時
目的と制約何を変え、何を守るかA4一枚判断者と期限を記録
現行URL一覧ページ数と役割URL・title・種類サイトマップと主要導線から開始
重要ページ残すべき利用・検索価値上位10〜30URL営業・受付・採用へ確認
契約・名義移行可否と責任範囲請求書・契約名・管理者旧担当と委託先へ照会
計測基準公開前後の比較期間・指標・主要イベント取れる証拠だけ固定
公開条件停止・復元の判断合格項目と責任者相談で仮決め

パスワード、認証コード、個人データの実値はこの一覧へ載せません。相談先が決まり、契約と取扱方法を確認した後、必要最小限の権限で共有します。

最初にURL台帳を作る

リニューアルの単位は「サイト全体」だけではなく、URLごとの判断です。トップページを新しくしても、サービス詳細、採用、事例、FAQ、資料PDF、キャンペーンURLがどこへ行くか決まっていなければ、利用者は迷います。

旧URLは複数の入口から集める

  • XMLサイトマップ
  • サイト内のメニュー、一覧、パンくず、本文リンク
  • CMSの公開投稿・固定ページ・添付ファイル
  • Search Consoleの検索パフォーマンスとページ登録状況
  • GA4のランディングページ
  • 広告、SNS、メール、QRコード、紙資料
  • 営業担当が直接案内するURL
  • 外部サイトからリンクされるURL

Search Consoleのリンクレポートは内部・外部リンクの手掛かりをエクスポートできますが、網羅的な全件一覧ではありません。サイトマップやCMS、社内資料と合わせて使います。

URLごとに4つの判断を記録する

判断使う条件記録すること公開前確認
残す役割・内容・URLを維持修正有無、担当、現状値本文・meta・リンク・計測
直すURLを維持し内容を改善残す要素、変更点、承認者旧価値の欠落なし
統合複数ページを一つへ集約移行要素、移行先、301旧URLごとの対応
終了を検討利用価値も代替先もない根拠、404/410候補、リンク除去外部利用と問い合わせ確認

「古いから削除」ではなく、検索クリック、問い合わせ、営業利用、外部リンク、法定表示、契約上の保存、代替先を確認します。判断できないURLは保留にし、公開時に推測で消しません。

旧URLごとに残す・直す・統合・終了検討を記録する台帳図

URLを変える案件と変えない案件を分ける

見た目を刷新するだけでURLを維持できる案件と、ドメイン・ディレクトリ・CMS構造を変える案件では、必要な移行作業が違います。相談前に、変えることが目的なのか、仕組み上変えざるを得ないのかを確認します。

変更区分主な準備増やさない作業公開後の重点確認
URLを維持本文・meta・計測の前後差分不要な301とURL移行通知200応答、自己参照canonical、内容欠落
URL変更あり旧新URL対応表、移行本文、301、内部リンク無関係なトップページへの一括転送旧URL応答、新URL索引、主要導線
サーバーだけ変えるDNS、証明書、メール、ログ、バックアップ不要なURL・計測先の変更名前解決、送受信、フォーム、復元経路

変更区分を一行で決めた後、例外URLと外部サービスだけを追加します。「全面リニューアル」という案件名から作業を推測せず、URL、基盤、計測のどの層が変わるかを明記すれば、見積範囲と公開判定も揃えやすくなります。

URLを変える場合は一対一対応表を作る

Google Search Centralのサイト移行ガイドは、旧URLと新URLの対応表、恒久リダイレクト、canonical、内部リンク、サイトマップ、Search Consoleでの監視を案内しています。無関係な旧URLをすべて新トップへ送るのではなく、内容が対応する新URLへ結びます。

旧URL判断新URLHTTPcanonical内部リンク担当
/service-a/直す/service-a/200自己参照新URL制作
/old-a/統合/service-a/301新URL新URLSEO・制作
/ended/終了検討代替なし404/410候補なし除去事業責任者

URLを変えない場合は移行を増やさない

URLを維持するなら、不要な301やChange of Addressを追加しません。ただし本文、title、canonical、robots、構造化データ、内部リンク、サイトマップが意図どおりかは確認します。サーバーだけ変える場合は、DNS、メール、証明書、応答、ログ、復元を中心にします。

検索と利用の基準値を公開前に固定する

公開後にアクセスが変わっても、公開前の基準がなければ、季節、広告、計測変更、URL変更、内容変更のどれが原因か分かりません。完璧な分析より、同じ定義で比較できる小さな基準表を作ります。

重要URLごとに残す値

  • Search Console:クリック、表示、主なクエリ、平均掲載順位
  • GA4:閲覧、流入、主要行動、フォーム到達
  • 業務:問い合わせ件数、内容、応募、電話、資料請求
  • 品質:HTTP、表示速度、モバイル、主要アクセシビリティ課題
  • 運用:更新頻度、修正時間、担当、未処理件数

Search Consoleは非開示クエリや例示上限があり、表示値を全体と誤認しないよう期間と取得条件を残します。GA4も同じ期間、同じイベント定義、同じ同意条件で比較します。

GA4とGoogleタグは測定先と権限を記録する

新サイトにタグがあることだけでは十分ではありません。どのアカウント・プロパティ・Webデータストリームへ送っているか、誰が管理できるか、主要イベントが何かを記録します。

測定IDとイベント定義を正本化する

Google Analyticsの測定ID解説は、測定IDがWebデータストリームを識別する情報だと説明しています。現行と新環境の測定ID、対象URL、Googleタグ、キーイベント、同意設定、テスト方法を一枚にします。

管理者を一人だけにしない

Googleタグのユーザー管理は、管理者と編集権限を説明し、管理者が一人だけだと継続性に問題が生じ得ることを案内しています。個人の私用アカウントだけに依存せず、会社が管理できる複数の責任者と退職時の手順を決めます。

ドメイン・DNS・サーバー・メールを一つの変更にしない

ドメインの移管、DNS変更、サーバー移転、メール移行、CMS変更を同時に行うと、異常の原因を切り分けにくくなります。何を変更し、何を維持するかをレイヤーごとに分けます。

基盤台帳に必要な項目

対象所有・契約現状証拠変更有無復旧条件
ドメイン登録者・管理先・期限管理画面・請求維持/移管移管取消・期限保護
DNS管理者・ゾーン全レコード控え維持/切替旧値へ戻す
サーバー・CDN契約者・プラン構成・容量・ログ維持/移転旧環境を保持
SSL証明書発行・更新方法有効期限・対象名再発行有無旧証明書・更新確認
メール契約・管理者MX等の設定と一覧維持/移行送受信・転送確認
CMS管理者・保守先版・拡張・設定維持/変更旧環境の復元

メールがWebサーバーと同じ契約でも、サイトだけ切り替えるつもりがメールへ影響する場合があります。代表、問い合わせ、採用、請求、システム通知の送受信先を一覧にし、公開前後に実送信ではなく安全なテスト手順で確認します。

サーバー・ドメイン・CMSの移管作業を具体化する場合は、サイト移管の安全手順へ分けます。本記事の成果物は、作業へ進めるか判断できる資料です。

バックアップは「ある」ではなく戻せる条件を記録する

バックアップ取得済みというチェックだけでは、対象、取得時点、暗号化、保管先、復元権限、所要時間が分かりません。復元できる状態を相談前に確認します。

WordPressはファイルとデータベースを分けて確認する

WordPress公式のバックアップ解説は、一般的なWordPressサイトを完全に戻すにはデータベースとファイルの両方が必要だと説明しています。さらにサーバー設定、DNS、証明書、外部ストレージ、メール、フォーム連携は別に控えます。

復元表に5項目を持たせる

  • 復元対象:ファイル、DB、設定、外部連携
  • 取得時点:いつの状態へ戻すか
  • 保管先:本番と別障害領域か
  • 復元手順:展開、接続、設定切替、確認の順序
  • 実行者:誰が復元権限を持つか
  • 確認者:実行者とは別に合格を判定できるか
  • 合格条件:HTTP、本文、画像、フォーム、計測、メール

取得直後に同じ本番へ復元する必要はありません。隔離環境で展開できるか、ファイルが読めるか、DBが取り込めるか、復元手順と所要時間を確認します。バックアップの世代数と保管期限も残し、公開直前の取得物と日常バックアップを取り違えないようにします。

契約・権利・個人情報の境界を確認する

制作会社を変える場合、サイトが表示されていることと、データ・権利・契約を引き継げることは別です。契約書、見積、請求書、納品一覧、ライセンスを確認します。

著作権が誰にあるかと、発注者がどの媒体・期間・地域で利用できるかは同じ確認ではありません。写真、イラスト、フォント、動画、文章、コードごとに、権利者、利用許諾、元データの受領可否、再編集、第三者への再委託、契約終了後の利用範囲を記録します。個人情報を含む素材は、掲載同意だけでなく、保管、共有、削除、差替え依頼の窓口も決めます。

引継ぎ対象を5つに分ける

区分確認例判断
データソース、DB、原稿、画像、設定、バックアップ形式・最新版・受領方法
権利デザイン、写真、フォント、コード、プラグイン利用範囲・譲渡・更新
契約保守、ホスティング、外部サービス解約日・最低期間・返却
権限ドメイン、サーバー、CMS、Google、SNS所有者・管理者・代理
証跡要件、変更履歴、障害、残課題何を引き継ぐか

個人データは実値を渡さず取扱条件を先に決める

問い合わせ、会員、購入、採用応募の個人データを制作会社が扱う場合、個人情報保護委員会の委託先管理資料に沿って、委託先選定、契約、安全管理、再委託、取扱状況を確認します。テストには架空データを使い、本番データの複製が必要なら範囲、暗号化、期限、削除証跡を定めます。

原稿・画像・PDFは正本と権利を記録する

現行ページから文章をコピーできても、正しいとは限りません。会社住所、料金、営業時間、資格、統計、採用条件、担当者写真などは、正本と更新責任者を確認します。

コンテンツ棚卸しの判定

  • 現行のまま使える
  • 事実は使えるが表現・構成を直す
  • 追加取材・撮影が必要
  • 許諾・ライセンス確認が必要
  • 古いが法務・契約上保管が必要
  • 代替先と影響を確認して終了候補

PDFにしかない情報は、検索やスマートフォン利用で読みにくくないかを確認し、必要ならHTML化します。元データがなくても、再作成できるか、現行PDFを維持するかを判断します。

フォームとアクセシビリティを現行基準として記録する

フォームは見た目だけでなく、入力、エラー、確認、送信、通知、自動返信、保存、削除まで一つの経路です。公開前に現行の送信先と業務処理を記録し、新サイトで変える部分を分けます。

利用者が完了できるかを証拠にする

デジタル庁のアクセシビリティ導入ガイドを参考に、スマートフォン、文字拡大、キーボード操作、見出し、ラベル、エラー表示、代替テキストを確認します。現行の問題を画面だけでなく操作手順として記録すると、リニューアル後の受入条件になります。

相談先へ渡すパッケージを作る

資料を一つの巨大なファイルへ詰め込む必要はありません。閲覧用の概要、台帳、機密資料の所在を分けます。

初回相談パッケージ

  1. 目的・守る条件・希望時期・判断者の一枚
  2. URL台帳と重要URL一覧
  3. コンテンツ・素材・権利の不足一覧
  4. 契約・権限・基盤の確認状態
  5. Search Console・GA4・業務KPIの基準
  6. 問い合わせ・メール・更新の現行手順
  7. 未確認項目、確認者、期限

制作会社を比較する段階では、機密情報や管理権限を渡さず、確認状態と必要作業を共有します。複数見積を揃える場合は見積比較項目を使い、URL調査、移行、計測、テスト、公開後監視が含まれるかを確認します。

一度に変えすぎない移行計画を相談する

ドメイン、サーバー、CMS、URL構造、デザイン、コンテンツ、計測、メールを同時変更すると、問題の原因と復元単位が大きくなります。必要に応じて、先行調査、コンテンツ整備、テスト環境、公開、公開後監視へ分けます。

公開判定の7領域

  • HTTP・URL・301・canonical・robots・サイトマップ
  • 本文・画像・PDF・内部リンク・構造化データ
  • PC・タブレット・スマートフォン・文字拡大
  • フォーム・通知・自動返信・保存・削除
  • Search Console・GA4・タグ・広告
  • DNS・証明書・メール・サーバーログ
  • バックアップ・復元・停止条件・緊急連絡

発注後の承認と変更管理はWeb制作の7つの合意ゲートへ分けます。相談前の資料は、その進行計画を現実の資産と制約から作れる状態にします。

よくある質問

ドメインやサーバーが分からなくても相談できますか

相談できます。請求書、契約メール、旧担当、現在の制作会社など、確認先を一覧にします。ただし公開日を確約する前に、名義、管理権限、メール影響、データ取得可否を確認します。

全URLを残した方が安全ですか

無条件に残す必要はありません。利用・検索・外部リンク・法務・営業の価値をURLごとに判断します。統合するなら固有要素を新URLへ移し、終了候補は代替先と影響を確認します。

リニューアルでURLは変えるべきですか

短く見えるからという理由だけで変えません。CMSや情報構造上必要な場合もありますが、維持できるなら移行リスクを増やさない選択もあります。変える場合は一対一対応表と検証計画を作ります。

アクセス解析は新しく作り直しますか

既存の正しいプロパティと管理権限があるなら、継続して前後比較できる利点があります。所有権や構成に問題がある場合は、測定先、イベント、同意、移行日を記録して判断します。新旧の二重計測や欠測をテストします。

制作会社へ管理者権限を先に渡すべきですか

比較・相談段階では渡しません。必要な調査項目を確認し、契約後に期限、目的、権限範囲、削除方法を決めて共有します。個人アカウントのパスワード共有は避けます。

まとめ:資料は新サイトを作るためだけでなく旧資産を守るためにある

ホームページリニューアル前は、URL・コンテンツ資産、契約・権限・基盤、計測・運用基準の3群を整理します。URL台帳には、旧URLの役割、実績、判断、移行先、301、canonical、内部リンク、担当を持たせます。

ドメイン、DNS、サーバー、メール、CMS、Search Console、GA4、タグ、フォームは、パスワードではなく所有者、管理者、復旧先を確認します。バックアップはファイルがあることではなく、対象と手順を説明でき、戻せることを確認します。

現行サイトの証拠収集、URL対応表、権限・契約の不足、公開前後の基準を一緒に整理したい場合は、ホームページリニューアルの相談窓口へお知らせください。全記事と横断監査が完了するまで、本候補の本番反映は行いません。