海外向けのネットショップを考えるとき、日本語の商品説明を訳すだけで足りる場合もあれば、売る商品や画像、購入条件まで見直す場合もあります。先に分けて考えたいのは、何語で伝えるかと、どの国へ、何を販売するかです。
同じ英語のページを読めても、購入する国によって販売できる商品や届け方が違うなら、同じ売り場としては扱えません。この記事では、当社のECサイト制作事例をもとに、翻訳する範囲と、海外向けに売り場を調整する範囲を考えます。
言語と、販売する国を別に考える
言語は、商品の特徴や使い方を読めるようにするための選択です。販売する国は、その商品を誰に届け、どの条件で購入してもらうかという選択です。この二つが同じ分け方になるとは限りません。
たとえば、同じ英語の説明を使う二つの国でも、片方では商品A・Bを売り、もう片方では商品Aだけを扱う、という売り方を考えることがあります。逆に、一つの販売先に対して、複数の言語で説明を用意することも考えられます。これは仕組みを考えるための架空の例で、特定の国や商品の販売可否を示すものではありません。
まずは、国内と共通で使える商品情報を置き、その上で、翻訳する内容と販売先に合わせて変える内容を分けます。「英語に切り替えたので、どの国でも買える」と受け取られない案内も必要です。売り場の表示と、実際に注文を受けられる条件をそろえて考えます。

共和様では、日本語と海外向けの画像を個別に設定した
東京都中央区の株式会社共和様からは、将来の中国・欧州市場への展開を見据え、海外販売にも対応できるECサイトを作りたいとご相談いただきました。日本語以外で商品情報を伝えることに加え、国や地域によって紹介する商品が異なることも考慮した制作です。
共和様のECサイト制作事例では、言語を切り替える仕組みを採用し、メインビジュアルとバナーを日本語ページと海外向けページで個別に設定できるようにしています。メインビジュアルは、トップページなどで大きく見せる画像です。バナーは、特集や商品への入口となる画像や案内を指します。
国内で紹介したい商品と、海外向けに紹介したい商品が異なるなら、入口の画像も選び直せる方が、売り方に合わせて更新できます。単に同じ画面の言葉を訳すだけでなく、何を目立たせるかまで扱う考え方です。
この事例でご紹介しているのは、海外展開を見据えた制作内容です。展開先での販売実績や売上の変化を示すものではありません。また、実際にどこまで国別の画面を分けるかは、取り扱う商品と運営方法に合わせて検討します。
売り場を分ける前に、変える項目を並べる
すべてのページを国ごとに作り直すと決める前に、どの項目が共通で、どこを変えたいかを見ます。次の表は、制作会社と相談するときに使える整理例です。決まっていない欄があっても、そのまま相談の材料にできます。
| 項目 | 分けて考えること | 制作時に確認すること |
|---|---|---|
| 説明の言語 | 商品説明、使い方、注文の案内を何語で伝えるか。 | 翻訳する範囲と、内容・表現を確認する人。 |
| 販売する国 | どの国からの注文を受けるか。 | 販売条件を確認した結果を、画面へどう反映するか。 |
| 売る商品 | 国内と同じ品ぞろえか、一部だけを扱うか。 | 共通の商品情報と、売り場ごとに変える情報。 |
| 画像・バナー | どの商品を入口で目立たせるか。 | 国内用と海外用を別に選び、変更できるか。 |
| 変更する担当 | 商品、画像、翻訳、購入条件を誰が更新するか。 | 更新後にどの画面を、誰が確かめるか。 |
商品説明を共通にしても、販売先によって公開する商品だけを変えたいかもしれません。商品は同じでも、季節や販売方針に合わせて入口のバナーを変えたいこともあります。違いがある項目から確かめれば、必要な仕組みを絞って相談できます。
販売先の規制、税、通関、配送条件は、販売事業者が関係先へ確認する必要があります。ここでは国別の結論を出すのではなく、確認した条件をどこに表示し、変更があったとき誰が直すかをサイト制作の課題として扱います。
画像の中へ文字を固定すると、更新の単位が大きくなる
共和様の制作では、画像に文字を入れる方法を避け、文字をテキストとして編集・管理できるようにしています。言語を切り替えたときの翻訳・表示を考えた設計です。
写真と案内文が一枚の画像になっていると、同じ写真を使い続ける場合でも、言葉を変えるために画像を作り直すことがあります。複数の言語や売り場で使うなら、どの画像がどの文章に対応するかも管理しなければなりません。
写真と文字を別に持てば、写真を残したまま文章を編集する方法を検討できます。ただし、文字を別にしただけで翻訳の正確さや読みやすさまで決まるわけではありません。訳した文章が長くなったときの収まり、商品へのリンク、スマートフォンでの見え方は、実際の画面で確かめます。

一つの売り場を想定して、更新までたどる
制作内容を確かめるには、販売を考えている一つの国と、紹介したい商品群を仮に選び、実際の担当者が変更する場面をたどります。販売の開始を決めるための試験ではなく、管理画面や確認の流れに足りないものを探すための作業です。
商品を一つ追加するとき
商品を登録したあと、国内と海外のどの売り場に出るか、説明の翻訳を誰が用意するか、画像を共通で使うかを確かめます。海外向けの準備ができていない商品まで、国内への追加と同時に表示されないかも見ます。
入口の画像や案内を変えるとき
国内向けのバナーを変えたとき、海外向けにも同じ変更が必要かを考えます。別に更新するなら、編集する場所と、確認する画面が分かるようにします。案内から移動した先の商品が、その売り場でも公開されているかまで確かめると、入口だけを直して終えることを防げます。
この二つの場面をたどるだけでも、共通で持つ情報、別に編集する情報、公開前に確認する人を具体的に相談できます。自動でそろえる箇所と、人が判断して変える箇所を、日々の仕事に合わせて決めます。
大阪府から海外販路を考えるときも、今のECを起点にする
大阪産業局が公表した2026年度の越境EC出品支援の運営業務では、海外販路を広げようとする府内の中堅・中小企業を対象とした支援が業務内容に挙げられています。海外向けの販売は、府内企業の販路を考える際にも取り組まれている課題です。
ただし、参照したページは運営業務の委託事業者を募集した記録で、募集は終了しています。現在申し込める支援制度の案内ではありません。また、越境ECモールを使う支援と、自社のネットショップを作ることは、分けて検討します。
自社ECを海外向けに変える場合は、現在の商品登録や受注の仕組みを確かめ、残せる部分と追加が必要な部分を見ます。最初からすべてを作り替えると決めず、販売したい商品、入口で見せたい内容、担当者が続けられる更新方法から検討しましょう。
翻訳と売り場づくりの範囲を一緒に考える
みやあじよでは、既存ECの多言語化と、海外向けの商品・画像・更新方法を含む制作をご相談いただけます。何を変えるか決まっていない段階でも、現在のショップと、販売を考えている国からお話を伺います。
翻訳で対応する部分と、売り場として作り替える部分を一緒に検討したい方は、大阪府でECサイト制作・リニューアルを相談するをご覧ください。整理表を完成させてからお問い合わせいただく必要はありません。


