初めてコーポレートサイトを作るときは、会社の情報を集めて「誰が、何を確かめるために見るか」を整理するところから始めます。会社概要を載せるだけでは、依頼できる仕事や相談先まで伝わりません。一方で、最初から採用、通販、資料請求などをすべてそろえる必要もありません。
この記事では、企業サイトに載せたい内容、社内で用意する資料、制作会社との分担、公開までの確認を順に説明します。まだWebの専任担当者がいない会社でも、今ある営業資料や現場の話をもとに、制作の相談を始められるように整理しました。

コーポレートサイトは、会社を確かめるための入口
コーポレートサイトとは、企業が自社の事業、会社情報、採用、連絡先などを公式に発信するWebサイトです。特定の商品を売るサイトや、一つのキャンペーンへ申し込みを集めるページとは、扱う情報の範囲が異なります。同じ会社が、目的に合わせて複数のサイトを持つ場合もあります。
ホームページは、Webサイト全体を指す言い方としても使われます。コーポレートサイトは、そのうち企業の公式情報を伝える役割を持つサイトです。別の技術を使うという区別ではありません。採用サイトやECサイトとは目的と必要な機能が異なり、企業サイトの中に採用情報を置く方法もあります。
初めて訪れた人には、社名だけで会社の仕事は分かりません。紹介を受けた取引先なら「どこまで頼めるか」、求職者なら「何をする仕事か」を確かめたいはずです。まず、実際に会社へ来る質問を集めると、載せるべき情報が見えてきます。
| 見る人の状況 | 確かめたいこと | 用意する情報の例 |
|---|---|---|
| 紹介を受け、取引を検討している | 自社の依頼に対応できるか | 事業内容、対応範囲、相談から納品までの流れ |
| 求人を見て会社を調べている | 仕事内容や応募条件が合うか | 募集職種、働く場所、仕事の説明、応募先 |
| 既に取引があり、連絡先を探している | 担当窓口や所在地に変更がないか | 会社概要、拠点、問い合わせ先、必要なお知らせ |
営業と採用の両方を載せても構いません。ただし、入口や説明を混ぜると、取引の相談先と応募先を探しにくくなります。誰に向けた情報かをページや見出しで分け、それぞれの次の行動へつなげましょう。
最初に載せるのは、会社の実態と相談に必要な内容
必要なページ数は、事業の数や掲載する情報の量で変わります。「企業サイトだから必ず何ページ」と決めるより、次の内容が読めるかを確かめてください。少量なら一つのページにまとめることもできますが、事業や対象者が異なる場合は、分けた方が探しやすくなります。
会社概要と事業内容を、初めて読む人にも分かる言葉にする
会社概要には、正式な会社名、所在地、連絡先、事業内容など、取引や連絡の前提になる事実を載せます。拠点が複数ある場合は、本社と営業所を区別し、実際の窓口を示します。古い会社案内から転記するときは、住所や電話番号が現在も正しいかを確認しましょう。
事業内容では、業界内だけで通じる表現に短い説明を添えます。例えば、架空の金属部品メーカーが「精密加工」とだけ書いても、初めて読む人には何を頼めるか分かりません。実際に扱う材料、加工する部品の種類、試作と量産の対応、相談時に必要な図面などを、社内で確認した範囲で示すと判断しやすくなります。これは説明用の例で、実在企業の実績ではありません。
強みは、仕事の進め方や確認できる事実で示す
「高品質」「柔軟な対応」といった言葉を使うなら、その意味も説明します。どの工程で検査するのか、誰が相談を受けるのか、どの条件なら対応できるのかを示す方が、相手は自分の依頼に合うかを判断できます。
実績を掲載するときは、顧客名や写真を公開してよいか確認してください。掲載できる実績が少ない段階でも、担当できる仕事、設備、作業の流れなど、確かめられる情報から会社を説明できます。実際にない取引先、成果の数字、認証や資格を補って見せる必要はありません。
問い合わせ先と、条件に応じて必要な情報をそろえる
連絡先は、会社概要の奥に隠さず、事業を読んだ人が進める場所にも置きます。問い合わせフォームを用意する場合は、必要な入力項目、受け取る担当、返信する方法を決めます。個人情報保護委員会の案内では、本人がWebの入力画面に記入して個人情報を提供する場合、原則として利用目的の明示が必要とされています。フォームの近くで使い道を読めるようにし、実際の取り扱いに合う方針を確認しましょう。
採用情報は募集する職種がある場合に、IR情報は自社に必要な開示内容に合わせて用意します。お知らせ欄も、更新する人と伝える内容が決まっているかを確認してください。更新予定のない枠を増やすより、会社情報と事業説明を正確に保つことが先です。
制作前に、社内の情報を一つのメモへ集める
完成した原稿がなくても、既存の会社案内、営業資料、製品資料、よく聞かれる質問は出発点になります。部署ごとに別の説明をしている場合は、その違いも残してください。会社としてどの説明を採用するかを確認する材料になります。
次の表を社内のメモとして使い、分からない欄は「未確認」と書いて担当者を決めます。文章を整える作業と、事実を確認する作業を分けると進めやすくなります。
| 集めるもの | 確認すること | 社内の確認先の例 |
|---|---|---|
| 会社案内、会社情報 | 正式名称、所在地、代表者、連絡先が現在の内容か | 総務、経営者 |
| 事業・製品の資料 | 掲載できる仕様、対応できる仕事、説明が必要な専門用語 | 営業、現場担当 |
| 写真、ロゴ | 原本の有無、使用条件、撮影対象の公開可否 | 素材の管理者、撮影対象の担当 |
| 顧客からの質問 | 相談前に不足しやすい情報と回答 | 営業、問い合わせ担当 |
| 採用の資料 | 実際の募集条件、勤務地、応募窓口 | 採用担当 |
| ドメイン・既存のメール | 契約や更新の窓口、既存サービスへの影響 | 契約管理者、IT担当 |
写真は、社屋だけでなく、仕事内容や製品を説明するものも検討します。背景に顧客名、図面、個人情報が写り込んでいないかを確認し、使える写真と撮り直す写真を分けて渡しましょう。ロゴは、名刺の写真から切り出すより、使用できる元データを探します。
ドメインはサイトのアドレスに使う名前です。既に会社のメールで使っている場合は、新しいサイトを公開する作業でメールが止まらないよう、現状を制作会社へ共有してください。JPドメイン名の登録・管理は指定事業者を通じて行われるため、契約先と社内の管理窓口も把握しておきます。IDやパスワードを、掲載用の原稿や共有メモに混ぜることは避けてください。

制作会社へ任せる範囲と、社内で判断すること
制作会社へ原稿整理や撮影を依頼しても、事業の説明が正しいか、どの情報を公開してよいかは企業側の確認が必要です。一方、企業側がWebの見せ方や実装方法まで、先に決め切る必要はありません。
例えば、社内で「取引を検討する人に、小ロットの相談条件を伝えたい」と決めれば、制作会社と必要なページ、説明の順番、写真、問い合わせへのつなぎ方を相談できます。使用するシステムも、更新したい内容や担当者の操作経験に合わせて検討します。知っているサービス名から先に選ぶより、公開後に誰が何を直せる必要があるかを伝えましょう。
WordPressを候補にする場合は、企業サイトにWordPressを使うときの注意点で、更新体制や保守を含めて自社に合うか確認できます。
社内では、日々の連絡を受ける窓口と、掲載内容を最終的に承認する人を決めます。営業や採用など、事実を確認する担当は別でも構いません。意見が食い違ったときに、誰がまとめて返答するかまで決めておくと、同じ修正を繰り返しにくくなります。
見積もりは、含まれる作業をそろえて読む
同じページ数でも、原稿を社内で用意するか、取材して作るか、撮影や更新機能を含めるかで作業は変わります。デザインだけを比較せず、次の内容が見積もりに含まれるかを確認してください。
- 掲載内容の整理、原稿作成、校正の担当。
- 写真の撮影、素材の購入、使用条件の確認。
- 問い合わせや更新機能の制作と、公開前の動作確認。
- 公開作業、操作説明、公開後の修正や保守の範囲。
- 追加ページや方向変更が出たときの、費用と日程の扱い。
「更新できる」という説明も、ニュースだけなのか、事業内容や写真まで変更できるのかで意味が違います。実際に更新したい箇所を伝え、操作の見本や説明を確認しましょう。初回制作費と、公開後に継続して必要な費用は分けて把握します。
予算を具体化する際は、企業サイトの制作費と見積内訳の考え方も参考になります。
公開までの流れと、企業側の確認ポイント
一般的には、内容整理、構成、原稿・写真、デザイン、実装、検証、公開の順に進みます。原稿や構成の検討を並行して行うこともありますが、確認する順番は明確にしておきましょう。
構成の段階では、「何をどこに載せるか」を確認します。原稿の段階では、事業説明や募集条件の正しさを確認します。デザインの段階では、文字の読みやすさ、写真の意味、目的のページへの進みやすさを見ます。デザインが完成してから掲載内容を大きく変えると、配置や構成の見直しも必要になる場合があります。
公開日を決めるときは、制作側の作業だけでなく、社内の資料提出、原稿確認、撮影の調整、最終確認に使える日も共有してください。期間の詳しい組み方は、企業サイト制作のスケジュールと進め方で確認できます。
公開前は、読むことと操作することを確かめる
スマートフォンで、会社を初めて知る人のつもりで読んでみます。事業内容を理解できるか、連絡先に進めるか、文字や表が読めるかを順に確認します。マウスを使わずに主要なリンクやフォームを操作できるか、写真に代替テキストがあるかも確認したい点です。詳しい考え方は、デジタル庁のウェブアクセシビリティ導入ガイドブックが参考になります。
フォームは画面に表示されるだけで完了とはいえません。テスト用の内容で送信し、担当者への到着、入力エラーの案内、返信の運用を確かめます。更新機能も、担当者が実際に写真やお知らせを変更できるかを確認します。制作会社には、バックアップやソフトウェア更新を誰が行うか、不具合時はどこへ連絡するかを聞いておきましょう。
検索については、公開できたことと、Googleに登録され検索結果へ表示されることを分けて確認します。Google公式のSEOガイドでも、変更の効果が現れるまでには時間がかかり、検索での掲載位置は保証されないと説明されています。公開直後に検索できないことだけで、制作の成否を決めないようにします。

公開後に古い情報を残さないための担当を決める
所在地、連絡先、対応するサービス、募集条件が変わったときに、誰がサイトを直すかを決めます。営業資料や求人票を変更しても、サイトだけ古いままでは、読んだ人が判断を誤るおそれがあります。変更を知らせる人、更新する人、更新結果を確認する人を社内で共有しておきましょう。
成果を見るときは、サイトの目的に合わせます。取引の相談を増やしたいなら、アクセス数だけでなく、実際の問い合わせ内容や対応可能な相談が届いているかを確認します。採用なら応募の内容と募集条件のずれを見ます。フォームの操作回数を、そのまま有効な問い合わせや採用実績として扱わないことも大切です。
最初の相談には、「会社を初めて知る人に伝えたいこと」「今ある資料」「足りない資料」「確認する担当」「希望する公開時期」を持っていけば、未確定な部分も含めて話を始められます。仕様や機能を細かく整理する段階へ進んだら、コーポレートサイト制作の要件定義で決めることも参考にしてください。
会社の情報整理から、制作の進め方をご相談ください
株式会社みやあじよでは、会社の情報整理から、文章・写真・構成、制作、公開後の運用まで、必要な範囲をご相談いただけます。コーポレートサイト制作の対応内容をご覧いただき、掲載内容がまだ決まっていない場合も、お問い合わせ窓口へ現在の状況をお伝えください。
参考資料
以下は2026年10月26日に再確認した公式資料です。本文のメモや進め方は、初めて企業サイトを作る担当者向けに整理したものです。


