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コラム

複数ブランドのアクセス解析|計測範囲・回遊・閲覧権限をそろえる管理表

チップス

複数ブランドのアクセス解析で、計測先と集計範囲、ブランド間の移動、閲覧権限を分ける管理表。利用者数の合計や成果条件を読み違えず、レポートと改修範囲を相談する方法を整理します。

ブランドの数字に集計範囲を添える見出しと、架空企業の相談卓で二冊のフォルダを確認する女性

ブランドAからブランドBへ移動した人を、Bで新しく獲得した人として報告してよいのか。各サイトの利用者数を足せば、会社全体へ来た人数になるのか。複数のサイトを管理する本部では、同じ「アクセス数」という言葉でも、集計する範囲が違うために数字の意味が揃わないことがあります。

先に整理したいのは、計測するサイトとデータの保存先、横断する行動の扱い、数字を見せる相手です。この記事ではGA4を例に、架空のM社が二つのブランドを管理する確認表を作ります。実際の管理画面や計測データは使わず、本部と制作会社が変更範囲を相談するための設計例として説明します。

ブランド別の数字を足す前に、集計の対象を決める

最初に、本部が知りたいことを一文にします。「各ブランドの商品ページを改善したい」のか、「Aを見た人がBも検討しているか知りたい」のかでは、必要な資料が違います。ブランド単独の状況と、ブランドをまたぐ行動は、別の問いとして並べてください。

二つのレポートにそれぞれ利用者数が載っていても、その合計が会社全体の重複を除いた人数とは限りません。同じ人が両サイトを利用している可能性があるためです。別々の範囲で数えた値を足す場合は、何の合計かを表題に残し、「全体の利用者数」と読み替えないようにします。

「新規」も、事業上の初めての顧客なのか、計測の仕組みで新しく認識した利用なのかを区別します。アクセス解析の値だけで、自社と初めて接点を持った人だと断定することはできません。ブランド間のリンクから来た利用を確認する目的なら、その経路をどう記録しているかも併せて確かめます。

M社の設計例では、月次資料を「Aのサイト内での行動」「Bのサイト内での行動」「AとBをまたぐ行動」の三つの見出しに分けます。横断行動を計測できていない段階では、その欄をゼロとせず、未確認と記載します。測っていないことと、行動がなかったことを混同しないためです。

サイト名と、実際の計測先を対応させる

ブランド名が付いたレポートでも、そのブランドのサイトだけを計測しているとは限りません。過去のキャンペーンページが同じ計測先に残っていたり、別ドメインのフォームだけ異なる場所へ送信していたりする場合があります。画面の表示名だけで判断せず、対象URLと実際の設定を照合します。

GA4では、データをまとめる単位となるプロパティと、ウェブサイトなどからデータを受け取るストリームを確認します。さらに、対象ページで使われるタグのIDも対応させます。本部が用意するのはサイトの一覧と用途で、設定を確認できる担当者が計測先の識別情報を追記する形で進められます。

記録する対象には、通常のページだけでなく、別ドメインの予約・問い合わせ画面や、運用中の特設ページも含めます。ただし、外部サービスへデータを送れるか、同じ設定を使えるかは個別に確認します。自社からリンクしているという理由だけで、自社サイトと同じ範囲で測れるとは考えないようにします。

同じタグが重複して入っていないか、一部のページだけ計測先が違わないかも確認対象です。共通部品から入れる設定と、個別ページへ追加した設定が併存しているかもしれません。見つけたタグをすぐ削除せず、誰が何のために使うかと、どのレポートへ影響するかを先に整理します。

Googleのアカウント構成の資料は、別の事業単位として分析する場合と、関連する行動をまとめて見る場合で構成例を分けています。自社でも、ドメインの数だけで決めず、利用者の行動と担当者が必要とする分析の範囲から構成を考える参考になります。Googleのアカウント構成ガイド

分けて管理することと、行動をつなぐことを区別する

ブランドごとに担当者や事業目的が異なり、データを独立して管理する必要があるなら、その条件を先に記録します。一方、商品紹介から共通の申込み先へ進むなど、一続きの利用として見たい経路があるなら、経路も別に書き出します。どちらか一方の都合だけで、すべてを分離または統合する必要はありません。

Googleのクロスドメイン測定の説明では、同じ端末で異なるルートドメインへ移動しても、設定がなければ別々のIDで識別される場面が示されています。対象を一続きで測るには、同じウェブデータストリームの同じタグIDを使うことなど、前提条件があります。Googleのクロスドメイン測定の説明

したがって、AとBの数値を同じ表へ並べただけでは、移動した人を一続きに把握できるようにはなりません。既に別々の計測先がある場合、レポートの見た目をまとめる依頼と、計測の構成を変える依頼は分けます。現在のデータで分かることと、変更後に確認したいことを制作会社へ渡します。

ブランド間のリンクを何回押したかと、移動先で実際に閲覧や申込みへ進んだかも別の観測です。リンクのクリックしか分からないなら、結果を「Bへの申込み人数」とは呼びません。どこまで確かめられた数値かを、集計表の説明欄に残します。

横断測定を導入しても、すべての利用者を常に同じ人として識別できるという意味ではありません。端末やブラウザ、同意状態などの条件を確認する必要があります。また、過去の別々の集計が設定変更だけで自動的につながる前提も置かず、比較を始められる時点を確認します。

ブランド・計測先・集計条件を一枚にする

次の表は架空M社の記入例です。P-A、P-Bは説明用の計測先の記号で、実際のIDではありません。AとBを別々に管理している現状から、単独の比較と横断行動の確認をどう進めるかを整理しています。具体的な権限や除外設定を、この表だけで変更するものではありません。

ブランドAとBの単独集計を並べ、横断行動の未確認、利用者数の合算と閲覧権限の注意を別枠に示す図
架空M社の計測整理例です。P-A・P-Bは説明用の記号です。ブランド単独の比較と横断行動を分け、未確認の範囲を明示します。実際の設定や計測成果ではありません。
対象と計測資産 集計する範囲 除外・未確認の扱い 閲覧者と確認事項
ブランドA/P-A Aの対象URLと成果条件 検証ページの混入を確認 本部とA担当の有効権限
ブランドB/P-B Bの対象URLと成果条件 Aと同じ指標定義か確認 本部とB担当の有効権限
AからBへの移動 出発・到着・その後の行動 横断計測は未確認と表示 本部が確認方法を決める
本部の比較資料 A・Bを同期間で並べる 利用者数を単純合計しない 元データと共有先を確認
設定変更の前後 変更日と対象ページを記録 連続比較できる範囲を明記 実施者と再確認者を残す

実際の台帳では、対象URL、プロパティ・ストリーム・タグの識別情報、レポートの参照先を対応させます。すべてを一つの横長表に押し込む必要はありません。ブランドごとの詳細票と、本部が見る一覧を分ける場合も、同じ識別名で行き来できるようにします。

除外条件の欄には、何を、どの段階で集計から外すかを書きます。閲覧するレポートの対象を絞ることと、収集段階の設定を変えることは同じではありません。検証ページや社内確認のアクセスについても、現在どの方法で扱っているかを調べ、除外済みと推測して記入しないようにします。

担当者が不明な資産は、空欄を埋めるために誰かの所有物と決めず、「管理者確認中」と残します。外部制作会社や退職した担当者が関係する場合も、実際の権限と管理の引継ぎ状況を確認します。記事の表を完成させることより、確認できた範囲を正しく共有することが大切です。

比較レポートでは、期間と成果の条件も揃える

同じ月の数字でも、集計期間の区切りや対象ページが違えば、そのまま比較できません。ブランドAは月全体、Bは途中から計測を始めた値なら、その違いを見出しの近くに記載します。集計した時点や、未計測の期間があるかも、資料へ残します。

成果として数える行動も揃えます。Aはフォームを開いた回数、Bは正常に受付を終えた回数であれば、同じ「問い合わせ」として比較しないようにします。ブランドごとの目的が違う場合は、無理に同一の成果指標へまとめず、何を改善するための値かを並べて説明します。

M社なら、ブランド別の資料には対象ページとその中の行動を載せ、横断の資料には出発元と到着先を載せる構成が考えられます。入口の流入元を見る数値と、途中のブランド間移動を見る数値を、同じ増加として二重に報告しないようにします。定義の異なる値を比較する場合は、その理由を明記します。

数字が急に増減した月には、広告や内容の変更だけでなく、タグ・対象ドメイン・成果条件の変更も確認します。計測方法が変わった日を資料に書き添えると、実際の利用の変化と、数え方の変化を切り分ける材料になります。増えた数字だけを根拠に改善の効果と決めないようにします。

比率を並べるときは、分子と分母も資料へ残します。Aは訪問回数に対する完了数、Bは利用者数に対する完了数なら、同じ名前の率として扱えません。ブランドごとの率を単純に平均して本部の率とするのではなく、集計の対象と計算方法を確認します。数字の単位を省かないことが、比較資料を引き継ぐ際にも役立ちます。

会議室に置いた閉じた二冊のフォルダとノート。実際の解析データや顧客資料ではない

レポートの絞り込みを、閲覧制限の代わりにしない

A担当者向けの画面をAのデータだけに絞っても、その人がほかの画面でBのデータを見られるなら、アクセス権を分離したことにはなりません。見やすくするための表示条件と、見てよい範囲を決める権限は別に確認します。

Googleの資料では、役割をアカウント単位とプロパティ単位で設定でき、親の権限が継承されることを説明しています。プロパティ側で限定したつもりでも、上位から広い権限を持っていれば、実際の権限は想定と異なる場合があります。Googleのアクセス権とデータ制限の説明

本部、各ブランド担当、外部支援者について、どの範囲を閲覧し、誰が設定を変え、誰がユーザーを管理するかを分けます。全員に同じ権限を付けるのではなく、必要な作業と有効な権限を照合します。閲覧用の担当者で、実際に何が見えるか確かめることも検査に含めます。

別のレポート共有サービスや書き出したファイルを使う場合は、元のGA4の権限だけで判断しません。共有資料の宛先や閲覧設定を独立して確認します。A担当者へ渡す資料にBの詳細が残っていないか、共有リンクから想定外の範囲を開けないかを、渡す形式に合わせて確認します。

変更前後は、同じ経路をたどって確かめる

制作会社へ依頼するときは、対象サイトの一覧、今の計測先、困っているレポート、確認したい横断経路を渡します。「数字をまとめたい」だけでなく、「AからBへ進んだ利用を新しい獲得と混同せず、A担当者には必要な範囲を見せたい」のように判断を言葉にします。

変更後は、Aだけを見る経路、Bだけを見る経路、AからBへ進む経路を区別して確認します。設定画面に対象ドメインが登録されていることだけで完了にせず、実際のリンク先や移動途中の処理が計測に影響しないかを担当者が調べます。公開サイトで検査する場合の影響範囲も事前に決めます。

検査結果には、操作した経路、確認した画面、期待した記録、実際の記録を残します。うまく取れなかった経路があるなら、レポートで扱える範囲を限定して説明します。数字の整った資料を先に作るより、何を比較でき、何がまだ分からないかが読める資料にすることが大切です。

計測先の変更、横断行動の確認、閲覧権限の整理は、それぞれ影響する場所が異なります。管理表で関係を確認できれば、既存の計測を活かす範囲と、サイトやタグ、共有資料を直す範囲を具体的に相談できます。複数ブランドを一つに見せる前に、各数字の対象と利用目的を揃えましょう。

参照資料:Googleのアカウント構成、クロスドメイン測定、アクセス権とデータ制限の公式資料。2026年9月21日確認。実際の構成・利用機能・権限は個別の確認が必要です。すべての利用者を識別できる保証や、設定変更の完了を示すものではありません。

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