ホームページの文章が堅い、あるいは「固い」と感じたら、誰に、何を伝えたい一文なのかから見直します。抽象的な強みを仕事内容へ直し、担当や条件が混ざった文を分け、見出しとリンクから内容を想像できるようにします。丁寧な言葉のままでも、依頼の判断に必要な情報を伝えられます。
この記事では、会社サイトの原稿を担当する方に向けて、架空の法人研修会社を使った書き換え例を紹介します。語尾の好みだけで修正を続けず、事実を保った原稿案と、公開前に確かめる項目を作るための手順です。

「堅い」の中身を、原稿で確かめる
「顧客価値の創出に貢献します」は丁寧ですが、何を頼めるかまでは分かりません。一方、仕事内容は明確でも、長い一文に担当、期限、注意事項が詰まっていると、必要な条件を拾いにくくなります。同じ「堅い」という感想でも、直す場所は違います。
まず、気になる段落を一つ選び、何が分かりにくいかを言葉にします。社内で「もっと親しみやすく」と言われたときも、次のように分けると原稿へ戻れます。
| 原稿にある状態 | 最初に確かめること |
|---|---|
| 強みが「高品質」「最適」だけ | 具体的な仕事、対象、確認方法を事業担当者に聞く |
| 一文が長く、誰が動くか不明 | 主語、作業、期限を取り出し、担当ごとに分ける |
| 略語や社内用語を知らないと読めない | 読者が使う言葉か、最初に説明が必要かを決める |
| 「詳細」「こちら」だけの案内が多い | 次のページで分かる内容や、できる行動を示す |
言葉が曖昧なのではなく、提供範囲自体が社内で決まっていない場合もあります。その部分は確認事項として残します。文章担当者が分かりやすさを優先して、料金、納期、対応業務を補ってはいけません。
書き換え例① 抽象的な強みを仕事内容へ
ここからの例は、法人向け研修を行う架空の会社の原稿です。実在企業のサービスや成果を示すものではありません。
書き換え前
高度な知見と豊富なノウハウを活用し、貴社の人材育成課題に対する最適なソリューションの提供を通じて、組織力の向上に貢献いたします。
この文を「人材育成をしっかりお手伝いします」に変えても、頼める仕事はまだ曖昧です。事業担当者へ、誰の、どんな課題を扱い、何を提供するのかを確認します。この例では、新任リーダー向けに、仕事の任せ方と部下との面談を扱う研修を提供すると仮定します。
書き換え案
新任リーダー向けに、仕事の任せ方や部下との面談を扱う研修を行います。対象者と現在の課題を伺い、研修内容を提案します。
抽象的な成果を強く言う代わりに、対象者、内容、進め方を示しました。これでも、対応できる内容や提案の工程が事実でなければ公開できません。「研修で離職が減る」などの成果を追加したい場合は、別の根拠が必要です。
「高品質」「柔軟」をすべて消す必要はありません。残すなら、どの工程で確認するか、何を調整できるかなど、説明の根拠を近くに置きます。事例がまだない場合は、確認済みの工程や提供物を根拠にする方法も参考になります。
書き換え例② 担当と準備を分ける
書き換え前
研修実施に伴う会場、配布資料及び受講者への連絡等の事前準備につきましては、担当者による必要事項のご確認をお願いいたします。
一文を短くする前に、「担当者」が講師なのか、依頼する会社の人なのかを確認します。誰が何を準備するかが未定なら、語尾を変えても解決しません。この例では、教材は講師側、会場の準備と参加者への案内は依頼企業が担当すると仮定します。
書き換え案
講師が研修の教材を準備します。お客様には、会場の準備と参加者への社内案内をお願いします。実施までに、双方の準備状況を確認します。

図の分担は架空の例です。実際の会社では、資料の印刷、オンライン開催の接続準備、期限など、依頼の判断に必要な条件も担当者に確かめて追記します。読みやすくするために条件を省いたり、「すべてお任せ」と広げたりしないようにします。
文を分ける基準は、文字数の上限だけで決めず、主語や作業が切り替わる場所に置きます。「確認する」「提案する」「準備する」のように動詞を出すと、何をする人なのか点検できます。主語を毎文に繰り返す必要はありませんが、担当が変わるときは省略しすぎないことが大切です。
書き換え例③ 見出しとリンクを具体的にする
本文を直しても、見出しが「当社の特長」、リンクが「詳細はこちら」だけだと、知りたい情報を探す手掛かりが少なくなります。例えば、架空の研修サービスでは次の案が考えられます。
- 見出し「サービス概要」→「新任リーダー研修で扱う内容」
- 見出し「導入について」→「相談から研修実施までの流れ」
- リンク「詳細はこちら」→「研修内容と依頼前の準備を見る」
- 相談ボタン「お申込み」→実際に相談を受ける窓口なら「研修内容を相談する」
移動先が料金ページなら料金の案内、申込みを受け付ける画面なら申込みの案内にします。ボタンだけ「まず相談」へ変え、移動先で契約条件を決める設計のままにすると、説明が食い違います。
W3Cの文章作成資料は、内容と構造が伝わる見出し、リンク先の意味が分かる文章を案内しています。制作会社へ依頼する場合は、見た目を大きくするだけでなく、ページ上の見出しとして設定されているかも確認します。画像内にしかない重要な条件は、本文でも読めるようにしてください。
専門用語と丁寧さは、読者に合わせて残す
専門用語には、業務上の意味を正確に伝える役割もあります。研修の担当者が普段使う「OJT」を、すべて曖昧な言葉へ置き換える必要はありません。初めて担当する人も読むなら、最初に「職場の実務を通じて教えるOJT」のように意味を添えます。
読者が専門家なら、毎回長い説明を加えると読みにくくなります。入口では平易に説明し、詳細ページで正式な用語と条件を示すなど、読む場面を分けます。製品名、制度名、検索で使われる業務名も、意味が変わらない範囲で説明を補ってください。
敬語は、同じ文で丁寧な表現を重ねていないか点検します。「ご確認をお願いいたします」を「確認してください」に変えるかは、会社の文体と場面に合わせて決めます。期限や対応範囲は、親しみやすい語尾にするためにぼかさず、事実として残します。
文化庁の「公用文作成の考え方」の紹介も、広報などでは読み手に合う分かりやすい書き方を認めています。公用文向けの手引であり、企業サイトの必須規則ではありません。自社では、です・ますの統一、よく使う用語の説明、正式名称を残す場所など、実際の原稿で迷う点を短く決めておくと使えます。
社内確認は、事実と読み取りに分ける

最初の確認では、事業担当者に、対象者、提供内容、担当、費用・期限の条件が合っているかを見てもらいます。条件が変わった場合は、文章修正とは分けて変更理由を残します。規制や契約に関わる表現は、必要な専門担当者の確認を受けてください。
次に、内容を事前に詳しく説明していない人へ読んでもらいます。「分かりやすいですか」だけでなく、「何を頼めると思いましたか」「依頼する側は何を準備しますか」「このリンクから何を確認できますか」と尋ねます。回答を聞く前に、こちらから答えを説明しないようにします。
分からなかった言葉、見ていた箇所、読み取った内容を残し、事業側の意図と照合します。「研修は分かったが、教材も自社で作ると思った」なら、準備の説明を直す候補になります。説明を読んだのに誤解したのか、説明の場所に気付かなかったのかも分けて見ます。
一人が読めた結果だけで、全員に伝わるとは決めません。原稿の版、見せた範囲、補足した言葉を残す方法は、説明が伝わるか公開前に確かめる手順で詳しく紹介しています。
公開画面で、条件と案内を読み直す
紙の原稿が整ったら、実際のページで見出し、本文、写真、ボタンを続けて読みます。スマートフォンでも対象や準備の条件が見つかるか、リンクを押した先が案内どおりか、画像を読み込めなくても大事な説明が残るか確認します。
一覧カードや紹介文に旧表現が残っていないかも点検します。研修のテーマ自体を変えていないなら、正式なサービス名や読者が探す仕事の名前を、自然な説明の中で保ちます。言い換え語を並べたり、短くしただけで検索順位が上がると考えたりする必要はありません。
公開後は、同じ質問の聞き直しが続くか、相談内容にどんな誤解があるかを確かめます。問い合わせ件数は、流入、受付の動作、営業日などにも左右されます。件数の変化を文章だけの効果と断定せず、相談までの全体を点検する場合は、ホームページの問い合わせを増やす改善手順も参照してください。
制作会社へは、迷う段落と確認済みの事実を渡す
まず一ページの気になる段落を選び、「何を伝えたいか」「どの事実は確認済みか」「読者がどう読み取ったか」を添えます。次は、架空の依頼メモです。
新任リーダー研修のページを直したいです。抽象的な強みが多く、扱う内容と準備の分担が伝わっていません。対象者と研修内容、講師側とお客様側の準備を事業担当が確認します。その事実を保った書き換え案、見出し、相談先の案内を作り、スマートフォンで読んで確かめたいです。
依頼範囲は、言い回しだけ、取材と事実整理、構成変更、サイト反映、公開後の点検で変わります。見積もりでは対象ページと段落、確認者、修正範囲、反映と表示確認の担当をそろえて比べてください。
みやあじよのサービス説明と相談導線の改善支援へ相談する際も、現在のURL、気になる文章、実際に提供できる条件が出発点になります。最初の一段落から、会社が伝える事実と、読者が判断するための言葉をそろえていきましょう。