担当者2名が紙の予算表と請求資料を確認する小規模事業者の打ち合わせ

NOTES

SEOと広告の予算配分|粗利で決める実務シミュレーション

SEOと広告の予算配分を、固定比率ではなく粗利・有効問い合わせ・受注率から設計。共通基盤、広告、SEO、予備費の4枠、架空の100万円配分例、90日検証、増減・停止条件まで実務順に解説します。

チップス

SEOと広告の予算配分に、業種を問わず使える正解比率はありません。先に決めるのは「SEOへ何%、広告へ何%」ではなく、どの粗利を、いつまでに、どの証拠で増やすかです。そのうえで、共通基盤、広告、SEO、予備費の4枠へ分けると、短期の商談と中長期の集客基盤を同じ会議で判断できます。

最初に固定比率を捨て、判断順をそろえる

「広告50%、SEO50%」から始めると、計測やLPが壊れていても配信費と記事費だけを動かしがちです。配分は、事業条件、受け皿、測定、施策の順で決めます。問い合わせが来ない原因自体が不明なら、先に問い合わせ不足を5段階で診断する手順で詰まりを特定します。

予算配分を決める前の4段階
順番決めること最低限の証拠未確定なら
1. 事業条件対象商品、平均粗利、販売能力、期限受注・粗利・在庫・営業体制金額配分を止める
2. 受け皿誰へ何を約束し、どこで問い合わせるかサービスページ、LP、フォーム共通基盤を先に直す
3. 測定有効問い合わせ、商談、受注の定義計測仕様と営業記録小さい検証枠だけにする
4. 施策広告で検証し、SEOで何を蓄積するか仮説、担当、受入、停止条件制作量を増やさない

予算をSEOと広告の二択にせず、4つの箱へ分ける

広告とSEOは、LP、フォーム、計測、営業記録という同じ土台を使います。この共通費をどちらかへ押し込むと、片方だけが不当に高く見えます。予算台帳では4枠を別行にし、各枠の役割と合格条件を決めます。

共通基盤・広告・SEO・予備費の4枠へ予算を分ける図
マーケティング予算の4枠
主な支出役割受入条件
共通基盤計測、LP、フォーム、CRM接続、権限比較できる状態を作るテスト送信と商談接続まで確認
広告媒体費、運用、広告文、画像、LP差分今ある需要と訴求を短周期で検証対象、費用、価値、停止条件が追える
SEO調査、取材、制作、技術改善、更新検索課題へ継続的に答える資産を作るページ役割、根拠、内部リンク、更新責任がある
予備費想定外の修正、追加検証、機会対応誤配分を一度で固定しない使用理由と承認者を記録

SEOと広告を同じ分母で比べる

広告のクリックとSEOの検索順位は、同じ成果ではありません。両方を、訪問、一次成果、有効問い合わせ、商談、受注、粗利まで同じ定義でつなぎます。GA4のイベント設計が未確定ならGA4計測設計の実務手順で、画面操作と営業側の記録を先に対応させます。

配分会議でそろえる成果の分母
段階定義例広告の証拠SEOの証拠社内の証拠
訪問対象ページを開いたセッション媒体・GA4Search Console・GA4対象URL一覧
一次成果送信成功、予約完了、電話接続コンバージョンキーイベントテスト記録
有効問い合わせ地域・要件・予算等が対象内広告元を保持入口ページを保持CRMの判定理由
商談・受注営業が案件化、契約成立オフライン結果複数接点を保持案件ID、粗利、失注理由

Google Analyticsのアトリビューションの案内が示すように、成果までに複数の広告や接点が関わり、モデルで貢献の配り方も変わります。一つのレポートを因果の証明にせず、広告管理画面、GA4、Search Console、CRMを案件IDまたは集計期間で突き合わせます。

許容獲得費を粗利から逆算する

売上ではなく粗利を起点にします。まず「有効問い合わせ1件の期待粗利」を出し、そのうちマーケティングと営業獲得へ使える割合を決めます。

  • 有効問い合わせ1件の期待粗利 = 受注1件の平均粗利 × 有効問い合わせから受注する率
  • 許容する総獲得費 = 有効問い合わせ1件の期待粗利 × 獲得費へ使える上限率
  • 施策別の許容費 = 総獲得費から営業工数・共通基盤等を除いた残額

架空例として、受注1件の平均粗利80万円、有効問い合わせから受注25%、獲得費へ使える上限40%なら、期待粗利は20万円、総獲得費の上限は8万円です。ここから営業対応や共通基盤の費用を除いた額が、広告やSEOの判断上限になります。これは相場でも推奨値でもありません。自社の同一定義・同期間の記録へ置き換えます。

この逆算は、広告だけのCPAを作る計算ではありません。分子には共通基盤、広告、SEO、営業対応のうち対象期間に使った費用を置き、分母には資料請求の総数ではなく、事前に定義した有効問い合わせや商談を置きます。受注まで時間がかかる場合は、今月の費用を今月の受注だけで割らず、案件の発生日と受注日を残し、直近3〜6か月の累積でも確認します。

Google Adsのコンバージョン値は、件数だけでなく事業価値を広告評価へ持ち込むための仕組みです。ただし、管理画面へ置いた値が自動的に実粗利になるわけではありません。重複、キャンセル、対象外問い合わせを除き、営業記録と定期照合します。

両施策の総費用を同じ範囲で集める

広告は媒体費だけ、SEOは記事制作費だけで比べません。企画、制作、実装、計測、承認、更新、外部ツール、社内工数を同じ期間で集めます。SEO外注の成果物と契約範囲はSEO費用と見積項目の比較へ分け、この記事では配分台帳へ載せる総額を扱います。

SEOと広告で漏らしやすい費用
費用群広告SEO共通
企画・調査媒体、対象、訴求、キーワード検索意図、競合、ページ役割事業目標、粗利、顧客定義
制作・実装広告文、画像、LP差分取材、執筆、図解、技術改善LP、フォーム、計測、CRM接続
運用・承認入札、除外、審査、月次調整編集、監修、公開、更新会議、権限、品質確認
失敗・やり直し誤配信、学習、差し替え意図重複、陳腐化、統合計測欠損、表示崩れ、復旧

基準値は3〜6か月を一枚にそろえる

予算を動かす前に、可能なら直近3〜6か月を同じ月区切りで記録します。広告は費用、表示、クリック、一次成果、有効問い合わせ、商談。SEOはSearch Consoleの表示・クリック、自然検索の訪問、対象ページの一次成果、有効問い合わせ、商談です。低頻度のBtoBでは月次だけで断定せず、案件単位と累積も併記します。

Search Consoleのパフォーマンスデータの説明では、匿名化クエリが表から省かれ、重要な行だけが表示され、データは原則canonical URLへ集計されるとされています。クエリ表の合計だけでSEO価値を断定せず、ページ指標とGA4、商談記録を併用します。

月額100万円の架空例で配分を説明する

次は説明用の架空シミュレーションです。金額も比率も推奨ではありません。合計100万円を維持したまま、事業の詰まりに応じて4枠を変える考え方を示します。

月額100万円の架空配分シナリオ
状態共通基盤広告SEO予備費90日で確認
計測・LPが弱い35万円20万円25万円20万円送信・営業接続・対象外率
短期の商談不足15万円45万円25万円15万円有効問い合わせ単価・商談化
広告依存を下げたい15万円30万円40万円15万円非指名ページ・商談への寄与

計測が弱いのに広告を45万円へ増やす、制作責任者がいないのにSEOを40万円へ増やす、といった配分は実行不能です。金額表には必ず、担当者、成果物、受入条件、観測期限、停止条件を添えます。

表は「この比率へ合わせる」ためではなく、詰まりに応じて何を先に直すかを説明する道具です。共通基盤の受入が終わった分だけ広告またはSEOの検証へ移し、予備費は月末に使い切る残額にしません。使わなかった理由も残せば、翌月に同じ修正費を二重計上せず、配分変更の根拠を経営側と実行側で共有できます。

広告予算は媒体費と月間上限を分けて管理する

Google Adsの費用管理の案内では、キャンペーンは平均日予算で管理され、日によって実支出が変動し、月間請求上限は平均日予算に30.4を掛けた額と説明されています。月額表の媒体費を日予算へ割るだけでなく、運用費、制作費、税、請求期間、他媒体を別行にし、月中の変動に備えます。

既存実績があるキャンペーンでは、Google AdsのPerformance Plannerで期間、主要指標、コンバージョン目標、支出やCPA等の目標を置き、変更時の予測を比較できます。ただし予測は結果保証ではありません。案内上も、計画を作っただけではアカウントへ変更は反映されません。社内台帳では予測値、承認値、実設定、実績を分けます。

SEO予算はページ数ではなく受入可能な仕事へ置く

SEOへ「月4本」のような数量だけを置くと、同じ検索意図の記事が増え、既存ページの改善が後回しになります。検索語とページ役割が未整理ならSEO記事とサービスページの住み分け、技術・構造の優先順が不明なら内部SEOのURL別診断で投資先を絞ります。

Google Search Centralの人を第一にしたコンテンツの自己点検は、独自情報・分析、十分な説明、明確な作成責任、読者が目的を達成できる内容を確認する考え方です。SEOの受入条件は「公開本数」だけでなく、一次資料、取材、固有判断、内部リンク、更新責任、公開後の観測まで含めます。

90日を基準値・実行・再配分の3区間で回す

SEOと広告は反応速度が違うため、同じ日数で最終評価しません。それでも予算会議は同じ日程で行い、各施策に合う証拠を持ち寄ります。大きな変更を同時に重ねず、何を変えたかを台帳へ残します。

基準値確認から90日判定までの予算再配分手順を示す図
90日の予算再配分台帳
期間主な作業広告で見る証拠SEOで見る証拠決めること
0〜14日定義、基準値、受け皿、権限、テスト変換設定、対象、支出上限対象URL、検索意図、現行表示実行可否と小さい検証額
15〜45日広告検証、優先ページ制作・改善量、対象外率、有効問い合わせ取得、表示、ページ内行動、公開品質明確な誤りだけ局所修正
46〜90日商談接続、累積評価、次期計画有効問い合わせ単価、商談、価値対象ページ群、非指名流入、補助接点維持、増額、減額、統合、停止

増額・減額・停止は一つの指標で決めない

増額は、受入条件を満たし、量を増やしても有効問い合わせ率と許容費用が維持できる時に限ります。減額は、対象外流入や制作遅延など原因が特定でき、縮小して直す時です。停止は、計測欠損、権利・法令問題、フォーム不達、予算上限超過、対象外顧客の急増、受入不能な品質を確認した時に行います。

  • 広告のCPAが悪化したら、まず対象、検索語、広告文、LP、フォーム、商談判定を順に確認する
  • SEOの流入が伸びなくても、取得・index・役割重複・内容・内部リンクを分けて確認する
  • 問い合わせ数が増えても、有効率・商談化・粗利が落ちれば増額しない
  • データが少なければ「未確認」とし、都合のよい月だけで結論を作らない

LPの受け皿に損失がある場合はLPOの診断と改善手順へ切り分けます。配分表は施策の優劣表ではなく、次の一手と停止理由を説明する意思決定記録です。

まとめ

SEOと広告の予算配分は、固定比率ではなく、粗利、有効問い合わせ、受注率、受け皿、計測、実行体制から決めます。共通基盤、広告、SEO、予備費の4枠へ分け、架空例ではなく自社の同一定義・同期間の記録へ置き換え、90日で維持・増額・減額・停止を判断してください。

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