糸を染める会社なのに、ホームページには仕上がった衣類の写真だけが並んでいる。見る人には、衣類を縫製してから染める会社なのか、糸の段階を担当した会社なのかが分かりません。「染色に対応」という一文へ、扱う物の形と、染めた後に渡す物を添えることが、仕事を伝える出発点です。
熊取町で染色・加工を受託する会社の経営者や営業担当者に向けて、糸・生地・縫製後の製品という形の違いに、染色を行う位置を対応させるサイトの説明方法を紹介します。工程名を知らない取引先にも、いま手元にある物から相談先を考えてもらえる構成にします。
糸・生地・製品を、染色する時点で読み分ける
まず、自社へ相談される物を思い浮かべてください。巻かれた糸なのか、まだ服の形になっていない生地なのか、縫製を終えた品物なのか。同じ「色を付けたい」という希望でも、依頼時点の形が違います。サイトでは技術の名称だけでなく、その名称がどの形の物を対象にするかを示します。
和歌山県高野口で創業した木下染工場は、公開サイトで糸染め、生地染め、製品染め、捺染を分けて案内しています[2]。ここで参考にしたいのは、染色という総称の下に、異なる仕事の名前があることです。同社の対応範囲を、熊取町の会社や自社にも当てはまる条件として掲載するものではありません。
説明用の図では、糸から生地へ、生地から縫製後の製品へと形が変わる流れを置きます。その下に、糸の段階で染める仕事、生地の段階で染める仕事、製品の段階で染める仕事をそれぞれ対応させます。三つすべてを順番に行うように見せず、染める位置の違いとして読めるようにします。

次の表は、自社のサービス説明を見直すための整理例です。対応する行だけを使い、実際に受け付ける物の呼び方へ直します。
| 相談する物の形 | ページで伝えること | その先との関係 |
|---|---|---|
| 糸 | 糸の状態で受け、染色後も糸として渡す仕事か | 生地にする仕事などが後に続くか |
| 生地 | 生地の段階で染色を頼む仕事か | 裁断・縫製等は誰が担当するか |
| 縫製後の製品 | 品物の形になった段階で染色を頼む仕事か | 染色後に何を確認し、どの形で渡すか |
この表は、どの素材や製品を染められるかを判定する表ではありません。名称と形を対応させた後に、自社の担当者が現物や条件を確かめます。加工可否をまだ確認していない物まで、写真があるという理由で「対応」と表示しないようにします。
糸染めの説明は、その先の仕事へつなげる
糸の加工を扱う会社なら、完成した衣類の写真より前に、受け取る糸と、加工して渡す糸を見せる説明が役立ちます。糸染めを初めて依頼する担当者は、最後に衣類が欲しいと考えていても、その会社へ衣類の完成まで頼めるとは限らないためです。
熊取町に本社と配送センターを置く植助染工は、原糸の漂白・染色・糊付けなどを案内しています。公開ページでは、原糸の入荷から巻き直し、染色後の仕上げ、出荷までの流れも示しています[1]。糸を受けて糸として渡す仕事を読み取る参考になり、生地の製造や縫製まで同社が行うとは推測しません。
自社のページにも、営業で使う言葉を短く足します。たとえば糸の加工を受託する会社なら、「お預かりした糸を染色し、次の加工へ使う糸としてお渡しする仕事です」という説明が候補になります。実際に預かる物と渡す形が、この説明に合うかを現場で確認してから使います。
糸を生地にする工程を紹介する場合は、それが自社の仕事か、取引先で行う後の仕事かも添えます。工程図のすべてに自社の色を付けると、製織や編立て、縫製まで同じ会社へ頼める印象を作ります。自社が受ける範囲だけを囲み、その先を別の説明として示すと、相談できる仕事を読み分けられます。
糸の巻き方など、担当者には当然の呼び方でも、新しい取引先には通じない場合があります。専門語をすべて言い換える必要はありませんが、初めて出す箇所で「加工後に、使う先へ渡すための形に巻く」など役割を補います。具体的な巻き方や仕様は、担当者が確認する説明へ進めます。
一方、完成品からの依頼を受けない会社なら、糸のページに製品染めの相談ボタンを置く必要はありません。扱う段階を明確にすることは、メニューを増やすこととは別です。よく受ける仕事を最初に示し、まだ形が決まっていない相談を受けるかどうかも、実際の窓口に合わせます。
「一貫加工」には、預かる形と渡す形を添える
糸の入荷から仕上げまで複数の仕事を行う会社は、「一貫加工」という言葉を使うことがあります。取引先が知りたいのは、その言葉がどこからどこまでを指すかです。糸の染色前後をまとめて頼めるという意味なのか、衣類の完成までを含むのかが分かる説明を添えます。
木下染工場は、糸染めから糸巻きまでの対応も案内しています[2]。このように始まりと終わりを具体的な仕事で示す構成を参考にできます。工程の数や設備の種類だけを並べるより、どの状態の物を受け取り、どの状態へ整えて渡す会社かが伝わります。
架空の糸染め会社が、糸を預かって加工後も糸として納める場合は、次のような掲載文を考えられます。
当社へご相談いただくのは、糸の状態で行う染色・仕上げの仕事です。加工後も糸としてお渡しします。生地づくりや縫製についてのご希望がある場合は、当社が担当する範囲と分けてお聞かせください。
この文例を使う前には、原糸の受け取り、加工、仕上げ、引き渡しの各場面を、実際の担当者と読み合わせます。営業資料に「納品」とあっても、納める形が糸なのか生地なのかで、依頼者が受け取る物は違います。文章と写真、工程図の終点をそろえることが大切です。

協力先へ手配する工程がある場合も、全体を一つの自社工程として描く必要はありません。自社が窓口となる仕事と、取引先が別に依頼する仕事を分けます。協力先を掲載できない場合でも、誰がその段階の相談を受け、誰が次の連絡をするかは説明できます。
完成品写真には、染めた段階を示す
染色した糸が、後に衣類や日用品へ使われることがあります。完成品の写真は用途を伝える一方、それだけでは自社の担当した段階が分かりません。掲載できる写真には「この製品に使われる糸の染色を担当」のように、写真と仕事の関係を添えます。
たとえば、糸の染色だけを担当した架空例なら、次のように説明できます。
掲載した製品は、当社で染色した糸の使用先を示す例です。当社が担当したのは糸の段階の染色で、生地の製造と縫製は含みません。
これは掲載文の説明例です。実際には、写真の使用許可に加え、その製品と自社の加工を結び付けられる記録が必要です。用途の参考写真しかない場合は、「糸の使用先を示す参考イメージ」など、加工実績の写真とは分かれる見せ方にします。
生地染めや製品染めを扱う会社でも、同じ考え方を使えます。写真が生地の状態か、縫製後の状態か、どの段階を担当したかを近くに書きます。一覧で一枚ずつ説明する余地が少ないなら、写真の下へ短い担当名を置き、詳細ページで範囲を補う構成を考えます。
加工前後を見せたい場合も、形の説明と色や品質の説明を混ぜません。異なる糸や別の製品を並べた写真を、そのまま加工前後の証拠にすることはできません。本稿の図は段階を理解する教材です。自社の作業を写真で紹介するときは、写っている物と作業記録の対応を確認します。
専門用語が分からなくても、いまある形から相談できるようにする
相談の入口では、「希望する染色方法を選んでください」だけで始めないようにします。初めて依頼する人なら、「糸の状態です」「生地があります」「縫製後の品物です」と伝える方が答えやすいことがあります。自社で受ける形を、名称と写真で確かめられる位置へ置きます。
そこから、その形に合うサービス説明と相談先へつなぎます。製品のページを読んだ人に、糸の仕様だけを書く入口を案内していないでしょうか。実際には受けない形を選択肢へ残していないでしょうか。サイトで形を選べることが、加工を引き受ける確約に見えない説明も必要です。
加工名が決まっていない相談を受けるなら、分からないまま最初の説明ができる案内を用意します。「手元にある物の形と、次に何を作りたいかをお知らせください」と伝え、その後の確認を担当者へ渡します。写真の添付や現物の送付は、実際の受付方法が決まっている範囲で案内します。
制作担当へ渡す資料は、一つの代表的な仕事からそろえられます。加工前の形、担当する仕事、加工後に渡す形、その先で行う仕事を、営業と現場で一組にします。写真があれば何を写した物か、掲載できるかを添えます。機密のある取引先名や仕様を、そのまま公開用資料に含める必要はありません。
公開前には、糸を持つ人と縫製後の品物を持つ人の立場で読みます。自分の物がどの段階に当たり、その会社へ何を相談できるかが分かるでしょうか。「一貫加工」の枠と、写真の担当説明、相談先で示す仕事が同じ範囲を指しているかを確かめます。まずこの三か所を合わせると、現場の仕事とサイトの案内を結び直せます。
糸から何を加工する会社かが伝わるサイトへ
工程名は載っていても、どの形の物を受けて何を渡すのかが伝わりにくい。みやあじよでは、現在の事業案内、工程資料、公開できる写真をもとに、加工の位置と担当範囲、相談へのつながりを整理するサイト制作をご相談いただけます。
すべての工程を資料にまとめ終えていなくても、代表的な仕事の説明や、よく誤解される範囲からお聞かせください。熊取町のホームページ制作・改善のご案内からご相談いただけます。


