就労支援事業所のサイトで、利用を考える本人や家族の相談と、企業からの作業依頼が同じ「お問い合わせ」に集まっていると、どちらの読者も何を送ればよいか迷います。企業の担当者は、頼みたい工程、数量、希望時期を伝えたい。一方、見学を考える方は活動や利用までの流れを知りたい。企業向けには「頼める仕事の説明」と「対応可否を確認する依頼票」を一続きにし、利用相談とは入口を分けることが、サイト改修の中心です。
みやあじよの就労支援事業所向けホームページ制作も、活動・利用相談・企業からの仕事依頼・職員採用を分ける構成を示しています。本稿はその中でも、受託作業を行う事業所が、企業からの最初の相談に必要な情報をどう載せ、どう受け取るかに絞ります。自主製品の通常購入や法人注文を分ける案内とは、扱う入口と確認事項が異なります。
活動紹介と企業からの依頼は、読む目的が違う
同じ作業写真を使っていても、利用を検討する人には、そこでどのような活動に取り組み、職員がどう支えるかが大切です。企業の発注担当者には、どの工程を事業所へ任せられるか、資材をどう渡すか、仕上がりを誰が確認するかが必要です。活動の紹介に「お仕事も募集中」と一行加えるだけでは、発注前に判断したい条件へ届きません。
トップページからは「見学・利用を相談する」と「企業から仕事を相談する」を、見出しと行き先で見分けられるようにします。ページを完全に独立させるかは、現行サイトの規模で決められます。小規模なサイトなら一ページ内に企業向けのまとまった節を置く方法もありますが、その場合も利用の説明の途中へ受託フォームを挟まず、企業向けの入口名と入力の目的を明示します。職員採用の問い合わせも、別の宛先として扱います。
厚生労働省の障害者就労施設等からの調達の案内は、施設等が物品や役務を提供することを扱っています。ただし、そこで示される優先調達は国・地方公共団体等の制度です。一般企業からの相談ページに「優先調達の対象だから必ず発注できる」といった説明を足す根拠にはなりません。サイトでは自事業所が現在受けられる仕事と確認方法を説明し、制度に関わる表記は担当者が現行の情報と照合します。
「頼める仕事」は工程から説明する
「軽作業に対応」とだけ書いても、発注者は自分の依頼を含むか判断できません。封入、仕分け、検品、梱包など、自事業所が実際に対応する工程を確認して並べます。同じ「梱包」でも、資材を預かって袋詰めするのか、箱を組み立てるのか、宛名を付けて発送準備まで行うのかで、必要な確認が変わります。工程を細かく切り、実際の受付範囲だけを掲載します。
工程の説明には、対象物の大きさや扱い、作業場所、資材の支給、受渡し方法など、現行の受託資料から確認できる条件を添えます。すべての仕事について固定の最小数量や納期を掲げる必要はありません。案件によって変わる条件なら、「数量、仕様、希望時期を伺い、対応可否を確認します」と記します。掲載例を過去の受注先の写真や成果物で示す場合は、公開できる範囲を契約や許諾で確認します。
大阪の就労継続支援B型事業所まろの業務受託ページは、封入や検品などの仕事を挙げ、作業内容・仕様・数量・納期を聞いてから見積りと作業手順を確認する流れを公開しています。このページの数量や対応日は同事業所の条件です。自事業所の案内へ転記する前に、現場の担当者が現在の工程と受けられる範囲を確かめます。参考にするのは、仕事の分類と相談の順序です。
仕事依頼票の四つの確認

企業向けフォームの最初の役割は、発注を確定することではなく、担当者が対応可否を調べられる情報を受け取ることです。次の表は依頼票の設計例です。実際の質問文、必須項目、送信先は、事業所の現行受付と担当体制に合わせて決めます。未確定の項目には「相談したい」と答えられる余地を残します。
表は左右にスクロールして確認できます。
| 確認する項目 | 企業が伝える内容 | 事業所が内部で確かめること | Webでの扱い |
|---|---|---|---|
| 工程 | 依頼したい作業と対象物、必要な手順、資材の有無 | 現在対応する工程と作業場所、資材の受渡し | 対応工程の例を示し、詳細は相談で確認 |
| 数量 | 一回の希望数、継続か単発か、時期ごとの増減 | 作業量の見通しと確認担当 | 希望数を入力できるようにし、可否の確定前と示す |
| 納期 | 希望する初回日、納品の頻度、受渡しの方法 | 現在の予定、搬入・納品に必要な時間 | 希望時期を聞き、確定日とは分ける |
| 確認 | 見本、仕上がり基準、検品や再作業の希望 | 誰が見本を確認し、途中と納品時に検査するか | 見本の有無と確認方法の希望を聞く |
この四項目を機械的にすべて必須にすると、相談段階の企業は送れなくなることがあります。最初に連絡先と作業の概要を受け、数量や希望時期は「分かる範囲で」を選べる形にします。一方、見積りや引受判断には追加の資料が必要になる場合があるため、送信後に担当者が何を確認し、いつ頃どの方法で返事をするかを案内します。事業所がまだ決めていない返信期限をWeb担当が推測で掲載しないようにします。
依頼票と案内をつなぐ

フォームだけを増やしても、企業が依頼可能な工程を読めなければ問い合わせは漠然としたままです。仕事の案内ページで、対応する工程、対象物、作業場所、資材と受渡し、確認体制を順に示し、その後に依頼票へ進めます。工程が複数あるなら見出しを分け、該当する工程からフォームへ進めると、企業はページを読んだ上で質問できます。
反対に、案内で「少量から大量まで対応」「短納期も可能」と広く掲げても、現場の受入条件と合わなければ確認が増えます。具体的な上限、標準日数、単価を掲載するなら、対象工程、算出条件、更新担当を決めてから公開します。条件が案件ごとに異なるなら、受入を保証する数字として見せず、必要な条件を聞く導線へつなぎます。作業を実施する場所が事業所内か企業先かによっても確認が変わるため、両方を扱う場合は窓口で場所を聞きます。
企業が「この仕事を頼めるか」と判断するための画像は、工程と対象物が分かる写真を選びます。作業の様子だけでは、完成品の範囲や品質基準を伝えきれません。現行の受託資料にある工程名、見本の扱い、検査方法を本文と対応させます。写真に写る人、依頼企業の資材、成果物を公開する場合は、事業所内の確認者を決めて掲載範囲を確かめます。企業から預かった情報を活動記事の素材へ自動的に流用しない運用も必要です。
送信後に何が起きるかを案内する
「送信する」の後が空白だと、企業は送った内容で発注が成立したのか、見積り待ちなのか分かりません。送信完了画面と自動返信には「相談を受け付けたこと」「担当者が工程・数量・希望時期を確認すること」「必要に応じて見本や仕様書を追加でお願いすること」を、事業所の実際の流れに合わせて書きます。見積りや作業開始の決定は、その後の個別確認として分けます。
問い合わせ先は、利用相談と仕事依頼で担当が異なるなら送信先も分けます。同じ担当者が受ける場合でも、フォームの用件を記録に残し、返信時の確認事項を切り替えます。窓口が一本でも内部の分類ができれば、利用を考える方へ数量や納期を尋ねたり、企業へ見学の案内だけを返したりする混線を避けられます。電話を併記する場合は、仕事依頼の担当へつながる受付時間と折り返し方法を確かめます。
個人情報や機密のある仕様書を最初から誰でも添付できる形にする必要があるかも検討します。初回は概要と連絡先だけにし、担当者が対応可能性を見てから資料を受け取る方法もあります。受領した資料を誰が確認し、どこに保管するかは事業所側で決め、Webの入力欄はその運用に合わせます。利用相談の個別事情を企業向けの受託記録へ混ぜないよう、記録の行き先も区別します。
現行サイトで改修範囲を決める
まずトップページ、活動紹介、問い合わせページを企業の発注担当者の視点でたどります。「仕事を依頼したい」という入口が見えるか、対応する工程まで進めるか、数量や納期を相談できるか、送信後の連絡が分かるかを確認します。問い合わせを受ける職員には、実際に届く質問、見積り前に聞き直す項目、断る判断が必要になる条件を聞きます。この差分が、ページ追加、文章修正、フォーム分岐のどれを依頼するかを決める材料になります。
仕事の受託を行っていない事業所に、企業向けフォームを機械的に設ける必要はありません。また、自主製品の注文窓口を整える場合は、作業の受託と商品の購入で確認事項が異なります。既存の自主製品ページの記事は、活動紹介、通常購入、数量や仕様の注文相談を分ける設計を扱っています。本稿の依頼票は、企業の作業を事業所が引き受ける相談に使用します。
受けられる仕事が変わったら掲載を更新する
企業向けページは公開した時点の案内です。担当者の配置、設備、作業場所、受入中の案件によって、今月受けられる工程や数量の見通しは変わり得ます。更新が難しい情報を細かな固定値で並べるより、常に案内できる工程と、案件ごとに相談して決める条件を分けます。すでに受けられなくなった工程を残しておくと、フォームで希望が届いてから説明し直すことになります。
更新の確認者は、広報担当だけで決めません。現場で作業を調整する職員が対応工程と受入状況を確認し、受託の窓口が問い合わせ文言と送信先を確認し、Web担当がページへ反映します。更新のきっかけは、工程の追加や休止、作業場所の変更、受渡し方法の変更、担当者の異動などです。掲載日だけでは現在も対応可能か分からないため、案内の責任者と見直す機会を社内で決めておきます。
依頼票にも見直しが必要です。たとえば受託する作業の種類が増えたら、工程の選択肢と内部の振り分け先を同時に確認します。フォームの選択肢だけ増やし、担当者に届く通知や返信の説明が古いままだと、受付後に用件が止まります。実際に届いた問い合わせで不足しがちな情報を定期的に確認し、質問を増やす前に、ページ側の工程説明で補えるかも見ます。
制作会社へ渡す資料を、受付の流れに沿って揃える
サイトの改修を依頼するときは、事業所案内のパンフレットだけでなく、現在の仕事依頼を受けるまでの流れを見せます。企業から最初に何を聞き、誰が工程を確認し、見本や資材をいつ受け取り、どの段階で見積りを返すかを並べます。その流れを元に、ページへ載せる説明と、問い合わせ後の内部確認を分けます。外部へ公開しない受託判断の基準まで、すべてフォームに書く必要はありません。
現行サイトの画面も一緒に示します。トップのボタン名、活動ページから企業向け案内へのリンク、問い合わせフォームの用件選択、送信後の自動返信、担当者への通知を一続きに見れば、どこで利用相談と仕事依頼が混ざるか分かります。電話で受けた仕事依頼も、Webからの問い合わせと同じ担当へ届くかを確かめます。ページだけ整えても、受付後の振り分けが変わらなければ確認の往復は残ります。
公開前には、事業所の受託担当が工程と条件を、利用相談の担当が入口の分離を、Web担当がリンクと送信先を確認します。企業向けの試験送信を行い、通知に工程・数量・希望時期が読める形で届くか、送信者への返事に「相談受付」と「発注確定」の区別があるかを見ます。公開後に質問が増えた場合は、フォームを長くする前に、案内文の不足やボタン名の分かりにくさも見直します。