利用開始の説明を準備する小さなオフィスの編集イメージ

NOTES

SaaSサイトで利用開始までを伝える|導入担当者の作業とサポート範囲の示し方

SaaSの利用開始ページで、導入担当者の準備とサポート範囲を伝える方法。販売ページ・作業別ヘルプ・個別支援の情報配置、未ログイン時のリンク確認、製品更新時の掲載点検を解説します。

チップス

「申し込みが終われば、明日から全員で使えますよね」。営業の説明では初期設定や社内の準備に触れていても、サイトの導入フローが「申し込み・契約・利用開始」の三つだけなら、利用企業に残る作業は伝わりません。契約後に初めて準備事項を知ると、担当者は社内へ説明し直すことになります。

SaaSは、インターネット経由で利用するソフトウェアサービスです。機能や料金と合わせて、使い始めるまでに誰が何を準備するかを示すと、検討する企業が導入の見通しを立てやすくなります。操作マニュアルの全文を販売ページへ移す必要はありません。準備の全体像、詳しい手順、個別の支援を適切な場所へ分けます。

この記事では、SaaSを提供する会社の事業責任者・Web担当者に向けて、利用開始ページとヘルプ、導入支援の窓口をつなぐ設計を紹介します。製品の設定方法や、顧客企業の権限制度を決める記事ではありません。実際の仕様と支援条件を確認し、公開する情報の範囲を決めるための案内です。

利用開始を、アカウント発行だけで説明しない

まず、自社で使っている「利用開始」という言葉の意味を確かめます。管理者がログインできること、一部の担当者が試せること、日常業務を切り替えられることは、同じ状態ではありません。サイトでは、何ができる時点を案内しているかを、見出しと短い説明で示します。

例えば、架空の社内申請サービスを考えます。契約後に管理者がログインできても、申請を使う部署や承認する担当者が未設定なら、その会社の業務として使い始める準備は残ります。紹介ページに「契約後すぐ利用可能」と書く場合には、何が可能で、どの準備が別に必要かを製品担当者と確認しなければなりません。

この例をページへ載せるなら、「管理者アカウントの準備」「自社の利用設定」「担当者による動作確認」「社内への案内」といった区分が考えられます。ただし、これは全SaaSに共通する必須工程ではありません。実際に用意されている初期状態、必要な設定、提供する支援に合わせて、段階を増減させます。

日数を掲載するときも、起点と終点をそろえます。申し込みからアカウント発行までの目安なのか、データの準備を終えてから利用できるまでなのかで、読み手の理解は変わります。利用企業側の確認や設定によって変わる部分を含め、条件付きの目安として説明できるかを事業側で判断します。確認していない最短日数は、制作側で補いません。

販売ページには準備の見通しを、ヘルプには操作を置く

導入を検討している担当者は、最初から一つひとつの設定ボタンを知りたいとは限りません。社内の誰に協力を頼むか、何を準備するか、困ったときにどの支援があるかを先に確かめたい場合があります。利用開始ページは、その全体像を示す場所にします。

一方、設定を始めた管理者には、現在の画面に合う詳しい手順が必要です。販売ページの説明だけを読んでも進められないため、作業ごとに該当するヘルプへ案内します。「詳しくはこちら」というリンクを一つだけ置くより、「利用者を登録する手順」のように移動先の内容を示すと、必要な説明を選びやすくなります。

SmartHRのサポート案内では、導入ガイドやチェックリスト、使い方を学ぶコンテンツ、管理者・従業員向けガイド、チャットなどを分けて紹介しています。参考になるのは、利用の段階や知りたいことに応じて、資料と支援の入口を分ける構成です。同社の支援条件や製品操作を、自社のサービスへそのまま当てはめるものではありません。

制作時には、同じ準備事項について「公開ページで伝えること」「操作手順として案内すること」「個別確認に回すこと」を仕分けます。次は架空の社内申請サービスを題材にした情報配置の例です。実在する製品の仕様やサポート契約ではなく、自社の情報を分けるためのたたき台として使います。

情報の置き場所 読み手が知りたいこと 掲載する内容の例
利用開始ページ 導入担当者は何を準備するか 設定する役割、必要な情報、使い始めるまでの確認事項
作業別のヘルプ 今の設定をどう進めるか 対象画面、操作手順、前提となる権限、注意点
個別支援の案内 自社だけで難しい部分を頼めるか 支援する作業、対象プラン、追加費用、相談方法

この三つを分けても、ページ同士が切れてしまっては役立ちません。利用開始ページから、必要な手順と個別支援の両方へ進めるようにします。ヘルプ側でも、作業の前提が分からない場合に全体像へ戻れる案内や、解決しない場合の問い合わせ先を見つけられる状態にします。

各ステップに、利用企業の担当と支援の範囲を添える

導入フローの箱に「初期設定」とだけ書くと、誰が設定するのかが分かりません。提供会社が行う作業、利用企業が行う作業、一緒に確認する作業を、確認済みの実態に合わせて書き分けます。色だけで担当を区別せず、言葉でも役割が読めるようにします。

架空の例で利用者登録を紹介するなら、「利用企業の管理者が対象者を確認して登録する」「操作方法はヘルプで確認できる」「登録作業の代行は個別相談」といった情報を分けて載せます。操作の説明があることと、作業そのものを代行することは別だからです。代行を提供していないなら、相談できるように見せず、その範囲を明示します。

権限に関する案内では、製品が備える管理機能の説明と、顧客企業内で誰に何を認めるかという判断を区別します。公開ページでは「権限を確認する担当者が必要」など、準備として伝える内容を製品担当と相談します。特定の権限構成をどの企業にも推奨するような説明を、Web担当者の判断で加えないことが大切です。

各ステップには、その段階で確認する状態も添えられます。「設定完了」だけでなく、「対象者がログインし、確認用の操作を試せる」など、製品側で定義した区切りを示す方法です。確認用の環境やデータが必要な場合も、どこで案内を受けるかを載せます。実際のデータ投入や動作判定を、公開ページだけで指示する構成にはしません。

社内準備を見せる目的は、負担を強調することではありません。利用企業にお願いすることを隠さず、それを進めるための資料と支援を近くに置くことです。「おまかせ」と書くなら、どの作業を引き受け、企業側には何が残るかまで説明します。営業資料とサイトで担当の分担が異なる場合は、公開する前に担当者間でそろえます。

ヘルプへのリンクは、未契約の人でも確かめる

利用開始ページから作業別ヘルプと個別支援への情報配置図
情報配置の設計例。サービスの実際の導入工程を示すものではありません。

社内担当者のブラウザでは開けるヘルプでも、検討中の人が開くとログイン画面に変わる場合があります。利用開始ページから案内するリンクは、未ログインの状態で到着先を確認します。設定方法を公開する方針か、契約者だけが読める内容かを、製品・サポート担当と決めます。

契約者限定の資料を使うなら、リンクの近くに「契約後にご案内する手順書」などと記載します。検討中の企業にも必要な準備情報は、公開できる概要として利用開始ページへ残します。詳細が非公開だからといって、必要な社内担当者や支援の対象まで分からなくなる構成は避けます。

ヘルプのトップページへ送るだけでよいかも検討します。利用者登録の準備を読んでいた人を、全機能の検索画面へ戻すと、同じ内容を探し直すことになります。該当する手順やカテゴリへ案内し、リンク名と移動先の見出しが対応しているかを確かめます。リンク先が変わりやすい場合は、サポート担当と更新連絡の方法を決めます。

kintoneの利用者向け案内には、使い始めた方向けのコンテンツと、学びたい目的に応じた資料・セミナー、困りごとに応じたヘルプやサポートの入口があります。このように、資料の形式だけでなく、読み手が何をしたいかで入口を用意する考え方を、自社の導入案内にも応用できます。

管理者と日常の利用者が同じリンクを使う場合は、到着後に自分向けの説明を選べるかも確認します。管理者しか行えない設定を、一般利用者が全員行う作業のように案内しないようにします。対象者はヘルプの冒頭だけでなく、公開ページのリンク文にも短く示すと、移動前に判断できます。

個別支援は、相談できる内容と条件を一緒に出す

「手厚いサポート」という見出しの下に問い合わせボタンだけがあると、設定方法の質問に答えるのか、データ整理や登録を代行するのか判断できません。導入支援で受ける内容を具体的な作業名で示し、利用企業側に残る判断や準備を添えます。支援の種類が複数あれば、利用開始ページから対応する案内へつなぎます。

対象プラン、提供期間、予約の要否、追加料金の扱いは、相談を選ぶ場所に置きます。詳細な料金が個別見積もりでも、どのような希望を確認して案内するかは説明できます。設定代行を希望する人と、操作を一緒に確認したい人では、必要な支援が違います。同じ窓口でも、相談目的を選べるようにすると担当者へ伝えやすくなります。

新規の導入相談と、利用中の不具合や操作の質問も区別します。販売ページのすべてのボタンを商談予約へ向けると、既存の利用者が営業を経由しなければ質問できない案内になってしまいます。「導入を検討中の方」「ご利用中の方」を見分けられる入口にし、実際の受付方法と一致させます。

問い合わせ前に詳細な設定情報や顧客データを送ってもらう必要があるかは、サポート担当が判断します。公開フォームでは相談したい作業と現在の段階を中心にし、機密情報を含む資料は指定の方法で受け取る設計を検討します。本文の架空例は、実際のサービスへデータを登録する手順や安全性を保証するものではありません。

製品の更新時に、販売ページの案内も照合する

端末と筆記具をそろえて案内を確認する机上の編集イメージ

ヘルプは新しい画面に更新されているのに、販売ページには以前の導入図が残っている。こうした食い違いを防ぐため、公開する案内の確認者と、変更があった際の連絡先を決めます。制作会社が製品変更を自動的に把握できるとは限らないため、製品側から何を知らせるかまで含めて整理します。

例えば管理者の初期設定が変わったら、利用開始ページのステップ名、担当の説明、リンク先、画面写真を照合します。有料支援の対象が変わった場合は、サポート欄と料金ページ、相談フォームの選択肢も確認対象です。社内では、変更した仕様と影響する掲載先を対応させ、確認が終わっていない箇所を区別して残します。

公開前の確認では、まだ契約していない導入担当者になったつもりで、利用開始ページを開きます。自社に必要な準備が分かるか、詳しい説明を読めるか、自社だけで難しい場合の支援条件が見つかるかをたどります。次に、契約後に設定を進める人の立場で、作業別ヘルプと利用中の問い合わせ先へ進めるかを確認します。

スマートフォンでは、図の担当名と本文の条件が読めるか、リンクが短い「こちら」ばかりになっていないかを見ます。社内共有用にページの途中のURLを送ることがあるなら、その位置からでも対象者や準備の前提が分かる説明を添えます。リンクが開くという機械的な確認と、必要な内容へ到達できるかの確認は分けて行います。

まずは、現在の導入フローで「利用開始」と書かれた箇所を一つ選んでください。その直前に利用企業の作業が載っているか、該当する手順と支援へ進めるかを確かめます。足りない情報をこの三つの置き場所に振り分ければ、販売ページへの追記、ヘルプへのリンク修正、支援案内の追加という改修範囲を決められます。

利用開始まで伝わるSaaSサイトを設計する

みやあじよでは、製品・営業・サポート担当者に確認した情報をもとに、導入案内とヘルプ、相談入口を整理します。SaaS・業務用クラウドサービス向けホームページ制作で、サイト構成や情報整理の内容をご確認いただけます。

参考にした一次資料

確認日:2026年9月16日。掲載構成を参照し、製品仕様・導入期間・料金・成果を一般化していません。