PageSpeed Insights(以下、PSI)のモバイル点数が低いと、画像を圧縮する、キャッシュ系プラグインを追加する、といった作業から始めたくなります。しかし、点数だけでは「実際の利用者が困っているか」「どのページが事業上の問題になっているか」「何を直せば改善するか」までは決まりません。
先に決めるべきなのは、問い合わせや資料請求などの完了行動に関わる重要ページです。そのうえで、過去28日間の実ユーザーデータを確認し、LCP(主な内容の表示)・INP(操作への反応)・CLS(レイアウトの安定性)のどれが利用者に影響しているかを読み、ラボデータで原因候補を絞ります。改修後の検収条件まで揃えてから発注範囲を決めると、点数だけを追う改修を避けられます。
Googleは、Core Web Vitalsをランキングシステムで利用すると説明しています。一方、Search Consoleなどで良好な結果を得ても上位表示は保証されず、SEOだけを理由に完璧な点数を目指すことが最善とは限りません。点数100は目的ではなく、利用者が重要な操作を完了しやすい状態を作るための診断材料です。Google for Developers +1
PageSpeed Insightsの点数だけで改修を決めない
PSIのパフォーマンス点数は、Lighthouse(一定条件でページを診断するツール)がシミュレーション環境で取得した複数の指標をまとめたラボスコアです。90以上は「良好」と分類されますが、測定時のネットワークや実行環境などで結果は変動します。実ユーザーがさまざまな端末・回線で体験した速度を、その場の点数がそのまま表しているわけではありません。Google for Developers
そのため、改修対象を選ぶときは「最も点数が低いURL」ではなく、ページの役割から考えます。たとえば、サービス内容を理解するページ、問い合わせフォームへ進むページ、フォームを送信するページでは、利用者が完了したい行動が異なります。表示の遅さが同じでも、完了行動を止める度合いは同じではありません。
判断の起点は、次の二つです。
PageSpeed Insightsの結果から改修判断へ進む順序を理解しやすくするために、実ユーザーデータ、ラボ診断、重要ページ、改善候補、検収という流れを示す文字なし判断フローを整理しています。
PSIには、実際の利用状況を集計したフィールドデータと、Lighthouseによるラボデータが並びます。フィールドデータはChrome User Experience Report(CrUX)に基づき、過去28日間の実ユーザー体験を75パーセンタイル、つまり閲覧の4回に3回がその値以下に収まる境界で示します。対象URLのデータが足りない場合は、サイト単位に近いオリジン全体の値へ切り替わり、オリジンにも十分なデータがなければ表示されません。Google for Developers
ラボデータは、一定の端末・ネットワーク条件を模した一回の再現テストです。現実の利用状況そのものではありませんが、読み込み過程や実装上の原因候補を調べるのに向いています。一方、Search ConsoleのCore Web Vitalsレポートは実ユーザーデータを、モバイル・パソコン別、問題指標別、類似するURLグループ別にまとめます。個別URLの精密診断ではなく、複数ページへ広がる問題の発見に使うレポートです。Google ヘルプ
PageSpeed InsightsとSearch Consoleの測定結果の読み分け
確認場所
データの性質
分かること
判断時の注意
PSI「実際のユーザーの環境で評価」
CrUXによる過去28日間のフィールドデータ
URLまたはオリジンで利用者が経験したLCP・INP・CLS
URL単体の値かオリジン全体の値かを確認する
PSI「パフォーマンスの問題を診断」
Lighthouseによるシミュレーション測定
その測定条件での点数、指標、改善候補
一回の点数を実ユーザー全体の結果として扱わない
Search Console「Core Web Vitals」
CrUXをURLグループと端末別に集計
問題の広がり、推移、代表URL
グループ値と個別URLのPSI結果が一致するとは限らない
「データがありません」
実ユーザーのサンプル不足など
良好・不良を判定できない状態
問題なしとは見なさず、ラボ測定と実画面確認を行う
重要URLのフィールドデータが不良で、利用不能や主要導線への影響が再現するなら緊急対応へ進みます。フィールドは良好でもラボで問題が再現する場合は原因調査、実ユーザーデータがない場合はラボと実画面を確認しながら経過観察とし、点数とURLグループの警告は同じ尺度で比べません。Google for Developers +1
LCP・INP・CLSは困り方が違う
三つの指標と利用者が感じる問題を対応付けるために、主な内容の表示、操作への反応、レイアウトの安定という3領域を示す文字なし比較図を整理しています。
Core Web Vitalsは、LCPが主な内容の表示、INPが操作への反応、CLSがレイアウトの安定性を測る指標です。良好の目安は、ページ閲覧の75パーセンタイルでLCPが2.5秒以下、INPが200ミリ秒以下、CLSが0.1以下です。三つを一括して「遅い」と捉えず、利用者がどこで困るかへ翻訳します。web.dev
INP(Interaction to Next Paint)は、クリック、タップ、キーボード操作に対するページ全体の応答性を表します。メニューを開く、フォームへ入力する、選択肢を切り替える、送信ボタンを押すといった場面で反応が遅いと、利用者は操作を受け付けたのか判断できません。
フィールドデータでINPに警告がある場合は、点数だけを見るのではなく、重要ページで主要操作を実際に再現します。反応が遅れる操作、発生しやすい端末、外部スクリプトやJavaScript処理が重なる条件を記録し、制作会社へ渡せる状態にします。Lighthouseのラボ欄にはフィールドのINPと同じ実利用履歴があるわけではないため、ラボ診断と操作再現を組み合わせて原因を探します。Google for Developers +1
公開直後にPSIを一回実行し、点数が上がっただけで完了とすると、測定のばらつきや実画面の不具合を見落とします。ラボ測定は同じURL、端末区分、条件で複数回行い、改修前後の傾向とばらつきを比較します。PSIのラボ値はネットワークや実行環境などで変わるため、単発の最高点ではなく、再現する改善かを見ます。Google for Developers
検収は、次の四段階に分けます。