BtoBマーケティングの戦略を考えるときは、施策を増やす前に、どの会社の誰に、何を検討してもらいたいかをそろえます。アクセスや資料ダウンロードが増えても、営業が相談内容を把握できなければ、どこを直すべきか判断しにくいためです。
ファネルは、顧客が知ってから購入を決めるまでの検討を、いくつかの段階に分けて見る方法です。この記事では、企業サイト・資料・問い合わせと営業の対応をつなげたい担当者に向けて、段階の定義、必要な情報、担当と記録の決め方を説明します。
最初に、相談してほしい相手と到達点を決める
「法人から問い合わせを増やす」だけでは、どの情報を優先するか決まりません。顧客の業種や仕事、困っている場面、提供できる内容、対応できる地域や条件を、営業と確認します。顧客像は仮説でも構いません。実際の相談と照合し、合わなかった条件も残して見直します。
たとえば業務用設備の点検サービスなら、点検を手配する現場担当、費用を確認する管理部門、発注を判断する責任者では知りたいことが違います。ここからの設備点検の話は、設計を説明するための架空例です。実在企業の実績や一般的な成約傾向を示すものではありません。
最初の到達点も具体的にします。資料の提供なのか、対応できる設備と作業条件を確認する相談なのか、見積もりなのかで、ページと営業の対応が変わります。受注だけを見て途中の説明不足を放置せず、途中の操作だけを受注成果とも扱わないようにします。
検討段階ごとに、顧客の疑問と用意する情報を合わせる
次の6段階は、情報を整理する例です。顧客は順番を飛ばしたり、予算や社内確認で前へ戻ったりします。複数の担当が別々に調べ、資料を社内で共有することもあります。同じページを開いた全員を、一つの段階にいると決めつける必要はありません。
表は左右にスクロールできます。
| 段階 | 顧客が確かめたいこと | サイト・資料で用意する情報 |
|---|---|---|
| 認知 | どんな課題に使えるサービスか | 困る場面と対応内容、対象外の条件 |
| 情報収集 | 自社にも関係があるか | 設備・業務等の対象、実施内容と準備 |
| 比較検討 | 他の方法と何が違うか | 範囲、進め方、条件の分かる事例 |
| 社内の承認準備 | 費用と導入の理由を説明できるか | 費用の決まり方、役割、実施時の影響 |
| 商談 | 自社の条件で依頼できるか | 相談の入口、確認する事項と次の対応 |
| 受注・実施 | 合意した内容を進められるか | 契約・準備・連絡と実施後確認の案内 |
設備点検なら、「どの設備が対象か」「稼働を止める必要があるか」「報告に何が残るか」を先に伝えると、相談するかを判断する材料になります。専門用語だけでなく、顧客の仕事にどう関係するかを説明します。対応条件を確かめず、どんな設備にも対応すると広げないようにします。
一つのページへ表のすべてを詰める必要はありません。サービス案内で対象と範囲を示し、事例や資料で進め方を補い、問い合わせから個別条件を相談できるようにします。読者が次に確かめたいページへ進めるかを、実際の画面と文章で確認します。
既存の商談の質問から、必要なコンテンツを選ぶ
営業が繰り返し説明する質問、見積もり前に確認する条件、見送りになった理由から、情報の不足を探します。相談件数が少ない場合は、担当者の経験を仮説として扱い、取材や実際の相談で確かめます。根拠のない顧客像を細かく作ることが目的ではありません。
既存のページや資料も先に調べます。点検対象の説明はあるのに、作業当日の立ち会いと報告方法が分からないなら、その不足を補う案が考えられます。新規記事を増やすことと、サービスページの説明を直すことを同じ候補に置き、顧客が判断できずにいる箇所を優先します。
事例には、課題、対象となった範囲、実施内容、確認できた結果と条件を分けて載せます。成果の数値を公表できないときも、どんな条件を確認し、どう進めたかは説明できる場合があります。実績の数字を作らず、社名・写真・担当者の発言等は公開できる範囲を確認します。
社内で回覧する資料には、対象、対応範囲、費用の前提、必要な準備と相談先をまとめます。ただし、資料だけで契約条件が確定すると誤解させないよう、個別確認が必要な部分を示します。ページと資料の内容が食い違うときは、どちらを直すか、更新を確認する人まで決めます。
資料請求と、営業へ渡す相談を分ける
資料をダウンロードした人が、すぐに見積もりや電話を求めているとは限りません。資料の提供と営業からの案内について、何を受け付けるフォームなのか、送信後に誰が何をするかを明示します。取得した連絡先を、どの案内にも自由に使えるとは考えません。実際の利用目的や同意等の扱いは、社内の管理方針と適用されるルールを確認します。
問い合わせでは、返答や受付の判断に必要な項目を確認します。設備名や対象地域が必要でも、詳しい仕様が未確定なら「分からないので相談したい」という入口を用意できます。相談段階で、完成した仕様書、予算、全社の関係者情報が必須とは限りません。入力の負担と、返答に必要な情報を合わせます。
営業へ引き継ぐ条件は、点数だけで自動的に決めず、担当者と合意します。たとえば、相談の目的、対応対象か、相談者が希望する次の連絡、担当する営業と期限を確認します。対象外、保留、返答待ちを区別し、誰も担当していない記録を残さないようにします。
「商談」も社内の定義をそろえます。単に連絡先がある状態と、対象・課題を確認して次の打ち合わせに双方が合意した状態では、必要な対応が違います。定義を変えた場合は、変更前後の件数をそのまま比較しないよう、適用日を記録します。
架空例で「まず点検内容の資料だけがほしい」という連絡なら、資料を渡した記録と、個別相談を受け付けた記録を分けます。「来期の点検に向けて対応できるか相談したい」なら、営業が対象と希望する時期を確認し、次の連絡を合意します。同じフォームから来ても、希望する対応を確認せず一律に商談へ数えないようにします。
サイトの操作と、社内の商談記録を分けて確かめる
サイト内で何が起きたかは、計測できた範囲の記録です。GoogleのGA4のファネル探索の説明でも、設定した条件と順序によって段階を集計します。その記録だけで、社外での資料回覧、電話、予算の承認、実際の購買意欲まで分かるわけではありません。
表は左右にスクロールできます。
| 記録 | 確認する内容 | 区別すること |
|---|---|---|
| ページと主要な操作 | 対象ページ、イベント、期間と計測条件 | 開かれたことと、内容を理解したこと |
| 問い合わせの受付 | 受信、重複・営業連絡等、返答の状況 | 送信記録と、有効な相談 |
| 営業への引き継ぎ | 対応条件、担当、次の連絡と合意 | 資料の提供と、商談開始 |
| 商談・受注・見送り | 合意した段階、時期、確認できた理由 | 今月の新規相談と、以前からの商談 |
件数を比べるときは、期間、対象となる会社や相談、重複の扱い、段階の定義をそろえます。今月入った問い合わせが来月以降に受注するなら、今月の受注数を今月の問い合わせ数で割るだけでは、同じ相談の進み方を表せません。経過を追う対象と、集計を締めた日をそろえて見ます。
少ない件数や未確認の理由から、施策の良し悪しを急いで断定しないことも必要です。見送り理由が分からない場合は不明とし、価格が原因だった等と推測で埋めません。流入や計測の変更、営業の対応状況も合わせ、次に確かめる仮説を残します。
たとえば送信記録はあるのに担当者の受付記録がない場合は、まず通知先、受信、担当への割り当てを確かめます。届いているのに対応対象外の相談が続く場合は、ページの対象条件や相談の案内を見ます。原因が違えば直す仕事も変わるため、問い合わせが少ないという理由だけで、記事の増産やフォームの変更へ進めないようにします。
記録がまだ整っていない会社では、分かる範囲の相談を担当者と振り返るところから始めます。確認した事実、担当者の解釈、追加で確かめたいことを分けて残せば、次の確認につなげられます。最初から過去の相談をすべて分類し直すことや、新しい管理システムを買うことが前提ではありません。
解析へ送る情報にも注意します。氏名・メールアドレスや問い合わせ本文を、URLやイベント名等に含めないよう、Googleの個人を特定できる情報を送信しないための案内を確認します。社内の相談記録と結び付ける場合も、目的、閲覧者、保管方法を確認し、不要な個人情報を複製しない設計にします。
費用は、作業・成果物・社内の確認に分けて比べる
BtoB戦略の費用を、広告費や記事の本数だけで比べると、調査や確認、ページ改修等が抜けることがあります。現在あるページと計測、足りない情報、社内で担える仕事を共有し、今回頼むことと継続して行うことを分けます。次の表は見積もりで確かめる項目の例で、料金の相場や成果の保証ではありません。
表は左右にスクロールできます。
| 依頼する仕事 | 成果物・対応範囲 | 社内で確かめること |
|---|---|---|
| 顧客と情報の整理 | 聞き取り、現状確認、対象と課題の整理 | 確認する顧客・資料、仮説と事実の区別 |
| ページ・記事・資料 | 構成、原稿、素材、制作・修正・公開 | 専門内容の確認、権利、修正の回数と範囲 |
| 計測と振り返り | 設定対象、集計、説明と修正案 | 段階の定義、相談記録の担当、設定変更の範囲 |
| 営業との受け渡し | 受付、連絡と対応状況の共有方法 | 担当・期限、利用する記録、導入・運用の分担 |
SEOへの外注を検討する場合は、SEO対策費用の内訳と見積もり比較で、作業・成果物・社内工数をそろえて確認できます。
広告の配信、サイト制作、記事制作、営業対応、システム導入を、同じ会社がすべて行うとは限りません。契約する作業、別途かかる利用料、変更時の費用、終了時に渡される原稿や記録を確認します。社内の取材や原稿確認に必要な時間も、実際に担当する人と相談します。
まず一つの検討場面で、情報と受け渡しを試す
全施策を一度に始める前に、たとえば「点検対象と実施時の準備が分からず、相談前に止まる」という仮説を選びます。サービスページの不足を補い、相談の入口と返答担当を確認し、その後の問い合わせで同じ疑問が残るかを見ます。これは進め方の例で、特定の改善効果を保証するものではありません。
確認する時期は、相談が来る量と検討にかかる期間、修正できる体制で決めます。一律に毎週の会議や90日での受注を目標にする必要はありません。確認時には、実施できたこと、記録で分かったこと、まだ分からないことを分け、次に直す内容と担当を決めます。
記事の企画・制作・更新を外部と分担する場合は、オウンドメディア運用を外注する範囲で、社内に残す確認と依頼する作業を整理できます。
外部へ相談する場合は、次のように、対象と現在困っている接点を伝えます。予算や施策が未確定なら、その部分も相談内容に含められます。文例は架空です。
業務用設備の点検を案内しています。資料請求はありますが、対象設備の確認と営業への引き継ぎが担当ごとに違います。サービスページと資料、相談フォームのどこに説明を足すかを整理したいです。
営業が実際に受けた質問と、現在のページを共有できます。商談と呼ぶ条件はまだ統一できていないので、社内で決めることと、サイト側で依頼する仕事の切り分けから相談したいです。
BtoBサイトと、相談につながる情報の整理をご相談ください
みやあじよのWeb集客・導線改善の支援では、現状を整理し、SEOやコンテンツ、広告の受け皿、サイト内の説明と問い合わせ導線を検討します。現在のURLと届けたい相手、相談前後で困っていることを、お問い合わせ窓口からお聞かせください。資料や予算がすべてそろう前でも相談できます。広告配信、営業対応、各システムの導入・運用を含むかは、必要な範囲と担当先を確認します。
参考資料
Googleのファネル探索と個人を特定できる情報に関する公式案内を本文中に記載しています。確認日:2026年10月26日。6段階と設備点検・相談文は説明のための例です。実際の契約、営業の定義、集計条件、情報の扱いは自社の状況に合わせて確認してください。


