顧客から「新しい事業を広げたい」「営業の説明を減らしたい」と相談された。課題の背景は聞けているが、どのページを何枚作るかは決まっていない。この段階で制作会社へ紹介しようとすると、立派な依頼書が必要だと思い、話を止めてしまうことがあります。
紹介時に必要なのは、完成したサイトの仕様書ではありません。顧客が何に困り、誰にどんな判断や行動をしてほしいのか。すでに分かる事実と、これから顧客と確かめる仮説を分けた情報です。制作側が最初の質問を組み立てられれば、紹介からヒアリングへ進めます。
この記事では、大阪でマーケティングや経営支援を行う紹介者が、顧客の経営課題を「Web上で確かめる課題」に置き換える一枚票を示します。紹介後に誰が確認し、どの時点で制作範囲を決めるかまで整理します。大阪での協業先を比較するときも、訪問の可否や費用は案件ごとに確認してください。
「売上を伸ばす」を制作仕様へ直結させない
経営課題を聞いた直後に「サイトを全面リニューアル」「LPを三本」と書くと、まだ検証していない手段を依頼条件にしてしまいます。反対に「売上を伸ばしたい」だけでは、制作側が見積りや構成を考えるための入口が足りません。間に、顧客がWeb上で何を判断できずにいるかを置きます。
例えば法人向けの新サービスを広げたい場合、「問い合わせが少ない」という結果から、すぐに問い合わせフォームの改修へ進むとは限りません。サイトを訪れた人が対象者を判断できないのか、サービスの違いが分からないのか、検討後の相談先が見つからないのか。営業の聞き取りと既存サイトを見て、最初に確かめる問いを一つに絞ります。ここで書くのは仮説です。現状の数字がなければ、原因と断定しません。
IPAの要件定義の解説も、経営のニーズや課題から業務上の要求を整理し、その後にシステムへの要求を分析して関係者と合意する流れを説明しています。Web制作案件でも、経営課題からページや機能へ一足飛びに移らず、顧客の行動と現状を確かめる順序が役立ちます。ただし、紹介時の一枚票は要件定義書そのものではありません。
一枚票に残す六つの欄
紹介情報は長い提案書にする必要はありません。紹介者が聞いたこと、制作側が確かめたいこと、顧客が決めることを同じ紙面に並べます。次の例は架空の案件で、顧客情報や成果を示すものではありません。
表は左右にスクロールできます。
| 欄 | 記入例 | 紹介時の扱い |
|---|---|---|
| 経営課題 | 新しい法人向けサービスを既存取引先以外にも知ってもらいたい | 顧客から聞いた表現を残す |
| 期待する行動 | 対象に合う企業が、自社に合うか判断して相談する | 「誰が何をするか」を仮置きする |
| Web上の確認課題 | 現行ページで対象企業・導入場面・相談方法が読み取れるか | 現行URLや画面を見て検証する問いにする |
| 根拠・共有資料 | 顧客が共有を認めた既存サイトURL、営業資料の範囲 | 出所と共有可否を記す |
| 制約 | 公表前のサービス名は掲載不可、公開時期は未定 | 決定済みと要確認を混ぜない |
| 未決事項・確認者 | 対象顧客の範囲は顧客営業責任者、掲載表現は顧客広報が確認 | 誰に聞くかを示し、紹介者が代わりに確定しない |

一枚票の中心は三列目です。「何を作るか」ではなく「現状の画面と説明のどこを確かめるか」を書くと、制作側は初回の質問を具体化できます。既存サイトがない場合は、顧客が今どんな資料や対面説明で伝えているかを確認課題にします。画面改修だけが答えとは限らないためです。
課題が二つ以上あるときは優先度も渡す
顧客が「新規顧客の獲得」と「採用の改善」を同時に話すこともあります。二つを同じ優先度のまま制作側へ渡すと、どちらの閲覧者に向けてサイトを設計するか決められません。紹介者は顧客に「今回最初に相談したいのはどちらか」「ほかの課題をいつ扱うか」を尋ね、まだ決められなければ優先度が未決であると書きます。片方を勝手に消す必要はありません。
現行サイトを見た紹介者が別の問題に気付いた場合も、顧客から聞いた課題と分けます。例えば顧客は採用に困っているが、紹介者はサービス案内の古さにも気付いたなら、「顧客の相談:採用」「紹介者の観察:サービス情報も古い」と並べます。制作側は観察を確定要件と取り違えず、初回の確認項目にできます。この区別は、紹介者の専門的な提案を生かしながら、顧客の目的を見失わないために役立ちます。
課題は事実、仮説、希望に分けて渡す
紹介者は顧客の事業に近いため、会議の発言をよく知っています。一方、制作側にはその発言が事実なのか、担当者の推測なのか、経営者の希望なのかが分かりません。紹介票では短い印を付けて区別します。「事実:現行サイトのサービス一覧に新サービスがない」「仮説:比較に必要な情報が不足しているかもしれない」「希望:年度内に案内を始めたい」のように書きます。
アクセス数や問い合わせ数を持っているなら、対象期間、集計元、何を問い合わせと数えるかを添えます。数字がないなら「未取得」と明記すれば十分です。「問い合わせが半減した」と聞いたが計測資料がない場合、紹介文では顧客の認識として記録し、確認先を付けます。制作会社の提案に都合のよい数字へ置き換えないことが、後の検討を助けます。
顧客の営業資料や会議メモには、未公開の価格、取引先名、担当者の個人情報が含まれることがあります。共有できることを顧客に先に確認し、初回は必要な範囲の要約や公開URLで足りるか考えます。資料を渡す場合も、使用目的、受け取る相手、保存方法を案件の関係者間でそろえます。紹介者が顧客の承諾や権利を推測して先に全資料を送る必要はありません。
制約は「確定」と「相談したい」を分ける
制作側が初回に知りたいのは、予算や公開希望日だけではありません。既存のサイトを残す必要があるか、原稿や写真を誰が用意するか、社内の決裁が何段階か、担当者がどの程度打ち合わせに参加できるか。これらは提案できる範囲や順番に影響します。
ただし、分からないことまで紹介者が埋めると、顧客の承認を得た条件に見えてしまいます。たとえば「展示会までに公開したい」は顧客の希望か、動かせない日程かで意味が違います。「予算はこの程度と聞いた」は概算の相談枠か、承認済みの上限かを分けます。現在の情報が曖昧なら「希望、顧客へ再確認」と書き、制作側が見積りの前提を確認できるようにします。
初回紹介でページ数やシステム構成を約束する必要はありません。Webが主な打ち手かどうかも未決なら、そのまま伝えます。既存ページの部分改修、原稿整理、営業資料の見直しが先になる可能性もあります。紹介の目的は、正解を決めてから渡すことではなく、次の打ち合わせで判断すべき問いを共有することです。
制作相談に進める前に一度立ち止まる場面
顧客の困りごとがサイトの内容に結び付くか分からないときは、紹介票にその不確かさを残します。例えば営業担当が問い合わせ後に対応できないことが主因なら、ページを増やす前に社内の受付体制を確認したほうがよいかもしれません。紹介者が原因を診断し切る必要はありませんが、制作側へ「Web改修が必要と決まっている」ようには伝えないことです。
また、依頼する企業の担当者が打ち合わせに参加できず、掲載内容を誰も承認できない場合は、制作範囲を決める前に確認体制を整える必要があります。サービスの説明、写真、価格、顧客事例の正確さを制作会社だけで確定できないためです。紹介する際には、現時点の窓口と、正式に判断できる人を別々に記します。窓口が決まらないなら、それ自体を初回相談の議題にします。
紹介後に誰がヒアリング・確認するか決める
紹介者、顧客、制作会社の三者が参加する場合、最初の連絡で確認の道筋を決めておくと情報の往復が減ります。紹介者は経営課題の背景と、これまで顧客と合意した範囲を説明します。顧客は事業情報、優先度、公開してよい内容、最終判断を担当します。制作側は現行サイトを見て、必要なページ・素材・実装・運用方法の選択肢と見積りの前提を示します。実際の分担は案件ごとに合意してください。
初回打ち合わせでは、紹介票を上から読み上げるより、未決の行から始めると具体的です。「対象企業はどこまでか」「相談の前に何を知れば判断できるか」「その説明を裏付ける資料はあるか」を顧客に聞き、制作側はサイト上で表現できる形を提案します。顧客が参加できない場合は、誰が質問を預かり、誰が回答を確定するかを決めます。紹介者の推測を顧客の承認として扱わないためです。
打ち合わせ後は、紹介票の各行に「確認済み」「次回確認」「今回の対象外」を付けます。さらに、見積りに入る条件と、後で変わり得る前提を分けます。新たな情報が出て当初の課題設定が違ったと分かったら、票を更新し、その変更を関係者に伝えます。紹介時の一枚を固定した仕様書にせず、合意へ進むための記録として使います。
最初の打ち合わせを終える前に、次の三点を声に出して確かめると引き継ぎやすくなります。一つ目は「今回、制作側が提案する対象」。二つ目は「顧客が次回までに確認する情報」。三つ目は「紹介者が引き続き担う調整」です。議事録に三者の認識を残し、費用や公開時期がまだ仮なら、その前提も書きます。紹介者が会議に同席し続けるか、案件を引き渡すかも決めておけば、顧客からの質問が宙に浮きにくくなります。
みやあじよのWebトータルパートナーの案内では、マーケター・コンサルタントからの案件紹介後、ヒアリングを基に提案・見積りを行い、顧客を交えた打ち合わせから制作、公開後の支援へ進む流れを示しています。紹介時点で課題と未決事項が整理されていれば、この打ち合わせで制作の範囲を確かめやすくなります。連絡窓口、契約、訪問、素材提供、公開承認などの具体的な条件は案件ごとに確認してください。

紹介メールは一枚票への入口にする
最初の連絡では、顧客名や詳細資料を急いで添付する前に、共有の許可を得た範囲で案件の輪郭を伝えます。例えば「法人向け新サービスの案内について、現行サイトで対象者と相談までの流れを確かめたい。顧客同席で課題整理から相談したい。公開時期と制作範囲は未決」という書き方です。これなら制作側は相談の可否と、初回に必要な人・情報を返せます。
その後、顧客が参加者と共有資料を認めたら一枚票を渡します。添付するなら版の日付を入れ、後で顧客が訂正した箇所が分かるようにします。紹介者が顧客の代わりに発注を確約したり、成果を保証したりする文言は避けます。紹介から見積り、制作開始までのどの段階なのかが、受け取る人に伝わることを優先します。
大阪の協業先を選ぶときは、所在地だけで判断せず、顧客同席のヒアリングに誰が参加するか、事業課題をどの資料で確認するか、提案と見積りの前提をどう示すかを尋ねてください。対面の打ち合わせや取材が必要な場合は、実施場所と条件も個別に確認します。紹介後の役割が見えれば、顧客にも次の手順を説明しやすくなります。
課題がまだ仕様になっていない制作案件を相談する
顧客の課題、期待する行動、共有できる資料、未決事項を整理した段階から、コンサルタントの制作案件紹介・協業の対応範囲と進め方をご確認ください。