印刷工場で紙見本と工程資料を確認する場面に、素材・工程・認証を分けて伝える見出しを重ねた画像

NOTES

印刷会社の環境表示|対象と根拠を揃える

印刷会社の環境配慮をWebで伝える際、素材、工程、認証の対象を分ける掲載設計。主張、証拠、確認者、変更や失効時の対応を結ぶ表を示します。

チップス

印刷会社のサイトで「環境にやさしい印刷」と大きく書くと、読者は会社全体、工場、使う紙、印刷工程、完成品のどれについての説明か判断できません。一部の商品の紙素材の特徴と、工場が受けた認証を一つのバナーにまとめると、対象が広がって見えることもあります。環境表示の対象・証拠・確認者・失効時対応を結ぶ掲載表を作り、素材、工程、認証のそれぞれが何を示すかを分けて載せます。

FSCの認証に関する案内は、認証取得組織が認証範囲に登録し、認証された管理体制で扱う製品に限り、FSCラベルを付けられると説明しています。日本印刷産業連合会のGPマーク表示の案内は、GPマークを表示する印刷製品には認定工場での製造と、基準に適合した印刷資材の使用が必要だと示しています。制度ごとに対象と使用条件が異なるため、ロゴ画像を先に置くのではなく、自社のどの工場・製品・資材に根拠があるかを確認します。

素材の特徴は対象となる製品へ結び付ける

印刷用紙とパッケージの素材見本を比較する手元の画像
紙や加工の特徴を、対象製品の説明へ結ぶ。

「環境配慮型の紙を使えます」と書く場合、どの製品に、どの紙を、どんな条件で選べるかを示します。会社のすべての印刷物で同じ紙を使うとは限りません。名刺、冊子、パッケージなど、対応できる製品群と、見積り時に確認する仕様を分けます。素材の名称、供給元の資料、使用可能な加工との組み合わせを担当者に確認し、選べることと標準採用していることを混同しない文にします。

紙以外の資材も同じです。インキ、フィルム、接着剤、表面加工など、一つの材料の性質だけで完成品全体を説明しないようにします。製品ページには、その特徴がどの部材に当たるかを近くに書きます。素材を変えると色、耐久性、加工方法、納期などの条件が変わる場合は、自社が確認する項目を示します。Web制作側が資材の環境性能を独自に評価せず、仕様書や仕入先の確認済み資料に基づいて表現を作ります。

例示用の写真や紙見本にも注意します。写真に写った紙が、ページに書いた素材と同じとは限りません。素材の実物を掲載するなら、品名と撮影した試料の対応を記録します。廃番や仕様変更が起きた後も古い写真が残りやすいため、製品ページの画像、ALT、PDF、営業資料を一緒に更新できるようにします。「この紙が使える」という説明を具体的な注文条件へつなぐリンクも設けます。

素材を紹介する見出しには、比較の基準が必要な言葉を安易に使わないようにします。「環境負荷を半減」「もっとも環境にやさしい」といった比較には、何と何を、どの条件で比べたかが必要です。仕入先の資料にある一般的な説明を、そのまま自社の完成品の効果として言い換えないことも重要です。掲載表には、素材の名称だけでなく、根拠資料の版と対象製品を記録します。根拠が確認できない表現は、具体的な仕様の説明へ戻します。

工程の取組は工場と印刷方式を示す

「環境に配慮した工程」という表現には、対象の工場や工程を添えます。版づくり、印刷、加工、梱包など、どこで何をしているかは会社によって異なります。複数の工場や外部の協力先がある場合、一部の工程の取組を全製品に広げて見せないようにします。工程の説明から、その工程を使う製品と条件へ進める構成にします。

日本印刷産業連合会のGP制度は、工場、資機材、印刷製品の認定を分けて説明しています。GP工場の認定があることと、個々の印刷製品にGPマークを表示できることは同じ確認ではありません。自社が制度に関わるなら、工場の認定番号と部門、現在の認定状態、製品表示の条件を担当者に確認します。制度の説明を引用するときは、制度の対象と自社の取得・適用範囲を別の文にします。

工程紹介ページには、設備写真だけでなく、どの範囲の仕事に関係するかを置きます。たとえば「この工場のこの方式で製造する製品」といった対象が必要です。写真で最新設備を見せても、そこで作らない製品に同じ工程を使うように読める配置は避けます。工場が変わる案件や委託工程がある案件は、見積り時に確認する条件として示します。顧客が環境条件を指定する際、どの段階で確認できるかも案内します。

工程の説明と製品写真を結ぶ場合、写真の製造履歴を確認します。撮影用に置いたサンプルの隣に「この工場で製造」と書くだけでは、実際にその工程を通ったことの根拠になりません。公開できる範囲で、工場名、印刷方式、加工先などを製造担当に照らしてもらいます。営業が選択肢として提示する工程と、実際に受注した製品で用いた工程を分けて書くと、事例の説明も正確になります。

認証は名称・対象・有効状態を分ける

認証のロゴやマークは、きれいなバナーとして自由に使える画像ではありません。FSCは認証製品や商標使用に範囲とルールを設けています。GPマークも認定工場での製造と資材の適合などの条件が必要です。自社に関係する認証や表示を載せる前に、認証書、対象組織、工場、製品、認定番号、期限、使用ルールを管理担当に確認します。取得している事実を示す場合でも、対象外の製品の横に置けば読者はその製品の認証と思うかもしれません。

会社概要に工場認定を載せるなら、対象の工場名と認定部門を見せます。個別の製品ページに認証製品の表示を置くなら、その製品が要件を満たすか別に確認します。素材の供給元が認証を持つ場合も、自社が認証製品を販売・表示できるかは別の確認です。FSCの案内が示すように、認証された管理体制と登録された範囲が関係します。ロゴの使い方や表記は権利者の現行ルールと自社の認証担当の確認に従います。

期限がある表示は、公開後の管理も必要です。認証の更新が済んでいない期間、工場が変わったとき、紙の仕様が変わったとき、どのページを止めるかを決めます。ロゴだけを非表示にしても、本文に「認証済み」と残れば意味は変わりません。トップのバナー、製品ページ、事例、PDF、資料請求後の自動メールなど、同じ主張がある場所を一覧にします。失効や適用範囲の変更が分かった際に、担当が一件ずつ確認できる状態にします。

認証の有効期限だけでなく、表示に使っているロゴデータの版や使用許可の条件も管理します。制度が商標の規格を改定した場合、以前の素材を無条件に使い続けられるとは限りません。担当者が現行の使用ルールと自社の認証状態を確認し、サイトのどの箇所にマークがあるかを検索できるようにします。制作会社へ渡すときは、単なる画像ファイルではなく、対象と使い方の確認結果を一緒に渡します。

対象・証拠・確認者・失効時対応の掲載表

素材、工程、認証それぞれの対象と確認資料を分けて示す図
素材、工程、認証の根拠をそれぞれ確認する。

表は左右にスクロールして確認できます。

表示したい主張 対象と証拠 確認者 変更・失効時の対応
特定の紙を選べる 対象製品と紙の仕様書、仕入先資料 資材・営業担当 供給や仕様の変更時に製品欄を更新
工程の取組を紹介 対象工場と工程、現行の運用記録 工場責任者 工場・方式が変わったら工程ページを再確認
工場の認定を紹介 対象工場、認定番号、対象部門、有効状態 認証管理担当 更新未了時に関連表示を確認・修正
製品にマークを表示 対象製品、資材と製造条件、使用ルール 製品・認証担当 条件が変わった製品の表示を止めて確認

この表は、公開する文の作成前に、主張の単位を決める設計例です。実際に何を認証として表示できるかは、自社の証明書と制度の現行規程で確認します。表の一行目が素材、二行目が工程、三行目が工場、四行目が製品であることを混ぜないようにします。認証名の見出しを押すと対象と証拠の説明へ進める構成にし、バナーだけを見た人にも「何についての表示か」が分かる短い文を添えます。

同じ製品で紙とインキと工場の条件を並べるときは、個々の事実を列挙しただけで製品全体の評価が決まるかのように見せません。各項目の対象と、組み合わせて成立する条件を担当者に確認します。GPマークのように複数の要件が結び付いた制度では、制度の説明と個別製品の該当性を分けます。使う資材や製造先が発注時に変わるなら、サイトには見積り前の確認事項として示します。

掲載表を運用する際は、主張一つに対して一人の確認者を決めます。資材担当が紙を確認しても、工場の認定状態までは知らないかもしれません。複数の担当が必要なら、誰が最後に公開文を承認するかを明確にします。確認結果には日付と資料の場所を残し、資料が差し替わったときに再確認できるようにします。「去年も載せていた」という理由だけで現在の表示を承認しない仕組みです。

ページ別の文言と更新手順を揃える

トップページでは短い表現が必要ですが、「エコ」「グリーン」だけで終えず、どの資料へ進めば対象が分かるかリンクします。会社の取組ページには工場や工程、製品ページにはその製品で選べる素材と表示条件を置きます。実績ページで取り上げた製品には、製造当時の条件と現在の受注条件を混同しないようにします。検索結果に出る説明文も、対象を広げすぎない表現にします。

一つのバナーに複数の主張を並べる場合は、各主張が別の対象を指すことを短く明示します。たとえば工場の取組へのリンクと、特定製品で選べる紙へのリンクを分けます。同じ背景色やロゴのまとまりに入れると、すべてが同じ認証に含まれるように見えることがあります。スマートフォンで上下に並んだときにも、どの注記がどの項目に属するか確かめます。バナーを押した先のページでも対象が変わらないようにします。

消費者庁の表示に関するQ&Aは、表示の裏付けとなる情報を広告主が確認する重要性を示しています。ここで個別の表示の適法性を判断するのではなく、サイト制作の段階で「誰が何の資料を確認したか」を残します。営業資料とWebで同じ言葉が違う意味になっていないかも点検します。根拠を探しても対象が分からない表現は、強い言葉にする前に範囲を狭めます。

公開前には、一つの主張を選び、トップのバナーから対象ページ、証拠の管理記録、問い合わせまでたどります。「FSC」「GP」といった略称だけを表示せず、対象の説明を読めるか確認します。スマートフォンではバナーと注記が離れやすいため、ロゴや短い見出しのすぐ近くに対象を置きます。画像にだけ認証や素材名を書かず、本文の文字でも示します。ALTやPDFにも古い主張が残っていないか見ます。

公開後の更新は、認証期限だけをカレンダーに入れて終わりではありません。素材の廃番、仕入先の変更、工場の変更、加工方法の変更、制度規程の更新があれば、表の対象と証拠を再確認します。販売・製造担当が変化に気づいたときWeb担当へ知らせる経路を決め、修正までの間に誤解を招く表示が残らないようにします。公開日、確認日、修正箇所、確認者を記録し、古い事例と現在の案内を区別します。

問い合わせフォームにも、環境条件を確認する入口を用意します。顧客が「FSCの紙で冊子を作りたい」と書いた場合、紙だけの希望なのか、完成した印刷製品へのラベル表示まで必要なのかで確認事項が違います。希望する製品、部数、素材、必要な表示、納期を受け、担当者が実現可能な仕様と証拠を確認して返答する流れにします。フォーム送信だけで認証や表示の適用が確定したように見せないようにします。

参考資料