設計と施工の役割を伝えるという見出しと設計事務所で素材を説明する場面

NOTES

設計事務所の業務紹介ページ|設計・工事監理・施工の担当範囲を伝える

設計事務所のホームページで、設計・工事監理と施工を混同させない業務紹介の作り方。建築主・設計事務所・施工会社の役割図、工程別の説明、料金と相談ボタンの整合を架空例で整理します。

チップス

作品写真を見て問い合わせた人から「工事も御社にお願いできるのですよね」と聞かれる。設計と工事監理を担う事務所でも、ホームページに「家づくりを一貫してサポート」とだけ書いていると、施工まで請け負う会社だと思われることがあります。相談時に説明し直しているなら、作品の魅力より先に、依頼できる仕事の説明を見直す余地があります。

業務紹介ページでは、設計者、施工者、建築主の役割を、契約する相手と実際の仕事に沿って示しましょう。本稿は、設計事務所の経営者やWeb担当者が、業務の説明、役割図、相談ボタンを整えるための記事です。設計と工事監理を同じ事務所へ依頼し、施工は別の会社へ発注する架空例を使います。実際の契約や責任分担を決める資料ではありません。

「一貫して支える」の直後に、担当する仕事を書く

相談から完成まで関わることと、工事を自社で請け負うことは同じではありません。「最初から最後まで」「すべてお任せ」という見出しを使うなら、その近くに、何を担当し、何は別の事業者が担うかを説明します。細かな契約用語を並べる前に、初めて依頼する人が仕事の違いを読み取れることが必要です。

たとえば設計・工事監理を受託する事務所なら、「当事務所は設計と工事監理を担当します。建物の施工は、建築主が契約する施工会社が行います」という説明から始められます。これは役割を伝えるための記載例です。施工も受託する会社や、工事監理を別の事務所が担当する業務には、そのまま使わず、実際の受注形態に合わせます。

東京都建築士事務所協会の「建築設計の流れ」では、建築主と建築士事務所の業務委託契約、建築主と施工業者の工事契約が別の段階で説明されています。施工会社が建物を造ることと、建築士が設計図書どおりに施工されているかを確認する業務も区別されています。自社ページで契約先と仕事の違いを説明する際の参考になります。東京都建築士事務所協会「建築設計の流れ」

自社の原稿を作るときは、代表者や業務担当者へ「問い合わせ後、何の業務を、どの契約で受けるか」を確認します。会社名に「設計」が入っているから施工は行わない、過去に工事の相談を受けたから施工も扱う、と制作側が推測するものではありません。現在受け付ける業務を確定してから、見出しと説明を合わせます。

三者の役割図は、契約と仕事の説明を混ぜない

役割図に三つの箱を置くだけでは、上下関係や指示の流れを表しているようにも見えます。最初に「この図は何を示すか」を決めます。本稿の架空例では、建築主が設計事務所と施工会社へそれぞれ依頼し、設計事務所が設計と工事監理を担当する関係を示します。施工会社を設計事務所の下請けとして描く図にはしません。

図の線には「設計・工事監理の業務委託」「工事の請負」と、関係の名称を添えます。打合せや報告の連絡まで同じ線へ詰め込むと、何の関係を示すのか曖昧になります。連絡方法は図の下の文章に置き、契約関係の説明とは区別して読める構成にします。

建築主の箱にも役割を添えます。「依頼者」という名称だけでなく、要望を伝え、提案や説明を受けて計画内容を確認する人として示すと、工事中も本人が関わる場面を想像できます。ただし、すべての変更を誰が承認できるかまで、この模式図だけで決めないようにします。

設計事務所の箱には「設計」と「工事監理」を分けて記載し、施工会社には「施工」と実際の管理業務を書きます。施工会社名が未定なら、特定の取引先名で埋めず「施工会社」とします。紹介できる会社があることと、その会社への依頼が決まっていることを同じ表示にしないためです。

設計と工事監理を別の事務所が担当する受け方もあるなら、その説明は別の図にします。一つの箱へ「設計者・監理者」とまとめた図を全案件共通に使うと、担当しない仕事まで自社の役割に見えるためです。複数の受け方を掲載するときは、図の上に対象となる依頼形態を書き、どの案内を読んでいるかが途中でも分かるようにします。

建築主が設計事務所へ設計と工事監理を、施工会社へ施工を別々に依頼する架空の役割図
設計・工事監理と施工を別々に依頼する架空例です。個別案件の契約、権限、責任分担を確定する図ではありません。

図の近くには、同じ内容を文字で置きます。スマートフォンで画像が小さくなっても、「当事務所が担当すること」と「施工会社が担当すること」を本文で確かめられるようにします。色だけで役割を区別したり、矢印の向きだけで契約の意味を伝えたりしないことも、制作時に指定したい点です。

工事監理を、毎日の現場管理と受け取らせない

「工事監理を行います」という専門用語だけでは、設計者が毎日現場にいて、作業員の配置や工程をすべて管理する姿を思い浮かべる人もいます。業務紹介では、工事と設計図書を照合し、設計図書どおりに実施されているかを確認する仕事として、短い説明を添えます。施工側の現場管理と同じ欄にまとめないようにします。

国土交通省の工事監理ガイドラインの案内は、確認対象の工事に応じた合理的な方法を例示し、建築主と建築士が理解したうえで、個別の工事に即して内容や方法を決めることを説明しています。サイトに一律の訪問回数や常駐を約束する文章を足す前に、事務所の実際の説明と照合する必要があります。国土交通省「工事監理ガイドラインの策定について」

掲載原稿には「何を確認するか」「どのように建築主へ説明するか」を取材して入れます。訪問回数の数字だけより、確認と報告の役割が伝わる情報を優先します。案件によって方法が変わるなら、どの段階で方針を説明するかを示し、写真一枚から常駐体制を想像させないようにします。

施工会社との打合せ写真を使う場合は、写っている場面を明記します。「現場を管理する当社」という広い見出しではなく、確認できる範囲で「設計内容について施工会社と打合せ」のように書きます。写真から分からない検査の結果や、品質の保証まで説明に加える必要はありません。

また、設計、工事監理、施工管理は、文字が似ているからといって表示幅に合わせて言い換えるものではありません。原稿段階で正式な業務名と読者向けの補足説明を組にし、見出し、図、画像の説明、相談欄で同じ意味を保ちます。専門的な内容の正しさは業務担当者に確認してもらいます。

工程ごとに、事務所の仕事と建築主への案内を並べる

役割図が関係を示すのに対し、工程の説明は「いつ、何を相談するか」を伝えます。基本設計、実施設計、工事監理を横一列に置くだけで終わらせず、その段階で事務所が行うことと、建築主が受ける説明を対応させます。以下は、掲載項目を整理するための架空例です。

掲載する段階 事務所の仕事として確かめる内容 建築主に伝える案内
設計の打合せ 要望を整理し、案や図面を作成する範囲 何を見て話し合い、どの内容を確認するか
施工会社の検討 見積の確認や選定の相談を支援する範囲 誰が工事の依頼先となり、契約を結ぶか
工事中 工事監理、設計に関する説明、報告の範囲 確認方法の説明と、質問を受ける窓口
完成・引渡しの段階 契約に基づく確認や説明の範囲 事務所と施工会社、それぞれの関わり
引渡し後 実際に提供する相談・点検等の範囲 新規相談と区別した連絡方法・確認先

表にある仕事が、どの事務所にもすべて含まれるわけではありません。施工会社選びを支援しない場合は、一般的な工程だからと項目を残して、対応しているように見せないことが大切です。追加の依頼で受ける業務は、通常の業務へ混ぜず、別途相談する内容として表現します。

公開例として、モカアーキテクツの「設計の流れ」は、設計監理契約、施工会社との工事請負契約、工事中の確認とクライアントへの報告を段階別に説明しています。ここで参考にするのは、契約の相手と工事中の関わりを続けて読める構成です。同ページの期間、訪問頻度、設計料を自社の標準条件へ転用するものではありません。モカアーキテクツ「設計の流れ」

自社の料金ページとも対応を取ります。設計料の説明に工事監理を含むと書いているのに、工程ページでは設計で業務が終わるように見えると、読者はどちらを信じてよいか迷います。設計と工事監理の報酬、施工会社へ支払う工事費を同じ金額の枠にまとめず、対象業務が分かる見出しで案内します。

費用の割合や金額を新しく決めることは、Web改修の作業ではありません。制作側は事務所が確認した算定方針と含む業務を受け取り、役割図や工程の説明と食い違わないよう配置します。料金を個別に案内する方針なら、何の条件を確認してから業務範囲と報酬を説明するかを載せます。

相談ボタンで、施工の見積依頼と取り違えさせない

業務の説明が整っていても、末尾のボタンが「工事を依頼する」では入口と出口の意味が変わります。設計の相談を受けるページなら「設計・工事監理について相談する」など、受け付ける仕事に合う言葉を使います。工事そのものを請け負わないという説明を、フォームへ移動した後に初めて見せる構成も避けたいところです。

相談内容の選択肢は、事務所の受付に合わせます。「新築工事」「改修工事」という名前だけで受注内容を表すのではなく、新築の設計相談、既存建物の改修設計の相談など、計画の種類と依頼する仕事を読み取れる表記を検討します。入力項目を増やすことより、送信先が何の相談を受ける場所かを明確にする改善です。

すでに施工会社が決まっている人も相談できる場合は、その条件を業務の説明とつなげます。反対に、設計と工事監理を一体で受ける方針なら、その方針を示します。一般的に受けられそうだからという理由で、監理だけ、設計だけの相談を選択肢へ加えないようにします。

工事中の変更相談では、内容を受け付ける窓口と、費用や工期を含めて決定する手順が別になる場合があります。公開サイトに詳しい案件内の連絡網を載せる必要はありませんが、「質問すればその場で変更が確定する」と読める文言は見直します。契約済みの建築主には、案件で案内している連絡方法へつなげる説明を用意します。

設計事務所で建築の素材見本と模型を展示した打合せ空間

作品ページから相談まで、役割の説明を通して読む

見直しは業務ページだけで完了しません。トップページで「設計から施工まで」と書き、業務ページで「施工は別会社」と説明しているなら、短い方の見出しも直す必要があります。作品紹介、依頼の流れ、料金、よくある質問、相談フォームを順に読み、同じ事務所の仕事として理解できるかを確かめます。

作品ごとの担当範囲は、現在の業務案内とは別に確認します。共同設計や過去の所属先での仕事を含む場合は、共同設計作品の担当工程・クレジットの整え方も参考になります。過去作品の写真だけから現在の提供業務を広げず、その作品の説明と、今相談できる内容をリンクで結びます。

公開前の確認では、設計事務所を初めて利用する人のつもりで、三つの問いに答えます。「工事をする会社は誰か」「工事中に設計事務所は何をするか」「このボタンで何を相談できるか」です。図の中の名前は読めても答えが見つからなければ、矢印を増やす前に、役割の説明を短く補いましょう。

図と文章を別々に更新する場合は、どちらを直したら関連箇所を確認するかも決めます。受託する業務を変えたとき、図だけに以前の役割が残ることを防ぐためです。まず、業務担当者が確認した三者の説明と、現在の掲載箇所を制作会社へ渡します。見出しの修正、図の作成、料金や相談欄との接続を、必要な範囲で依頼できます。

参考資料

確認日:2026年9月21日。図表は架空のWeb掲載例です。個別案件の契約、法令の適用、責任分担は判定せず、事務所が確認した業務範囲を掲載する方法を扱います。