展示会で渡した名刺をきっかけに、海外の会社から加工品についてメールが届いた。英語で返事はできても、希望数量だけでは見積もれず、納品先や必要な資料を聞き直している。海外向けページを作る前に、このやり取りを一度整理してみましょう。日本語の製品紹介を訳すだけでは、相手が最初に知らせる条件や、自社が回答できる範囲は伝わりません。
問い合わせページには、相談の対象、必要な情報、確認後に回答する事項を分けて載せます。東大阪市の加工会社を想定した架空例を使い、技術担当、営業、物流・経理の担当が、英語化前に何をそろえるかを解説します。輸出可否や契約の適否を判定する記事ではなく、確認済みの取引方針をWebで誤解なく伝えるための設計です。
東大阪の加工技術を、海外の買い手が相談できる情報にする
ジェトロの東大阪市紹介では、加工工程ごとに専門性を持つ企業が集まり、企業間のネットワークが形成されている特徴を説明しています。これは地域の産業構造の紹介であり、各社の海外対応能力を保証するものではありません。ジェトロ「東大阪市」
国内の紹介では、「加工は自社、仕上げは協力会社」と口頭で補えても、海外の初めての相手には伝わっていない場合があります。英文の会社案内には、自社が見積窓口になる範囲と、確認が必要な工程を明確にします。地域全体の技術の幅を、自社だけで完成品を設計・製造・輸出できる説明へ置き換えないことが大切です。
最初に対象とするのは、どの国・地域の、どんな立場の買い手でしょうか。装置メーカーが図面どおりの部品を探している場合と、販売会社が完成品の仕入れを希望する場合では、必要な資料も商談の担当も違います。「海外企業全般」から始めず、現在の製品や加工サービスと接点がある相談を一つ選びます。
相手の所在地と、製品の納品先・使用先が同じとも限りません。日本にある商社を通じて海外へ納めたい相談もあります。国名だけで入口を振り分けず、誰が何を依頼し、どこで使う予定かを確認する説明にすると、国内窓口とも情報を共有しやすくなります。
「問い合わせを受ける」と「取引できる」を分ける
ここからは、金属製のスリーブについて海外の装置メーカーから相談を受ける、架空の加工会社を考えます。英文メールの受付は可能ですが、加工仕様、必要な規格、納品先への輸送条件は個別に確認する設定です。実在企業の取引条件や輸出実績ではありません。
この会社の入口を「世界中へ短納期で発送」とすると、受付担当が英語を読めるという事実より、はるかに広い約束になります。「スリーブの受託加工に関する法人向け相談を受け付けます。仕様と納品先を確認し、対応範囲をご案内します」といった原文から考えます。実際に使う際は、自社が承認した対象と対応手順に置き換えてください。
掲載項目は、決まっている基本方針と、案件ごとに確認することに分けます。すべてを「お問い合わせください」にすると準備が分からず、反対に未確認の条件を固定すると、その条件で契約できるように読まれます。
| 項目 | ページに示す内容と社内での確認 |
|---|---|
| 相談対象 | 受託加工、試作品、既製品など、自社が窓口になる仕事 |
| 対応言語 | メールで使える言語と、電話・会議で対応できる言語の違い |
| 技術条件 | 公開可能な加工範囲と、図面や要求仕様を受けて確認する範囲 |
| 価格・数量 | 一律条件があるか、案件ごとの見積もりか。数量の単位も明記 |
| 配送・支払い | 現在の方針として案内できる事項と、見積時に合意する事項 |
「英語対応」とだけ書くと、電話も英語で受けられると考える人がいます。メール中心なら、そのことを案内し、オンライン会議は事前調整が必要かを確かめます。受付時間や休業日も、担当者が実際に守れる内容で記載します。
仕様と規格は、相手の希望と自社の実績を照合する
スリーブの問い合わせで、「同じ形を作れるか」とだけ聞かれても、寸法、材質、用途、必要な証明が分からなければ検討が進みません。初回には相談対象と用途の概要、希望数量、希望する時期、資料の有無を知らせてもらい、詳細な図面などは取扱方法を確認してから受け取る流れにします。
相手の要求規格は、名称だけでなく、版や適用する対象が分かる資料を求めます。自社の過去の仕事で使った規格と似ていても、同じ意味とは限りません。問い合わせフォームに規格名が入力されたことをもって、適合を承諾した扱いにしないよう、技術担当が確認する段階を示します。
寸法の単位も資料と一緒に確認します。問い合わせ側の数値をWeb担当者が独自に換算して、原文を書き換える運用は避けましょう。原資料の単位を残し、換算値を掲載する必要がある場合は、技術担当が数値と精度の扱いを確かめます。ここでは加工公差そのものを決めず、確認する人と資料を対応させます。
証明書については、出せる資料の名称と対象を説明します。会社が持つ認証、製品の適合資料、個別の検査記録は同じではありません。自社の認証ロゴを加工品の隣へ置くだけで、すべての海外用途へ適合するように見せないことが必要です。確認していない要求には、回答待ちであることを明確にします。
輸出や技術提供の可否、相手国で必要な手続きは、製品、用途、取引相手などに応じて担当者が別途確認します。ジェトロも、引き合いに対する取引の検討と、相手国の許可・申請等の確認を貿易の流れに挙げています。ジェトロ「貿易の流れ」。ページ上では「確認してから回答する」順序を示し、フォームの選択肢だけで可否を自動判定する説明にはしません。
見積の数字には、数量・通貨・含む費用を付ける
海外から希望価格が書かれたメールを受け取っても、その数字が一個当たりなのか、試作一式なのかで意味が変わります。スリーブの例なら、試作分と継続生産の希望数量を分け、最初の見積で何を対象とするかを確認します。「少量対応」を載せる場合も、すべての製品を一個から同じ条件で売る意味になっていないか読み返します。
ジェトロの輸出価格の解説は、国内価格をそのまま使うのではなく、取引数量や決済、梱包などの条件を考慮する考え方を示しています。同ページの金額・為替レートを、自社の価格や現在の相場として転記するものではありません。ジェトロ「輸出価格の算定方法」
Webページでは、案件別見積なのか、公開価格があるのかをまず示します。価格を載せるなら、通貨、対象数量、含む作業、別途確認する費用、有効な時点を担当者に確かめます。「円の価格を翻訳画面でドルへ変えた」だけでは、見積の前提がそろったことにはなりません。
支払いについても、通貨と方法と時期を混ぜないようにします。円で見積できることと、すべての決済手段を受けられることは別です。経理が承認していない支払い方法を、制作担当が便利そうだという理由でフォームへ追加しないでください。公開ページで口座情報を広く示す必要があるかも、案内の目的から検討します。
価格例を公開しない会社でも、「仕様、数量、納品先の確認後に見積もりを案内する」という手順は説明できます。その際、見積作成までの日数と製造期間を同じ「納期」で表さず、いつの回答・出荷・到着について話しているかを分けます。
物流と決済の確認を、見積の前提へ戻せるようにする

図は問い合わせから取引条件をそろえるまでの読み順です。契約、出荷、支払いの時期を一律に定める工程図ではありません。実務では輸送や梱包の確認で見積を修正するなど、各項目を行き来します。支払いの時期も個別の条件によって異なります。
スリーブの例では、国内の指定場所へ納める依頼と、海外の使用先への配送を含める依頼を分けて受け取ります。「海外案件」と一括りにせず、納品先と、輸送を誰が手配する想定かを確認します。担当者はそれをもとに、見積で含める範囲を確認できます。
梱包についても、自社が通常使う小箱の写真を、海外輸送にそのまま使える証拠にはしません。相談する数量、製品の扱い、輸送条件などを関係先と確認し、決まった範囲を案内します。画像を掲載する場合は、単なる梱包例なのか、今回の見積に含む仕様なのかを区別してください。
輸送費や引渡しの条件を専門用語で表示する場合は、営業・物流の担当者が意味と適用範囲を確認します。見栄えのために略語だけを置くと、買い手が想定した場所や費用負担とずれる可能性があります。具体的な契約条件の選定は実務担当者や専門家へ確認し、Web担当者が翻訳のついでに決めないようにします。
翻訳の確認者と、受け取った相談の回答担当をつなぐ

写真は架空の編集イメージです。実在企業の従業員、輸出案件、承認済み図面や製品の適合性を示していません。
翻訳へ渡す前に、技術条件は技術担当、見積や受付方針は営業、支払いは経理、輸送に関する説明は物流の担当が確認します。小さな会社で一人が複数を兼ねる場合も、「誰が内容を確かめたか」が原稿から分かるようにします。訳文の自然さを確認する人と、取引条件を決める人は役割が異なります。
特に「相談可能」「条件による」「見積後に決定」の意味が、訳文で無条件の対応へ変わっていないかを見ます。承認した日本語原文と訳文を対にして保管し、製品名や単位などの表記も合わせます。機密を含む顧客資料を翻訳へ渡す際は、その資料の扱いと委託先を社内の手順で確認します。
問い合わせ受領後の返信は、受け取った相談の概要と、次に確認する事項を知らせる内容にします。スリーブの例なら「用途と数量を受領。要求仕様の確認後に、追加資料の受渡方法をご案内」という順序です。これは受注の承諾や、希望日への納品確約とは分けて書きます。
担当者の不在時にも、誰が受領状況を確認するかを決めます。日本の営業日を基準に回答目安を示すなら、その基準をページと受付返信でそろえます。時差のある相手へ「翌日」とだけ書くより、どの時点から何を数えるかが分かる説明を優先します。
国内窓口との分け方は、言語だけで決めない
海外向けフォームを作る場合も、日本語を使う海外企業や、英語を使う国内企業を想定します。言語で分けた窓口に加えて、相談対象と納品先を受け取れるようにすれば、必要な担当へ引き継ぎやすくなります。別フォームを設けるか、共通フォームで必要事項を分けるかは、実際に対応する体制に合わせます。
同じ相談が国内窓口にも届いたときは、受付日時、会社名、対象品、依頼内容を照合し、担当を一本化します。別の社員が異なる条件を回答すると、相手はどちらを前提にすればよいか分かりません。フォームを増やした分だけ、受付の整理方法も決めておきましょう。
公開前には、架空の相談情報を使い、入力項目、エラー表示、確認画面、受領後の案内までを通して確認します。外国の住所や電話番号を入力できるか、数量に単位が付くか、添付できない場合の案内があるかを見ます。送信試験は担当者が管理する確認環境で行い、実在の買い手へテスト返信を送らないようにします。
最初の運用では、相談件数に加え、追加で聞き直した条件を記録します。納品先が毎回抜けるなら入力案内を、仕様未定の相談を誤って断っているなら受付説明を見直します。翻訳したページ数より、次の担当が判断できる情報が集まったかを確かめる方が、修正する場所を選びやすくなります。
海外向けの一ページを作る前に、実際に受けたい加工相談を一件想定し、掲載できる基本方針と案件ごとの確認事項を書き分けてみてください。技術説明から問い合わせ後の案内まで整える際は、東大阪市の製造業向けホームページ制作・海外問い合わせの相談をご利用いただけます。
参考・出典
- ジェトロ「東大阪市」:工程ごとの専門企業とネットワークという地域の特徴を参照。海外受注実績の出典ではありません。
- ジェトロ「貿易の流れ」:引き合いの検討、関連する確認、条件交渉の一般的な流れを参照。
- ジェトロ「輸出価格の算定方法」:価格の前提となる項目を参照。掲載された金額や為替の例は使用していません。
出典確認日:2026年9月6日。スリーブの相談、表、図と原稿案は説明用の架空例・編集上の提案です。個別の輸出可否、規格適合、契約条件は、対象案件に即して担当者・専門家へ確認してください。