展示会へ出展すると、ブース、説明員、サンプル、パンフレットの準備に目が向きます。しかし、来場前に比較している人、会場で短時間だけ話した人、社内で検討するために資料を見直す人を受け止めるページがなければ、接点は名刺交換で止まりがちです。
そこで役立つのが、展示会専用のLP(ランディングページ)です。ただし、会期と会場を載せた告知ページを作るだけでは足りません。誰に来てほしいか、会場で何を見せるか、会期後に誰が連絡するかまで決めて初めて、LPが営業導線になります。
この記事では、岸和田市の中小企業が、会期前の告知と面談予約、会場のQR、商談記録、会期後のフォローを一つのURLと営業台帳でつなぐ方法を解説します。ブース施工や展示会選定の一般論ではなく、Webページを商談継続に使う設計へ絞ります。
展示会LPの目的は「集客」だけではない
JETROは展示会・商談会への出展支援で、展示会は短期間に多くのバイヤーと接触し、効率的に商談を進められる場だと説明しています。重要なのは「接触した人数」だけでなく、その後に具体的な商談へ進められることです。
展示会LPには、次の三つの役割があります。
- 会期前に、対象者へ出展内容と来場理由を伝える
- 会場で、短い会話の続きを技術資料や相談へつなぐ
- 会期後に、資料の再確認と次の連絡を受け止める
この三つを別々に作るのではなく、一つの公開URLを時期に応じて更新します。印刷したQRの行き先を変えず、ページの状態を「出展前」「開催中」「終了後」へ切り替える考え方です。
岸和田市の産業と販路開拓をLPへつなぐ
岸和田市の新・産業ビジョン岸和田(概要版)は、市内工業について金属製品製造業の従業者数・事業所数が最多と整理し、基本方針に「交流と販路開拓の支援」を掲げています。市内企業が、加工技術、製品、サービスを外部の企業や来場者へ伝える場は、地域の方向性とも重なります。
また、市の「がんばる岸和田」企業経営支援補助金の案内は、販路拡大に関する対象経費の例として国内・海外の展示会等参加費用を含めています。制度の年度、対象、申請時期、補助率、上限等は変わる可能性があるため、利用を検討するときは必ず最新の市公式案内を確認してください。
岸和田市を含む泉州地域では、商談型展示会だけでなく地域一体型の催しもあります。泉州オープンファクトリー2026は、岸和田市を対象エリアに含み、見学、体験、実演、販売等を例示しています。来場者が企業の現場や技術へ触れる催しでも、予約、注意事項、場所、終了後の問い合わせをWebでつなぐ必要があります。
制作前に出展目的と「次の一歩」を決める
LPの構成は、出展目的によって変わります。新規取引先を探すのか、既存顧客へ新製品を見せるのか、試作相談を受けるのか、工場見学や共同開発につなぐのか。目的を一文で決めます。
次に、来場者へ求める行動を一つだけにせず、関心の深さで分けます。
| 来場者の状態 | LPで用意する次の行動 |
|---|---|
| まず概要を知りたい | 出展製品・技術の要点を見る |
| 社内で比較したい | 仕様資料・事例を確認する |
| 条件を相談したい | 用途や課題を添えて問い合わせる |
| 会場で話したい | 面談時間を予約する |
| 現物・工程を見たい | 見学やサンプルの条件を確認する |
「お問い合わせ」だけでは、相談の準備ができていない人を逃します。反対に、資料ダウンロードだけでは、具体的な案件を営業へ渡せません。複数の入口を用意し、最終的に担当者が次の行動を判断できる情報へつなぎます。
一つのURLを会期前・会場・会期後で育てる
展示会名を含むURLを印刷物へ載せた後に変えると、古いQRが使えなくなります。最初に短く安定したURLを決め、ページの内容を段階的に更新します。
会期前
展示会名、会期、会場、ブース位置、出展内容、対象となる課題、面談予約を載せます。自社から招待したい企業へ案内するときは、「出展します」ではなく、「どの課題を相談できるか」「何を現物で確認できるか」を示します。
会場
スマートフォンで読みやすい順に、製品・技術の要点、用途別資料、担当者への相談、面談枠を置きます。通信が混み合う場合もあるため、画像や動画を重くしすぎず、重要な仕様や連絡先は短い文章でも確認できるようにします。
会期後
「終了しました」と明記し、古い面談予約を閉じます。そのうえで、展示資料、技術ページ、サンプル・見積相談、次回案内へつなぎます。検索や社内共有から後日訪れる人がいるため、ページを急に削除しません。
会場QRは接点ごとに役割を分ける
ブースの大きな掲示、製品カード、配布資料、担当者の名刺で、来場者が知りたいことは異なります。すべて同じトップ画面へ送るより、同じLP内の該当箇所や用途別ページへ案内すると迷いにくくなります。
- ブース掲示:会社と出展内容の全体像
- 製品カード:仕様、加工範囲、用途、相談条件
- 配布資料:会期後に見直す資料と問い合わせ
- 面談席:商談記録と次回連絡の確認
QRを印刷する前に、URL、スマートフォン表示、読み取り距離、公開状態を実機で確認します。計測用のURLを分ける場合は、どの接点から来たかを判断できる範囲にとどめ、個人を追跡できると誤認させる説明は避けます。
会場で開いた瞬間に「自分向けか」を判断できる表示順
会場でQRを読む人は、説明員の前、通路、別のブースへ移動した後など、落ち着いて長文を読めるとは限りません。スマートフォンの最初の画面で、会社の沿革を詳しく説明するより、次の五つを短く示します。
- 何を展示しているか
- どの業種・用途・課題に向くか
- 何を相談できるか
- ブースで何を確認できるか
- 後日どの行動を選べるか
たとえば「高品質」「柔軟に対応」といった抽象語だけでなく、加工対象、対応工程、試作・量産、相談時に必要な図面や条件等を示します。ただし、機密仕様、顧客名、認証、実績を確認せず公開してはいけません。
本文の順番は、来場者の判断に合わせます。
| 表示位置 | 主な内容 | 来場者が判断すること |
|---|---|---|
| 冒頭 | 出展テーマ、対象課題、会期・場所 | 自分に関係があるか |
| 中段 | 製品・技術、用途、強みの根拠 | 詳しく確認する価値があるか |
| 下段 | 資料、面談、見積、サンプル | 次に何を依頼するか |
会場では「あとで見る」と保存されることも多いため、ページタイトルやブラウザの見出しにも会社名だけでなく、出展テーマが分かる言葉を入れます。終了後に共有されても内容が理解できるよう、会場での口頭説明がなければ意味が通じない略語は補足します。
LPと商談記録を一つの流れにする
中小機構の海外展示会ハンドブックは、目的・ターゲット・商談ゴール、事前アポイント、商談記録、会期後の早いフォローを時系列に整理しています。国内展示会でも、ページと営業台帳の項目を先にそろえると引き継ぎやすくなります。
会場で残したいのは、名刺だけではありません。
- 相手企業と担当部署
- 関心を示した製品・技術
- 用途、数量、材質、時期等の確認事項
- その場で渡した資料
- 見積、サンプル、訪問等の次の約束
- 自社の担当者と対応期限
- 未確認事項と再質問する内容
一律の「3日以内」等を記事から採用するのではなく、展示会前に自社の対応期限を決めます。重要度だけで振り分けず、約束した期限と相手の検討時期を優先します。

フォームと名刺の個人情報を確認する
個人情報保護委員会の事業者向け基本ルールは、名刺1枚も個人情報になり得ること、利用目的の特定・通知または公表、安全管理、委託先管理等を案内しています。
QRフォームでは、会社名、氏名、メールアドレスを集めること自体を目的にせず、次の対応に必要な項目へ絞ります。利用目的、プライバシー案内、必須・任意、外部フォームやCRMへの送信、閲覧できる担当者、保管・削除の方針を確認します。
共同出展や主催者の来場者データを使う場合は、取得元の規約と利用範囲が異なります。自社フォームと同じ扱いだと決めつけず、主催者の規約、法務・個人情報担当者へ確認してください。
名刺数ではなく商談の進み方を測る
LPの数字は、閲覧数だけで判断しません。展示会の目的に合わせ、次のように段階を分けます。
- 招待・告知からLPへ来た
- 出展内容や技術資料を確認した
- 面談予約または会場で有効な対話があった
- 用途・仕様・時期を確認できた
- 見積、サンプル、訪問、試作へ進んだ
- 受注または継続案件になった
JETROのMEDICA 2026出品支援は個別展示会の例ですが、商談目的であること、会期中の担当者配置、会期後にフォローできる担当者を出品要件に含めています。LPを公開する前に、フォローする人と台帳を決める重要性が分かります。
アクセス解析、フォーム、名刺管理、営業台帳で数字が重複しないよう、案件の識別方法を決めます。受注まで長い業種では、短期の件数だけで失敗とせず、要件確認、見積、試作等の中間段階を追います。
恒久的な技術ページへ接続する
展示会LPは、会社サイトから孤立させません。加工範囲、設備、品質管理、対応業界、事例等は、会期後も使う恒久ページへ置きます。LPでは今回の出展テーマへ絞り、詳しい判断材料を技術ページへつなぎます。
これにより、展示会ごとに同じ会社説明を作り直さずに済みます。会期終了後も、検索、社内共有、営業メールから参照される資料として残せます。古い開催日時やブース番号だけを更新し忘れないよう、終了時の修正担当を決めておきます。

制作スケジュールは印刷と営業準備から逆算する
LP公開日は、展示会初日では遅すぎます。招待メール、主催者ページ、パンフレット、QR印刷、面談予約を考え、各締切から逆算します。
- 出展目的、対象者、次の行動を決める
- 展示製品、公開できる仕様、技術資料を確認する
- URL、フォーム、プライバシー案内を決める
- LPを公開し、PCとスマートフォンで確認する
- QRを発行し、印刷前に実機で読み取る
- 商談記録と営業担当、対応期限を決める
- 会場運用を短くリハーサルする
- 会期後の終了表示とフォローを実施する
主催者ロゴ、会場図、来場者写真、共同出展者の情報、公開前の製品仕様を無断で掲載しません。展示会の規約、撮影、知的財産、秘密保持、計測の条件を確認します。
岸和田市の展示会LP 制作前チェック
- 出展目的と対象者を一文で説明できるか
- 来場者の次の行動を関心の深さで分けたか
- 会期前・会場・会期後で同じURLを使えるか
- 展示会名、会期、会場、ブース番号を確認したか
- スマートフォンで製品・技術の要点が読めるか
- QRの行き先と印刷前の実機確認を終えたか
- 名刺と商談内容、次の約束を一緒に記録できるか
- フォームの利用目的、必須項目、外部送信、閲覧権限を確認したか
- 会期後にフォローする担当者と期限が決まっているか
- LPから恒久的な技術ページへ移動できるか
- 終了表示、古い予約ボタン、開催情報の修正担当が決まっているか
- 主催者規約、ロゴ、撮影、秘密情報、知的財産を確認したか
展示会LPは、会場へ人を集めるだけの広告ではありません。会期前に対象者を選び、会場で会話の続きを残し、会期後に技術資料と営業担当へ渡すためのページです。一つのURLを時間軸で更新し、商談台帳とつなげれば、名刺交換だけで終わる接点を減らせます。
出展告知、面談予約、会場QR、技術ページ、フォーム、会期後フォローまで現行サイトに合わせて設計したい方は、岸和田市の展示会LP・営業導線を相談するからご相談ください。
※本記事は2026年8月31日時点で確認した公的・公式情報をもとに、一般的なWeb・営業運用を解説したものです。展示会の規約、補助制度、個人情報、撮影、知的財産、輸出・契約等は、主催者、各公式案内、関係機関、専門家へ個別にご確認ください。