大阪狭山市で介護サービスを探す人は、同じ事業所名を見ていても、確認したい内容が異なります。本人は「自分の暮らし方に合うか」、家族は「安心して相談できるか」、ケアマネジャー(介護支援専門員)は「支援方針と提供条件が合うか」を見ています。
ところが、事業所情報は自社サイト、市の事業所一覧、介護サービス情報公表システムなどに分かれています。家族向けの写真や見学予約ボタンだけを整えても、本人やケアマネジャーが相談前に判断する材料まではそろいません。
結論は、3者の入口を分け、共通する事実を7項目でそろえ、公的な掲載情報と照合しながら更新することです。自社サイトには、公的資料の写しではなく、「この事業所へ相談してよいか」「何を伝えれば話が進むか」を判断できる情報を置きます。
大阪狭山の地域包括ケアと事業所サイトの役割
大阪狭山市は、2023年9月に地域包括ケアシステム推進条例を制定しました。市の説明では、地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、市、医療・介護の関係者、市民などが協働して支えます。
市の第9期介護保険事業計画は、2024年度から2026年度を計画期間とし、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援を一体的・継続的に提供する方針です。基本目標には「相談・連携」も含まれ、気軽に相談できる関係づくりが掲げられています。
この地域施策を、個別事業所のサイトがすべて説明する必要はありません。市は制度や地域の相談資源、事業所一覧を示し、国の公表システムは事業所を比較・検討するための詳細情報を提供します。一方、自社サイトでは、自事業所の対象、提供内容、費用の見方、見学手順、連絡条件を、現在の運用に即して示します。
役割の境界を曖昧にすると、市の制度案内を長く転載する一方で、相談者が知りたい受入条件や折り返し方法が見つからないサイトになります。公的情報へ誘導する箇所と、自社が説明・更新する箇所を先に分けておけば、情報量を増やさず判断材料をそろえられる構成です。
本人・家族・ケアマネで入口を分ける

トップページや各サービスページでは、「ご本人へ」「ご家族へ」「ケアマネジャーへ」の入口を分けます。3つのページを完全に別制作するのではなく、同じ基本情報を使いながら、最初に見せる順番と相談ボタンの行き先を変える設計です。
厚生労働省も、介護サービス情報公表システムの改修で、利用者本人やケアマネジャーなど閲覧者のニーズに応じて検索画面を区分したと説明しています。自社サイトでも、相談者の目的に合わせて入口を分ける考え方を採れます。
| 相談者 | 先に知りたいこと | 主な掲載場所 | 次の行動 |
|---|---|---|---|
| 本人 | 自分が対象か、どのように過ごせるか、希望を相談できるか | 「ご本人へ」とサービス案内 | 電話相談、見学、本人同席の面談 |
| 家族 | 費用、送迎、見学方法、家族への連絡条件 | 「ご家族へ」と見学・相談案内 | 家族だけの事前相談、本人同席の見学 |
| ケアマネ | サービス種別、提供地域、受入条件、担当窓口 | 「ケアマネジャーへ」と事業所概要 | 条件照会、相談担当者への連絡 |
この表で決めるのは、情報の有無ではなく、誰に何を先に見せるかです。入口ごとに次の行動を変えると、全員を同じ「見学予約」へ送らずに済みます。
本人向けでは、専門用語よりも利用時の流れや相談できる内容を先に見せます。家族向けは、費用、送迎、見学、連絡方法を一覧性のある配置にすると探しやすくなります。ケアマネジャー向けには、正式なサービス種別、対象地域、受入確認の窓口を短い導線で示す構成が適切です。
ページ内の事実は共通でも、CTAの文言は分けます。「お問い合わせ」だけでは、何を相談できるか判断できません。「利用について相談する」「家族だけで見学前に相談する」「受入条件を確認する」のように、押した後の目的が分かる表現にします。
相談前に確認される7項目
サービスページには、相談者が電話やフォームを使う前に確認できる情報を、次の7項目でそろえます。サービス種別ごとに並び順を固定すると、複数事業を運営する法人でも比較しやすくなります。
- サービス種別 介護保険上の正式な名称と、一般に使われる呼び方を併記します。「通所」「訪問」「入所」などの区分だけで終えず、そのページがどのサービスを説明しているかを明示します。法人全体の紹介ページから、各サービスの詳細ページへ迷わず移れる構成が必要です。
- 対象 誰が利用を相談できるのかを、事業所で確認できる範囲に絞って示します。対象地域、認定区分などの基本条件と、個別確認が必要な条件を分けると、断定しすぎずに相談の可否を判断できます。受入できない条件を一律に並べるより、「事前確認が必要な事項」として相談窓口へつなぐ方が実務的です。
- 提供内容 何を提供するサービスなのかを、利用者の行動が想像できる言葉で説明します。支援内容、利用までの流れ、事業所内での過ごし方、家族やケアマネジャーへの報告方法など、相談時によく確認される範囲を掲載します。パンフレットの理念だけでは、他事業所との違いの判断は困難です。
- 費用 料金表だけでなく、どの条件で金額が変わるか、介護保険外の費用に何が含まれるか、最終確認をどこで行うかを示します。金額を掲載する場合は基準日を添え、古いPDFとページ本文が並存しないようにします。個別の負担額をWebだけで確定させず、相談時に確認する項目の明記も欠かせません。
- 送迎・アクセス 通所系サービスでは、送迎の有無、対象地域、個別確認が必要な範囲を分けます。施設・事業所への来訪を伴う場合は、所在地、地図、公共交通、駐車場、入口までの案内を一つの画面で確認できるようにします。住所だけでは、本人や家族が実際に移動できるか判断しにくいためです。
- 見学・相談 見学できる曜日や時間帯、予約の要否、本人同席の要否、相談方法を事業所の実情に合わせて示します。「見学予約」だけでなく、見学前の電話相談、家族のみの相談、ケアマネジャーからの条件照会など、受け付けている相談の種類を分ける設計が適しています。
- 連絡条件 電話の受付時間、フォームへの回答方法、折り返しを行う担当、緊急連絡を受け付ける窓口ではないことなどを、実際の運用に合わせて表示します。担当者不在時の扱いも決めておけば、サイトの案内と現場対応のずれを防げます。
7項目は、一度書いて終わる紹介文ではありません。各サービスページの冒頭に要点を置き、詳細説明、見学・相談、連絡先へ続けると、本人・家族・ケアマネジャーが同じ事実を異なる順序で確認できます。
市・国の公表情報と自社サイトを照合する

大阪狭山市の「介護保険サービス事業所一覧」では、2026年7月9日更新のページで、令和8年7月現在の市内事業所一覧が公開されています。同ページには、事業所情報の変更が反映されるまで時間を要する場合があるため、詳しくは各事業所へ直接問い合わせるよう案内があります。
国の介護サービス情報公表システムは、全国の介護サービス事業所について、サービス内容などの詳細情報を検索・閲覧し、比較・検討するための仕組みです。自社サイトはこの情報と競合するものではなく、公表情報を確認した人が、最新の提供条件や相談手順を確かめる受け皿になります。
| 公開項目 | 照合する資料 | 確認担当 | 更新するタイミング |
|---|---|---|---|
| 事業所・法人の名称 | 市の一覧、公表システム、指定関係資料 | 管理者・事務担当 | 名称変更の決定時、公開前 |
| サービス種別 | 市の一覧、公表システム、指定関係資料 | 管理者 | サービス種別や指定内容の変更決定時 |
| 所在地・アクセス | 市の一覧、公表システム、社内の基本情報 | 管理者・Web担当 | 移転、案内変更、地図修正時 |
| 電話番号・相談窓口 | 市の一覧、公表システム、社内連絡網 | 相談責任者・Web担当 | 番号や担当変更時、定期確認時 |
| 提供条件・更新日 | 公表システム、運営資料、現場の運用 | サービス責任者 | 条件変更時、定期確認時 |
この表を使うと、公開できる項目、要確認の項目、最終確認者を分けられます。制作会社へ渡す前に空欄を残しておけば、推測で埋められることも防げます。
照合作業では、ページごとに正しい情報を探し直すのではなく、法人内に「公開情報の原本」を一つ用意してください。名称、所在地、電話番号、サービス種別、確認日、根拠資料を記録し、自社サイトと公的掲載の確認で参照する形です。
不一致を見つけたときは、自社サイトだけを先に書き換えて終えません。指定・運営資料で事実を確かめ、公的掲載の変更手続が必要かを担当者が確認します。自社サイトには更新日を表示し、公的媒体の反映待ちがある場合でも、問い合わせ先で最新条件を確認できるようにします。
空き・受入条件・連絡先の更新責任を決める
空き状況、受入条件、相談担当者は変動しやすく、紹介文と同じ扱いでは管理できません。「空きあり」を固定表示するのではなく、基準日と確認方法をセットにし、状況が変わる前提で運用します。
更新の流れは、現場からWeb担当へ直接連絡するだけにしない方が安全です。次の4段階に分けると、確認漏れと責任の集中を抑えられます。
- 現場担当が、変更内容、対象サービス、適用日、確認が必要な公的資料を記録する。
- サービス責任者または管理者が、公開してよい表現と相談時の回答条件を確認する。
- Web担当が、自社サイト、フォーム、PDF、共通フッターなど影響する箇所を更新する。
- 更新日と確認者を記録し、必要な届出・公表情報の変更確認を担当部署へ戻す。
この手順では、情報を知った人、事実を承認する人、画面を修正する人を分けています。少人数の事業所で同じ人が複数役を担う場合も、確認者と作業者を記録すれば、更新が個人の記憶だけに依存しません。
定期確認の対象には、電話番号、受付時間、送迎範囲、見学方法、フォームの通知先も含めます。変化がなかった場合も「確認済み」の日付を残すと、閲覧者と職員の双方が情報の鮮度を判断できます。
相談フォームはサービス種別と折り返し条件を明確にする
相談フォームの目的は、初回回答に必要な情報を集めることです。利用判断に不要な個人情報まで入力させると、本人や家族は送信をためらい、職員側も管理する情報が増えます。
相談フォームに置く最低限の項目
- 相談者の立場:本人、家族、ケアマネジャー、その他
- 相談したいサービス種別:「わからない・相談して決めたい」を含める
- 相談内容:見学、利用条件、費用、送迎、受入確認など
- 希望する連絡方法:電話、メールなど、実際に対応できる方法だけを示す
- 折り返し可能な曜日・時間帯
- 氏名、連絡先、必要最小限の状況説明
病名の詳細、介護保険の番号、長い生活歴などは、初回フォームの必須項目にせず、担当者が相談の中で必要性を確かめます。サービス種別が分からない人を送信前に排除しないことも、相談入口として欠かせません。
送信ボタンの前には、受付後の連絡方法、通常の確認時間、休業日の扱い、緊急対応用ではないことを、事業所の運用どおりに示します。自動返信には問い合わせ内容の控えと連絡先を載せ、誰から折り返すかを社内でも共有します。
フォームをサービスごとに分ける場合は、通知先と担当不在時の転送先まで設計します。共通フォームを使う場合は、サービス種別による振り分けを必須にし、送信後に担当部署が迷わない状態が必要です。
制作会社へ相談する前にそろえたい資料
制作会社へ渡す資料は、完成した原稿でなくても構いません。事実が確定している資料と、現場確認が残る項目を分ける方が、サイト構成、相談導線、更新機能の要件を決めやすくなります。
- □ 市の事業所一覧と介護サービス情報公表システムで、自事業所の掲載内容と確認日を控える
- □ 各サービスの正式名称、対象、提供内容を確認できる指定・運営資料と既存パンフレットを集める
- □ 費用資料、送迎範囲、見学方法、受入条件の現行版をそろえる
- □ 本人・家族・ケアマネジャーから現在受けている相談と、回答担当を整理する
- □ 電話、メール、フォームごとの通知先、折り返し条件、担当不在時の対応を決める
- □ 各公開項目の確認責任者、Web更新担当、最終確認日を記録する
このチェックで未確定の項目が見つかったら、制作会社に推測で補完してもらうのではなく、「現場確認中」「公開方法を要検討」として要件に残します。とくに家族向けの情報は、安心感のある写真や言葉だけでなく、相談前の不安を減らす具体情報へ変換します。詳しい整理方法は、家族向けの安心材料を整理する方法も参考資料です。
資料がそろった後は、ページ数から決めるのではなく、3者の入口、7項目の掲載場所、公的情報との照合、更新権限、フォームの振り分けを制作要件にします。これは、公開時に整っていても更新できないサイトになるのを避けるためです。
まとめ
改善に着手するときは、代表的な1サービスを選び、3者の入口、7項目、照合表、更新担当、フォームの振り分けまで一度通して設計してください。その型をほかのサービスへ展開すれば、法人内で情報の粒度と確認手順をそろえやすくなります。
公開後は、空きや受入条件だけでなく、連絡先や見学方法も確認日を残します。サイト改修をページ制作で終わらせず、誰が事実を確かめ、誰が更新するかまで決めることが、相談前の迷いを減らす土台です。