住宅の作品紹介で、設計意図を伝えようと平面図をそのまま載せた。図面には部屋の使い方、出入口、収納、方位、敷地の形が残り、ページには町名と外観写真もある。施主の名前を伏せても、組み合わせれば住まいの場所や暮らし方が推測されるかもしれません。設計事務所が決めるべきなのは、図面を載せるか載せないかの二択だけではありません。何を説明するための図か、どの情報を伏せ、誰がどの版を許可したかを、作品ごとに確かめることです。
この記事は建築設計事務所の代表、設計者、Web担当者に向けた掲載設計例です。架空の住宅作品を使って「公開図・伏せる情報・許諾」の確認表を作ります。実在の間取り、施主、所在地、権利関係は使用していません。個別の図面が個人情報に当たるか、公開が契約上認められるかは、当該作品と関係者の条件で事務所が判断します。制作側は確認済みの内容をページへ正しく反映します。
設計意図を伝えるために図の役割を絞る
みやあじよの建築設計事務所向けページは、写真だけでは読み取りにくい敷地条件と設計の判断を、公開できる平面図・断面図・模型・説明図で補う方針を示しています。同時に、作品ごとに住所、間取り、建築主の名前、写真と図面の使用条件を整理するとしています。本稿は作品全般の見せ方ではなく、そのうち図面を公開用へ変える確認工程に絞ります。
最初に、設計者が作品で何を伝えたいかを一文にします。例えば「道路からの視線を避けながら中庭へ開いた関係」です。その説明に必要なのは道路、建物、中庭、主な開口の相対的な位置かもしれません。寝室や収納の配置、設備の詳細、すべての寸法まで見せる必要があるかは別の判断です。図面が大きいほど設計の力量が伝わるとは限らず、読む人がどこを見ればよいか分からなくなることもあります。作品写真と本文で既に伝わる内容を確認し、図だけが補う関係を決めます。
現行サイトを点検するときは、画像として見えている図だけでなく、クリック後の拡大画像、PDFのダウンロード、画像ファイルへの直リンクも確認します。画面上では小さく見えても、元画像に寸法や注記が残る場合があります。トップの作品一覧、関連作品、SNS共有のプレビュー画像、検索結果に出る画像も別々の表示です。「詳細本文で住所を消した」だけでは、画像名や代替テキスト、旧版のPDFに情報が残るかもしれません。公開する単位をページ全体として捉えます。
公開用には、元の設計図書を直接アップロードせず、説明したい要点から別の図を作る方法があります。道路と庭の関係だけを概念図にしたり、公開を許された範囲の一部を抽出したりします。ただし単純な描き直しでも、敷地形状と外観、地域名の組合せで場所が分かる可能性は残ります。加工したから安全と決めつけず、最終の画面を関係者に見せて判断してもらいます。図面の誤用や改変の可否も、設計者と権利者が確認する範囲です。
公開図・伏せる情報・許諾を一枚の表で対応させる
図面を選ぶ担当者とWebへ登録する担当者が別なら、口頭で「この図で大丈夫」と伝えるだけでは版を取り違えやすくなります。作品番号、元資料、公開する派生図、伏せる項目、掲載先、確認者、許可日を同じ行に置きます。公開不可とした理由も管理欄に残し、あとから別の担当者が元図を再利用しないようにします。全作品に同じ省略ルールを機械的に当てず、住宅・店舗・施設、既存・新築、施主の希望に応じて確認します。
次の表は架空の住宅作品について、図面公開を検討するための編集票です。ここに示した公開案は許可を得た実例ではありません。実作品では、設計担当と施主、必要な権利者が、画像そのものと掲載文を確認してから決めます。
| 候補素材 | 作品で伝える目的 | 伏せる・別に確認する情報 | 許諾と版の確認 |
|---|---|---|---|
| 詳細な平面図 | 室と庭の関係を見せる | 各室の用途、寸法、出入口、設備、方位、図面欄 | 元図のまま公開しない。公開用図の必要範囲を設計者が決定 |
| 簡略な関係図 | 道路と中庭の位置関係を説明 | 実寸の敷地形、周辺建物、正確な方位 | 施主との掲載範囲、図の作成・改変条件を確認 |
| 断面の抜粋 | 高低差と光の取り入れ方を説明 | 階高の詳細、屋内設備、構造・仕様の細部 | 抜粋後の画像と説明文を同じ版で承認 |
| 外観・室内写真 | 図と対応する空間を見せる | 表札、郵便物、家族の写真、窓外の目印 | 写真ごとの掲載先、撮影者表記、施主の許可を確認 |
| 作品データ | 用途と担当業務を伝える | 詳細住所、施主名、入居時期など | 公開できる地域表記と他媒体の表示も照合 |

表の「伏せる情報」は、すべての図から同じ箇所を黒塗りにする指示ではありません。情報を取り除いたことで設計意図が誤って伝わるなら、別の写真や文章へ置き換える方がよいこともあります。例えば中庭へ開く理由を示したいのに、開口の位置を全て消せば図の意味がなくなります。設計者に、残す要素と省く要素を目的に照らして決めてもらいます。公開しないという判断も一つの完成形です。図を出せない作品でも、写真と設計者が確認した説明で考え方を伝えられます。
許諾欄は「施主に一度確認済み」の一語にまとめません。外観写真だけなのか、室内写真もよいのか、図面の公開や加工まで含むのか、作品サイトだけかSNSでも使うのかを分けます。撮影者や共同設計者など別の権利者がいる場合は、その素材に必要な確認を加えます。確認を取った時点の掲載案と、Webで公開する最終版の違いも記録します。許可を求めた原稿と別の画像を後から登録したなら、以前の承認をそのまま当てはめません。
氏名を消しても組み合わせで分かることがある
図面と一緒に公開する情報を、個別にではなく組み合わせて見ます。地域を町名まで書き、外観写真に特徴的な隣地が写り、図に道路の向きがある場合、施主名を出さなくても建物を特定できるかもしれません。正確な特定可能性は案件ごとに異なります。個人情報保護委員会の住所や電話番号に関するFAQは、他の情報と容易に照合して個人を識別できる場合には、合わせて個人情報に該当し得ると説明します。図面一般を一律に個人情報とする説明ではなく、公開物全体を照合して判断するための背景として参照します。
私生活の情報は直接の氏名以外にもあります。家族それぞれの部屋、介助や医療のための設備、在宅勤務の場所、収集品の保管場所、子どもの居室などは、設計上の工夫を語る資料である一方、本人が公開を望まない場合があります。制作担当が「この説明の方が物語になる」と感じても、本人の希望を推測して書き加えません。設計者が要望を紹介する場合は、公開してよい言い方を施主側と確認します。暮らし方の具体性を削っても、設計判断の関係が伝わる表現を探せます。
竣工時に公開を許された写真や図でも、現在の掲載条件と一致するとは限りません。後から家族構成が変わった、周辺環境が変わった、作品が別の媒体へ転載された、ということもあります。サイトの更新で古い図を新しい形式へ変換する際は、移行対象を機械的に全部選ばず、元の許諾と公開状態を再確認します。削除や差し替えの申し出を受ける窓口、確認して対応する担当も決めます。公開後の維持管理まで含めて作品データを扱います。

公開用の画像と原図を別々に管理する
設計図書のPDFを開いて画面を撮り、見えない文字を画像編集で塗るだけでは、元ファイルに残る情報を確認しきれません。レイヤー、注記、ファイル名、文書の属性、サムネイルなども扱いが異なります。制作時には、公開用の画像ファイルを別途作り、完成したファイルを拡大して確認します。PDFを配布する場合は、そのファイル自体をダウンロードして開き、必要な情報だけが含まれるかを担当者が確認します。特定の加工方法だけで非公開情報が必ず消えると断定しません。
管理画面に登録する際は、素材の名前を「最終」「最終2」ではなく、作品と公開用途、確認済みの版を区別できる名称にします。元図は制作担当者の共有場所に保持し、サイトへ使う画像とはフォルダーや権限を分けます。ページ本文に公開用の図が使われても、メディア一覧には元図が残っている可能性があります。過去のページからのリンク、下書き、キャッシュや共有先の扱いは、実際のサイト構成と運用に応じて確認します。削除すればすべての複製が直ちに消えるとは約束しません。
図の代替テキストは、情報を隠すための場所でも、伏せた情報を補う場所でもありません。公開用図が「道路と中庭の関係」を示すなら、その役割が分かる短い説明にします。部屋名を図から消したのに、代替テキストや画像説明へ部屋の使い方を書いてしまえば、公開範囲が揃いません。見出し、キャプション、本文、画像ファイル名、共有時の説明まで、同じ承認版を基に点検します。図を読めない人にも設計意図が届くよう、公開できる要点は本文で説明します。
作品の一覧は詳細ページより情報が短くなります。「大阪府の住宅」「庭へ開く住まい」などの表記も、建物を特定する手がかりにならないか、写真や他の公開情報と合わせて確認します。作品一覧の構成を扱う公開記事は用途・敷地条件・担当範囲で探せる案内を扱います。本稿はその一覧に渡す前に、図と説明の公開範囲を決める役割です。共同設計作品の記事が扱う担当工程や写真クレジットも、同じ作品の掲載票で確認できますが、本稿の中心は施主の私生活が推測されない図の選定です。
一作品を全画面で試してから更新の型にする
公開前には一つの架空の閲覧経路をたどります。検索結果またはトップから作品カードを開き、写真、図、作品データを読み、画像を拡大し、共有先の見え方を確認します。閲覧者が図からどの暮らし方を推測できるかを設計担当と考え、施主の承認対象になかった情報がどこかに出ていないか確かめます。スマートフォンでは図が小さくなるため、長い注記を画像の中だけに置かず、本文やキャプションでも意味を伝えます。
制作会社へ渡す改修依頼には、対象作品、説明したい設計意図、公開用の図と写真、伏せる項目、許可を確認した相手、確認済みの版、掲載先を記します。制作側の作業は、図の書き出し、原稿と画像の対応、一覧・詳細・共有画像の表示確認などに分けます。公開可否の判断や契約・権利の解釈を制作担当者の推測へ任せないためです。作品が増えてもこの票を複製し、内容を案件ごとに埋め直します。
作品ページの更新画面にも、公開用図だけを選べる状態を検討します。素材を登録する人が原図と縮小画像を見間違えないよう、一覧に確認状態と確認日を表示し、未確認の素材は公開画面へ選ばない運用にします。担当者が変わったときは、公開図の作成理由、伏せた項目、許可の対象媒体を引き継ぎます。図を差し替えるだけの軽い作業に見えても、版が変われば写真や本文との組合せが変わります。更新後のページを実際に開き、拡大画像まで見てから完了とします。
最初は、今サイトに載っている図面を一枚選び、何を説明する図かを設計者と確認してください。そのうえで、公開されている全ての版、本文と画像の組合せ、許諾の範囲を表へ書き出します。図を伏せるか、要点だけの別図を作るか、現状のまま掲載できるかは、その確認から決まります。この架空例は実在の作品、施主の生活、権利関係、改善数値を示しません。
作品図を掲載する前の確認を整える
まず一作品について、説明目的と公開図、伏せる情報、許諾の版を対応させてください。設計事務所の作品紹介と更新画面を整える場合は、みやあじよの建築設計事務所向けホームページ制作をご覧ください。
参考にした公開情報と確認範囲
2026年9月24日確認。表・図は説明用の例です。実在の図面、住宅、施主、許諾、設計実績を示しません。実際の公開可否・権利・個人情報の判断は、事務所の担当者が関係者と確認してください。


