「写真を使ってよいと聞いているので、利用者の声と一緒に載せたい」。整骨院・接骨院のサイト制作では、こうした素材の受け渡しが起こります。ただし、本人が了承した利用範囲と、写真や文章が読む人へ伝える意味は、別に確認する必要があります。同意書があることだけで、掲載原稿の確認まで済んだ扱いにはできません。
見直すときは、素材ごとに利用範囲と表現の確認を分け、掲載を控える場合に必要な代替情報も決めます。写真を外して空欄にするだけでなく、その場所で来院前の人が何を知りたかったのかを考えます。院の入口、待合、受付方法など、自院が事実を確かめられる案内からページを組み直す方法です。
この記事は、院の経営者、広報、Web担当者に向けた編集と確認の進め方です。個々の写真や体験談について掲載の適法性を判定する一覧ではありません。院の責任者と必要な専門確認担当が内容を確認し、制作側がその結果をページへ反映できる状態を作ります。
「撮影した人」と「掲載する目的」から素材を整理する
最初に、現在のサイトにある人物写真、施術前後を並べた画像、アンケート、外部サイトの口コミを使った欄を洗い出します。本文へ貼り付けた画像だけでなく、トップページの紹介枠や、スマートフォン用に作り直した画像も含めます。同じ素材が複数の場所で使われていれば、掲載先をひとまとめに記録します。
素材の出所には、撮影・作成した人、院が受け取った経緯、原版の所在を書きます。利用者が自分で渡した写真、院内で撮影した写真、外部の撮影者が作った写真を区別してください。院のフォルダに保存されていることと、今回のページで使う条件が分かっていることは同じではありません。
次に、何のための掲載かを言葉にします。院内の場所を案内したいのか、担当者を紹介したいのか、施術の変化を示したいのかで、確認する内容が変わります。「信頼感を出すため」だけでは広すぎます。その写真がなくなった場合、読者が分からなくなる事実は何かまで絞ると、代替案を考えやすくなります。
外部に公開されている口コミも、そのまま自院の原稿へ移せる素材とは決めつけません。投稿先で見られること、院が選んで自分のページへ載せること、文章を短く編集することを分けて、利用条件と掲載内容を確認します。星や投稿者名を写した画像にしても、確認する内容がなくなるわけではありません。
制作会社へ渡す一覧には、公開を予定している素材と確認用の参考資料を分けて記載します。参考に見せたアンケート画像が、そのままデザインへ入る行き違いを防ぐためです。共有するフォルダや原稿にも用途を付け、確認待ちの素材は公開用の一式へ混ぜないようにします。
本人の利用範囲と、原稿の表現を別々に確かめる
個人情報保護委員会の通則編は、本人の同意を、示された取扱方法に対して本人が承諾する意思表示と説明しています。素材を確認するときも、「了承あり」の一欄だけでなく、どの取扱いを説明していたかが分かる記録を探します。個人情報保護委員会の本人の同意の説明
撮影に応じたこと、院内で保管すること、一般公開のサイトへ載せること、別媒体へ転用することを一括りにしないようにします。確認する項目は、対象の写真や文章、掲載場所、名前や顔の出し方、利用期間、加工・抜粋の予定などです。記録が曖昧なら、制作担当の推測で使用範囲を広げず、院の素材管理担当へ戻します。
一方の表現確認では、写真の隣にある見出しや体験談まで含めて、何を示している画面かを見ます。入口の写真でも、その上に施術の効果をうたう言葉を重ねれば、単なる場所の案内とは違う意味を持ちます。人物の利用範囲を確認する担当と、施術・広告表現を確認する担当が別なら、回答欄も分けます。
どちらか一方の回答だけで公開用の素材に移さない運用を決めます。「利用範囲は確認済み・表現は確認中」「表現の修正案あり・本人への確認が残る」など、未完了の側を明示します。これは院と制作側の編集管理であり、二つの欄が埋まれば法的な問題がすべて解消するという判定表ではありません。
掲載する媒体と、写真・体験談の見せ方を確認へ回す
厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドラインは、Webサイトを原則として広告に該当しないとする一方、広告と一体のリンク先などの扱いを分けています。また、撮影条件を変えた施術前後写真による効果の強調や、院に都合のよい感想だけを選ぶ体験談の強調を、掲載すべきでない内容として示しています。厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドライン
制作の確認依頼には、写真だけを送らず、掲載する画面とそこへの入口を添えます。通常の案内ページなのか、広告から誘導するページなのか、SNSにも転用するのかを分かるようにします。Webサイトだから自由に載せられるとも、医療機関向けの基準をそのまま当てはめればよいとも扱わず、自院の媒体と内容に応じた確認を依頼します。
施術前後の写真では、元画像、撮影時の情報、加工の有無、並べ方、付ける説明を一緒に整理します。撮影条件をそろえたことだけで掲載可能だという逆の結論にはしません。素材自体の確認と、ページ上で効果をどう受け取らせるかの確認を残し、掲載判断が出るまで公開原稿とは分けておきます。
体験談も、原文だけを見て終わりにしません。どの感想を選んだか、どこを削ったか、大きな見出しへ何を取り出したかを提示します。小さな注記を加えるだけで掲載の問題が解決すると制作側で判断せず、見せ方を含めて院の確認担当へ戻します。判断が分かれる場合は、所在地を管轄する自治体の相談窓口や専門家への確認につなげます。
掲載を控える素材と、補う案内を一つの表にする
次は、架空の院Sがサイトの素材を整理するための設計例です。実在する院の審査結果や、掲載を許可する一覧ではありません。ここで挙げる代替案も無条件に使えるものではなく、院の実際の設備・運用と掲載媒体を確かめて作成します。

| 見直す素材 | 利用範囲で確認すること | 表現で確認すること | 掲載を控える場合の代替案 |
|---|---|---|---|
| 利用者が写る院内写真 | 対象者と公開範囲、背景の写り込み | 隣の見出しと写真の役割 | 人が写らない入口・待合の現況写真 |
| 施術前後を並べた画像 | 原版の出所と利用条件 | 撮影・加工・並べ方、示す主張 | 受付から説明までの案内 |
| アンケートから抜いた感想 | 原文と掲載範囲、氏名等の扱い | 選び方・抜粋・強調した意味 | 予約時に確認できることの説明 |
| 外部口コミの転載画像 | 投稿の出所と転載条件 | 自院による選択・見出しの付け方 | 受付方法と問い合わせ先 |
| 担当者と利用者の集合写真 | 各人の対象写真と使用範囲 | 推薦や効果の証拠としていないか | 確認した担当者紹介と役割の説明 |
S院では、各行に素材番号、掲載先、確認する人、回答待ちの内容を追加します。写真ファイルと原稿の版が別々に進んでも、同じ番号からたどれるようにします。利用者の個人情報を管理表へ必要以上に複製せず、詳しい記録は院が決めた範囲で管理し、制作側には作業に必要な確認結果を渡します。
回答が届いたときは、誰が何について回答したかを残します。素材の差し替えが必要なのか、掲載を見送るのか、別の原稿案を再確認するのかを区別してください。「対応済み」という一言では、院の確認が終わったのか、制作側が画像を外したのかが分かりません。次の作業が終わるまで状態を分けて追います。
体験談の代わりは、現場の事実から作り直す
代替情報は、元の体験談を院の宣伝文へ言い換える作業ではありません。たとえば、通いやすさに関する声を外した場合、同じ意味の大きな見出しを作る前に、来院前に確かめたい場所や受付の情報を探します。住所、入口の位置、現在の受付時間、予約の方法など、院が確認できる事実から別の案内を組み立てます。
人が写らない待合写真を用意する場合も、広く見える角度だけで選ばず、現在の利用環境を説明できる一枚にします。写っていない設備があるように説明したり、写真から分からない対応を保証したりしません。改装前の写真なら現況を確かめ、古い状態を現在の院内として使わないようにします。
受付や説明の流れを図にするなら、院で行う内容と順番を担当者に確認します。受付で何を伝えればよいか、予約と当日の確認はどう違うかなど、行動の案内に絞ります。特定の結果へ至る工程のような図や、架空の改善経過を示す写真を、体験談の代わりに作らないでください。
担当者紹介も、本人が確認した氏名や役割を基に作ります。人物写真が用意できない場合は、文章で担当範囲を説明する方法もあります。生成した人物を実在の施術者に見せたり、素材写真を実際の利用者として載せたりせず、事実を伝える欄と説明用イメージを混同させない構成にします。

差し替えは、本文以外の掲載先にも反映する
写真をページから外した後も、一覧の小さな画像や共有用の画像に残っている場合があります。確認表の掲載先を使い、本文、トップページ、関連記事の紹介、スマートフォン用画像を照合します。画像の代替テキストにも、外した体験談や効果の説明が残っていないかを確認します。
画像を削除するか、公開されない保管へ移すかは、院の記録の扱いとサイトの仕組みに合わせて決めます。本文から非表示にすることと、画像のURLから閲覧できなくすることは別の作業です。制作者は変更した範囲を報告し、外部サービスの表示まで直ちに消えたと確認なしに約束しないようにします。
写真をクリックすると原寸画像が開く設定にも注意します。小さな掲載画像では読めなくても、拡大後の画像に名前や書類が写っていることがあります。サムネイルだけを差し替えて確認を終えず、リンク先や端末ごとに読み込む画像にも、同じ確認結果が反映されているかを見ます。
掲載をやめたいという連絡を受ける窓口も、院側で決めておきます。依頼者の確認、対象素材の特定、院内の判断、制作側への作業依頼をつなげます。担当者が変わっても、どの写真がどこに出ているかを調べ直せる記録にすることが大切です。個別の削除請求等への対応判断は、院の確認担当へ渡します。
公開前は、代替案内だけで次の行動が分かるかを見る
確認用の画面を開き、掲載を見送った素材がなくても、入口や受付の情報をたどれるかを見ます。写真の余白を埋めるためだけの画像は追加せず、案内に不足があれば院へ事実を確認します。パソコンとスマートフォンで、写真の切り取りによって入口が欠けたり、説明と別の画像が組み合わされたりしていないかも確かめます。
院の担当者には、確定した素材と原稿が画面へ反映されたかを見てもらいます。制作担当はリンク、表示、画像の差し替えを確認します。専門内容の確認と表示の確認を分けて記録し、どちらの確認が残っているかを公開作業へ引き継ぎます。古い写真を予備として戻す場合も、前の了承をそのまま今回へ流用しないようにします。
まずは、サイト上の人物写真か体験談を一つ選び、利用範囲、表現の確認先、現在の掲載場所を整理してください。掲載を見送る場合には、その欄で伝えるべき情報を一つ決め、院の現況から別の案内を用意します。素材の使用と内容の確認を切り分け、確認した事実を分かりやすく伝えることが、写真・体験談を見直す出発点です。
参照資料:厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドライン」VI、個人情報保護委員会「通則編」2-16。2026年9月21日確認。個別素材の掲載可否や法令適合性は判定していません。