「就業規則の作成をお願いしたら、社員への説明もしてもらえますか」。社労士事務所のサイトに業務名と料金だけが載っていると、依頼を検討する企業は、文書を受け取るまでの仕事と、その後の支援を区別できません。事務所が丁寧に対応していても、掲載情報にその違いがなければ、相談前には伝わらないままです。
最初に見直したいのは、サービス名を増やすことより、作成・説明・運用相談のそれぞれで何を提供し、どこで一区切りになるかという説明です。会社側に確認してもらう内容と、次に相談できる窓口までそろえると、依頼後の関わり方を想像しやすくなります。
この記事は、自社サイトを改善する社労士事務所の代表者・Web担当者に向けたページ設計の案内です。就業規則の条文や適法性を判断するものではありません。業務の提供範囲を事務所で確定し、確認済みの内容を制作担当が画面に落とし込む進め方を扱います。
「作成後も支援」の中身を、依頼前に見せる
「作成から運用まで対応します」という一文は、事務所の姿勢を伝えられます。一方で、企業が知りたいのは、文書の納品後に誰へ何を説明してもらえるか、質問はどの窓口で受けてもらえるか、追加の契約が必要かという具体的な条件です。広い言葉のすぐ下に、提供する支援の区分を添えます。
例えば、経営者や人事担当者への案の説明と、従業員向けの説明会は、同じ「説明」でも対象が違います。原案の読み合わせを含むことが、そのまま全社員への説明会を含む意味にならないようにします。見出しを「内容のご説明」だけにせず、「ご担当者との原案の確認」「従業員向け説明会の支援」のように相手を示す方法があります。
グロースリンク社会保険労務士法人の公式案内は、原稿の読み合わせ・修正と、オプションの従業員説明会を別の項目で掲載しています。ここで参考にしたいのは、説明の相手や目的が違う仕事を、同じ言葉にまとめない見せ方です。他事務所の回数や契約条件を、自所の標準として転記する必要はありません。
また、運用相談に対応している場合も、作成料金に含める質問対応と、継続契約で受ける相談を区別します。「アフターフォローあり」の近くに、対象となる相談、受付方法、期間や契約の条件を置きます。まだ決まっていない条件は、制作担当が一般的な慣行で埋めず、事務所の責任者へ確認します。
支援の違いを、成果物と確認事項で比べる
ページを作る前に、支援ごとに「提供するもの」「会社側で確認すること」「相談入口」を整理します。成果物は文書に限りません。面談や説明会、相談への回答も、どのような支援を受けられるかを伝える材料になります。ただし、対応していないものを体裁のために並べないことが前提です。
次の表は、架空の社労士事務所が就業規則の業務案内を見直す設計例です。実在する事務所の提供条件や、法律上必要な手続きの一覧ではありません。各行の名称と内容は、自所の契約書、提案資料、実際の受付方針に合わせて置き換えます。
| 掲載する支援 | 提供するものの見せ方 | 会社側の確認事項 | 近くに置く相談入口 |
|---|---|---|---|
| 新規作成・改訂 | 対象とする規程、案の確認、納品形式 | 現行文書の有無、社内の確認担当 | 作成・改訂の範囲を相談する |
| 担当者への説明 | 原案や変更点の説明、確認の場 | 説明を受ける人、社内で決める事項 | 案の確認方法を見る |
| 従業員向け説明支援 | 説明資料、説明会への関与の範囲 | 対象者、開催方法、希望する時期 | 説明支援の対応条件を相談する |
| 運用開始後の相談 | 相談できる内容、連絡方法、契約の扱い | 窓口となる担当者、現在の契約 | 継続相談の案内を確認する |
この表を公開用に整えるときは、同じ言葉でも内容が異なる箇所に補足を入れます。例えば「説明資料」が、納品する文書の一覧なのか、説明会用の資料なのかで、企業が期待するものは変わります。資料名だけで伝わらなければ、誰がどの場面で使うものかを一文で添えます。
表の役割は、すべての企業に同じ支援が必要だと示すことではありません。既に文書を持つ企業が説明支援だけを相談できるか、他で作成した規程の運用相談を受けるかも、事務所が判断する条件です。対応の可否が分かれる場合は、該当行に「現行規程を確認して対応範囲をご案内します」など、実際の受付に合う説明を置きます。
成果物の写真や見本を添える場合は、何を受け取るかが分かる部分を選びます。表紙だけで説明資料の内容が伝わらないなら、目次の構成や、変更点を説明するための書式を掲載する方法があります。ただし、実際の顧客文書は公開可否を確認し、会社名を消しただけで掲載できるとは考えないようにします。
公開用に作り直した見本なら、「掲載用サンプル」と明示し、実際の納品物と同一だと受け取られない説明を添えます。条文の例があることで一般向けのひな形と誤解される場合は、内容を載せず、資料の用途や受け渡し形式で説明する選択もあります。写真の見栄えより、依頼後に得られるものを正確に伝えることを優先します。
工程図とは別に、ページ内で選べる入口をつくる
聞き取り、原案作成、確認、納品という工程図は、依頼の進み方を説明するのに向いています。しかし、説明会や運用相談をその後ろへ矢印でつなぐだけだと、すべての契約に含まれる必須工程のように見えることがあります。時間の順序と、依頼できる支援の範囲を分けて表現します。

ページの冒頭には、相談したい状況から該当箇所へ移動できる入口を置きます。「新しく作りたい・見直したい」「社内への説明を相談したい」「使い始めてから質問したい」のように分けると、既に作成を終えた企業も、長い新規作成の説明を通らずに必要な情報へ進めます。
説明が短ければ、一つのページの中で各見出しへ移動する構成で足ります。継続相談に独自の契約条件や受付方法があるなら、その詳細ページへつなぎます。ページを分ける場合も、元の就業規則の案内へ戻れるリンクを設け、何についての相談なのかを見失わないようにします。
作成の工程図を残す場合は、対象を「新規作成を依頼する場合の例」と明記します。説明会を別途相談として扱うなら、工程の一部に小さな注記を付けるだけでなく、説明支援の欄へ案内します。図の見た目だけで、料金に含む範囲や対応の順番を約束しないように確認します。
料金の説明と、支援が終わる区切りをそろえる
サービス本文には「継続的にサポート」とあり、料金表には作成費用しか載っていない。この状態では、企業は作成後の相談にも同じ料金が適用されるのか判断できません。支援の紹介、料金欄、よくある質問を並べて読み、同じ条件を示しているか確認します。
OAG社会保険労務士法人の公式案内では、就業規則の作成支援に加え、労務顧問を通じた運用定着の支援を説明しています。本稿では、継続支援がどの契約と結び付くかを示す掲載例として参照します。全ての事務所が同じ形で提供すべきだという意味ではありません。
自所の案内では、納品後のどの時点まで何を受けるかを、契約に沿って記載します。例えば、納品内容の確認への回答と、新たな事情に伴う改訂相談を別に扱う方針なら、その違いを示します。期間を一つ書けば十分とは限らず、対象となる質問の範囲も一緒に説明する必要があります。
説明会などの追加支援では、掲載料金に含むか、別途見積もりか、どの条件を確認して金額を案内するかを近くに置きます。人数、開催形式、資料作成の有無などは、自所が実際に見積もりへ使う項目を選びます。金額が確定しない段階でも、相談後に何を確認するかは説明できます。
その際、「別途」の注記をページ末尾だけに集めないようにします。説明支援の紹介を読んで相談ボタンを押す位置でも、追加の相談になることが分かる配置にします。比較表と料金表を別々に更新する場合は、片方の変更時にもう片方も確認する担当を決めておきます。
相談ボタンから先でも、選んだ用件を保つ
比較表で違いが分かっても、どのボタンも同じ無説明の問い合わせ画面へ移ると、利用者は相談したい支援を一から書き直すことになります。入口ごとの用件をフォームへ引き継ぐか、最初の選択肢で作成・説明・運用相談を選べるようにします。選択内容は、送信前に本人が確認し、修正できる状態にします。
ただし、利用者に専門的な切り分けを求め過ぎないことも必要です。「どの支援になるか分からない」を選べる欄を残し、現在困っていることを短く書けるようにします。説明支援を希望している場合に、規程の作成元や現在の状態を後で確認するなら、その順序を受付文に示します。
既存の顧問先に専用の相談窓口がある場合は、新規依頼の入口と区別します。運用上の質問をしたい顧問先が、初回相談の予約から入り直す必要がないように案内します。一方、新規の企業を既存顧問先専用の画面へ送らないよう、対象者の説明をリンクの近くに置きます。
最初の問い合わせに、従業員の個別事情や規程全文の添付を一律に求める必要があるかも確認します。このページで決めたいのは、希望する支援と次の相談方法です。詳細資料が必要な場合は、事務所が指定する受け渡し方法を案内します。取得項目や保存先などの全体設計は、問い合わせフォームの公開前確認も参照してください。
公開前は、立場の違う三つの相談でたどってみる

ページが整ったら、事務所がよく受ける相談をもとに、入口から送信前までを確認します。例えば、初めて規程を作る企業、既存規程について社内説明を相談したい企業、納品後に質問が生じた企業の三つです。これは説明用の確認場面であり、実在する相談実績ではありません。
一つ目では、対象とする文書、会社側の確認担当、納品までの案内が見つかるかを見ます。二つ目では、説明を受ける相手、提供する資料、追加費用の扱いが分かるかを確認します。三つ目では、現在の契約に応じた連絡先と、相談範囲を確認できるかをたどります。違う状況でも、すべて新規作成の申し込みに戻るなら、案内を見直します。
スマートフォンでも、比較表の行名と条件を対応させて読めるか、別途相談の表示がボタンから離れ過ぎていないかを確認します。横へ動く表なら、横スクロールできることを伝え、左端の支援名を見失わない工夫をします。図中の文字だけで条件を説明せず、本文にも同じ意味の案内を残します。
確認は、業務を判断する社労士、受付担当、制作担当で役割を分けます。社労士は提供範囲と専門表現、受付担当は実際の振り分け、制作担当は表示と移動先を確かめます。未確定の条件は公開原稿の外で管理し、誰の回答を待っているのかを残します。画面が完成したことを、業務条件の承認と混同しない進め方です。
公開後に支援内容や契約の扱いが変わったときは、サービス本文だけでなく、比較表、料金、説明図、フォームの選択肢も一緒に点検します。相談時に繰り返し聞かれた点を記録しておくと、次の修正箇所を見つける材料になります。質問が増減した理由や問い合わせへの効果は、記録を確認してから判断します。
就業規則の業務案内は、仕事を多く並べるよりも、誰への説明か、何を受け取れるか、どこまで相談できるかが分かることを優先します。まず現行ページの「作成後も支援」という箇所を探し、その直後に具体的な条件があるかを確認してください。そこから、自所の実際の支援に合う比較表と相談入口を決められます。
社労士事務所の支援範囲を、相談しやすいサイトへ
みやあじよでは、事務所で確認した業務の範囲をもとに、サービス紹介、比較表、相談入口を整理します。社労士事務所向けホームページ制作で、取材とページ設計の内容をご確認いただけます。
参考にした一次資料
- グロースリンク社会保険労務士法人:就業規則作成支援 — 原稿読み合わせと、オプションの従業員説明会を区別する掲載例。
- OAG社会保険労務士法人:就業規則作成支援サービス — 労務顧問を通じた運用定着支援の掲載例。
確認日:2026年9月16日。掲載構成のみを参照し、法令適用、料金、成果を一般化していません。