新サービスの名前は決まったものの、ホームページの冒頭に置くと、何を頼めるのかが伝わらない。社内では毎日使う名前でも、初めて訪れる人には用途が分からないことがあります。名称を変更するか検討する前に、その隣へ置く説明と、説明を残す場所を整理しましょう。
この記事では、新サービスを紹介する事業責任者やWeb担当者に向けて、独自の名称に「誰の、どんな作業を、どこまで支えるか」を添える方法を紹介します。名前の良し悪しを採点する記事ではありません。実際の提供内容を確かめ、ページの冒頭、一覧、メニュー、相談の入口で使い分けるための原稿を作ります。
名前と、何を頼めるかの説明を分ける
独自の名称は、サービスを覚えてもらったり、社内外で同じものを指したりするために使えます。一方、その名称をまだ知らない人が知りたいのは、自分の困り事に関係するサービスなのか、相談すると何をしてもらえるのかということです。名称だけで両方を満たそうとすると、長く複雑な名前へ変えたくなることがあります。
まずは名称をそのまま残し、直前か直後に具体的な説明を置きます。「次の可能性を、ともにつくる」といった理念を添える場合も、それだけで用途を説明したことにはしません。理念とは別に「製品カタログ用の商品情報を整理するサービス」のような、依頼する作業が浮かぶ言葉を用意します。
英国政府のサービス設計ガイドでは、利用者が使う言葉や、利用者が行いたい作業からサービス名を考える方法を示しています。これは公共サービスの命名に関する指針であり、民間企業のブランド名を変更しなければならないという意味ではありません。本記事では、利用者の言葉で作業を表す考え方を、名称に添える説明文の作成へ応用します。参考:GOV.UK「Naming your service」
制作会社へは「もっと分かりやすく」だけを伝えず、今の名称と、実際の仕事を表す一文をセットで渡してください。名称を大きく見せる必要がある場合も、その一文がどこまで離れてよいかを一緒に決めると、見た目の調整で説明が抜けるのを防げます。
対象者・使う場面・受け取るものを先に確定する
文章を短くする前に、材料となる事実を事業担当者と確認します。最初は美しいコピーでなくても構いません。誰が依頼するのか、どんな場面で困るのか、何を渡すと何が返ってくるのかを、それぞれ別の欄へ書きます。自社が担う作業と、依頼者側に残る作業も分けてください。
たとえば、架空の「独自名称A」というサービスを考えます。対象は製造業の販促担当者、場面は新しい製品カタログを作る前、依頼者が渡すものは既存の製品資料、受け取るものは掲載項目をそろえた商品情報一覧とします。ここでは、撮影、カタログのデザイン、仕様値の正誤確認は含まないという仮の条件を置きます。以下の文例は、この条件を説明するための設計例です。
この材料があれば、「事業の魅力を総合的に支援」よりも「製品カタログを作る前の商品情報整理」と書けます。反対に、デザインまで提供しないのに「カタログ制作を一括支援」と短縮すると、依頼できる仕事が広がって見えます。言い切れる範囲が不明な箇所は、文章担当者の判断で埋めず、事業担当者へ戻します。
対象者は、必要以上に細かく限定する必要はありません。製造業以外にも提供するなら、その条件に合わせた表現へ直します。ただし、実際には法人向けなのに、誰でも利用できるような説明へ広げないことが大切です。対象を省くかどうかは、文字数だけでなく、別の客層からも同じ相談を受け付けられるかで判断しましょう。
同じ名称に添える説明を、比較表で作る
説明文は、名称だけの状態と並べると、足りない情報が見えます。次の表は、架空のサービスをホームページへ掲載する場合の比較です。右欄の事実は制作上の確認点であり、実在するサービスの仕様や成果を示すものではありません。
| 掲載する場所 | 名称だけの例 | 用途を補った例 | 残すべき事実 |
|---|---|---|---|
| 詳細ページの冒頭 | 独自名称A | 製品カタログ用の商品情報整理「独自名称A」 | 何の準備を支えるか |
| サービス一覧のカード | 独自名称Aのご紹介 | 製品資料を整理し、掲載項目をそろえた一覧に | 依頼後に受け取るもの |
| メニュー内のリンク | 独自名称A | 商品情報整理サービス | 移動先で扱う内容 |
| 相談へ進むリンク | 独自名称Aはこちら | 商品情報整理について相談する | 進んだ先で行うこと |
表の文例を全部つなげて、一つの見出しにする必要はありません。冒頭では用途と名称を組み合わせ、続く短い本文で「製造業の販促担当者向け」「既存資料をもとに整理」と補います。一覧のカードでは、ページ全体を読めない状態でも内容を判断できるよう、成果物にあたる一覧を説明します。
同じ場所に複数の案を置いたまま制作を始めると、担当者ごとに別の表現が採用されます。比較を終えたら、採用する文を一つに決め、未採用の案とは分けてください。正式名称の表記、用途を表す短文、詳しい範囲説明の三つが揃えば、画面に合わせて配置を検討できます。
比較するときは、表の右欄から左へ読み戻す方法も使えます。「受け取るものは一覧」と決めたのに、採用文が「情報活用を支援」になっていれば、具体性が失われています。「資料を整理する」が確定事項なのに「情報を収集する」へ変わっていれば、作業の内容が変わっています。表現が自然かだけでなく、元の事実を保っているかを一つずつ確認しましょう。
冒頭・一覧・メニューで残す情報を決める
サービスの詳細ページでは、名前を見る場所の近くに用途が読める状態を作ります。大きな名称の下へ説明を置く場合は、スマートフォンでも説明まで自然に読めるかを確認します。写真が大きくなった結果、用途の一文だけがかなり下へ押し出されるなら、画像の高さや文字の順序も調整の対象です。
一覧カードは、詳細ページの冒頭をそのまま小さくする場所ではありません。ほかのサービスと並ぶため、何が違うかを判断できる説明が必要です。架空例なら、「情報整理」と「カタログデザイン」が別サービスとして並ぶ場合に、両方を「制作支援」とだけ表示すると選び分けにくくなります。作業や受け取るものが異なることを、カードの見出しと短文で示します。
メニューは表示幅が限られるため、正式名称と補足文の両方を必ず一行に収めるという決め方を避けます。「商品情報整理サービス」を表示し、移動先の冒頭で正式名称と結び付ける方法もあります。反対に、既存の利用者が名称で探す必要があるなら、名称を残して、その下に用途を添える配置を検討します。どちらを採用するかは、今の利用者がどの言葉から探すかも踏まえて決めてください。
入口の文章と移動先の文章は、意味をつなげます。一覧で「商品情報を整理」と案内したのに、詳細ページの冒頭が独自名称と理念だけなら、読者は同じサービスへ着いたのかを確かめにくくなります。一覧から詳細ページを開いたときに、用途を表す言葉がもう一度見えるようにします。すべての文を同じにする必要はありませんが、共通して残す言葉を原稿表で決めておくと、別々の担当者が画面を作る場合にも役立ちます。
短くしても提供範囲を広げない
短い説明文では、一語を削るだけで意味が変わることがあります。「資料をもとに商品情報を整理」と「商品情報を作成」では、新しい内容を考えるところまで頼めるのかが異なります。「相談」と「申込み」も、進んだ先で利用者が行うことを変えて見せます。実際の作業や受付の状態に合う動詞を選びましょう。
特に「一括」「すべて」「お任せ」といった表現は、範囲の確認が必要です。架空例で撮影や仕様確認を含まないなら、「カタログのことはすべてお任せ」という補足文にはできません。短い見出しに除外事項を詰め込む代わりに、まず「商品情報整理」と作業を絞り、その近くの本文へ「撮影・デザインは含みません」と必要な条件を置きます。
後から対応範囲が増えた場合も、見出しだけを更新しないでください。一覧の短文、詳細ページの説明、相談フォームの案内が古いままだと、入口によって違うサービスに見えます。原稿表に掲載場所を残しておくと、事業内容を変更した際に見直す範囲をたどれます。
誤解を減らすための説明と、契約条件をすべて書くことは別です。冒頭ではサービスの用途をつかめるようにし、詳しい条件が必要な項目は対応範囲や利用の流れへつなぎます。説明を長くしても、依頼できる作業の輪郭が曖昧なままなら、事実の整理に戻ったほうが原稿を決めやすくなります。
画像の文字だけに補足説明を閉じ込めない
名称と補足文を一枚の画像にすると、画面サイズに合わせて文字も縮小されます。画像では読めるのに、サービス一覧には名称しか残らないという抜けも起こります。サービスを判断するための説明は、ページ上の文字としても読めるよう、制作時に配置を指定しましょう。
W3Cの見出しとラベルに関する解説では、見出しやラベルが内容や目的を説明することを扱っています。短い表現でも、目的が分かれば成立する場合があります。一方、適切な見出しの構造を実装することとは別の論点です。用途を添えただけでアクセシビリティ全体への対応が完了するわけではありません。参考:W3C「Understanding SC 2.4.6: Headings and Labels」
制作の確認では、見出しの文章に加え、どの文字を見出しとして扱うかも確認します。「詳しく見る」というリンクだけが並ぶ一覧なら、カードの見出しとリンクの関係を画面や実装で確認する必要があります。原稿担当者は「商品情報整理の詳細へ」のように移動先が分かる文を用意し、最終的なリンクの扱いは制作者とすり合わせてください。
制作依頼へ名称と補足文の組み合わせを渡す
依頼用の原稿には、正式名称、用途を表す一文、対象者、提供する作業、受け取るもの、含まない作業をまとめます。あわせて、冒頭・一覧・メニュー・相談リンクに採用する文を分けて記入してください。まだ決まっていない事業条件は、仮の説明で公開原稿を完成させず、確認する担当者とともに残します。
初稿の画面ができたら、原稿表の採用文と実際の表示を照合します。改行のために対象者が削られていないか、カードの末尾が省略されて成果物が読めなくなっていないか、メニューの表記とページの名称が対応するかを見ます。文字を小さくして収める前に、配置や行数を調整できるかも確認してください。省略が必要なら制作者だけで文を削らず、残す事実を事業担当者と決め直します。
営業担当者が口頭で説明するときに必ず補っている言葉も、原稿の材料になります。ただし、担当者が個別に対応した例を標準の提供範囲へ広げないよう、事業責任者が確認します。Web担当者はその確定した内容を使い、名称しか表示されていない入口を洗い出して、修正する場所を制作者へ伝えます。
最初の作業は、サービス名を言い換えることではなく、その名前の隣に置く一文を決めることです。実際に頼める内容と、画面で読める説明が揃うと、名称を維持したまま紹介ページを具体化できます。説明の材料はあるのに掲載場所や見せ方が決まらない場合は、原稿表と現行ページをもとに、Web制作の範囲を相談しましょう。
新サービスの紹介ページを整える際は、新事業・新サービスの立ち上げ支援をご確認ください。名称に添える説明から、ページ構成や相談への導線まで、ホームページ制作・改善の相談につなげられます。


