「オンライン相談に対応しています」と掲載していても、申込者から接続先を尋ねる電話が続く。予約フォームに詳しい事情や書類を添付してよいか分からず、相談前のやり取りが止まる。社労士事務所のサイトでは、相談できることに加えて、相談までに何を準備するかを伝える必要があります。
整理したいのは、相談日時を決める案内、会議へ接続する案内、必要な資料を受け渡す案内です。同じメールで伝える場合でも、目的と入口を分ければ、利用者は次にすることを選びやすくなります。この記事は、事務所の経営者・受付責任者・Web担当者が制作会社へ画面の改善を依頼するための整理です。労務上の判断や、個別案件で必要な資料の決定は扱いません。
相談の入口では、対象と日時の決まり方を示す
初めに、誰のどのような相談をオンラインで受けるのかを事務所内で確認します。法人の労務担当者向けか、個人からの相談も受けるのか、新規相談と既存顧問先の窓口は同じかによって、入口の説明が変わります。「全国対応」という言葉だけでは、対象業務や受付の条件まで伝わりません。
対応できる相談、事前に確かめたいこと、別の窓口へ案内する内容を、事務所が決めた範囲で掲載します。オンライン面談の予約を受けることと、手続きや顧問業務の依頼を受けることも区別します。相談の申込みだけで委託業務まで開始されるように見えるボタンは、実際の契約と受付の流れに合わせて見直します。
日時がその場で確定する方式か、担当者が候補を調整する方式かも明記します。栗元社会保険労務士事務所の公開案内では、フォームでの連絡、担当者が送る候補日の選択、会議接続用URLの案内を段階に分けています。参考になるのは、このように受付と接続案内の間を省略しない構成です。同事務所の受付条件を他の事務所へ転用するものではありません。栗元社会保険労務士事務所のオンライン相談案内
費用や所要時間、日程変更の扱いも、確認済みの案内を予約の近くに置きます。条件が相談区分によって違うなら、選択した区分の条件を見つけられるようにします。制作担当が一般的な料金や返信日数で空欄を埋めず、未決定の項目を事務所へ戻すことが先です。
予約から資料確認まで、案内する画面を並べる
ここでは、架空のA社労士事務所が、相談S-01を受け付ける設計例を考えます。担当者が日時を調整し、面談に必要な資料がある場合だけ個別に送付方法を案内する前提です。実在する事務所の規則ではなく、相談者の氏名、従業員情報、費用、返信期限は設定しません。
次の表は、利用者へ何を知らせるかと、事務所側で何を確認するかを対応させたものです。すべてを一つのページに詰め込むための表ではありません。公開ページで知らせる内容と、予約者へ個別に渡す内容を分けるために使います。

| 段階 | 利用者へ知らせること | 主に置く画面・案内 | 事務所側の確認 |
|---|---|---|---|
| 相談の申込み | 対象、希望日時、相談の概要 | 公開案内と申込画面 | 受付範囲と調整担当 |
| 日時の確定 | 確定日時と変更の連絡先 | 個別の確定通知 | 希望と確定の区別 |
| 接続の準備 | 利用環境、接続テスト、未着時の連絡 | 予約者向け案内 | 実際の会議設定との一致 |
| 当日の面談 | 個別の参加方法、接続できない場合 | 当日見返せる案内 | 待機中・未接続の対応 |
| 必要資料の案内 | 指定する資料と送付方法 | 対象者への個別案内 | 必要範囲と送付先の承認 |
| 資料の受領後 | 受領状況と次の連絡 | 受領表示・担当者の連絡 | 閲覧可能かと確認担当 |
資料が面談前に必要な場合は、日時確定後など、事務所が決めた位置で個別案内を送ります。面談してから必要資料を決める場合もあります。表の上から下へ必ず進むという意味ではなく、接続準備の流れとは別に、必要な人だけ資料案内へ進む分岐として設計します。
また、「案内を送った」「相手が受け取った」「準備ができた」は同じ状態ではありません。メールを配信した記録だけで準備完了にせず、未着の問い合わせ先と、当日までに解決できない場合の連絡方法を示します。事務所が確認できない状態は、確認済みとして画面に表示しないようにします。
画面を並べるときは、各案内の編集担当も記入します。サイト本文は制作会社、予約通知は予約サービス、会議案内は受付担当というように管理が分かれていると、一か所を直しても古い説明が残ります。利用者に渡る文面を一式で点検するための一覧にします。
接続準備は、会議の設定に合った案内にする
接続準備の案内には、使用する会議サービス、対応する端末や参加方法、事前に確認する音声・映像、案内が届かない場合の連絡先を含めます。説明の量を増やすより、自所が実際に採用している参加方法へ絞ることが大切です。一般的なサービス紹介と、事務所の設定による制約を混ぜないようにします。
Zoomの公式ヘルプには、面談前にインターネット接続や音声・映像を確認するテストミーティングの案内があります。サイトに操作画面を大量に複製する代わりに、事務所で利用方法を確認したうえで公式の案内へつなぐ方法があります。ただし、テストができたことと、事務所の会議に入室できることは別です。Zoomのテストミーティング案内
例えば、本番の会議で認証や待機室などの設定を使う場合は、その条件に合った参加案内が必要です。接続テストの一般的な説明にある参加方法が、そのまま本番で許可されるとは限りません。画面の文言は、サービス提供会社の現行資料と、自所の設定を照合して決めます。
公開ページには準備の概要を載せ、個別の会議URLや参加情報は予約者向けの案内に分けます。サンプル画面を掲載するなら、実際の会議へ入れる情報を残さず、説明用の表示だと分かる形にします。準備案内を分かりやすくするために、実際の参加情報を公開する必要はありません。
カメラを使うか、画面共有を予定するか、録画・録音をどう扱うかも事務所で決めた方針を伝えます。制作会社が一律の方針を設定するのではなく、責任者が確定した内容を、予約前と当日の案内で矛盾なく表示します。会議サービスの設定を変えた際は、これらの説明も更新対象にします。
つながらない場合は、会議の外から連絡できるようにする
接続できない人に、会議内のチャットだけで連絡するよう案内しても役に立ちません。予約者向けの案内には、会議へ入らずに確認できる連絡先を置きます。電話か別の窓口か、受け付ける時間帯はどうするかを事務所が決め、担当者が実際に対応できる内容にします。
東京都のオンライン労働相談の案内は、予約完了と会議URLの通知を分け、メール未着時の連絡や、接続状況によって電話相談へ切り替える場合を説明しています。本稿では、このように通常の流れから外れた場合の案内を併記する構成を参照します。同窓口の利用条件や、電話対応の方針を自所にそのまま当てはめるものではありません。東京都のオンライン労働相談案内
A事務所で電話への切替を認めるなら、誰が判断し、どの連絡先を使うかを内部で確認します。対応していない場合に「電話へ切り替えられます」と掲載することはできません。再調整になる場合も、その案内を見つけられるようにします。接続不良だけで自動的に取消しになる表現は、実際の規定と照合します。
待機画面から進めない、音声だけ聞こえない、案内メールが見つからないという状態は、原因も対応も異なります。公開FAQで細かな技術手順を網羅するより、利用者が状態を伝えて担当者につながる入口を用意します。連絡時に必要な情報も、事務所で照合できる最小限の範囲に決めます。
案内をメールにまとめる場合は、当日にスマートフォンで見返せるかも確認します。長い署名や注意文の下に連絡先が埋もれているなら、日時と参加案内の近くへ移す候補です。会議用の端末とは別の端末で読む場合でも、次に何をすればよいかが分かる見出しにします。

相談の概要と、個別資料の送付先を分ける
最初の申込画面では、受付や担当者の振り分けに必要な相談の概要を案内します。詳しい事情を自由に記入できるからといって、従業員の情報や関連資料を何でも送ってもらう構成にはしません。何をこの段階で受け取り、何を後から確認するかを事務所の社労士と情報管理責任者で決めます。
A事務所の設計例では、必要な資料と送付方法を担当者が個別に案内します。申込画面には、その流れが分かる説明を添えます。ただし、実際には初回から指定資料を受け付ける事務所もあるため、すべての事務所で添付欄をなくすという意味ではありません。業務上必要な段階と、承認した受取方法に合わせます。
個別案内には、対象となる資料、送付先、受け取れる形式、確認できる容量、送付できない場合の連絡先を示します。必要のないページや情報を除く判断も、制作側で一律に指定せず事務所へ確認します。「資料一式」という表現だけで、利用者に範囲を推測させないことがポイントです。
送付先は、会議の参加URLと見出しを分けます。同じ案内内に二つのリンクを置くなら、「面談に参加する」「指定された資料を送る」のように目的を区別します。画面共有で見せることと、ファイルを事務所へ渡すことも同じではありません。どちらを予定するかを、案内と実際の受取方法で合わせます。
受領後も、自動表示と担当者による確認を分けます。ファイルの送信処理が終わっても、内容を読めるか、指定された資料がそろっているか、相談に必要な確認を終えたかは別です。「すべて確認済み」と一括表示せず、確認できている状態と次の連絡を知らせる文面にします。
保存先や閲覧権限、保存期間、削除の運用は、案内文だけで決まりません。資料を扱う責任者と利用サービスの担当者が確認し、制作会社は確定した運用と表示が合うかを点検します。送付リンクを分けただけで安全な受渡しが実現したとは判断しないようにします。
公開前は、予約者がたどる順で表示を確認する
確認には、相談案内、申込後の表示、確定通知、接続準備、当日の連絡、必要資料の案内を使います。実際の相談者情報を入れず、承認された検証環境と架空の情報で、各画面に同じ日時や相談区分が伝わるかを点検します。サイトのページだけを確認して、個別通知を対象外にしないことが重要です。
通常の流れに加え、メールが届かない、参加情報が見つからない、接続できない、資料を送れない場合を確認します。各状態で、利用者が会議や送付画面の外から次の連絡方法を見つけられるかを見ます。自動通知の配信、相手への到達、担当者の対応は、それぞれ確認範囲を記録します。
専門的な相談範囲と必要資料は社労士、接続設定と資料の取扱いは事務所の管理担当、画面や文章の整合は制作担当というように確認を分担します。担当を分けても、最終的に利用者へ渡る案内は一つの流れです。変更があったときに、誰が関連する通知文まで直すかを残しておきます。
制作会社へは、現在の公開ページ、予約者へ送る案内の雛形、採用している会議と資料受取の方法を提示します。個人情報や実際の参加情報を除いた見本でも、説明が途切れる場所を確認できます。「オンライン対応」と書き足すだけで終わらせず、日時を決める、接続を準備する、必要資料を渡すという三つの目的を、利用者が見分けられる案内に整えてください。
参照資料:栗元社会保険労務士事務所「オンライン相談予約フォーム」、東京都「オンライン労働相談 予約案内」、Zoom「テストミーティングに参加する」。2026年9月20日確認。各窓口の費用・対象・受付条件を自所の条件へ適用するものではありません。