ホームページをリニューアルした翌月、アクセスが増えたので成功と報告した。ところが同じ時期に広告を増やしており、問い合わせの中には採用応募や営業連絡も混ざっていた。これでは、今回変えたページが役立ったのかを判断しにくくなります。
リニューアル後の成果を比べる準備は、公開前から始めます。変えるページ、確かめたい行動、比較する期間と流入元、問い合わせの数え方を記録しておくことが出発点です。本稿では、経営者・Web担当者が制作会社と共有する比較条件を整理します。実際の成果を測った事例ではなく、改修後に何を残し、何を追加で直すかを決めるための設計例です。
変更した画面と、確かめたい行動を組にする
「サイトを新しくした」という記録だけでは、何の変化を見ればよいか分かりません。サービスの説明を増やした、事例から相談へ進むリンクを追加した、フォームの入力項目を減らした、といった変更を、対象ページと公開日へ結び付けます。全部を一つの成果として評価する前に、今回の改修で解消したかった困りごとを確認してください。
架空の法人向けサービス会社を例にします。以前はサービス一覧から直接問い合わせへ進ませていましたが、リニューアルでサービス詳細を新設し、対応条件と事例を読んでから相談できるようにした設定です。この場合は、サイト全体のアクセスだけでなく、対象サービスの案内が読まれ、相談の内容が事業に合っているかを確かめたいところです。
公開前には、旧画面の画像、主要な説明文、リンク先、問い合わせ項目を残します。数字だけでなく、利用者が何を見て何を選べたかを確認できる記録にします。旧画面が残っていなければ、後から問い合わせが変わったときに、説明の追加が関係したのか、入口が変わったのかを検討する材料が不足します。
変更は、意図したものと、それに伴って変わるものを分けて記録します。フォームを短くする改修に合わせて送信完了の計測方法も変えたなら、入力の負担と数え方の二つが変わっています。「フォーム改善」と一行にまとめず、画面変更と計測変更の両方を確認表へ残します。
段階的に公開する場合は、サイト全体の公開日だけでなく、対象ページを切り替えた日も残します。先に新しくしたサービスページと、後日変更したフォームを一つの日付で区切ると、比較期間に旧画面と新画面が混在します。期間の途中で追加修正したときも、その変更を履歴へ追記し、最初の改修だけを見た結果として扱わないようにします。
旧・新ページを、同じ役割で比べられるようにする
URLが変わったとき、旧URLの閲覧が減り、新URLの閲覧が増えることだけでは成果を説明できません。公開前後で同じ役割を持つページを対応させます。旧サービス一覧の説明を新しい詳細ページへ分けたなら、旧一覧一つと新詳細一つだけを同じ対象として比較できるか、先に考える必要があります。
架空例では、旧一覧の中にサービスAとBの説明があり、新サイトで別々の詳細ページを設けたとします。旧データにAだけを読んだ記録がなければ、新しいA詳細ページと厳密に一対一では比べられません。旧一覧と新しい一覧・詳細群を一つの対象として傾向を見る方法はありますが、Aだけの改善率を計算できたことにはしません。
ページ群で集計するときも、何を数えているかをそろえます。複数ページの閲覧回数を合計することと、そのページ群を利用した人の数を求めることは異なります。同じ人が一覧と詳細を見れば両方に現れるため、ページごとの人数を単純に足して人数の総計にしないよう、集計方法を担当者へ確認します。
比較対象には、公開前に存在しなかったページも明記します。新設した事例ページは、そのページ自体の利用状況を公開後の基準として残せますが、変更前の値をゼロと置いて成果を大きく見せるべきではありません。以前は別の場所で担っていた説明なのか、今回初めて提供した情報なのかを区別します。
旧新URLの対応表には、引き継いだ役割と、比較できない部分を添えます。これはURLの転送先を決める表と関連しますが、目的は数値を同じ範囲で読むことです。ページの移転が正しくできていても、比較対象がそろっているとは限りません。
期間と流入元をそろえ、広告や季節の変化を添える
公開前後の一か月を並べても、日数、曜日、休業日、繁忙期が違えば条件は変わります。比較期間は、開始日と終了日を明示し、なぜその期間を選ぶかを記録します。期間をそろえるために不都合な日だけを後から外すのではなく、公開作業日や計測停止日をどう扱うかも先に決めます。
Google アナリティクスの期間比較には、前の期間、同じ曜日から始まる前の期間、前年の同じ日付による比較があります。それぞれそろう条件が異なるため、「前期比」とだけ書かず、実際に選んだ日付と条件を保存します。前年の日付が同じでも、曜日まで一致するとは限りません。Google アナリティクスの期間比較
法人向けの受付なら営業日の配置、季節商品なら前年の販売時期など、自社の目的に関係する条件を見ます。直前の期間と前年の同時期を併記すると判断材料が増えることがありますが、前年に商品や営業範囲を変えているなら、その差も残します。どの会社にも一つの比較期間が適するわけではありません。
流入元も分けます。広告の配信を増やした時期と自然検索からの訪問を一緒にすると、サイト改修で訪問が増えたように見える場合があります。対象ページに入った人を、同じ集計方法で検索、広告などに分け、広告の配信先や訴求を変えた日を添えます。分類の仕組みまで変更した場合は、前後の区分が同じ意味かを確認します。
Google 検索セントラルは、検索流入の変化を調べる際に、季節性や関心の変化、類似期間との比較、ページや検索語ごとの確認を挙げています。検索の増減をリニューアルだけに結び付けず、対象の需要や影響範囲を調べるための観点として使えます。Google 検索トラフィックの確認方法
広告や季節要因を記録しても、その影響を完全に取り除けたことにはなりません。公開と同時に価格、商品、営業体制も変わったなら、今回の比較で言える範囲を限定します。「改修後に増えた」という観察と、「改修が原因で増えた」という結論を分けて書くことが大切です。

計測方法と問い合わせの定義が変わった箇所を分ける
画面の改修と一緒に計測を整えると、以前は記録されていなかった操作が見えるようになることがあります。この増加は、利用者の行動が増えたためとは限りません。公開前に、どの操作をどの条件で一回として数え、どこから記録できているかを、計測担当者と確かめます。
たとえば旧サイトでは送信ボタンの押下を数え、新サイトでは送信完了を数える設定だったとします。名前がどちらも「問い合わせ」でも、測っている出来事が違います。過去の計測を送信完了として読み替えず、同じ条件で取れる範囲を探すか、新しい計測の開始日から別の基準を作ります。
計測用の名称だけでなく、対象フォーム、テスト送信の扱い、重複の扱い、集計画面と絞り込み条件も記録します。公開直後には、画面で操作できることと、記録が意図した回数で残ることを分けて確認します。同意画面や計測対象の設定を変更した場合も、観測できる範囲が同じかを担当者へ確かめてください。
さらに、送信件数と有効問い合わせは分けます。有効問い合わせは、自社で次の対応につなげたい相談として定義し、営業連絡、採用応募、同じ相談の再送などの扱いをそろえます。今回だけ都合のよい区分へ変えると、前後の比較ができなくなります。定義を見直す必要がある場合は、変更日と理由を残します。
営業による分類には時間がかかる場合があります。変更前は対応後の情報で分類し、変更後は受信直後の情報だけで分類すると、同じ基準でも判断材料が違います。どの時点の情報で区分したか、未判定が何件あるかを併記し、未判定を勝手に無効へ入れないようにします。集計資料へ顧客の詳しい内容を転記する必要はありません。
効果確認表に、比較できない理由も残す
次の表は、架空のサービス会社で公開前に作る確認表の例です。実績の数字を入れた表ではありません。変更内容と比較対象をそろえ、何が分かれば判断へ進めるかを担当者間で共有します。
| 確かめる変更 | そろえる比較条件 | 外部要因・判断を保留する理由 |
|---|---|---|
| サービス一覧から詳細へ説明を分ける | 旧一覧と新一覧・詳細群の役割、集計する指標、同じ日数と曜日構成 | 旧側にサービス別記録がなく、個別サービスの改善率は出せない |
| 事例から相談への入口を追加する | 対象事例、流入元、相談までの操作、計測開始日 | 公開と同時に広告も追加。改修だけの寄与は分けられない |
| フォーム項目を減らす | 送信完了の定義、対象フォーム、有効問い合わせの分類時点 | 旧側はボタン押下のみ。完了件数の直接比較を保留 |
この表に、実際の公開日、集計期間、記録の保管先、確認担当、次の確認日を添えます。「条件が違う」で止めず、過去データを同じ条件で取り直せるのか、担当者の分類を待つのか、公開後から新しい基準を作るのかを決めます。取得できなかった過去の数値を推測で埋めることは避けます。
結果を書くときは、増減の割合だけでなく、元の件数や分母も示します。少ない件数の中で数件変わった場合と、多くの利用がある中で傾向が変わった場合を同じ印象で報告しないためです。比較条件がそろっていても、その変化が安定して続くかは別の確認になります。
複数の改修を同時に公開した場合は、個々の変更に成果を割り振れないことも記載します。「事例のリンク追加が全問い合わせ増に寄与した」と断定する代わりに、対象ページの利用と相談の内容を合わせて、次に確かめる箇所を絞ります。判断材料が不足しているときに、説明を詳しくすれば因果関係まで分かるわけではありません。

公開直後の不具合確認と、成果の判断を分ける
公開直後は、必要なページが開くか、フォームが使えるか、問い合わせが届くか、計測が続いているかを確認します。不具合があれば、成果比較の期間が満了するまで待つ必要はありません。画面や受付の問題は修正し、発生期間と影響したページを比較記録へ残します。
一方、数日間のアクセス増減だけで、全体を作り直す判断へ進まないようにします。比較したい行動が十分に記録されたか、問い合わせの分類が終わったか、外部要因を確認できたかを見ます。確認日を決めることと、その日になれば必ず結論を出せることは別です。
比較が難しい場合も、すべてを保留する必要はありません。フォームの入力で迷う箇所が見つかった、旧ページから目的の説明へ進めない、といった具体的な問題は、その画面を見直す根拠になります。成果の増減を断定する報告と、使いづらさを修正する判断を混同しないようにします。
まずは今回変える代表的なページを一つ選び、変更前の画面と数値の条件を残してください。旧新ページの役割、期間と流入元、計測と問い合わせの定義をそろえ、そろわない点も確認表へ書きます。その記録があれば、公開後の報告を見た目や数字の印象で終えず、次にどこを確かめ、何を直すかへ進められます。
改修範囲と公開後の確認を一緒に整理する
みやあじよでは、現在のサイトの課題から、部分改善やリニューアルの範囲を整理します。変更するページと公開後に確かめたいことを相談したい方は、ホームページのリニューアル・部分改善をご覧ください。現在のURL、変更予定の内容、取得できている記録をお聞かせください。
参考・出典
- Google アナリティクス:レポートで期間の変更と比較を行う — 期間比較の条件を参照。
- Google 検索セントラル:Google 検索トラフィックの減少をデバッグする — 季節性、期間・ページ・検索語別の確認観点を参照。
確認日:2026年9月16日。サービス会社、変更内容、確認表は架空の設計例です。実際の計測設定、相談分類、事業条件は自社の担当者と確認してください。成果の実測や因果効果の推定は行っていません。


