法人サイトに複数の事業所が並んでいるのに、どこへ相談すればよいか分からない。同じ建物で複数のサービスを提供していたり、似た名称の事業所が別の地域にあったりすると、写真と住所だけでは相談先を選びにくくなります。
見直したいのは、事業所を並べる単位と、そこへたどり着く入口です。サービス、地域、事業所、相談窓口を対応させ、名称を知らない人も、調べたい事業所が決まっている人も進める構成を考えます。本記事は、複数サービス・事業所を運営する介護法人の経営者やWeb担当者が、一覧と詳細ページの改修範囲を決めるためのものです。
正式なサービス名、提供地域、利用対象、個別の受入可否は、事業所の責任者が確認する内容です。制作側では利用資格や保険給付を判断せず、確認済みの情報を探しやすい画面と相談先へ結び付けます。
建物の一覧と、サービスの一覧を同じものにしない
建物名を一つのカードにして、外観写真と住所を載せる方法は、場所を紹介するには役立ちます。しかし、その建物で何を提供しているかが分からなければ、サービスを探す人の入口としては足りません。同じ場所にあるからといって、すべての問い合わせを同じ窓口で受けるとは限らないためです。
例えば、架空の「Aセンター」に通所のサービスと訪問のサービスがあるとします。建物のカードから電話をかけるだけでは、どちらについての相談かが受付に伝わらない場合があります。建物の紹介に加えて、サービス名と各案内へのリンクを示し、何について相談するかを選べるようにします。
反対に、一つのサービスを複数の事業所で提供している場合は、そのサービスの説明から対応する事業所一覧へ進めると探しやすくなります。サービス紹介を読んだ後に法人トップへ戻り、地名や施設名から探し直す構成になっていないか確認してください。
共通の理念や法人概要はまとめられますが、事業所ごとのサービスや窓口まで共通化しないことが大切です。管理画面の都合で一つにまとめる前に、利用者がどの単位で情報を探し、受付がどの単位で答えるかを整理します。
名前を知っている人と、知らない人の入口を用意する
サイトへ来る人が、正式なサービス名を知っているとは限りません。まずはサービスの名称に短い説明を添え、概要を確かめられる入口を作ります。説明文は、事業所が確認した内容を使い、生活上の困りごとだけから利用できるサービスを自動判定するような表現にはしません。
一方、紹介資料などで事業所名を知っている人には、名称から直接探せる入口が必要です。正式名称に加えて、よく使われる呼び名や旧名称を検索対象にするかも検討します。似た名称が複数ある場合は、検索結果の見出しの近くに地域とサービス名を表示し、どの事業所かを見分けられるようにします。
ニチイの介護拠点検索では、地図から探す入口と、サービス・都道府県・市区町村・施設名などの条件を指定する入口が用意されています。参照したいのは、分かっている情報に合わせて探し始められる構成です。自社の事業所数や更新体制に合わせ、必要な入口を選びます。ニチイの介護拠点検索
事業所が少なければ、複雑な検索機能を新設せず、サービス別・地域別の短い一覧で対応できることもあります。検索機能を増やすことを目的にせず、現在の一覧でどこが見つけにくいのかを確認して決めましょう。
サービス・地域・相談先を、一つの対応表で確認する
画面を作る前に、事業所とサービスの組み合わせを整理します。住所だけでなく、どの地域の案内を載せるか、どの窓口へつなぐかを一組にします。次の表は、架空の法人を使った設計例です。実在事業所の提供内容や利用条件ではありません。
| 事業所とサービス | 所在地の表示 | 提供地域の確認資料 | サイトで案内する相談先 |
|---|---|---|---|
| Aセンター・通所サービス | A市の所在地 | A通所担当が確認した案内 | A通所の相談窓口 |
| Aセンター・訪問サービス | 同じ建物の所在地 | A訪問担当が確認した案内 | A訪問の相談窓口 |
| B事業所・訪問サービス | B市の所在地 | B担当が確認した案内 | Bの相談を受ける法人窓口 |
| サービスが未定の相談 | 特定事業所へ固定しない | 受付時に確認する範囲 | 法人が実際に設けている相談先 |
所在地は、事業所がある場所です。提供地域は、そのサービスについて事業所が確認した範囲です。地図のピンや最寄りの住所だけを見せると、近ければ利用できる、同じ市内ならすべて対応している、と受け取られる可能性があります。二つの項目を分けて入力・表示します。
地域の説明をどこまで一覧に出すかも決めます。短く示せる場合はカードに記載し、細かな条件は詳細ページへつなぎます。省略する場合も「提供地域を確認」など、何が分かるリンクかを示します。広報担当が地図から独自に円を描き、正式な範囲のように見せることは避けます。
同じサービスでも窓口が違う場合、電話番号だけでなく「どの事業所の、何の相談を受ける窓口か」を記録します。法人本部がまとめて受けるなら、事業所の直通窓口があるように表現せず、対象の事業所と受付部署を一緒に表示します。
一覧カードは、サービスの組み合わせを保って詳細へつなぐ
一覧のカードには、事業所名、サービス名、所在地、詳しい地域案内への入口、相談先が分かる情報を配置します。すべての内容を詰め込むのではなく、そのカードで何を確かめて、次にどこへ進むかを明確にします。
Aセンターに複数のサービスがある場合、建物の共通カードの下にサービス別のリンクを並べる方法があります。サービスごとにカードを分ける方法もあります。どちらを選ぶ場合も、通所の説明から訪問の詳細へ誤って移らないよう、リンク先と見出しを対応させます。

この図のAセンターは、一つの建物に二つのサービスがある架空の例です。建物の住所は共通でも、サービスの説明、提供地域の確認先、相談窓口はそれぞれに対応させます。建物を見つけることと、相談したいサービスへ進むことを分けて示しています。
サービスの概要ページと事業所の詳細ページの両方に、同じ長い説明を複製する必要はありません。共通のサービス説明は概要へまとめ、各事業所ではその事業所が提供する内容と条件を示します。一般的な説明が、その事業所での対応をすべて約束する表現になっていないかを責任者に確認します。
絞り込み条件が残ると、探し直しやすくなる
検索機能を設ける場合は、選んだサービスと地域を結果の上にも表示します。「検索結果」と件数だけが出る画面では、何の条件で探したかを見失いやすくなります。条件を一つずつ外せる操作や、最初の状態へ戻す操作も、分かる名称で用意します。
詳細ページを見て一覧へ戻ったときに、選択した条件が保たれるかも確認します。戻るたびに都道府県から選び直す必要があると、複数の候補を比べる負担が増えます。戻るリンクとブラウザの戻る操作の両方で、意図した一覧へ戻れるかを確認します。
該当する事業所がない場合は、選択中の条件を示し、条件を変更する方法を案内します。「利用できるサービスがありません」と断定すると、検索した自社の掲載範囲と、本人が利用できるかどうかが混ざります。検索で見つからなかったことと、利用資格や受入可否の判断は分けます。
サービスをまだ選べない人の相談先を用意する場合は、実際にその相談を受ける部署と対応範囲を確認します。架空の総合相談窓口を置くのではなく、法人の運用に合った案内にします。検索結果がゼロのときだけ、関係のない代表窓口へ自動転送する方法で済ませないことが大切です。

小さな画面では、何を選んだかを文字でも示す
サービスの分類をアイコンや色だけで表すと、意味を覚えていない人には違いが伝わりません。正式名称または確認済みの表示名を併記し、選択中の条件も文字で分かる状態にします。地図を使う場合も、同じ候補へ文字の一覧から進める入口を用意すると、地図上の小さな位置を選びにくい場合に使えます。
一覧のカードが縦に長くなる場合は、サービス名と所在地が写真の下へ離れすぎていないかを確認します。見出しと画像だけで画面が埋まり、何を提供する事業所かが次の画面まで分からないなら、カード内の順序を見直します。写真を小さくするかどうかも、判断に必要な情報が先に読めることを基準に考えます。
一つの建物に複数のサービスリンクを置く場合、すべてを「詳しく見る」と同じ文言にしない方法もあります。「Aセンターの通所サービス」のように行き先を表すと、リンクだけをたどる場合にも区別できます。実際の名称が長い場合は、重要な違いを省かずに、改行や配置で収まる形を検討します。
確認時は、本人・家族向けのサービス相談と、採用応募や取引先向けの連絡が同じ入口へ混ざっていないかも見ます。法人全体のメニューを整理し、事業所を探した後に目的の異なるフォームへ進まないよう、リンク先まで確認します。
公表情報と資料の名称を、サイトの分類に合わせて照合する
厚生労働省は、介護サービスや事業所・施設を比較・検討するための詳細情報を、介護サービス情報公表システムで検索・閲覧できると案内しています。自社サイトの名称や分類を決める際も、事業所が管理する資料と公表情報を確認する担当者を決めます。厚生労働省の介護サービス情報公表制度
サイトで使う愛称と正式名称が異なるなら、対応を分かるようにします。担当者には同じ事業所だと分かっていても、初めて見る本人や家族、紹介する人には別の施設に見える場合があるためです。正式名称を省略した検索結果や、似た愛称だけのカードになっていないかを確認します。
照合するときは、所在地、サービス名、相談先を事業所単位で確かめます。法人の名称だけを一致させても、別事業所の情報が混ざっていない証拠にはなりません。変更が見つかった場合は、何を正しい資料として扱うかを責任者へ確認し、制作側の判断で公表情報や説明資料を上書きしないようにします。
個別施設の設備や費用、生活の案内まで見直す場合は、見学判断に必要な掲載項目を別に確認します。本稿で作るのは、まず目的のサービスと事業所を見つける入口です。すべての詳細情報を一覧だけで完結させる必要はありません。
更新は、事業所とサービスの組み合わせで管理する
一つの事業所でサービス内容が変わったときに、法人全体の説明だけを直しても一覧には反映されないことがあります。管理用の表には、事業所、サービス、掲載ページ、情報を確認する人、反映する担当を記録します。複数ページで共通利用する情報と、その事業所だけの情報を区別します。
移転や名称変更がある場合は、検索対象の名称、所在地表示、地図、詳細へのリンク、相談先も見直します。サービスを終えた場合も、建物自体がなくなったのか、同じ場所の別サービスは続くのかを確認してから表示を変えます。一つの終了を理由に、別サービスまで一覧から消さない仕組みにします。
空き状況や見学の受付は、更新の頻度も意味も異なる情報です。検索に表示された事業所が、今すぐ利用できることを意味しないようにし、空き情報を載せる場合は複数施設の空き状況と見学窓口の管理として分けて設計します。事業所検索と空き状況を同じ分類項目だけで扱わないようにします。
改修を依頼する際は、サービスと事業所の対応表、現在の一覧と詳細ページ、実際の相談先を用意します。サービス名から探す人、地域から探す人、事業所名が分かる人の三つの場面で入口をたどり、どこで迷うかを確認しましょう。そこで見つかった不足を、分類、表示、リンク、検索、更新の改修範囲へ分けると相談が具体的になります。
参考資料
参照日:2026年9月16日。検索入口の構成と公表制度の紹介を参照しています。表と図は架空の設計例であり、利用資格・保険給付・個別負担額・受入可否を判定するものではありません。


