「生活介護」「共同生活援助」「居宅介護」。事業者には日常的な名称でも、初めて障害福祉のサービスを調べる本人や家族には、違いがすぐには伝わらないことがあります。一方、すべてを「暮らしを支えます」と言い換えると、手元の資料に書かれた名称とサイトの案内を照合できなくなります。
サービス一覧では、暮らしの場面を表す短い説明と、制度上の正式名称を組み合わせます。そこから、自法人のどの事業所で何を行い、その内容についてどこへ連絡できるかまでを一続きにします。名称を簡単にするだけでなく、説明と提供する場所の対応を整える仕事です。
この記事は、障害福祉・生活支援事業者のWeb担当者や経営者に向けたサイト構成の考え方です。個人の利用資格や適したサービスを判定するものではありません。以下の表や図は掲載設計の例であり、対象や提供範囲は自法人の資料と担当者の確認に基づいて作ります。
一覧を作る前に、法人が行う事業を確定する
最初に集めるのは、魅力を伝えるコピーより、現在の事業を確かめられる資料です。事業所の管理者へ、正式なサービス名、事業所名、実施している支援、掲載できる対象や地域を確認します。過去のパンフレットだけを基にすると、変更された名称や終了した事業が新しいサイトへ残ることがあります。
資料を集める段階では、「生活支援」という大きな呼び方を一つのサービス名として扱わないようにします。法人の紹介で使う総称なのか、特定の事業を指しているのかを確認してください。同じ言葉が別の意味で使われているなら、編集用の一覧に正式名称と呼び方の関係を記録します。
厚生労働省の案内には、居宅介護、生活介護、共同生活援助などが別々のサービスとして掲載されています。この整理を名称の確認に使いつつ、自法人がすべて提供しているような一覧にはしません。国の制度説明と、法人の事業紹介は掲載範囲が異なります。厚生労働省の障害福祉サービスの内容
編集用資料には、確認した人の役割、確認日、根拠となる法人資料も残します。Web担当者が制度名の似た別ページから説明をコピーして補うのではなく、管理者など内容を確認できる担当へ不足箇所を返せる状態にします。未確認の欄は、制作中の資料で明示して扱います。
暮らしの説明と正式名称を、同じ場所に置く
一覧の見出しを「日中の活動と生活を支える」とし、近くに「生活介護」と正式名称を添える構成が考えられます。その下には、自法人の事業所で行っている活動や支援を短く記載します。暮らしの説明は入口として使い、正式名称や実際の支援内容まで置き換えないようにします。
「住まいでの暮らしを支える」「自宅での生活を支える」といった表現も、文字だけでは違いが曖昧です。どこで、どのような場面の支援を行うかを担当者に確認し、説明へ加えます。住まいに関する見出しから、一般の住宅探しや家事全般の代行まで対応すると受け取られないかを読み直します。
一つの暮らしの希望に、必ず一つの制度名が対応するとは限りません。そのため「この希望なら、このサービスを利用できます」と断定する診断型の入口にはせず、「当法人の関連する事業を見る」という案内にします。サービスを決められない人の連絡方法も、一覧の近くに置きます。
正式名称を知っている相談支援者などのためには、名称から探せる見出しや一覧も残します。暮らしの言葉を順に読まなければ目的の事業へ到達できない構成は避けたいところです。同じサービス詳細へ、説明からも正式名称からもたどれるようにすると、別々の説明文を増やさずに済みます。
ページのタイトルにも、その対応を反映します。たとえば一覧で「日中の活動と生活を支える/生活介護」と案内しているのに、移動先が「私たちの取り組み」だけでは、同じ事業の説明か判断しにくくなります。詳細ページでも「生活介護」の名称を残し、事業所名は別の項目として示します。ブラウザのタブやサイト内検索の結果に出るタイトルも合わせて確認します。
法人独自の愛称を使っている場合は、愛称、正式な事業所名、サービス名をそれぞれ記録します。一覧では愛称だけ、配布資料では正式名だけという状態なら、詳細ページに両方を掲載して関係を説明できます。似た名称の別事業所があるときには、表記を短縮して区別を失わないことも必要です。
支援内容・事業所・相談先の対応表を作る
サービス紹介の文章と事業所紹介を別々に作ると、読者がその関係を組み立てる必要が生まれます。まず制作側で、説明、正式名称、実施事業所、連絡先の対応を一行ずつ確認します。下の表は確認項目を示すもので、実在する事業所の提供内容や連絡先ではありません。
| 一覧の入口となる説明例 | 添える正式名称 | 実施事業所で確認する内容 | 詳細からつなぐ相談先 |
|---|---|---|---|
| 日中の活動と生活を支える | 生活介護 | 当該事業所で実施する活動と支援 | その事業の内容を案内できる担当 |
| 共同の住まいで暮らしを支える | 共同生活援助 | 掲載できる生活の場と支援内容 | 住まいの案内を受ける確認済みの窓口 |
| 自宅での生活を支える | 居宅介護 | 訪問して行う支援と対応地域 | 訪問支援について確認できる担当 |
| どの事業を見ればよいか分からない | サービスの選択を必須にしない | 自法人で受け付ける相談の範囲 | 範囲を明示した利用相談の連絡先 |
表の説明例は、サービスの定義や対象条件を網羅する文章ではありません。自法人の案内へ使う際には、実施内容と照合して調整します。事業所がまだ決まっていない人に、先に施設名を選ばせるだけの一覧になっていないかも確認してください。
一つのサービスを複数の事業所で行っているなら、そのサービスの下に該当する事業所を並べます。逆に、一つの事業所で複数のサービスを行っているなら、事業所の詳細にそれぞれの名称と内容を示します。「サービス一つにつき施設一つ」と決めてページを作ると、実際の事業構成を表せない場合があります。
たとえば架空の法人で、生活介護を事業所Aと事業所Bが行う場合を考えます。サービス一覧では両方へ案内し、詳細では活動や通うための条件など、確認済みの違いを示します。Aの写真と説明を共通欄へ置いた結果、Bでも同じ内容を提供しているように見える構成は見直します。
対象の説明と、現在の受入状況を混ぜない
対象を伝える欄では、制度上の説明、自法人の提供範囲、現在の受入状況を分けて記載します。「対象となる方」の一段落にすべてを詰めると、制度の説明を読んだ人が、そのまま自法人ですぐ利用できると受け取る可能性があります。
一覧には、事業所の責任者が確認した対象や地域の概要を載せ、詳細ページで補足します。個別の事情によって確認が必要な点は、何について問い合わせるのかが分かる文にします。「詳しくはお問い合わせください」だけにまとめず、「当事業所での支援内容や現在の受入状況については、下記の担当へご相談ください」といった範囲を示します。
空き状況を掲載する場合は、対象事業所と確認時点を付け、更新できる運用かを先に確かめます。一つの事業所の空き情報をサービス全体の見出しへ置くと、別の事業所にも当てはまるように見えます。更新を担当できない状況で、常に最新であることを約束する表示を作らないようにします。
また、相談を受けられることと、利用が決まることは別の情報です。問い合わせボタンの直前で、相談の内容を担当者が確認することを伝えます。Web制作側が、年齢や障害の名称だけで案内を自動的に振り分けたり、該当しないと表示したりする仕組みを、確認のないまま追加しないことが必要です。
「相談支援」と一般の問い合わせを区別する
事業所への連絡をすべて「相談支援」と名付けると、提供している事業の名称と混同する場合があります。厚生労働省の相談支援の案内では、計画相談支援などにそれぞれの役割が示されています。サイトの連絡ボタンにも、法人が実際に担う役割に合った名称を使います。厚生労働省の相談支援の案内
自法人のサービス内容への質問を受ける窓口なら、「当法人のサービスについて相談する」など、受け付ける用件を説明できます。計画相談支援の事業所を紹介する場合は、正式な事業所名と担当する内容を示し、一般の問い合わせ欄と混ざらないようにします。名称を似せるために、実施していない事業があるように見せてはいけません。
外部の公的窓口を案内するときも、自法人への連絡と見分けられるようにします。市町村の制度案内へ進むリンクなのか、法人の担当者へ連絡するボタンなのかを、押す前に分かる文言にします。公開情報から外部窓口の役割を確かめ、連絡すれば必ず希望するサービスが決まるとは書かないようにします。
フォームを設ける場合は、正式なサービス名が分からない人でも送れるかを確認します。「未定・説明を聞きたい」という選択肢を用意する考え方があります。ただし、その相談を誰が受け、どの範囲で案内するかを法人内で決めてから掲載します。入口の選択肢だけを増やして、受け手を曖昧にしないことが大切です。
写真とリンクにも、何の事業かを添える
活動の写真を使う場合は、何の事業、どの事業所の場面かをキャプションで示します。同じ机や部屋が写っていても、写真だけで支援内容を区別できるとは限りません。見学者が写真の活動をいつでも体験できると受け取らないよう、紹介している場面の位置付けを説明します。
撮影・掲載の範囲は法人の担当者が確認し、本人や家族の情報が写り込んでいないかも点検します。制作会社のイメージ写真を使う場合には、実際の支援風景と区別できる表示を添えます。実際の設備や支援体制を伝えるために必要な情報は、写真の印象から推測させず、確認済みの文章で補います。
リンクは「詳しく見る」を繰り返すより、「生活介護の支援内容と実施事業所」のように行き先を説明します。W3Cの文章作成の案内でも、リンク先の内容が伝わる文言や、構造を表す見出しが示されています。正式名称が長いときは、文字を極端に小さくして一行に収めず、自然に改行できる形にします。W3Cのアクセシブルな文章作成
名称を変えた後も、同じ事業をたどれるか確かめる
公開前には、暮らしの説明から探す場合と、正式名称を手掛かりに探す場合の両方で確認します。どちらも同じサービス詳細に到達し、実施事業所と連絡先を確認できるかを見ます。名称を分かりやすくした結果、パンフレットを持つ人が該当ページを見つけられなくなっていないかが確認点です。
スマートフォンでは、見出しの説明と正式名称が離れず、事業所名の直後にその情報が続くかを確かめます。横長の表を使う場合は、右側に続く項目があることを伝え、スクロールしてもどの行を読んでいるか見失わない構成を検討します。図だけに関係を任せず、本文にも対応を記載します。
修正時の記録も、単なる「紹介文変更」で終わらせません。正式名称は変わらず説明だけを直したのか、実施する事業所が変わったのかを分けて残します。前者なら見出しとリンク文言の整合を、後者ならサービス一覧と事業所詳細の対応を中心に点検できます。
まず一つのサービスを選び、説明、正式名称、実施事業所、相談先を並べてみてください。資料の不足や、別の事業所の情報が混ざった箇所が見えてきます。その一組を担当者と確認してからほかの事業へ広げると、生活の場面から探す人にも、名称を知っている人にも使える一覧を整えられます。
事業の一覧を、暮らしから探せる案内へ
法人の資料をサービス紹介と事業所ページへまとめる際は、みやあじよの障害福祉・生活支援向けホームページ制作をご覧ください。事業・サービスの整理、暮らしの言葉による紹介、対象や地域の案内、事業所と相談先をつなぐ構成などの支援内容を紹介しています。
参考・出典
- 厚生労働省「障害福祉サービスの内容」:正式なサービス区分の確認に参照。
- 厚生労働省「相談支援」:相談支援の事業と一般の問い合わせを混同しないために参照。
- W3C WAI「Writing for Web Accessibility」:見出しとリンク文言の考え方を参照。
出典確認日:2026年9月20日。表と図は掲載設計例です。実際の対象、提供範囲、受入状況、窓口は法人の管理者などが確認する内容であり、本稿に人による専門確認はまだ行われていません。


