企業顧問のページに月額料金と「幅広い法律問題に対応」と掲載しているとします。それを読んだ人が、契約書を一から作ることも、取引先との交渉も、すべて月額内だと受け取る場面が考えられます。こうした説明のずれを見直すには、金額の下に「詳細はお問い合わせください」と添えるだけでは足りません。
法律事務所のWeb担当者が整理したいのは、事務所で扱える業務の一覧と、掲載した顧問料に含まれる業務の違いです。この記事では、相談・書面・個別案件の確認表を使い、月額の範囲、別途費用の確認、連絡先を同じページで読める構成を考えます。費用や契約内容を制作会社が決めるのではなく、担当弁護士が確定した説明を掲載するための設計です。
顧問料の数字より先に、どの範囲の説明かをそろえる
東京弁護士会の「顧問弁護士Q&A」は、顧問料の範囲内で依頼できる業務が、契約で定めた内容によって異なると説明しています。業務内容を決める例と、対応する時間を決める例も示しています。掲載された過去の調査金額を、現在の相場や自事務所の標準料金として転用する資料ではありません。
まず担当弁護士に、現在公開している顧問プランが何を基準に範囲を区切っているかを確認します。業務の種類、対応時間、書面の件数など、自事務所で実際に決めている条件を挙げます。「一般的にはこれくらい」と制作側が推測して、空欄を埋めないようにします。
対象となる会社や相談者も確認します。契約した法人の業務を扱う案内なのか、関連会社や従業員個人の相談まで含むのかでは、同じ「企業の相談」でも読み方が変わります。掲載できる範囲を弁護士に確かめ、企業名や実際の契約書を公開することなく、対象者の説明へ落とし込みます。
プランが一つなら、無理に三段階の料金比較を作る必要はありません。複数あるなら、金額だけでなく、何が変わるプランなのかをそろえて比較します。上位プランの列がすべて丸印になっていても、取扱業務のすべてが含まれると確認できていなければ、その表示は使えません。
時間や件数を掲載するプランでは、集計の単位も文章へ含めます。一人の担当者ごとの枠なのか、契約した会社全体で使う枠なのか、相談と書面確認で共通なのかを確かめます。複数の社員が連絡する企業では、各自が同じ枠を使えると思っていないかが確認点になります。
未利用分の繰越しや、利用量を確かめる方法も、事務所で決めている場合に限って案内します。「月額」と書いただけでは、その月の区切りや残量の扱いまで伝わりません。実際の条件がないところへ利用カウンターや残時間表示を追加せず、条件を確認する窓口から設計します。
相談・書面・個別案件の三つに分けて聞き取る
「企業法務を支援」という大きな説明から、具体的な掲載項目へ分けます。日常の法律相談、書面に関する依頼、相手方がいる個別案件を一度分けると、月額内の説明と別途確認が必要な説明を見つけやすくなります。この分類自体は、法的な業務区分や共通の料金規則を定めるものではありません。
次の表は、Web原稿を作るための社内確認表です。実在する事務所のプランではなく、各欄に何を確認するかを示しています。確認していないセルを「含む」や「無料」で埋めず、回答がそろってから公開用の文章へ整えます。
| 確認する仕事 | 月額の説明に必要な項目 | 別途確認する境目 | ページで示す次の案内 |
|---|---|---|---|
| 日常の法律相談 | 対象者、相談方法、対象業務、利用条件 | 時間や回数等の扱い、範囲外の相談 | 利用方法と確認する窓口 |
| 契約書などの書面 | 確認・修正・新規作成のどれを扱うか | 分量、言語、件数、作成範囲等 | 書面を確認して案内する項目 |
| 交渉・手続き等の個別案件 | 月額との関係、事務所の取扱い | 別途依頼となる業務と費用説明 | 担当者による個別の確認先 |
| 実費などの費用 | 月額に含める費用と含めない費用 | 費目、説明方法、確認の時点 | 費用の詳しい案内 |
ここでいう境目は、サイトで自動判定するための条件ではありません。相談者が「何を聞けば、自分の依頼の扱いが分かるか」を知る材料です。案件の内容を見ないと答えられない項目は、何を確認してから案内するのかを書きます。
確認表には、回答した弁護士、根拠となる事務所資料の版、掲載する文章を残します。報酬基準にある言葉をそのまま貼る場合も、企業担当者が読んで作業の違いを理解できるかを確かめます。短い説明へ直した結果、元の資料より広い対応を約束していないかが照合点です。
書面の「対応可」を、確認・修正・作成へ分ける
顧問ページの「契約書対応」という一行は、人によって受け取り方が異なります。企業が用意した契約書案を確認してもらうことと、まだ案のない契約書を新たに作成してもらうことが、同じ条件とは限りません。「対応可」という記号だけで、両方を月額に含むように見せないことが大切です。
事務所の実際の案内に合わせ、「既存の書面の確認」「確認後の修正案」「新しい書面の作成」など、行う仕事を言葉で分けます。すべてを提供しているとは限らないため、扱わない仕事を例の数合わせで追加しません。どの仕事が月額内かは、弁護士の回答を反映します。
書面の条件を載せる場合は、その条件が何にかかるかも示します。件数、分量、言語、確認する範囲などのうち、実際に費用の説明へ関係するものを選びます。例えば件数の上限があるなら、修正後の再確認をどう数えるかも事務所に確認し、Web担当者が独自に数え方を決めないようにします。
「複雑なものは別途」という説明を使うなら、相談者が複雑さを自己判定しないと先へ進めない構成にしません。自事務所で事前に確認する資料や、担当者が条件を案内する段階を説明します。取引の詳細を公開フォームへすべて入力させる代わりに、既存の資料受渡方法へつなぐこともできます。
書面の対応日数も、月額料金とは別の条件です。「顧問だからいつでも即日確認」と受け取られる見出しになっていないかを見ます。目安を掲載する場合は、資料がそろっていることなど、事務所が確認した前提と一緒に示します。費用範囲が決まっていることだけで、納期まで確定したように案内しません。

個別案件の相談と、その対応を依頼する費用を分ける
企業からは、取引先との問題についてまず相談したいという連絡も、相手方との交渉まで依頼したいという連絡も届きます。同じ出来事に関する相談でも、ページでは、話を聞いてもらうことと、事務所へ依頼する仕事の範囲を分けて説明します。顧問であることだけを理由に、どちらも月額内と読み取らせない構成にします。
「個別案件は別途」とだけ記載すると、相談自体を受け付けないのか、対応できるが費用の確認が必要なのかが分かりません。取り扱っている仕事であれば、何を確認してから範囲と費用を案内するかを、担当者の説明に沿って示します。取り扱わない仕事は、「追加料金を払えば依頼できる」と読める表現を避けます。
愛知県弁護士会の費用案内は、弁護士報酬と実費を分けて説明し、費用について依頼する弁護士へ確認するよう案内しています。顧問ページでも、月額という一つの数字の中へ、性質の異なる費用を説明なしにまとめないための参考になります。
実費や別途報酬を載せるときは、事務所が用いる費目と、どの説明へ進めば確認できるかをそろえます。この記事の表を理由に、特定の費目が必ず月額外になるとは決めません。事務所の資料に基づく範囲を、弁護士が確認して掲載します。
顧問先向けの割引や優先対応がある場合も、その対象を分けます。割引対象であることは、費用が発生しないことではありません。優先して相談を受けることと、どの案件も引き受けることも別です。実際に案内していない特典を、プランの魅力づけのために追加しないようにします。
月額の近くに、適用する条件と確認先を置く
確認した情報は、ページ末尾の注意書きへ集めるだけでなく、該当する金額や業務の近くへ置きます。月額料金、対象となるプラン、含む仕事、利用条件、別途案内となる仕事が一続きで読める構成です。企業の担当者が社内説明用に一部分だけ読む場面も想定します。
相談の行では相談条件を、書面の行では書面の対象範囲を示します。表全体の下に「一部対象外」とだけ書くと、どの行の何が対象外か分かりません。共通の注記で足りるものと、各行に必要な条件を分け、注記番号を使う場合は対応先が近くにあるかを確認します。
スマートフォンで横長の比較表を使う場合も、月額だけが見えて条件が画面外に隠れる状態を点検します。プランごとのカードへ組み替える方法や、業務名と説明を縦に続ける方法も候補になります。丸印を並べるデザインを先に決めず、条件を読み合わせられる形を選びます。
料金の画像やPDFを掲載する場合は、本文と更新内容をそろえます。本文の月額を変えても、画像の小さな注記やダウンロード資料に古い範囲が残ることがあります。公開用の正本、更新日、確認する弁護士、反映する担当者を対応させ、金額以外の条件変更も更新対象にします。
対象期間が違うプランを案内するなら、どの申込み・契約に適用する情報かを事務所へ確認します。既存の顧問先へ新料金が当然に適用されるような表示は、制作側で決めません。一般向けの新規案内と、既存顧問先への個別連絡を混ぜず、それぞれの確認先へつなぎます。
公開前は、三つの用件を同じページで読み合わせる
確認用には、日常の相談をしたい企業、契約書案を見てもらいたい企業、取引先との交渉を依頼したい企業という三つの架空の用件を用意します。それぞれが、月額内と分かる範囲、事務所への確認が必要な範囲、次に使う窓口を探せるかを見ます。具体的な事件や顧客資料を使う必要はありません。
担当弁護士には、業務の範囲、費用の条件、別途案内の説明、広告表現を確認してもらいます。受付担当者には、初めて顧問契約を検討する企業と既存の顧問先が、実際の窓口へ進めるかを確かめてもらいます。制作側は、確認表の各行が本文・表・リンクへ正しく反映されたかを照合します。
三重弁護士会の業務広告に関する注意喚起は、特定の事件分野で、広告による過度な期待や誤解の問題を取り上げています。これを顧問ページの個別表現の適否判定に置き換えるのではなく、見出しも含めた専門確認が必要だと考える参考にします。適用される規程と事務所の方針は、担当弁護士が確認します。

公開前の読み合わせでは、詳しい料金ページだけでなく、トップページの短い紹介と検索向け説明も見ます。詳細ページで範囲を限定していても、入口に「すべて月額で対応」と残っていれば、別の約束に見えてしまいます。短い文章を整える際も、実際の条件を越えないことが基準です。
見直し後に問い合わせを受けたら、何が月額に含まれると読まれたかを記録します。同じ書面業務の境目で質問が続くなら、その行の説明やリンク名を具体化する材料になります。問い合わせ数の増減だけで改善を評価せず、事務所が伝えた範囲と読み手の理解が合っているかを見ます。
制作会社への依頼には、公開できる報酬・業務範囲の資料、現在のページ、よく聞かれる費用の質問、確認を担当する弁護士をそろえます。まず一つの顧問プランについて三つの用件を照合すると、原稿の整理で足りるのか、料金表や関連ページの更新方法まで変えるべきかを判断できます。
参考資料
東京弁護士会「顧問弁護士Q&A」(2019年5月23日)、愛知県弁護士会「弁護士費用」、三重弁護士会「弁護士による業務広告等に関する注意喚起」(2024年7月19日)。2026年9月21日確認。過去の金額調査や他の事務所の契約条件を、自事務所の料金・業務範囲として適用するものではありません。


