ECサイト制作の相場と見積もりの見方

2026.03.26

Last Updated on 4月 9, 2026 by myajo

ECサイト制作の相場を調べると、数十万円から500万円超まで幅が大きく見えます。迷いやすいのは、どの金額にも一応の根拠があるからです。実際には、小規模で10万〜100万円、中規模で100万〜500万円、大規模で500万円以上という見方がある一方、ECサイトを小規模50万〜100万円、中規模100万〜500万円、大規模500万円以上と分ける整理もあります。最初にやるべきことは、相場の平均を探すことではなく、自社がどの帯に入るかを見極めることです。

見積もりを比べる前に知っておきたいのは、ECサイトの費用は見た目だけで決まらないことです。商品数、必要な機能、外部サービスとのつなぎ込み、写真や原稿の準備、公開後の運用支援まで入るかどうかで、同じ「ECサイト制作」でも金額は大きく変わります。

ECサイト制作の相場はどこで差が出るのか

相場に幅が出る一番の理由

いちばん差が出るのは、何を作るかより、どこまで任せるかです。商品数が増えると登録作業やカテゴリ整理の手間が増えます。定期購入、会員機能、在庫や会計との連携が入ると、作業量は一気に重くなります。支援会社の解説でも、費用を左右する主な要因として、商品数、機能要件、デザインの自由度、構築方式、運用体制が挙げられています。

ここでよくある誤解があります。トップページの見た目が整っていても、商品一覧が探しにくい、決済までの流れが分かりにくい、登録作業が回らない状態なら、売上にはつながりにくいという点です。ECサイトでは、見た目と同じくらい、商品を探す流れと運用のしやすさが費用差の元になります。

カート利用料と制作費は別で考える

もうひとつ混ざりやすいのが、システム利用料と制作費です。たとえばBASEは月額0円のスタンダードプランと、年払いで月額16,580円のグロースプランがあります。STORESはフリープランが月額0円、ベーシックは年払いで月額2,980円です。ShopifyはBasicが年払いで月額3,650円です。EC-CUBEは本体利用が無料ですが、カスタマイズや保守は別で見積もる形です。futureshopも小・中規模向けの例で月額31,000円から、初期費用22,000円からと案内されています。土台の料金だけでもかなり差があります。

このため、「制作費80万円」とだけ書かれていても、総額の判断はできません。初期の制作費、公開後の月額、売上に応じた決済手数料、必要な追加機能まで分けて見ると、安く見えた案の方が長い目では高くつくこともあります。

費用帯別に見た依頼内容の目安

まずは3つの帯で見る

中小企業の発注では、まず3つの帯で考えると比べやすくなります。100万円未満は、既存機能を活かして早く始める帯です。100万〜500万円は、自社に合わせた調整が増える帯です。500万円を超えると、複数の連携や独自要件が入りやすく、プロジェクト色が強くなります。こう見ておくと、見積もりの高い安いではなく、何が含まれているかで判断しやすくなります。

費用帯ごとに見ると、目安は次の通りです。

費用帯依頼範囲向くケース注意点
〜100万円小規模構築まず売り始めたい独自機能は絞る
100〜500万円設計と調整を含む見た目と使いやすさを両立要件の増えすぎに注意
500万円〜連携や独自開発あり運用条件が複雑社内判断の遅れが響く

表のとおり、100万円未満の帯は「何を捨てるか」を決める発注です。反対に100万〜500万円の帯は、「何を先に作るか」を決める発注です。ここを混同すると、予算に対して要望が多すぎる見積もりになり、後から削る話ばかりが増えます。

安さより削る場所を決める

費用を抑えたいときにやりやすい失敗は、全部を少しずつ削ることです。これだと、見た目も導線も登録作業も中途半端になりやすいです。そうではなく、初回公開で必要なものと、後から足せるものを分けた方が進めやすくなります。支援会社の解説でも、今必要な機能と将来追加する機能を分けて整理する考え方が勧められています。

たとえば、独自の会員施策や複雑な連携を後回しにし、その分を商品情報の整備、写真の見せ方、購入までの分かりやすさに回す形です。最初の段階では、作り込む量より、売れる形で出せるかどうかの方が判断材料として役立ちます。

見積もりで確認したい内訳と追加費用

最低限分けて見たい内訳

見積もりは総額だけでは比べにくいです。最低でも、設計と進行管理、デザイン、構築と各種設定、商品登録や原稿、テストと公開、公開後の保守に分けて見ると、金額の理由が見えやすくなります。一般的な制作費の説明でも、初期制作費と運用費は分けて考える整理がされており、EC構築の費用配分例でも、設計・開発、デザイン、撮影や登録、保守と導入支援のように大きく分けられています。

見積もり比較で見たい内訳は、次のように押さえると十分です。

項目含まれやすい作業抜けやすい費用確認したいこと
設計構成整理要件追加何案出るか
デザイン主要ページ作成修正回数どこまで作るか
構築決済や配送設定外部連携標準か追加か
運用準備商品登録や原稿撮影と移行件数の上限
公開後保守と更新支援月額作業対応範囲

あとから増えやすい費用

追加費用が出やすいのは、商品数の増加、既存サイトからの移行、外部サービスとの連携、決済手段の追加、アプリやオプションの採用です。EC-CUBE公式も、移行には検証やデータ変換、登録作業が必要だと案内しています。futureshopもレビュー機能、実店舗在庫表示、各種決済などで別料金が発生します。Shopifyも外部決済サービスを使う場合は追加の取引手数料がかかります。

見積もり比較では、「何が入っているか」と同じくらい、「どこから追加になるか」を確認しておくと迷いが減ります。特に、商品登録件数、移行対象のデータ範囲、修正回数、公開後の問い合わせ対応は、先に線を引いておくと話がぶれにくいです。

効果が出やすい発注と出にくい発注の違い

同じ予算でも、発注の仕方で結果はかなり変わります。差が出やすいのは、見た目から入るか、売り方から入るかです。先に整えたいのは、どんな人に来てほしいか、どの商品を中心に見せたいか、どこで迷って買わずに離れているか、という商売の流れです。

先に決めたいのは機能より売り方

発注の初期段階で話が広がりすぎるのは、機能名から会話を始めるときです。会員機能を入れたい、レビューを見せたい、クーポンを出したいという話は大事ですが、それだけでは優先順が決まりません。新規客を増やしたいのか、まとめ買いを増やしたいのか、リピート購入を増やしたいのかで、先に作るべき部分は変わります。

たとえば、初めて買う人が多い商材なら、安心して注文できる見せ方が先です。送料、返品条件、配送日数、支払い方法が見つけにくいと、商品ページがきれいでも注文は伸びにくくなります。反対に、すでにファンがいる商品なら、再購入しやすい導き方や、関連商品を自然に見せる工夫の方が効きやすくなります。

ここで迷いを減らす方法はシンプルです。最初の見積もり依頼で「売上を増やしたい」とだけ書かず、「初回購入を増やしたい」「客単価を上げたい」「問い合わせ対応を減らしたい」など、動きに近い言葉へ落とすことです。制作側も提案の方向をそろえやすくなり、余計な機能追加が起きにくくなります。

デザイン先行の発注は判断がぶれやすい

見た目を整えたい気持ちは自然です。ただ、トップページの印象だけ先に固めると、後から商品一覧、商品ページ、購入画面とのつながりが合わなくなることがあります。ECサイトは、入口だけでなく、選ぶ、比較する、買うまでが一続きです。最初の印象だけ良くても、その先で迷えば売上には結びつきません。

成果が出やすい発注では、ページごとの役割がはっきりしています。トップページは店の強みを短く伝える。商品一覧は探しやすくする。商品ページは不安を減らす。購入画面は止まらず進める。この順で考えると、見た目の話も判断しやすくなります。

一方で、出にくい発注では「今っぽい雰囲気にしたい」「競合よりおしゃれにしたい」が先に立ちます。この考え方が悪いわけではありませんが、比較のものさしが曖昧なまま進むので、社内でも制作側でも判断が割れやすくなります。修正が増え、時間も費用も読みづらくなりがちです。

小さく公開して育てる発想が合うケースも多い

ECサイトは、公開した瞬間に完成するものではありません。中小企業では、最初から全部入りを目指すより、売れ筋商品や主力カテゴリを先に整えて出し、その後に追加する方が合うケースが多くあります。理由は、公開後に初めて見える迷いがあるからです。

たとえば、社内では分かりやすい商品分類でも、お客様には違いが伝わらないことがあります。逆に、細かく説明しすぎて、どれを選べばよいか分からなくなることもあります。こうしたズレは、実際の閲覧や注文の動きを見て初めて分かる部分です。最初から作り込みすぎると、後で変える負担が大きくなります。

そのため、成果が出やすい発注では「初回公開で必要な範囲」と「後で追加する範囲」を分けて考えます。ここが決まると、見積もりも比べやすくなります。逆に、将来ほしいものまで全部のせで依頼すると、予算を広く薄く使う形になり、肝心の売れる導き方まで弱くなることがあります。

体制と進め方で費用も成果も変わる

制作会社選びで見落としやすいのが、自社の進め方です。どこまで社内で用意できるかで、見積もりの内容はかなり変わります。しかも、この差は金額だけではありません。公開までの速さ、修正の回数、公開後の回しやすさにも影響します。

窓口が一本化されていると進みやすい

話が止まりやすいのは、判断する人が多いのに、最後に決める人が決まっていないときです。店長、営業、経営者、現場担当の意見がそれぞれ違うのは珍しくありません。問題は違いがあることではなく、どの順で決めるかが曖昧なことです。

窓口を一人に決めると、制作会社とのやり取りが早くなります。その人が全部を決める必要はありません。社内の意見を集めて、期限までに返す役目を持つだけでも十分です。これだけで、修正依頼の重なりや認識違いをかなり減らせます。

特にECでは、商品名、価格表記、在庫の扱い、配送条件など、細かい確認が続きます。誰に確認すればよいかが曖昧だと、制作が進んでいるように見えて、実際は止まっている時間が増えます。見積もり比較では、作業内容だけでなく、進行の前提も見ておく方が安全です。

原稿と商品情報の準備で差がつく

費用を左右しやすいのは、デザインだけではありません。実は、商品情報の整理や原稿準備の負担も大きな差になります。商品名の表記がそろっていない、サイズや素材の書き方がばらついている、画像の大きさがまちまち、といった状態だと、登録作業が増えます。公開前の確認にも時間がかかります。

逆に、最低限のルールだけでもそろっていると、制作は進みやすくなります。たとえば、商品情報をどの項目で見せるか、画像は何枚必要か、説明文の長さはどれくらいか。このあたりが決まっているだけでも、見積もりの精度が上がります。後から追加費用が出る場面も減らしやすくなります。

自社に合う進め方を選ぶ

進め方は大きく分けると、次の3つで考えると分かりやすいです。

進め方社内負担向く会社注意点
社内主導型高い担当が慣れている準備遅れが出やすい
分担型中くらい中小企業全般役割分けが必要
伴走型やや低い初めて外注する相談範囲を確認する

社内主導型は、商品理解が深い会社には向いています。ただし、原稿や素材の準備に時間を取られるため、通常業務と並行すると遅れやすくなります。伴走型は、相談しながら決められる安心感がありますが、どこまで支援が入るかを先に確かめないと、期待とのずれが出やすくなります。中小企業で現実的なのは分担型で、社内で決めることと外に任せることをはっきり分ける形です。

費用を抑えたいときほど、全部を社内で抱え込む方向に寄りがちです。ただ、慣れていない作業まで広げると、公開が遅れ、修正も増えます。結果として、安く頼んだはずが社内の負担だけが増えることもあります。見積もりを見るときは、金額だけでなく、自社で持つ作業量まで含めて比べると判断しやすくなります。

よくあるリスクとトラブルを防ぐ方法

相場をつかんでも、実際の発注では別の迷いが出ます。安い見積もりに決めてよいのか、公開後に自分たちで回せるのか、途中で頼み先を変えたくなったらどうなるのか。ここを先に見ておくと、契約後の行き違いをかなり減らせます。

安さだけで決めると後で重くなる

金額が低い案そのものが悪いわけではありません。気をつけたいのは、何が省かれているかが分からないまま決めることです。設計の打ち合わせ回数が少ない、修正回数が限られている、商品登録の件数がごく少ない、公開後の保守が別扱いになっている。このあたりが見えないと、最初は安く見えても後で足していく形になりやすいです。

特に中小企業では、公開後の更新を自社で回す前提なのか、一定期間は外に頼る前提なのかで負担が変わります。最初の見積もりで見るべきなのは総額だけではありません。公開後に誰が何を持つのかまで含めて見ないと、運用が始まってから苦しくなります。

公開後に動かしにくい状態を避ける

公開直後は動いていても、数か月後に更新しづらさが出ることがあります。画像の差し替えに手間がかかる、特集ページの追加に毎回依頼が必要、商品分類の増減に弱い、といった状態です。ECサイトは売る場であると同時に、日々更新する場でもあります。更新のたびに止まりやすい仕組みだと、社内で使われなくなりやすいです。

この問題は、見た目の確認だけでは見えません。相談時点で「どの作業を社内で更新する予定か」を伝えておくと、作り方の方向が変わります。たとえば、バナーの差し替え、特集ページの追加、商品登録、在庫まわりの更新などです。触る予定が見えていれば、公開後の回しやすさも見積もりの比較軸に入れやすくなります。

契約と引き継ぎ条件は先に見ておく

意外と見落としやすいのが、契約まわりです。制作データはどこまで渡されるのか、保守を止めたあとも使い続けられるのか、サイトのURLや管理画面は誰が持つのか。このあたりが曖昧だと、将来の改修や引き継ぎで困りやすくなります。

途中で制作会社を変える予定がなくても、担当者の異動や事業方針の変更で体制が変わることはあります。そのときに困らないよう、最初の段階で「引き継ぎしやすいか」を見ておく方が安心です。契約書の細かな文言まで読み込まなくても、何が自社に残るのか、やめたあとに困ることは何か、この二つを確認するだけで見え方はだいぶ変わります。

よくあるトラブルは、次のように切り分けて見ると動きやすくなります。

起きやすいこと主な原因早めの対処費用への影響
追加費用が増える範囲が曖昧件数と回数を決める後から膨らみやすい
公開が遅れる社内確認が長い窓口と締切を決める工数が増えやすい
更新しづらい運用想定が弱い触る作業を先に伝える毎回依頼が増える
引き継ぎで困る契約条件が曖昧管理者を確認する再設定費が出やすい

発注前に決めておくと比較しやすい項目

見積もりが比べにくいと感じるときは、会社ごとの金額差より、依頼条件が揃っていないことが多いです。同じ条件で依頼していないと、価格差の意味が読み取りにくくなります。発注前に全部を固める必要はありませんが、最低限そろえておくと判断が早くなります。

先にそろえたいのはこの4つ

一つ目は目的です。売上を増やしたいだけでは広すぎます。新規客を増やしたいのか、客単価を上げたいのか、問い合わせ対応を減らしたいのか。この違いで必要なページも機能も変わります。

二つ目は優先商品です。何でも売りたい状態だと、見せ方の軸がぶれやすいです。最初に押し出す商品や、まず見てほしい商品群が決まると、トップページから商品一覧までの流れを考えやすくなります。

三つ目は社内で持てる作業です。原稿、写真、商品登録、確認作業のどれを自社で持つのかを決めておくと、見積もりの前提が揃います。ここが曖昧だと、安い案に見えても社内負担が重くなることがあります。

四つ目は公開後の動かし方です。公開後に月1回更新するのか、キャンペーンごとに触るのか、商品追加が多いのか。この違いで作り方も保守の考え方も変わります。

見積もり依頼に書いておきたい内容

相談時に長い資料を作る必要はありません。次の内容が短くまとまっていれば、比較の精度はかなり上がります。

  • 何をいちばん改善したいか
  • 主力商品
  • 現在のサイトURL
  • 想定している商品点数
  • ほしい機能と、後回しでもよい機能
  • 社内で出せる素材の有無
  • 希望時期と予算感

この段階で未定の項目があっても問題ありません。むしろ、未定の部分がどこか分かっている方が相談は進めやすいです。相場を調べる目的は、相手の提示額が高いか安いかを決めることだけではありません。自社にとって何にお金をかけるべきかを見つけることです。そこが見えると、見積もり比較はかなりしやすくなります。

まとめ

ECサイト制作の相場に幅があるのは、会社ごとに商品数も機能も運用の前提も違うからです。だからこそ、平均額だけを見ても判断しにくくなります。見た方がよいのは、どこまで任せるか、公開後に誰が動かすか、何を先に作るかの三つです。

見積もりを比べるときは、金額の安さだけで決めない方が安全です。設計、構築、商品登録、公開後の支援まで分けて見ると、差の理由が見えやすくなります。さらに、目的、優先商品、社内で持つ作業、公開後の動かし方を先にそろえておくと、発注判断はかなり進めやすくなります。

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