ホームページリニューアルの費用を見積もるには、新しく作るページと、旧サイトから引き継ぐ情報を分けることが大切です。「10ページのサイトにしたい」だけでは、過去のお知らせ、実績、PDF、問い合わせの仕組みをどこまで移すかが伝わりません。
原稿や写真の準備、CMSの変更、公開前後の確認、公開後の運用まで範囲をそろえてから金額を比べます。この記事では、企業サイトのリニューアルを例に、相場の読み方、移行対象の整理、初年度の費用、見積もり依頼のメモを解説します。

相場は参考にし、自社の作業範囲を確かめる
Web幹事の費用相場の記事では、同サービス経由の発注データをもとに、コーポレートサイトのリニューアル費用を平均131.1万円、中央値81.4万円と示しています。中央値は、金額を順に並べたときの中央の値です。
これは、その紹介サービスを通じた案件の公表値です。国内すべての制作会社や案件を表す平均ではなく、自社のページ数や依頼範囲に対応する見積額でもありません。該当する掲載箇所では、集計期間、コーポレートサイトの対象件数、税込・税別の区別を確認できません。社内の税込予算や、今年の全国相場へそのまま置き換えないようにします。
個別の制作料金にも条件があります。WEBデザイン本舗の料金案内には、全10ページのリニューアルが税別72万円という基本料金が掲載されています。Zoho Sitesを用い、ページ内の原稿・画像は依頼側が用意する条件です。有料画像は実費で、月額運用費用も別に案内されています。基本料金表であり、実際の条件は打ち合わせ後の見積もりで決める案内です。
この公開例だけでも、ページ数と金額に加え、素材の担当、使うCMS、継続費用を見る必要が分かります。取材、撮影、既存データの移行などを自社でどこまで頼むかが違えば、同じ条件で依頼できるとは限りません。公開料金を、すべて込みの予算へ置き換えないようにします。
「作るページ数」と「移す件数」を分ける
説明用の架空例として、計測機器のレンタル会社がサイトを見直すとします。調べた対象は、固定ページ10ページ、お知らせ40件、実績20件、資料PDF15ファイルです。固定ページは内容から作り直し、過去のお知らせと実績は移行を基本にする方針とします。
「固定ページ10ページを制作」とだけ伝えると、別にある投稿60件とPDF15ファイルの扱いが分かりません。記事の本文を一括で取り出せても、写真、分類、記事内リンク、添付ファイルが新しいサイトで正しく使えるかは確認が必要です。

ここで分けたいのは、デザインする画面の型、入力・移行する件数、文章を書き直す件数です。共通の型を使う記事が多くても、移行する情報と確認作業がなくなるわけではありません。反対に、全記事を新規ページと同じ単価で作り直す前提が、自社に必要なのかも確認します。
例えば「お知らせ40件を移行」という項目が、文章の取り込みまでなのか、画像・分類・記事内リンクの点検までなのかで、頼める内容は変わります。実績20件も、古い事例をそのまま残すか、現在のサービスに合わせて書き直すかを分けます。PDFはファイルの数と、案内するページ側のリンクの両方を確認対象にします。
件数を調べきれていない段階では、想定した数量と、増減したときの扱いを見積書へ書いてもらいます。追加1件ごとなのか、作業時間で計算するのか、調査後に金額を決め直すのかを確かめてください。調査自体が有料なら、その範囲と金額、次の制作へ進むかを判断する時点も分けて合意します。
既存サイトのURL一覧に、内容の種類、残す理由、使える原稿・写真、希望する対応を追記します。「移す」「書き直す」「調査が必要」を分け、まだ判断できないものは未確認として渡してください。閲覧数が少ないという理由だけで、営業が案内する資料や必要な説明を削除しないようにします。
全面改修が必要か迷う場合は、リニューアル時期と部分改善の判断基準も参考になります。一つのページの説明不足なら、全体の作り直しとは別に改善できる場合があります。
部分改修を頼む場合も、直す箇所の数だけで金額が決まるとは限りません。今の画面や更新の仕組みを調べる作業、他のページへ影響しないかを確かめる作業が必要かを聞きます。現行の制作会社から情報を受け取れるかも、調査と引継ぎの範囲に含めて確認してください。
原稿・写真・更新方法を、実務の単位で決める
「原稿支給」は、社内に文章があるというだけでなく、誰が公開できる内容へ仕上げるかまで確認します。古い製品名や対応範囲を直す人、取材する人、文章を整える人、事実を承認する人を決めてください。
例えば架空のレンタル会社なら、機器の写真と名称だけでなく、用途、利用できる条件、受け渡し方法、相談時に伝えてほしい情報が必要です。どの機器まで対応できるかは社内が確認し、依頼先へ事実として渡します。原稿の支給と取材からの作成は、同じ作業ではありません。
写真は、現在の機器や現場と一致するか、掲載する権利を確認できるか、十分な画質があるかを点検します。既存素材があっても、そのまま使えるとは限りません。撮影を頼むなら、訪問先、撮る対象、使用する画像、交通費などを確認します。
CMSは、ページや投稿を管理・更新する仕組みです。「WordPress導入」などの項目名に加え、担当者が実績の文章・写真・分類をどこまで編集できるかを伝えます。操作説明、権限、更新後の確認まで依頼範囲に含むかを聞いておくと、納品後の仕事を具体化できます。

移行と公開確認を、制作費の外へ落とさない
URLを維持できるページと、変更が必要なページを分けます。変更する場合は、旧URLと新URLの対応、転送の設定、内部リンクや添付ファイルの修正を見積もりで確認します。関係のない旧ページを、すべてトップページへ送る計画にはしないようにします。
Googleのサイト移行ガイドも、URLの対応付け、適切な転送、内部リンクやサイトマップなどの更新と確認を案内しています。移行時は検索順位が一時的に変動する場合もあり、転送を設定すれば順位や流入が必ず維持されるとは言えません。
公開の作業には、新しい画面が表示されること以外の確認もあります。スマートフォンの操作、主要な旧URLからの到達、フォームの受付と通知、PDFの閲覧、解析の引き継ぎ、自社での更新を対象として共有します。サーバーも変えるなら、会社のメールへの影響も管理担当へ確認してください。
切り替え前のバックアップ、問題があったときの戻し方、公開の判断者、公開後の確認担当も決めます。「本番公開一式」にどこまで含まれるか、対象と確認結果を受け取れる形で合意しましょう。検索成果の後日の観察と、公開直後の動作の合否は分けて記録します。
URLが変わる部分は、URL変更時の引き継ぎチェックリストで、公開前後に確認する項目を整理できます。
転送を公開直後だけの作業にしないことも大切です。Googleの移転ガイドは、一般には1年以上の維持を案内しています。旧ドメインや転送を動かす環境の費用、制作後の契約が終わった場合の引継ぎを、誰が担当するか確認しておきます。元のサーバーをそのまま残す必要があるかは、構成を確認して決めます。
初期費用と、公開後12か月の費用を分けて出す
次は説明用の架空の見積もりです。すべて税込とし、制作・移行の110万円に撮影は含まれていない設定です。別の撮影8万円を採用し、公開後の保守を月額1.65万円で12か月利用するとします。
| 費用の区分 | この架空例の金額 |
|---|---|
| 制作・移行 | 110万円 |
| 別料金の撮影 | 8万円 |
| 初期費用の合計 | 118万円 |
| 公開後12か月の保守 | 1.65万円 × 12か月 = 19.8万円 |
| 初期費用+公開後12か月の支出 | 137.8万円 |
この例では、保守にサーバーとドメインの費用も含むと確認した設定です。既に含まれるものを重ねて加算しません。実際の見積もりで含むか分からない費用は、0円とせず確認待ちにします。
契約期間、利用料、更新代行、障害対応、軽微な修正の範囲を確認してください。公開後12か月という比較期間は、この説明でそろえた条件です。契約が年払いなら、その支払い時点も別に整理します。追加ページや改善施策は、この仮定の金額には含めていません。
同じ「保守」という名称でも、文章の更新、システムの更新、不具合の調査・復旧は別料金の場合があります。月額料金に含む回数や時間、依頼の窓口、支援が終わったときに受け取る情報を確認します。無償で直す対象と、新しく依頼する改善作業も分けて聞いておくと、公開後に必要な費用を見落としにくくなります。
予算が合わない場合は、金額だけを下げる前に範囲を見直します。後でも足せる機能と、公開時に必要な受付や移行確認を分けます。重要な情報の書き直しを先に行い、他の追加を後へ回す場合も、新旧の案内や更新方法が混乱しないかを確認します。
同じ依頼メモで、見積もりの前提をそろえる
各社へ渡すメモには、分かることと調査が必要なことを併記します。次は、架空のレンタル会社の記入例です。最初から全仕様を決める必要はありません。
| 伝える項目 | 記入例 |
|---|---|
| 目的と直したい場面 | 法人の担当者が、借りられる機器と依頼方法を判断しづらい |
| 制作と移行の対象 | 固定10ページ、お知らせ40件、実績20件、PDF15ファイル。対象URLの一覧を添付 |
| 原稿と写真 | 現行素材を共有。対応条件は社内確認し、再利用・修正・撮影の要否を相談 |
| 更新と公開確認 | 担当者が実績を更新したい。旧URL、フォーム通知、PDFの到達も確認対象 |
| 希望日と担当 | 公開日は相談。内容の承認者と、現行CMS・サーバーの確認先を共有 |
| 予算と未確認事項 | 税込の予算範囲を提示。移行方法と利用料の条件は調査後に確定 |
見積書を受け取ったら、このメモに対して、含む作業、別料金、除外する作業、前提条件を照合します。追加や変更が出たときは、着手前に金額と日程への影響を確認できる取り決めにします。安さだけでなく、必要な仕事が説明されているかを見てください。
移す情報が未整理でも、見積もりの範囲からご相談ください
みやあじよのコーポレートサイト制作では、現行サイト、原稿・写真、CMS、既存データの移行などを確認し、必要な工程を整理して見積もりの範囲を決めます。相談時は、現在のURLと直したい場面、分かる範囲の移行対象をお知らせください。予算と内容を判断できる材料から、一緒に整理できます。
まだ総件数や予算が決まっていなくても構いません。今のサイトURLと困っている場面を、お問い合わせからお聞かせください。分からない条件を確認し、今回頼む作業と後へ回す作業を整理するところから相談できます。
参考資料
2026年10月26日に確認。統計は参照元の対象に限った公表値、制作会社の料金は個別の条件付き公開例です。本文のレンタル会社、件数、見積もり金額、画像は説明用の架空例で、当社の実績や料金を示しません。


