SEOを外注したいのに、業者の提案を見比べても違いが見えないことがあります。費用も成果も言い方がバラバラで、社内に説明しづらいまま話が進みがちです。
失敗を減らす近道は、依頼範囲と判断軸を先に固定し、その軸で見積もりと提案を読むことです。
社内に担当者がいて優先順位まで固まっている場合は、実作業だけ外に出す方が軽く進むこともあります。
この記事で分かることは次の3つです。
- どこまでを業者に頼むか決める考え方
- 費用の中身を見て比較するコツ
- 依頼前に迷いを減らす準備の仕方
ここでいうSEOは、検索であなたの会社を見つけてもらうために、ページの内容と作りを整える取り組みです。
SEO対策の業者選びで失敗が起きる理由
最初に知っておきたいのは、失敗の多くは「業者が悪い」より前に、発注側の条件が定まらないことで起きる点です。
条件が曖昧だと、提案内容の良し悪しを比べられず、価格の安い高いだけで決めやすくなります。
ここでは、よくあるズレ方を3つに絞って押さえます。
失敗パターン1:目的が曖昧なまま契約
目的が「検索で上げたい」だけだと、どこに集客して何を増やすかが抜け落ちます。結果として、順位が上がっても問い合わせが増えない、という形で不満が残りがちです。
よくある例は、記事が増えてアクセスは増えたのに、サービスの相談に結びつかないケースです。
最初の一手は「増やしたい成果」と「成果に近いページ」を1つ決めることです。
失敗パターン2:やることの範囲が決まっていない
同じSEOでも、記事を増やす支援と、既存ページを改善する支援では、作業の中身が別物です。範囲が決まっていないと、あとから追加見積もりが発生したり、責任の所在が曖昧になったりします。
たとえば「記事は作るが、サービスページの修正は対象外」という契約もあります。
先に「記事」「既存ページ」「計測と報告」のどこまでを依頼するかを言葉にしておくと、比較が楽になります。
失敗パターン3:報告が読めず判断できない
月次報告があっても、順位の数字だけでは良し悪しの判断が止まります。判断が止まると、改善の指示が出せず、運用が長引く原因になります。
よくあるのは「順位は少し動いたが、次に何を変えるかが分からない」状態です。
報告は「今月やったこと」「次にやること」「その理由」がセットになっているかが、見極めの入口になります。
まず決めたい依頼範囲とゴール
業者の比較は、スペック比較ではなく「自社の目的に合うか」を見る作業です。だからこそ、先に依頼範囲とゴールを決めると、提案の読み方が変わります。
ここでは、決める順番がぶれないように地図を作ります。
依頼範囲は「集客」と「改善」で分かれる
依頼範囲は大きく2つに分かれます。検索で見つけてもらうための集客側と、来た人が迷わず問い合わせに進むための改善側です。
前者だけ強い支援先もいれば、後者のページ改善が得意な支援先もいます。
自社が今つまずいている場所に合わせて、頼む相手のタイプを選ぶ方が納得感が出ます。
ゴールは「順位」より「問い合わせの道筋」
順位は途中の指標で、成果はその先にあります。成果に近いのは、サービス紹介、事例、料金、会社情報など「検討の判断材料になるページ」です。
たとえば、記事からサービスページへ自然につながっていないと、どれだけ記事を増やしても相談は増えにくいままです。
最初は、強化したい成果と関連ページを1〜2本に絞ると、社内の合意が取りやすくなります。
依頼範囲の切り分け例
支援の型を先に知ると、見積もりと提案の比較が早くなります。
| タイプ | 得意な領域 | 向く会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| コンサル型 | 調査と優先順位づけ | 社内で実作業ができる | 実装は別担当が必要 |
| 記事制作型 | 企画と執筆の量産 | 発信テーマが多い | 品質管理が弱いと伸びにくい |
| 改修支援型 | 既存ページの改善 | 相談が増えない | 社内調整が増えやすい |
| 伴走型 | 企画から改修まで | 何から始めるか迷う | 相性が合わないと重い |
この表で自社の状況に近い型が見えると、提案の過不足も判断しやすくなります。次は費用が変わる理由を押さえます。
費用は何で変わるか
費用の差は、作業量の差だけではありません。どこまで責任を持つか、誰が手を動かすか、判断材料をどこまで整えるかで変わります。
相場を丸暗記するより、見積もりの中身を読める状態のほうが、結果的に安全です。
見積もりの前に知っておきたい2つの前提
一つ目は、同じ目的でもサイトの状態で工数が変わることです。情報が整理されていないサイトは、直す順番を決めるだけでも時間がかかります。
二つ目は、記事と改修は別の作業で、必要な人材も違うことです。記事が得意な人と、サイトの構造を直す人は同じでない場合があります。
料金が変わる要因
料金が動きやすい要因は、主に次のようなものです。
- 対象ページ数と、直す範囲の広さ
- 記事の本数と、取材や監修の有無
- 改修を誰が実装するか(社内か外部か)
- 報告の深さ(数値の読み解きまで含むか)
この要因が見積もりにどう反映されているかが、比較で見るべき核心になります。
見積もりの内訳チェック
「何をしてくれるのか」が見える見積もりは、項目が具体的で、抜けが起きにくい形になっています。
| 項目 | 作業の例 | 確認したいこと | 抜けやすい点 |
|---|---|---|---|
| 現状調査 | 検索状況と競合確認 | 調査結果が資料で残る | 調査だけで終わる |
| 設計 | 優先順位を決める | 何をいつやるか明記 | 優先順位が曖昧 |
| 記事制作 | 企画、取材、執筆 | 確認と公開の流れ | 本数だけ先行 |
| ページ改善 | 文章や導線の見直し | 対象ページが特定される | 改修が別見積 |
| 計測と報告 | 数値と改善案の提示 | 判断できる数字がある | 順位だけ報告 |
| 会議運用 | 定例、チャット対応 | 頻度と窓口が明確 | 連絡が属人化 |
この表を使うと「安い理由」「高い理由」が言葉にできます。特に、設計と計測が薄い見積もりは、途中で迷いが増えやすいので注意が必要です。
効果の見方とKPIの決め方
順位だけで判断すると、社内で結論が出ないまま時間が過ぎやすくなります。見るべきなのは「見つかる」「検討が進む」「相談が増える」の流れが前に進んでいるかです。
この流れに合わせて、追う数字も段階ごとに分けると判断が早くなります。
KPIは、ゴールに近づいているかを見る途中の物差しです。
問い合わせや資料請求など成果につながる行動はコンバージョンと呼び、最終の確認先に置くと分かりやすくなります。
迷いやすい目的ごとに、数字の置き方を並べます。
| 目的 | 追う数字 | 見る頻度 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ増 | コンバージョン数 | 月次 | 対象ページも固定 |
| 見込み客の質 | 問い合わせ内容の傾向 | 月次 | 商談化も確認 |
| 指名で探される | 会社名での流入 | 月次 | 比較検討に効く |
| 認知を広げる | 表示回数とクリック数 | 月次 | 記事の役割が中心 |
| 採用につなぐ | 応募導線の到達 | 月次 | 募集要項が要 |
数字が動く順番を知っておく
検索の改善は、早く動く数字と、遅れて動く数字が混ざります。たとえば記事を直した直後は、まず「検索結果で見つかった回数」や「クリック数」の変化が先に出ます。
一方で、問い合わせの増減は、サービスページや事例の整い具合にも左右されます。だから、途中の数字が前に進んでいるのに最終が動かない時は「ページの役割分担」と「導線」を疑う方が筋が通ります。
数字の確認には、Google Search Consoleという検索の状況を確認できる無料ツールが役に立ちます。
どのページが、どんな言葉で見つかっているかが見えるので、次に直す場所を決めやすくなります。
月次レポートで「判断できる形」になっているか
報告があっても、数字の羅列だけだと次の判断に結びつきません。社内が知りたいのは、今月の変化に対して「次に何を変えるか」です。
良い報告は、次の3点がセットで残ります。
- 今月やった作業
- 変化した数字と解釈
- 次の打ち手と、先にやる理由
ここが揃うと、会議で迷う時間が減り、改善の速度が上がります。
体制と進め方を先にそろえる
SEOの外注は、丸投げより共同作業に近い進め方になります。体制が曖昧だと、原稿確認や改修の承認で止まり、成果の前にプロジェクトが疲れてしまいます。
先に「誰が決めるか」「誰が確認するか」「誰が手を動かすか」を決めると、やり取りが軽くなります。
最小の役割を決める
最初から完璧な体制を作る必要はありません。最低限、次が明確なら前に進みます。
- 社内窓口:連絡の一本化
- 決裁者:優先順位の最終判断
- 内容確認:商品や強みの事実確認
- 実装担当:ページの修正担当
この形になると、業者の提案が「誰の判断待ちで止まるか」が見えるようになります。止まる場所が分かれば、先回りして準備できます。
打ち合わせの頻度は「成果物」で決める
頻度を先に決めるより、何をいつ出すかを決めたほうが噛み合います。
たとえば、最初の1か月は調査と設計の資料が出るので短い打ち合わせが必要になりやすいです。記事や改修に入ったら、確認と承認のタイミングが中心になります。
会議を増やすより、確認するものが明確なほうが運用は楽になります。
社内負荷を増やしやすい場面
負荷が膨らむのは、原稿確認が後回しになる時と、改修の担当が決まっていない時です。
この2つは、費用よりも納期や成果に影響が出やすいので、相見積もりの比較に入れておくと安全です。
提案書で見るべき内容
提案書は、見た目が整っていても中身の差が大きい資料です。大事なのは「自社の状況をどう理解し、何を先に直すか」が書かれているかです。
ここが弱い提案は、始まってから方針が揺れやすく、費用や期間の見通しも立ちにくくなります。
まず見るのは「優先順位」と「根拠」
施策の優先順位がない提案は、何をやっても正解に見えてしまいます。優先順位がある提案は、やらないことも明確なので、費用と体制が合うか判断できます。
根拠は、難しい専門用語より「なぜ今そこから手を付けるのか」が説明できているかで見てください。
提案書チェック表
読み比べる時は、同じ観点で線を引くと迷いが減ります。
| 見る項目 | 良い兆候 | 不安な兆候 | 質問例 |
|---|---|---|---|
| 目的の理解 | 成果と対象ページが明確 | 順位中心の話だけ | 最優先の成果は何か |
| 現状の把握 | 課題がページ単位で書かれる | 一般論が多い | 課題の根拠はどこか |
| 優先順位 | 先にやる理由がある | 施策の羅列 | 今月やらない事は何か |
| 役割分担 | 誰が何をやるか明記 | 曖昧で後出し | 社内作業はどれくらいか |
| 制作と改修 | 対象ページと量が特定 | 範囲がぼやける | 追加費用が出る条件は |
| 報告の中身 | 解釈と次の打ち手がある | 数字だけ並ぶ | 判断材料は何が残るか |
この表で「良い兆候」が揃うほど、依頼後のブレが減ります。反対に不安な兆候が多い場合は、契約や運用で揉めやすいので注意が必要です。
次は、トラブルを避けるための契約の考え方と、相見積もりの進め方に入ります。
リスクとトラブルを避ける契約の考え方
SEOは、検索の仕組みや競合の動きでも結果が揺れます。だから「結果を約束する契約」より、「やる作業と判断材料を残す契約」のほうが安心です。
契約書や見積もりで、次のような点が言葉として残っているかを確認してください。
契約前に確認したいこと
- 依頼範囲:対象ページと作業の範囲が書かれている
- 対象外:追加費用が出る条件が明確
- 成果の見方:追う数字と確認の頻度が決まっている
- 連絡体制:窓口と返答の目安が決まっている
- アカウント管理:会社側が持ち、必要な権限だけ渡す
- 終了時の引き継ぎ:資料とデータの受け取りがある
ここが曖昧だと、途中で「それは別料金」「それは対象外」が増えやすく、社内の説明もしづらくなります。
アカウントと権限は「会社が持つ」が基本
検索の状況を確認するGoogle Search Consoleなど、計測のアカウントは会社側が所有し、業者は作業に必要な範囲で招待する形が安心です。
業者が新しく作ったアカウントに全部入っている状態だと、契約終了後に数字が見られない、引き継ぎができない、といった問題が起きがちです。
よくある揉め方と避け方
よく起きるのは、作業の実態が見えないまま月日だけが進むケースです。
避けるコツは、月次の報告に「今月の作業」「次の作業」「その理由」を残してもらうことです。数字が動かない月でも、直す順番が見えます。
次に多いのは、検索で上位表示を断言するような言い方です。検索は外部要因もあるので、断言よりも「どの課題に、どの順で手を付けるか」が具体的かを見てください。
もし「何をするかは説明できないが任せてほしい」という姿勢なら、避けたほうが安全です。
終了時の引き継ぎで残してほしいもの
契約が終わるときに何が手元に残るかで、次の一手の軽さが変わります。
引き継ぎとして残ると助かるのは、次のようなものです。
- どのページに何をしたかの履歴
- 施策の優先順位と、やらなかった理由
- 作成した原稿や、修正前後の内容
- 計測の見方と、次に見る数字
ここがそろうと、別の担当に替わっても検討が続けやすいです。
相見積もりで比較する手順
相見積もりの目的は、安いところ探しではなく「同じ土俵で比べて、納得して決める」ことです。
手順をそろえると、提案の差が見えます。
比較の手順
- 目的と対象ページを一枚に書く
- 依頼範囲を決め、やらないことも書く
- その内容を各社に同じ形で渡す
- 同じ質問を投げ、回答の質で差を見る
- 見積もりは金額より内訳と担当で比べる
- 最後は、説明の分かりやすさと相性で決める
この流れで進めると、価格の差が「作業の差」なのか「抜け」なのかを見分けやすくなります。
比較が崩れやすい場面
比較が崩れるのは、各社に渡す情報がバラバラなときです。
たとえばA社には「問い合わせを増やしたい」、B社には「記事を増やしたい」と伝えると、提案の狙いが変わり、価格もズレます。業者の良し悪しではなく、前提が違う状態です。
だから最初に、「成果の種類」と「対象ページ」をそろえてから見積もりを取るのが近道です。
同じ質問でそろえると比べやすい項目
迷いやすいところだけ、質問として固定します。
- 最初の1か月で何を出してくれるか
- 対象ページと作業はどこまでか
- 記事とページ改善はどちらが主か
- レポートは何が残るか
- 追加費用が出る条件は何か
- 解約や引き継ぎはどうなるか
質問への答えが短い場合でも、理由と手順が筋道立っているかを見てください。話が飛ぶ提案は、運用で迷いが増えがちです。
依頼前に用意しておく情報
依頼前の準備は、完璧を目指すより「判断に必要な材料」をそろえるイメージです。未定があっても問題ありません。
次の情報があると、提案が現実に合いやすくなります。
先にそろうと話が早い情報
- サイトURLと対象ページ
- 伸ばしたい商品やサービス
- 相談が増えたら理想の状態
- お客さまが検討で迷う点
- 競合として意識している会社
- 社内でできる作業とできない作業
- 更新の担当者と承認の流れ
- 過去にやった集客施策があれば概要
可能なら添えると提案が具体化しやすい情報
余裕があれば、次の情報があると話が進みます。
- よくある質問と、現場での回答
- 事例や実績の材料(写真、数字、背景)
- 問い合わせの現状(内容の傾向、よくある困りごと)
- できれば避けたいお客さまの特徴
ここまでそろうと、提案が「一般論」から「自社の優先順位」に寄ってきます。とくに、対象ページと社内の体制が分かるだけでも、見積もりが現実的になりやすいです。
まとめ
SEO対策の業者選びは、候補を増やすほど迷いが増えやすいテーマです。
先に目的と依頼範囲を決め、費用の内訳と提案の優先順位で比べると、判断が前に進みます。
契約は結果の約束より、作業と引き継ぎが残る形かを見てください。相見積もりは同じ質問をそろえると、比較がしやすいです。
最後は「説明が分かる」「運用が回る」と感じる相手を選ぶほうが、結果的に社内の負担が減ります。