見積もりを取ったら金額も提案もバラバラで、どこを比べればいいか分からない。社内でも意見が割れて、決めるほど迷いが増える。こうした状況は珍しくありません。
結論は、目的を先にそろえてから比較軸を決めると、発注判断が一気に進みます。
ただし、ネットショップや採用など目的が強く分かれる場合は、見るべき所が少し変わります。
この記事で分かること
- 制作会社の比較で迷いが増える理由と、先に決める順番
- 成果の考え方と、社内で合意しやすいKPIの置き方
- 見積もりの読み方と、追加費用を減らす確認の仕方
ウェブ制作会社選びで迷いが増える理由
制作会社選びで迷うのは、会社の良し悪し以前に「比較の前提」がそろっていないからです。サイト制作は、見た目だけでなく、原稿、写真、導線、更新の仕組み、公開後の運用まで幅が広い仕事です。前提がずれたまま見積もりを並べると、金額差も提案差も大きく見えてしまいます。
見積もりがバラつくのは、作業範囲が違うから
同じ「コーポレートサイト制作」でも、会社ごとに含める作業が違います。
例えば、A社はデザインとページ作成が中心。B社は原稿の整理や撮影、公開後の改善まで含む。どちらが良いかは、貴社の状況と目的次第です。
よくあるつまずきは、「安い会社を選んだら社内作業が増えた」「高い会社を選んだが何が違うのか説明できない」という形です。ここで必要なのは、金額の大小ではなく、作業の範囲と責任範囲を見える形にすることです。
次にやることは、見積もりの総額を比べる前に「含めたい作業」を言葉にすることです。
社内で目的がそろわないと、比較が始まらない
制作会社に相談する段階で、社内の目的が混ざっていることがあります。
経営側は問い合わせを増やしたい。現場は採用もしたい。広報は会社の信頼を上げたい。どれも正しいのに、優先順位が決まっていないと、提案の評価が割れます。
評価が割れると、見積もり比較も止まります。
「提案が良い」「デザインが好き」「更新が楽そう」など、別々の物差しで話してしまうからです。
次にやることは、目的を一文にし、優先順位を一つだけ決めることです。
最初に決めるのは、成果の形
制作会社に伝えるべき最初の情報は、「このサイトで何が起きたら成功か」です。
例えば「問い合わせの質を上げたい」「初回の問い合わせ数を増やしたい」「採用の応募を増やしたい」などです。
ここが決まると、必要なページや見せ方、載せる情報の順番が変わります。逆に言うと、ここが曖昧なままだと、どの制作会社も提案がぼんやりします。結果として、貴社も選びきれません。
次にやることは、成果の形を一文にして、社内で共有することです。
成果の考え方と効果の測り方
コーポレートサイトは「会社案内」でもありますが、多くの中小企業では営業や採用の入口にもなります。見てもらうだけではなく、次の行動までつなげる設計があると、投資判断がしやすくなります。
ここで一度だけ用語をそろえます。SEOは検索で見つけてもらうための工夫です。KPIは成果を測る目安の数字です。
成果は「次の行動」が起きること
成果の見え方は、会社の状況で変わります。例えば次のような形です。
- 問い合わせが増える、または内容が具体的になる
- 採用応募が増える、またはミスマッチが減る
- 取引先からの信頼確認が早くなり、商談が進みやすくなる
見た目が整っているだけでは、行動は起きにくいです。行動の前には「不安」と「比較」があります。だからこそ、実績・体制・価格の考え方・よくある質問など、判断材料の置き方が成果に直結します。
次にやることは、サイトで起こしたい行動を一つに絞ることです。
KPIは2つに絞ると、社内で決めやすい
KPIを増やすほど、判断が遅くなりやすいです。最初は2つで足ります。
例えば「問い合わせ数」と「採用応募数」を同時に追うと、ページ構成の優先順位がぶれます。まずはメインの目的を一つ決め、KPIもそれに合わせます。
KPIの例は、次のように「現場が集計できる形」にすると運用しやすいです。
- 問い合わせフォームの送信数
- 採用の応募数
- 資料請求の件数
次にやることは、社内で集計できるKPIを二つ以内で書き出すことです。
公開後に直せる前提で作ると、投資が回収しやすい
サイトは公開した瞬間が完成ではありません。公開後に直せる前提で作ると、成果が出やすい形に寄せられます。
例えば、よく見られるページを見て原稿を足す。問い合わせが多い質問を追記する。ページの順番を入れ替える。こうした改善が回ると、制作費が「作って終わり」になりにくいです。
ここで関わるのが更新の仕組みです。CMSは、専門知識がなくてもページや文章を更新できる仕組みです。更新の仕組みが弱いと、小さな修正でも都度依頼が必要になり、スピードが落ちます。
次にやることは、公開後に誰が何を更新したいかをメモにすることです。
費用の考え方と見積もりの読み方
費用で迷うときは、まず「どこにお金がかかりやすいか」を知ると見通しが立ちます。見積もりは合計金額よりも、前提と作業範囲を揃えることが先です。
費用を動かしやすい要素は、だいたい決まっている
金額差が生まれやすいのは、次のような部分です。
- ページ数とページの種類
- 原稿を作る範囲と、誰が用意するか
- 写真撮影や素材の用意
- デザインの作り込み度合い
- 更新の仕組みの作り方
- 公開までの希望時期と、急ぎ対応の有無
同じページ数でも、内容が重いページが多いと工数が増えます。逆に、ページ数が多くてもテンプレートで整理できる場合は抑えられます。ここを見ないと、相見積もりで金額差だけが目立ちます。
次にやることは、ページ数だけでなく「原稿と写真を誰が用意するか」も決めることです。
見積もり内訳は「追加になりやすい所」を先に見る
見積もりの読み方は、合計から入るより、追加になりやすい所から見た方が安全です。特に、原稿や撮影、修正回数、公開後の保守は、会社によって扱いが違いがちです。
迷いやすい所だけ、チェック表にしました。制作会社に聞くための言葉として使えます。
| 項目 | 含まれやすい作業 | 追加になりやすい例 | 確認の一言 |
|---|---|---|---|
| 企画・構成 | ページ案と導線の設計 | ページ追加、構成の作り直し | 成果の定義は何ですか |
| デザイン | トップと下層のデザイン | 修正回数増、追加テンプレ | 修正の回数はどこまで |
| 原稿 | 既存文章の整理と整文 | 新規作成、取材、監修対応 | 原稿は誰が用意しますか |
| 写真 | 既存写真の調整 | 撮影、素材購入、加工の追加 | 撮影は含まれますか |
| 更新機能 | CMSで編集できる仕組み | 特殊入力、権限、検索機能 | 更新できる範囲はどこ |
| 公開後 | 保守、軽微修正、相談対応 | 改修作業、環境更新の対応 | 保守の範囲と窓口は |
この表で確認できるのは、「合計が同じでも中身が違う」という点です。前提をそろえてから見積もりを比べると、社内でも説明しやすくなります。
次にやることは、候補の制作会社へ「原稿・写真・修正回数・保守」の扱いだけ先にそろえて聞くことです。
提案内容の比較軸:見た目以外で差が出る所
結論から言うと、提案は「デザインの好み」だけで比べると決めきれません。成果につながりやすい提案は、見た目より先に“筋道”が通っています。
迷いやすい所だけ、比較の基準を5つに絞ります。
- 目的から逆算して、ページ構成が組まれているか
- 伝える順番と、判断材料の出し方が考えられているか
- 原稿や写真など、必要な素材の集め方が現実的か
- 公開後に直す前提があり、更新の負担が想像できるか
- 説明が分かりやすく、すり合わせが丁寧か
目的から逆算したページ構成になっているか
良い提案は「どのページで何を伝え、どこで行動してもらうか」が見えます。
逆に、ページを増やす提案だけだと、情報が散らばって成果が遠のくことがあります。
たとえばBtoBの場合、検討する人は社内で説明する材料を探しがちです。料金や事例だけでなく、進め方や体制、よくある質問などの安心材料が並ぶと、問い合わせまで進みやすくなります。
次にやることは、提案の中に「必要なページの理由」が書かれているかを見ることです。
伝える順番と判断材料が用意されているか
同じ内容でも、順番で伝わり方が変わります。
初めての人が知りたいのは、強みの前に「自分の状況に合うか」「失敗しないか」です。
提案を見るときは、次が含まれているかを確認します。
- 読者の不安に先回りして答える構成
- 他社比較の判断材料が置かれている
- 行動につながる導線が自然
次にやることは、「読者が迷う所を想像できているか」を一言で説明してもらうことです。
素材集めの現実性があるか
制作は、原稿と写真が止まると進みません。ここを軽く見ている提案は、後半で手戻りが増えがちです。
社内が忙しい会社ほど、素材集めの負担が読める提案かどうかが差になります。
たとえば、原稿を誰が書くのか、既存パンフや提案書をどう使うのか、撮影が必要か。ここが見えると、社内の段取りが組めます。
次にやることは、「原稿と写真の役割分担」を見積もりより先にそろえることです。
公開後の直し方まで想像できるか
公開後に直す前提がある提案は、長く成果が出やすい形に寄ります。
CMSは、専門知識がなくてもページを更新しやすくする仕組みです。更新できる範囲が明確だと、運用の負担が減ります。
次にやることは、「公開後に誰が何を更新したいか」を社内でメモにすることです。
説明の分かりやすさと相性も比較の材料
結局、制作はコミュニケーションの仕事です。話が噛み合わないと、修正が増えます。
提案の良し悪しだけでなく、質問への答え方や、こちらの状況を理解する姿勢も見ておくと安心です。
次にやることは、候補2〜3社に同じ条件で質問し、返ってくる説明の分かりやすさを比べることです。
体制と進め方:手戻りを減らす段取り
結論は、制作がスムーズに進む会社ほど「決める人」「決める時期」「確認の回数」が最初から見えています。ここが曖昧だと、途中で迷いが戻りやすくなります。
手戻りが増えるパターン
よくあるのは、次の流れです。
社内で承認が遅れる → 制作側の作業が止まる → 予定が押す → 焦って決める → 後で直したくなる。
このループを避けるには、最初に役割を決めてしまうのが近道です。
進行の役割分担表
| 項目 | 会社側の担当 | 制作側の担当 | 決める時期 |
|---|---|---|---|
| 目的とKPI | 優先順位を決める | 数字の置き方を提案 | 着手前 |
| ページ構成 | 必要情報の提供 | 構成案と導線を作成 | 初期 |
| 原稿準備 | 素材と事実の確認 | たたき台と整文支援 | 中盤前 |
| デザイン確認 | 社内承認の取りまとめ | 意図の説明と反映 | 中盤 |
| 公開前チェック | 社名や数値の最終確認 | 表示と動作の確認 | 終盤 |
| 公開後の運用 | 更新担当と頻度を決定 | 更新手順の整備 | 公開前 |
この表が埋まると、「社内で止まる所」が見えます。止まりそうな所が分かれば、先に準備できます。
次にやることは、会社側の窓口を1人に決め、社内の承認ルートを短くすることです。
リスクとトラブルを避ける確認事項
結論は、契約前に“引き渡し”と“公開後”の扱いを言葉にすると、後の不安が大きく減ります。制作中は盛り上がって進むので、気まずい確認ほど後回しにされがちです。
トラブルが起きやすいのは「権利」「アカウント」「範囲」
特に多いのは、次のような行き違いです。
- ソースや画像などのデータが手元に残らない
- ドメインやサーバーの管理がブラックボックスになる
- 保守の範囲が曖昧で、修正が都度見積もりになる
トラブル予防の確認表
| 確認テーマ | 見落とし例 | 先に決めること | 影響 |
|---|---|---|---|
| データ引き渡し | 納品物の範囲が曖昧 | 何を渡すか一覧化 | 将来の改修が難しい |
| アカウント管理 | 制作側だけが把握 | 誰が管理者か決める | 復旧に時間がかかる |
| 保守の範囲 | 対応時間や回数が不明 | 月額で何が含まれるか | 費用が読みにくい |
| 修正の扱い | 回数や期限が不明 | 修正の回数と締切 | 納期が延びやすい |
| フォーム運用 | 通知先や保管方法が未決 | 送信先と保管の方針 | 対応漏れや事故の不安 |
| 計測の設定 | 公開後に数字が取れない | 何を測るか先に決める | 改善が進みにくい |
この表は「揉める前に決める」ための道具です。制作会社が悪いという話ではなく、決める項目が多い仕事だからこそ、先に確認する価値があります。
次にやることは、候補の制作会社へ表の6項目を同じ順番で確認し、回答をメモに残すことです。
制作会社のタイプ別:向くケースと選び方
結論は、「どんな会社が良いか」より「自社はいま何で止まっているか」で選ぶと失敗が減ります。制作会社には得意不得意があります。
タイプ別の比較表
| タイプ | 向くケース | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 制作特化 | 作る物が固まっている | 進行が早く品質が安定 | 要件整理は自社負担 |
| 提案重視 | 方向性がぼんやり | 構成や原稿まで踏み込む | 初期の時間が増えやすい |
| 開発寄り | 機能要件が多い | 複雑な仕組みに強い | 情報設計は別途になる事も |
| 小規模 | 小回りと速度を重視 | やり取りが軽い | 体制が属人化しやすい |
この表で決められるのは、候補を絞る方向です。たとえば、原稿が進まない会社が制作特化に頼むと、途中で止まりやすくなります。逆に、要件が固まっているのに提案重視へ頼むと、検討が長引きやすいです。
次にやることは、自社の詰まりどころを一文で書き、タイプを先に絞ることです。
相談前に揃える情報と社内の進め方
結論は、相談前に「一枚メモ」を作るだけで、見積もりと提案の質が上がります。未定があっても問題ありません。大事なのは、比較の前提をそろえることです。
一枚メモに入れる内容
迷いやすい点だけ、順番に並べます。
- 目的(問い合わせ、採用など)
- 誰に見てほしいか(業界、役職、検討段階)
- 取ってほしい行動(相談、資料請求など)
- 現状の困りごと(更新できない、原稿が古い)
- 既存サイトや資料(URL、パンフ、提案書)
- 参考にしたいサイト(方向性の共有用)
- 希望時期(急ぎか、相談して決めるか)
- 予算感(幅で良い。未定でも可)
これがそろうと、制作会社は提案の前提を合わせやすくなります。貴社側も「どこが違う提案か」を説明できるようになります。
次にやることは、上の項目をA4一枚にまとめ、相見積もりを取る会社へ同じ内容で渡すことです。
まとめ
ウェブ制作会社の比較で迷うのは、前提がそろわないまま見積もりと提案を並べるからです。先に目的と優先順位を決め、ページ構成、原稿の段取り、公開後の運用まで含めて比べると、発注判断が早くなります。
見た目で選ぶのが悪いわけではありません。ただ、成果につなげたいなら「伝える順番」「判断材料」「進め方」「公開後の直し方」が提案に入っているかまで見ておくと安心です。