WEB制作の相場と見積の見方

2026.02.21

「見積を取ったら、金額がバラバラで判断できない」。
「安い方が良さそうに見えるけれど、後で困りそうで怖い」。
web制作の相場は“決まった定価”がある世界ではなく、作業範囲と目的で上下します。だから、相場を丸暗記するより、見積の中身を読める状態を先に作る方が決めやすくなります。

この記事では、相場がぶれる理由、価格帯でできることの目安、見積を比べる軸を順番に解説します。
読み終わったときに「この見積は何が含まれるか」「比較するときに何をそろえるか」が見え、社内の判断が進みます。

Web制作の相場が幅広い理由

相場がぶれるのは「作業の量」と「難しさ」が違うから

同じ“コーポレートサイト”でも、会社ごとに必要な作業は変わります。見た目が同じページ数でも、裏側の作りやすさが違えば工数は増えます。相場が広く見えるのは、見積が「作るもの」ではなく「やる作業」を積み上げているためです。

よく差が出るところは、次の五つです。

  • ページ数と種類(会社概要だけか、事例や採用もあるか)
  • デザインの作り方(既存テンプレ中心か、個別に設計するか)
  • 原稿や写真の準備(社内で用意できるか、制作側が伴走するか)
  • 更新方法(CMSは自社更新を楽にする仕組みです)
  • 集客の設計(SEOは検索で見つけてもらう工夫です)

この違いが混ざったまま相見積もりをすると、金額だけが目立って中身を比べにくくなります。まずは「何を含めるか」をそろえて比べるのが近道です。

価格差が出やすい制作会社側の事情もある

制作会社の体制でも差が出ます。少人数で回している会社は固定費が少ない一方、担当できる範囲が限られることがあります。逆に、複数人で進める体制だと進行管理や品質チェックが厚くなる反面、費用は上がりやすい傾向です。どちらが正解かではなく、自社の状況に合うかで見ます。

コーポレートサイト制作の相場感:価格帯別にできること

「安いか高いか」より先に、目的に届く形かを見る

相場を知りたいとき、まず気になるのは金額です。ただ、費用だけで決めると「公開したが問い合わせにつながらない」「更新が回らず放置される」といった形で、やり直しが起きやすくなります。ここではよく見かける価格帯の目安と、含まれやすい範囲を並べます。

価格帯想定規模含まれやすい範囲注意点
30〜80万円小規模テンプレ中心原稿は自社準備
80〜180万円標準設計+基本制作修正回数を確認
180〜300万円標準〜中導線と原稿支援撮影有無で増減
300〜600万円中規模取材・撮影込み社内確認の負担
600万円以上中〜大多拠点・多言語等要件の合意が鍵

表は入口の目安です。自社の見積で上下しやすいのは「ページ数」「原稿と写真」「更新の仕組み」の三つです。ここを意識して見積の前提を読みます。

価格帯を決める前に、社内でそろえたい三つ

見積の精度は、依頼時の情報で変わります。大げさな資料は不要でも、次の三つを言葉にすると比較が楽です。

  • 目的:問い合わせを増やす、採用を強める など
  • 対象:誰に見てほしいか(既存顧客、取引先、求職者)
  • 範囲:必要そうなページ(会社案内、サービス、事例、採用)

この三つがそろうと、制作会社側も作業範囲を切り分けやすく、見積のブレが小さくなります。

見積書で比較する軸:内訳と前提条件

見積の比較は「合計」ではなく「前提」をそろえる

見積は合計金額だけ見ても判断できません。ページ数、デザイン案の作り方、修正の範囲、原稿や写真の担当、公開後の対応範囲など、前提が違えば金額も変わります。比べるときは、まず前提をそろえるか、違いが分かる形にします。

迷いやすい点だけ、チェック表にします。読んだ後に制作会社へ確認すれば、追加費用や手戻りを減らしやすくなります。

チェック項目見積のどこを見るか抜けやすい費用確認の一言
ページ数制作範囲追加ページ何ページ想定ですか
デザイン範囲デザイン費下層ページどこまで個別ですか
修正回数備考追加修正上限はありますか
原稿と写真原稿・撮影取材費誰が用意しますか
更新の仕組み機能/実装設定・研修どこまで更新できますか
公開後対応保守/運用月額保守公開後はどこまで対応ですか

この表で押さえたいのは、質問の上手さではありません。「見積が違う理由」を言葉にして、同じ土俵で比べることです。前提がそろうほど、社内の合意も取りやすくなります。

追加費用が出やすい場面:リスクと防ぎ方

見積の金額が想定よりふくらむときは、だいたい理由が二つです。作る範囲が途中で増えるか、最初に決めるべきことが曖昧なまま進むかです。逆に言うと、追加が出やすい場面を先に知っておけば、比較しやすい状態を作れます。

追加が出やすいのは「後から増える作業」

よくあるのは次のようなケースです。

  • ページや機能が途中で増える(事例を増やしたい、採用も強化したい など)
  • 原稿や写真がそろわず、制作側で作る作業が増える
  • 修正が想定より多くなり、作り直しに近い変更が起きる
  • 公開までに社内承認が間に合わず、進行が止まって期間が延びる
  • 公開後に「ここも直したい」が増え、対応範囲が広がる

ここでの注意は、追加が悪いのではなく、追加のルールがないことです。どこからが追加か、どのタイミングで合意するかが決まっていれば、費用もスケジュールも見通しが立ちます。

よくある論点起きやすい原因先に決めること社内の担当
ページ追加情報が後出し上限と優先順位決裁者
修正が増える完成像のズレ確認回数と手順窓口
原稿が止まる担当が分散担当と締切広報・総務
写真が足りない素材の棚卸不足撮影の有無各部署
公開後の修正運用像が未定対応範囲と窓口運用担当
環境の移行契約情報が不明契約情報の共有情報システム

この表は、相手を問い詰めるためではなく、社内の迷いを減らすために使います。担当が決まっているだけで返事が早くなり、追加や手戻りを抑えやすくなります。

見積依頼で「含む・含まない」を先にそろえる

相見積もりが難しいのは、見積に入っている作業が会社ごとに違うからです。依頼時に次の二点を言葉にすると、比較が一気に楽です。

  • 何ページを作る想定か(増える可能性があるなら上限も)
  • 原稿と写真は誰が用意するか(社内か、制作側か)

加えて、次の聞き方をしておくと安心です。

  • 修正はどこまでが見積内か
  • 途中で追加が出る場合、合意の手順はどうするか
  • 公開後の軽い修正はどこまで見てもらえるか

答えが出れば、金額の差の理由がはっきりします。安い見積でも、前提が合っていれば選びやすい状態です。

体制と進め方:社内準備と進行の流れ

制作は外注しても、社内の動きが止まると全体が止まります。費用感をコントロールするうえでも、「誰が決めるか」と「いつ確認するか」を最初に決めるのが近道です。

最低限決めたい社内の役割

担当が多すぎると判断が遅くなります。逆に少なすぎると素材が集まりません。次の役割だけ押さえておくと、進めやすい体制を作れます。

  • 決裁者:方向性と予算の最終判断
  • 窓口:制作会社との連絡と社内調整
  • 原稿の責任者:文章の集約と最終チェック
  • 素材の提供者:写真、実績、会社情報などの提出
  • 公開後の担当:更新や問い合わせ対応の運用

役割が決まっていない場合、見積が固まらないこともあります。制作側が「どこまで代行するか」を判断できないためです。

よくある制作の流れと、社内がやること

流れ自体はシンプルですが、途中の確認が抜けると「思っていたのと違う」が起きます。確認の節目だけ意識してください。

  1. 目的と範囲を決める(誰に何を伝えるか、ページの一覧)
  2. 画面の構成を決める(どの情報を上に置くか)
  3. デザイン案で方向性をそろえる(雰囲気と見せ方)
  4. 原稿と写真を集める(足りない部分は追加で作る)
  5. ページを組み込み、動作を確認する
  6. 公開と引き継ぎ(更新方法と連絡先を共有)

社内で負担が重いのは、原稿と承認です。ここが詰まると、制作会社側は次の作業に進めません。

進行を止めないための実務の工夫

実務で役に立つのは、根性論ではなく仕組みです。

  • 原稿はゼロから書かず、見出しだけ先に埋める
  • 確認者を増やしすぎず、直す観点を分ける
  • 迷いが出やすいページだけ先に固め、残りは流れで作る

特に原稿は、完璧に書いてから渡すより、たたき台を早めに回した方が進むことがあります。制作会社に「書く順番」を作ってもらうと、社内の負担も読み手の理解もそろえやすいです。

公開後に困らないための確認

公開後に困るのは、更新の担当が決まっていないときです。更新が止まると情報が古くなり、信用にも響きます。公開前に次だけ決めておくと安心です。

  • どのページを自社で更新するか
  • 何かあったときの連絡先はどこか
  • 小さな修正の依頼方法と費用感

ここまでそろうと、制作の見積は「作る費用」だけでなく、「回す前提」まで見える形に変わります。次は、成果の判断を先に決めて、作る内容の優先順位をつける考え方を紹介します。

成果の判断を先に決める:KPIとゴール設計

相場や見積の話は、最終的に「その投資で何を得たいか」に戻ります。ここが曖昧だと、見積の増減に振り回されやすくなります。逆に、成果の見方が決まっていれば、必要な範囲と削れる範囲が見えてきます。

KPIは、ゴールに近づいているかを途中で確かめる目安です。

まず「ゴール」を一つだけ決める

中小企業のコーポレートサイトで多いゴールは、次のどれかです。

  • 問い合わせを増やす(フォーム、電話、資料請求)
  • 採用の応募を増やす(エントリー、説明会)
  • 取引先からの信用を固める(紹介先が見て安心できる)

ゴールが複数ある場合は、主役を一つにします。主役が決まると、ページの優先順位も決まりやすくなります。

KPIは「途中で確認できる合図」を少数にする

例えば問い合わせがゴールでも、公開直後は問い合わせ数だけを見ても判断しづらいことがあります。そこで、途中経過として見やすい合図を二つか三つだけ置きます。

  • サービスページが見られているか
  • 問い合わせ導線まで進んでいるか
  • 検索から来た人が増えているか

合図が少ないほど、社内で話が進みます。逆に数字が多いと「何が原因か」の議論が散りやすくなります。

ゴールが変わると、作るべき情報も変わる

問い合わせを増やしたい場合、読者が知りたいのは「何をしてくれる会社か」と「頼んだ後の流れ」です。採用を強めたい場合は、仕事内容だけでなく「どんな人が合うか」と「働くイメージ」が必要です。ゴールに合う材料がそろっているかを見直すと、見積の中身も評価しやすくなります。

投資対効果を上げる考え方:直す順番の作り方

費用を抑える工夫は、機能やページを減らすことだけではありません。むしろ「直す順番」を決めると、ムダな作り込みを避けやすくなります。企業向けのサービスでは、初回訪問で即決が起きにくく、信頼と納得の段取りで差が出ます。

直す順番は「理解→安心→次の一歩」

サイトを初めて見る人は、頭の中で次の順に判断します。

  1. この会社は何者か(扱う領域が分かるか)
  2. 任せても大丈夫か(根拠が見えるか)
  3. 次に何をすればよいか(迷わず動けるか)

この順番に合わせると、ページの作り込みも決めやすくなります。

まず固めるべき三つのページ

全部を一度に完璧にするのは大変です。最初に固めるなら、次の三つから始めると進みやすいです。

  • トップ:誰向けで、何が強みかを一目で伝える
  • サービス:できること、できないこと、進め方を具体的に書く
  • 問い合わせ:相談方法、必要情報、返答の流れを示す

この三つがそろうと、残りのページは「補強」として作れます。逆にここが弱いと、どれだけページを増やしても迷いが残りやすいです。

情報が多い会社ほど「削る判断」が効果に直結する

社内には、載せたい情報がたくさんあります。ただ、初めての読者が知りたい順番と、社内が語りたい順番は違うことが多いです。

例えば、トップに理念や沿革を長く置くより、最初は「何を提供しているか」「どんな課題に強いか」を短く出した方が、次のページへ進みやすくなります。伝える順番を整えると、同じ情報でも価値が伝わりやすくなります。

相談前に整えること:相見積もりの進め方と伝え方

相見積もりは、数を集めることより「比べられる状態」を作ることが大変です。ここができると、社内の合意も取りやすくなります。

依頼文は1枚で足りる

見積依頼で用意するのは、立派な資料ではなく、判断に必要な前提です。次の内容を短くまとめれば十分です。

  • 目的(問い合わせ、採用など)
  • 想定ターゲット(誰に見てほしいか)
  • 予定ページ(作りたいページの一覧)
  • 原稿と写真の状況(そろっているか、支援が必要か)
  • 希望時期(いつ公開したいか)
  • 公開後の運用(自社更新の範囲、保守の要否)

この情報があると、見積の根拠がそろい、比較がしやすくなります。

提案の評価は「金額」より「前提の読み取り」

同じ金額でも、提案の質は変わります。見積の説明が分かりやすい会社は、途中のやり取りも噛み合いやすい傾向があります。判断するときは、次を見ます。

  • 想定しているページや作業が言語化されているか
  • 追加が出る条件と手順が書かれているか
  • 自社側の作業(原稿、確認)が明確か
  • 公開後の対応範囲がはっきりしているか

「説明が短いから悪い」ではなく、比較に必要な情報があるかで見ます。

発注前に決めておくと揉めにくいこと

制作を始めてから揉めやすいのは、修正の扱いと、公開後の微調整です。発注前に、次だけ合意しておくと安心感が増えます。

  • 修正はどこまでを見積内とするか
  • 公開後の軽い修正をどう扱うか
  • 窓口と決裁の流れは誰が担うか

この三つがそろうと、制作会社側も動きやすく、社内の負担も減ります。

まとめ

web制作の相場は、ページ数だけで決まらず、作業範囲と目的で変わります。だからこそ、金額の比較だけで結論を出すより、前提をそろえて見積を読む方が安心です。

まずは、作りたいページと原稿・写真の状況を言葉にし、見積の内訳と前提をそろえて比べてください。そのうえで、追加が出やすい場面を先に潰し、成果の見方を決めると、無理のない範囲で投資判断ができます。

制作は「作って終わり」ではなく、公開後に育てる前提で進めると成果に近づきます。

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