社内で「作りたい」はあるのに、何から決めればよいか分からず止まることがあります。制作会社に相談したい気持ちはあっても、準備が不安で後回しになりがちです。
先に決める順番をそろえると、見積もり比較も会話も進めやすいです。
一方で、急ぎの公開や採用集中など期限が動かせない場合は、理想より「今できる範囲」を優先する判断もあり得ます。
この記事では、目的と範囲の決め方、費用の見方、依頼前にやることを、初めての外注でもつまずきにくい順でまとめます。
なぜWEB制作の依頼で迷いが増えるのか
WEB制作は、家電のように同じ型番を買う話ではありません。作るものの中身が会社ごとに違い、途中で判断が増えるからです。
迷いが増える場面はだいたい同じで、「目的が一文になっていない」「範囲がふわっとしている」「社内の判断役が決まっていない」のどれかが残っています。
迷いの正体は、未決定のまま作業が進むこと
制作側は手を動かしやすい順に進めたくなりやすいです。けれど目的や優先順位が固まっていないと、あとから直しが増えます。
よくあるのは、見た目の好みを先に決めた結果、伝えたい順番や問い合わせの流れが後追いになる形です。見た目の議論は大事ですが、土台がないと疲れやすいです。
次にやることは、社内で「何のためのサイトか」を一文で言える状態にすることです。
依頼先との会話を軽くする一言
相談の入口で役立つのは、「誰に、何を決めてもらいたいサイトか」です。営業先の担当者なのか、採用応募者なのかで、必要な情報もページ構成も変わります。
ここが決まると、制作会社も提案の角度を揃えやすくなり、打ち合わせの回数や修正の迷いが減ります。
依頼前に決める目的と範囲
結論は、目的を先に一つ決め、範囲は「作る」「用意する」「公開後に回す」の三つで見ます。これだけで見積もりの前提が揃い、追加費用の芽も見つけやすいです。
目的は一つに絞り、成果の形まで言葉にする
目的は「問い合わせを増やす」「採用応募を増やす」「取引先の不安を減らす」など、まず一つに絞ります。二つ以上ある場合は主目的を決め、他は優先度を下げます。
目的が一つになると、必要なページと不要なページが見えます。たとえば問い合わせが目的なら、実績や料金、よくある質問など、判断材料の置き場が先に決まります。
次にやることは、主目的を一文にし、社内で共有することです。
範囲は「作る」「用意する」「回す」で分ける
「作る」はページ数や機能だけではなく、写真撮影の有無、文章の手直しの有無、スマホで見やすい設計まで含みます。
「用意する」は、会社案内の資料、商品情報、実績、よくある質問、採用要項などの素材です。ここが遅れると納期が伸びやすいです。
「回す」は公開後の更新や、問い合わせが増えたときの運用です。公開して終わりにしないなら、更新の担当と頻度が先に決まっているほうが安心です。
費用の考え方と見積もりの見方
費用は、ページ数だけで決まりません。どこまで「考える作業」を含むか、どこまで制作側が「素材づくり」を担うかで変わります。
安い見積もりが悪いわけではありませんが、前提が違うと比較が難しくなりやすいです。総額だけで選ぶ前に、含まれる作業と、追加になりやすい作業を見分けます。
まず見るのは、見積もりの「前提」と「含まれる範囲」
同じ「10ページ制作」でも、文章は全部支給なのか、構成提案があるのかで負担が変わります。ここが違うのに金額だけ比べると、あとで揉めやすいです。
SEOは検索で見つけてもらう工夫のことです。SEOまで見込むなら、検索で狙う言葉の選び方や、記事の役割分担などの作業が含まれているかを確認します。
| 項目 | 含まれやすい作業 | 追加になりやすい例 | 確認の聞き方 |
|---|---|---|---|
| 企画・設計 | ページ構成、見せる順番 | ページ追加、構成の作り直し | 提案はどこまで含む? |
| デザイン | トップと下層の見た目 | 下層の型追加、画像作成 | 下層は何種類作る? |
| 原稿 | 文章の手直し、整え | 取材、文章の新規作成 | 原稿の担当は誰? |
| CMS | お知らせや更新の仕組み | 問い合わせ入力の追加、担当設定 | 更新できる範囲は? |
| 公開後 | 軽い修正、予備の保存 | 保守、更新代行 | 公開後の窓口は? |
CMSは、社内でお知らせやページを更新できる仕組みです。更新が必要な会社ほど、どの範囲を社内で触れるかが費用と手間に直結します。
この表を使うと、見積もりの違いが「金額」ではなく「作業の有無」として見えます。
追加費用が出やすい場面を先に潰す
追加が出やすいのは、原稿づくり、写真素材、公開後の手直しです。ここは「どちらが担当するか」が曖昧だと、金額だけでなくスケジュールもずれやすいです。
未定の項目は未定のままでも構いません。代わりに「社内で用意できそうか」「外注もあり得るか」を伝えると、見積もりの想定がそろいます。
依頼先の選択肢と選び方
依頼先は、名前より「どこまで伴走してくれるか」で選ぶと失敗が減ります。見た目だけ作るのか、目的から逆算して構成や原稿まで一緒に組むのかで、必要な相手が変わるからです。
同じ制作会社でも、得意な領域は分かれます。提案の中身が自社の課題に触れているか、公開後の運用まで見据えているかで見抜けます。
| タイプ | 向くケース | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 制作会社(総合) | 企画から丸ごと任せたい | 体制が揃い進行が安定 | 分業で伝言が増えやすい |
| デザイン寄り事務所 | 世界観や見せ方を整えたい | 見た目と体験の精度 | 運用や保守は別手配も |
| フリーランス | 小規模で速く作りたい | 融通が利きやすい | 対応範囲と継続性を確認 |
| 社内主導+外部支援 | 素材が揃い指示できる | 費用を抑えやすい | 社内の作業負担が増える |
上の違いが分かると、「何を外に出し、何を社内で持つか」を決めやすくなります。たとえば原稿や写真が揃っている会社は、社内主導でも進みます。逆に、伝える内容がまだ固まっていないなら、企画や構成に強い相手が合います。
比較するときは「提案」と「進め方」をセットで見る
見積もりだけを並べると、安い方に目が行きがちです。けれど公開後の成果まで考えるなら、提案の中身も同じ重さで見ます。
提案で見たいのは、きれいなデザイン案よりも「誰が迷って、どこで決められるか」をどう作るかです。読者が判断するための材料が、どのページに置かれるのかまで触れている提案は、考える作業をしている可能性が高いです。
断りにくい場面ほど、すり合わせは文書に残す
口頭で通じたつもりでも、後で解釈がズレます。よくズレるのは、ページ数、修正対応、原稿の担当、公開後の窓口です。
このあたりは、議事メモでもよいので文章に残すだけで揉めにくくなります。社内の引き継ぎにも効きます。
体制の作り方と進め方
制作が止まる原因は、技術より判断の渋滞です。担当が頑張っても、誰が決めるかが曖昧だと前に進みません。
社内で役割を三つに分けると、無理が出にくいです。
役割は三つで足りる
一つ目は最終判断者です。経営者か部門長など、方向性を決める役です。
二つ目は窓口担当です。制作会社との連絡をまとめ、社内の意見を集めます。
三つ目は素材担当です。会社情報、商品情報、実績、写真など、社内の元ネタを集めます。全部を一人で抱えると、どこかで息切れします。
公開までの流れは「決める順」と「作る順」を分ける
進行は、決める作業と作る作業が交互に来ます。先に決めた方がよいのは、目的、読者、必要なページ、伝える順番です。
ここが固まると、デザインや原稿の作業が速くなります。逆にここが揺れると、修正が増えて疲れやすいです。
原稿が一番詰まりやすいので、型を先に作る
原稿は、書けないのではなく、何をどこまで書くかが決まっていないことが多いです。
見出しの並びだけ先に作り、各見出しに「この段落で読者が何を判断できるか」を一言で添えると、執筆が現実的になります。
細部の言い回しは後で整えられます。最初から完璧な文章を狙うと、いつまでも前に進みません。
よくあるリスクとトラブルの避け方
外注で怖いのは、出来上がりの良し悪しより「あとで直せない状態」になることです。公開してから気づく問題ほど、時間も費用も膨らみます。
先に押さえておくと安心なリスクは、だいたい次の三つに集約されます。
範囲のズレ
よくあるのは、想定していたページが含まれていない、更新できると思っていた箇所が固定だった、というズレです。
対策は、ページ一覧と更新範囲を早めに確定し、見積もりと同じ前提にそろえることです。言葉だけだとズレるので、一覧があると強いです。
修正のズレ
修正が何回までかより、どこまでが修正で、どこからが作り直しかが曖昧になりやすいです。
方向性が変わったときに追加扱いになるかどうかは、担当者の気分では決まりません。最初に「どの工程まで戻ると作り直しになるか」を合意しておくと揉めにくいです。
公開後のズレ
公開後に困るのは、軽い文言修正、画像差し替え、担当変更などの小さな作業です。これが積み重なると、更新が止まります。
窓口が誰か、どの範囲ならすぐ直せるか、緊急時の連絡方法があるかを先に決めると、公開後の不安が減ります。
ここまでで、依頼先の見分け方、社内体制、トラブル回避の筋道が揃いました。次は、成果の見方と相談前の準備をまとめ、実際に相談へ進める形に落とします。
効果の捉え方とKPIの決め方
公開した直後に、いきなり問い合わせが増えるケースもあります。ただ、コーポレートサイトは「検討の途中で見られる」ことも多く、結果が出るまでに時間がかかることもあります。焦って作り直すより、まずは“見方”をそろえる方が判断しやすいです。
KPIは、進み具合を測る目印
KPIは、目的に向かって進んでいるかを確かめる目印です。
たとえば目的が問い合わせなら、主に見るのは「問い合わせ件数」です。採用なら「応募数」、取引先の不安を減らしたいなら「必要情報の閲覧」など、目的に合わせて決めます。
最初に決めると迷いにくいのは、次の考え方です。
- 主の目印は1つだけ決める(例:月の問い合わせ件数)
- 補助の目印は2つまでにする(例:料金ページの閲覧、フォーム到達)
- どのページが主役かを決める(例:サービス、実績、採用)
目印が増えすぎると、良くなったのか分からなくなります。主の目印が動いたかどうかを先に見て、補助の目印は原因の当たりを付けるために使うとスムーズです。
見るタイミングは「公開直後」と「1〜3か月後」で分ける
公開直後は、数値の上下より「動線が通っているか」を確認します。フォームが送れるか、スマホで読みにくい箇所がないか、古い情報が残っていないか。ここは早めに直せます。
その次は、1〜3か月ほどの幅で傾向を見ます。検索で見つかるまで時間がかかる場合もあるため、短期の増減だけで結論を出さない方が安心です。
伸びないときの見直しは、順番が大事
伸び悩むときは、先に“入口”から疑いがちです。ただ、入口が増えても、読む人が決められなければ前に進みません。
見直しの順番は、次の流れが無理なく進みます。
- 読者が最初に不安になる点が、文章で消えているか
- 比べる材料が、同じページ内でそろうか
- 問い合わせまでの道筋が、迷いなくつながるか
ここが整うと、問い合わせの質も変わりやすいです。「とりあえず見積もり」ではなく、条件がそろった相談が増えていきます。
相談前に用意すると話が早い情報
相談は、準備が完璧でなくても始められます。とはいえ、最初のやり取りで前提がそろうと、提案の精度も見積もりの比較もしやすいです。
未定は未定で構いません。分かる範囲だけ埋めるだけでも進みます。
| 項目 | 例 | 未定でも書ける形 | 関係者 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 問い合わせを増やす | 売上か採用かで迷い中 | 経営、営業 |
| 見てほしい相手 | 検討中の担当者 | 既存客も新規も想定 | 営業、広報 |
| 対象サイト | 現サイトURL | 新規立ち上げ予定 | 担当者 |
| 現状の困りごと | 伝わらず比較で負ける | 何が原因か不明 | 担当者 |
| 素材の有無 | 会社案内、実績資料 | 探せば出るが未整理 | 各部門 |
| 希望時期と予算感 | 春まで、概算あり | 相談して決めたい | 経営、総務 |
この表が埋まると、依頼先との会話が「何を作るか」だけでなく、「何を達成するか」に寄ります。結果として、見積もりの前提がそろいやすいです。
素材の有無は、費用と納期に効いてきます。社内に情報があるなら、どこにあるかだけでもメモしておくと、進行が止まりにくいです。
依頼前にやることは、見積もりの前に「前提をそろえる」だけ
ここまで読んでも、社内で意見が割れる部分が残るかもしれません。その場合は、判断材料が足りていないだけのことが多いです。
目的、見てほしい相手、伝える順番がそろうと、制作会社に聞くべきことも明確になります。逆にここが曖昧なまま比較を始めると、どの提案も良さそうに見えて決めづらくなります。
まとめ
WEB制作の依頼で迷いが増えるのは、技術の難しさより「未決定のまま進む判断」が増えるからです。まずは目的を一つに絞り、範囲を「作る」「用意する」「公開後に回す」で分けると、見積もり比較の軸が整います。
依頼先は規模や知名度より、提案の中身と進め方が自社の課題に合っているかで見た方が安心です。社内は最終判断、窓口、素材担当の三つに分けるだけでも進行が安定します。公開後は主の目印を一つ決め、短期の増減よりも傾向と改善の順番で判断すると、手戻りを抑えやすいです。
株式会社みやあじよでは、目的から逆算してページ構成と導線を組み立て、原稿のたたき台まで形にして、WEB制作において社内の判断が進む状態を作ります。WEB制作に関して何かお困りごとございましたら、どうぞ気軽にこちらからご相談ください。