前提:ここで扱う質問リストは、採用サイトに掲載する社員インタビュー記事向けです。
前提:内容は事実確認と社内確認を通し、誤解が出ない形で公開する想定です。
社員インタビューを用意したのに、読んだ人の不安が消えず応募につながらない。そんな相談は少なくありません。
原因は文章のうまさより、「何を聞くか」と「どう深掘りするか」が曖昧なことが多いです。
この記事では、次の3つを揃えます。
・候補者の不安を減らす質問の設計
・職種に合わせた質問リストの作り方
・同じ質問でも薄くならない準備のしかた
社員インタビューが採用サイトで求められる理由
採用サイトで社員インタビューが読まれるのは、会社紹介のためだけではありません。応募前の不安を、自分の目で確かめる材料が欲しいからです。
求人票や募集要項は「条件」が中心になりやすく、実際の働き方や雰囲気は伝わりにくい面があります。そこで社員の言葉があると、候補者は次の判断がしやすくなります。
「自分はやっていけそうか」「自分に合う環境か」「入社後に後悔しないか」を、具体で想像できるからです。
不安が生まれる場所はだいたい決まっている
候補者が迷いやすいのは、だいたいこの3つです。
・仕事の中身が想像できない
・一緒に働く人や評価の基準が見えない
・きれいな話だけで、現実が読めない
社員インタビューは、この空白を埋める役割を持ちます。だからこそ「会社が言いたいこと」より、「候補者が判断したいこと」を先に置くほうが、読まれ方が変わります。
会社にとっての狙いはミスマッチを減らすこと
良い話だけを並べると、応募は増えても面接や入社後にズレが出ます。
一方で、現実も含めて伝えると、候補者は納得して応募しやすくなります。結果として、選考途中の辞退や入社後のギャップが減りやすいです。
質問リストを作る前に決めること(職種・ターゲット・見せたい現実)
質問リスト作りでつまずく場面は、質問そのものではなく、前提が揃っていないことが多いです。先に決めるのは難しい作業に見えますが、ここを押さえると取材が早く進みます。
誰の不安を減らしたいかを言葉にする
採用担当や広報が「伝えたい魅力」を考えるのは自然です。
ただ、社員インタビューは広告よりも、比較検討の材料として読まれます。
そこで、最初に決めたいのは次の1文です。
「この職種の候補者が、応募前に不安に感じることを減らす」
これが決まると、質問の優先順位が自然に決まります。例えば、若手向けなら成長や教育の話が先です。経験者向けなら裁量や意思決定の話が先になります。
職種別に「聞く範囲」を決める
全社員に同じ質問をしても、読み手には刺さりません。
職種ごとに、聞く範囲を先に決めておくと、記事が揃って見えます。
例としてはこのあたりです。
・営業なら商談の進め方、評価の仕組み、チーム連携
・製造なら品質の基準、安全、改善の回し方
・事務なら業務範囲、繁忙期、関係部署とのやり取り
きれいごとより「事実」を置く
候補者が知りたいのは、根性論ではなく日々の事実です。
言い切りが難しい内容は「具体例」で伝えると、誤解が減ります。
例:忙しい
具体例:月末は残業が増えやすい、繁忙期だけ土曜出勤がある など
この「事実の置き方」が、読み手の安心につながります。
質問リストの作り方(カテゴリ別の例)
質問リストは、思いついた順に並べると抜けが出ます。
おすすめは、候補者の判断に必要な情報をカテゴリで揃え、同じ型で深掘りできるようにする方法です。
まず、よく使うカテゴリと狙いを、見える形でそろえます。
| 質問カテゴリ | 確認したいこと | 質問例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 仕事内容 | 何を誰と進めるか | 入社後3か月の仕事は | 抽象語は具体例へ |
| 1日の流れ | 時間配分と山場 | 典型的な一日を教えて | 日による差も補足 |
| 評価と成長 | 評価軸と学び方 | 評価される行動は何 | 人で変わる話は避ける |
| チーム | 連携と雰囲気 | 困った時の相談先は | 個人名より仕組み |
| 大変さ | つまずきどころ | 最初につらい所は何 | 対処や支援もセット |
| 入社理由 | 決め手と比較軸 | 他社と迷った点は | 他社批判は避ける |
この表を土台にすると、「何を聞くべきか」で迷いにくくなります。次は、カテゴリごとの質問例を、使いやすい形で用意します。
まずはこの12問で骨格を作る
最初から完璧に網羅しようとすると、取材が重くなります。まずは骨格になる質問だけ揃え、足りない分は職種に合わせて追加すると進みます。
・入社後3か月の仕事は何か
・一日の流れと、忙しい時間帯はいつか
・よく使うツールや資料は何か
・誰と関わる場面が多いか
・評価される行動や成果は何か
・入社後に伸びたと感じる力は何か
・最初につまずいたことは何か
・その壁をどう越えたか
・困った時の相談先と、相談のしかた
・職場の雰囲気が伝わる出来事
・入社の決め手と、迷った点
・入社前に知っておきたかったこと
ここまで揃うと、記事の芯ができ、候補者の不安を減らす材料が集まります。
「大変さ」を聞く時はセットで聞く
大変な話は避けたくなりますが、ここが薄いと記事全体が信用されにくくなります。
ただし、大変さだけで終わらせないのが前提です。
聞く順番はこの流れが扱いやすいです。
大変だったこと → 何が原因だったか → どう乗り越えたか → 会社の支えは何か
この順番なら、現実を伝えつつ、応募者の不安も増やしにくいです。
良い回答を引き出す聞き方(深掘りの順番)
質問リストを用意しても、答えが薄くなることがあります。多くの場合、質問が悪いのではなく、深掘りの順番が決まっていないだけです。
取材は会話なので、同じ質問でも「どこから聞くか」で内容の濃さが変わります。
まずは事実から入り、次に気持ちへ進む
いきなり「やりがいは何ですか」と聞くと、きれいな言葉で終わりがちです。先に事実を置くと、言葉に根拠が出ます。
深掘りの順番は、次の流れが扱いやすいです。
事実(何が起きた)→ 行動(何をした)→ 理由(なぜそうした)→ 変化(何が変わった)→ 学び(次にどうする)
例えば「大変だったこと」を聞く場面なら、こう掘ると自然に具体化します。
「いつ頃、どんな状況でしたか」→「その時、あなたは何から手を付けましたか」→「そう決めた理由は何でしたか」→「結果はどうなりましたか」→「今なら先に何をしますか」
この順番を決めておくだけで、同じ質問リストでも記事の説得力が上がります。
答えにくい質問は、選択肢を置いて助ける
相手が言葉に詰まるのは、準備不足というより「範囲が広すぎる」ことが原因です。そんな時は、選択肢を置いて考えやすくします。
例:
「成長した点は何ですか」ではなく
「知識が増えた、段取りが早くなった、関係者調整がうまくなった。この中だとどれが近いですか」
選択肢は誘導ではなく、思い出すきっかけです。答えが出たら「具体例を一つ」で深掘りします。
取材時間が伸びる時は「例を一つ」に絞る
話が良く出る人ほど、エピソードが増えて時間が足りなくなります。
その時は「いちばん伝わる例を一つだけ」に絞るのが安全です。
「今の話、候補者に伝えるなら代表例を一つにするとしたら、どれですか」
こう聞くと、話がまとまり、記事も読みやすくなります。
避けたい質問と表現(リスクと社内チェック)
社員インタビューは、良い話を集めるほどリスクも増えます。公開物なので、あとから困らない設計にしておくほうが楽です。
個人を特定する話は、仕組みに置き換える
誰かの評価や人間関係に寄る質問は、読み手の安心につながりにくい一方で、社内トラブルにつながりやすいです。
聞きたいのは個人の性格より、仕事が回る仕組みのはずです。
避けたい例:
「上司はどんな人ですか」
置き換え例:
「判断に迷った時、誰にどう相談しますか」
これなら、特定の人物像ではなく、相談ルートが伝わります。
条件の話は「制度」と「運用」を分けて扱う
残業や休日、評価などは候補者が気にする領域です。ただ、社員の体感だけで語ると誤解が出ます。
制度として決まっている部分と、部署や時期で変わる部分を分けて聞くと整います。
例:
「忙しさはどうですか」ではなく
「忙しくなりやすい時期はいつですか」
「その時、チームでどう分担しますか」
「会社として守っているルールはありますか」
事実と運用を分けると、話が現実的になり、過剰な断定も減ります。
断定と誇張を避け、読み手が誤解しない形に整える
取材の場では勢いで言い切ってしまうことがあります。記事では温度を残しつつ、誤解が出ない形に直します。
避けたい表現の例:
「誰でもすぐ活躍できます」
「残業はまったくありません」
置き換えるなら、条件や範囲を添えます。
「立ち上がりは先輩が伴走し、最初は小さな担当から始めます」
「繁忙期は残業が出やすいので、分担と調整で負担を偏らせない運用です」
社内チェックは、内容の正しさだけでなく「読んだ人がどう受け取るか」まで見ると事故が減ります。
取材の体制と進め方(社内協力の集め方)
体制づくりで迷うのは「誰が何をやるか」が曖昧な時です。取材を止めないためには、役割を小さく分けて持つのが現実的です。
全部を一人で抱えるより、企画と確認だけは採用・広報が持ち、取材や文章は得意な人に寄せるほうが回ります。
取材前にこれだけ揃えるとスムーズ
ここからは、漏れが出やすい準備だけチェック表にします。埋まらない欄は空白のままでも進められます。
| 準備項目 | 誰がやる | いつまで | メモ |
|---|---|---|---|
| 目的と想定読者 | 採用・広報 | 取材1週前 | 減らしたい不安を書く |
| 出演者の選定 | 採用・現場 | 取材2週前 | 職種と経験の偏り注意 |
| 事前ヒアリング | 出演者本人 | 取材3日前 | 箇条書きで十分 |
| 質問リスト確定 | 取材担当 | 前日 | 深掘り用も用意 |
| 写真の段取り | 撮影・担当 | 当日朝 | 場所と服装を確認 |
| 確認フロー | 採用・上長 | 公開前 | 誤解と機密を確認 |
このチェックが埋まると、取材当日の迷いが減ります。次は記事化で手戻りが出やすい部分を押さえます。
記事化の進め方(文章・写真の役割分担)
社員インタビューは、文字だけで完結させようとすると重くなりがちです。写真は飾りではなく、候補者が空気感をつかむ材料です。
文章で伝える部分と、写真で伝える部分を分けると読みやすくなります。
文章は「判断に必要な順番」で並べる
読み手が知りたい順番は、だいたい決まっています。
おすすめは、次の流れです。
最初に仕事の輪郭(何をするか)を置く → 次に日々の動き(どう進むか)を置く → その後に大変さと乗り越え方(現実と支え)を置く → 最後にこれから入る人への一言(不安の解消)
この順番なら、きれいな話だけで終わりにくく、納得感が残ります。
写真は「場面」を撮ると伝わりやすい
人物の顔写真だけだと、職場のイメージが湧きにくいです。
作業している手元、打ち合わせの様子、使っている道具、チームの距離感など、場面がある写真が一枚入るだけで理解が進みます。
文章で説明しすぎず、写真で補える部分は写真に任せる。これが記事全体の密度を上げます。
費用の考え方(内製と外注、見積の見方)
社員インタビューの費用は、「どこまでを作業として頼むか」で変わります。
取材だけなら軽く、企画から写真・原稿・掲載までまとめるほど工数が増えます。
社内でよく起きるのは、原稿は書けても「段取り」と「確認」が詰まるケースです。現場の予定調整、質問の準備、原稿確認の回覧が重なると、公開が先延ばしになりやすいからです。
費用を見積もる前に、まず作業を分けて考えると判断が早くなります。
作業の主な内訳は次のとおりです。
企画(誰に何を伝えるか)/取材(話を引き出す)/撮影(空気を見せる)/原稿(読みやすく整える)/確認(誤解と機密を潰す)/掲載(ページに反映する)
迷う場合は、いきなり大量に作らず、まず2本から始めると安全です。型が固まれば、3本目以降が速くなります。
| 方式 | できること | 向く状況 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 完全内製 | 社内で完結 | 人手と時間がある | 確認で止まりやすい |
| 取材のみ外部 | 話を深く引き出す | 現場の話が薄い | 編集の手戻りに注意 |
| 原稿のみ外部 | 読みやすく整える | 素材は集まる | 事実確認の負担は残る |
| 企画から外部 | 構成と導線まで整備 | 何を出すか迷う | 社内の意思決定が必要 |
| 撮影込み外部 | 記事と場面を揃える | 見せ方を変えたい | 日程調整が要る |
見積を比べる時は、金額そのものより「含まれる範囲」を揃えて見るほうが失敗しにくいです。特に差が出やすいのはここです。
・取材の回数と時間(一回か、追加取材があるか)
・原稿の修正回数(何往復までか)
・写真(撮影の有無、点数、簡単な補正の範囲)
・掲載作業(採用サイト側の反映まで含むか)
社内の負担を下げたいなら、「取材当日の進行」と「原稿の整形」を外に寄せると回りやすくなります。逆に、会社の言い方や細かな表現にこだわりがある場合は、確認と最終判断だけ社内で握るとブレにくいです。
成果の見方とKPI設計(応募までの指標)
KPIは、最終的な応募に近づく途中の数字です。
社員インタビューは、読んだ直後に応募が増えないこともあります。そこで「応募までの途中」を見える形にしておくと、社内で説明しやすくなります。
考え方はシンプルで、候補者の動きに沿って並べます。
読む → 募集要項へ進む → 応募フォームを見る → 送信する
この流れのどこで止まっているかが分かると、直す場所が絞れます。
| 指標 | 見る場所 | 見方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 閲覧数 | アクセス解析 | 記事別に増減を見る | 季節要因の影響あり |
| 募集要項への遷移 | アクセス解析 | 記事からの移動率 | リンク位置で変わる |
| 応募ボタンのクリック | アクセス解析 | クリックの回数 | 複数ボタンは分ける |
| フォーム到達 | フォーム | 到達数と離脱数 | 入力項目で落ちる |
| 応募数 | 応募管理 | 流入元を見比べる | 短期で判断しすぎない |
| 面接辞退率 | 応募管理 | 辞退理由も一緒に見る | 理由の記録が必要 |
数字を見る時は、単月の上下で一喜一憂しないほうが安定します。
「公開前と公開後で変化が出たか」「職種別に差があるか」をセットで見ると、改善の会話が進みます。
もう一つ、現場に効く見方があります。面接で聞かれる質問を記録し、「記事に追記すべき不安」を拾う方法です。数字に出る前に、候補者の迷いを先回りして減らせます。
公開後の運用・改善(更新と追加取材)
社員インタビューは、公開して終わりだと古くなります。特に採用は、仕事内容や体制が少し変わるだけで、候補者の不安が増えやすい領域です。
運用でやることは、大きく3つです。
・内容の鮮度を保つ
・職種や経験の偏りを減らす
・記事を増やす基準を決める
更新は「年に一度の棚卸し」だけでも違う
頻繁な更新が難しい場合でも、年に一度、次の観点だけ見直すと安心につながります。
仕事内容の呼び方が変わっていないか、使う道具が変わっていないか、働き方の前提が変わっていないか。
小さな差でも、候補者にとっては判断材料です。変化があれば追記し、変化がなければ「変わっていない事実」を残すと信頼が上がります。
追加取材は「足りない不安」から決める
増やす基準がないと、やる気と時間のある時だけ作って止まります。
おすすめは、面接で頻出する不安から逆算する決め方です。
例:
現場の忙しさが不安として多いなら、繁忙期の一日が分かる記事を足す。
教育が不安として多いなら、入社直後の立ち上がりが分かる記事を足す。
こうすると、量を増やすより、役に立つ範囲が広がります。
記事の型を揃えると、作る速度も上がる
質問のカテゴリと、記事の並び順を揃えると、読み手にとって比較がしやすくなります。
作る側も、次に何を聞けば良いかが見えやすくなり、制作が止まりにくいです。
まとめ
採用サイトの社員インタビューは、文章をきれいにする前に「候補者が判断したいこと」を先に置くと伝わりやすくなります。職種と読者像を決め、カテゴリで質問を揃え、事実から深掘りする順番を持つだけで、内容の密度が変わります。
リスクを避けるには、個人の話を仕組みに寄せ、制度と運用を分けて語り、断定を減らすことが効きます。体制は役割を小さく分け、止まりやすい確認フローを先に作るほうが進みます。公開後は、応募までの途中の数字と、面接で出る不安を材料にして、追記と追加取材を回すと育っていきます。
ここまでの内容を自社に当てはめる時、まだ社内で固まっていなくても大丈夫です。分かる範囲で、次だけメモしておくと相談がスムーズです。
・対象の採用ページURL
・採用したい職種
・候補者の不安として多いもの
・公開したい時期(未定でも可)
社員インタビューを「作っただけ」で終わらせず、候補者の不安を減らす形に整えたい場合は、株式会社みやあじよにご相談いただけます。取材設計から原稿のたたき台づくりまで、社内で判断しやすい形に落とし込みます。
質問リストが毎回ブレる、現場の話が薄くなる、確認が回らず公開が遅れるなど、採用関連で何かお困り事ございましたら気軽にお問い合わせください。