技術力には自信があるのに、Webからの相談が増えない。そんな製造業のサイトで多いのが「技術用語は書いているのに見つけてもらえない」「見られても見積依頼が来ない」という状態です。SEOは検索で見つけてもらうための工夫ですが、技術用語だけを増やすほど、相談から遠ざかる場面もあります。
この記事は、技術用語を無理にかみくだく話ではありません。発注側が検索で使う言葉に置き換え、読み手の不安をほどきながら、問い合わせまでの流れを作る方法をまとめます。読むことで、どの言葉を狙うか、どのページで受け止めるかの判断が早くなります。
技術用語キーワードだけだと相談につながりにくい理由
呼び方がずれる
まず起きやすいのは「呼び方のズレ」です。現場では当たり前の名称でも、発注側は正式名を知らないことがあります。たとえば材質や加工法を正確に言えず、「この用途で使える部品を作りたい」「図面どおりに加工できる先を探したい」といった言い方から探し始めます。
検索する人の層がずれる
次に「検索する人の層」がずれます。技術用語で検索する人には、同業者の調査、学生の調べもの、既存取引先の確認も混ざります。もちろん受注につながる人もいますが、比率が低いと、アクセスは増えても相談が増えない感覚が出ます。
読んだ後の不安が残る
もう一つは「読んだ後の不安が残る」ことです。技術用語を並べても、発注側が知りたいのは次の一歩の判断材料です。対応できる範囲、図面の受け取り方、試作の流れ、納期の目安、品質の考え方などが見えないと、比較検討の段階で止まります。
技術用語は、信頼を作る材料として強い武器です。ただし出し方を間違えると、入口が狭くなり、出口も細くなります。まずは「誰のどんな悩みを解くページか」を先に決めるところから始めます。
先に決めること:狙う問い合わせと読者像
相談のゴールを決める
キーワードは、検索窓に入る言葉です。けれど言葉だけを集めても、問い合わせにつながる形にはなりません。先に決めるべきなのは「どんな相談を増やすか」と「誰が検索しているか」です。
ここで迷いが減る三つを挙げます。
- 相談の種類:見積依頼、試作相談、技術相談など
- 読者の役割:購買、設計、製造技術、営業など
- 検討の段階:候補探し、相見積り、最終確認など
この三つが決まると、言葉の選び方が変わります。たとえば候補探しの段階なら「できるかどうか」を早く知りたいので、用途や課題の言葉が役に立ちます。最終確認の段階なら、設備、検査、実績、納期対応などの裏付けが欲しいので、技術用語を前面に出す価値が上がります。
検索意図をそろえる
この考え方の核が検索意図です。検索意図は、検索した人が本当は何を解決したいかという狙いで、同じ言葉でも状況で変わります。だから、社内で「この言葉で来てほしいのは誰か」を言える状態にしておくと、記事の軸がぶれません。
手早く決めるなら、直近の受注を三件だけ振り返ります。どんな業界の、どんな担当が、どの段階で連絡してきたかをメモにします。そのメモから「来てほしい相談の型」が見えたら、次はその人が検索で使う言い回しに寄せます。
技術用語を「顧客の言葉」に変換するやり方
入口と安心材料を分ける
技術用語を捨てる必要はありません。やり方は、見つけてもらう入口では顧客の言葉を使い、読まれた後の安心材料として技術用語を使う順番にします。入口で引っかかり、本文で納得し、最後に相談できる流れを作ります。
変換の手順
ここからは、社内で止まりにくい順に並べます。
- 技術用語を棚卸しし、用途や強みとセットで書き出す
- 営業の会話や見積依頼メールから、相手の言い方を拾う
- 「目的」「条件」「不安」の形に言葉を言い換える
- その言葉を、サービス紹介かコラムかに振り分ける
上から順にやるだけで、用語の羅列から抜け出せます。特に二つ目は効率が高く、社内にすでに答えがあることが多いです。営業が毎回説明している言い方は、検索の入口に近い言葉です。
置き換え例
変換のイメージは次のとおりです。左は社内の呼び方、右は発注側の頭の中に近い言い方です。右側をタイトルや見出しに置き、左側は本文で補うと、読み手は迷いにくくなります。
| 技術用語 | 顧客が検索する言葉 | 困りごと | 向くページ |
|---|---|---|---|
| 精密切削 | 小物部品 加工 外注 | 精度が出る先を探す | 加工サービス |
| 薄板溶接 | ステンレス 溶接 部品 | 歪みを抑えたい | 技術コラム |
| 表面処理 | アルミ 腐食 対策 | 長持ちさせたい | 対応範囲ページ |
| 検査体制 | 品質管理 できる 工場 | 不良が怖い | 会社案内 |
| クリーン対応 | 異物対策 部品加工 | 汚れを避けたい | 工場設備 |
表は「顧客が検索する言葉」から作り、技術用語は根拠として添えるとバランスが取れます。たとえば「品質管理 できる 工場」で来た人には、検査設備や測定の流れを見せると安心が増えます。そのとき、数値や工程条件など社外秘に触れる部分は伏せ、対応範囲や手順の見せ方で伝えるほうが安全です。
次の章では、こうして出てきた候補を集め、優先順位をつける方法へ進みます。現場の工数を浪費しないための基準を用意します。
キーワード候補の集め方と優先順位の付け方
技術用語を顧客の言葉に置き換えたら、次は「どれから作るか」です。ここで迷うと更新が止まりやすいので、社内にある情報から候補を拾います。
候補を集める4つの入口
次の順で見ていくと、相談に近い言葉が混ざります。
1つ目は、見積依頼メールや問い合わせの文章です。相手が使った言葉なので、見出しの種にできます。
2つ目は、電話や展示会で繰り返し出る質問です。「対応できますか」の言い回しは検索語としてそのまま使われます。
3つ目は、断った案件の理由です。対応外の条件を言葉にすると、ミスマッチを減らすページが作れます。
4つ目は、競合や業界メディアの表現です。相手が慣れている言い方は参考にできます。
優先順位は「商談の近さ」と「受け皿」で決める
順位は、検索数の多さだけで決めないほうが安全です。製造業はニッチな言葉でも、相談に直結することがあります。軸は次の2つです。
- 商談の近さ:見積先探しか、情報収集か
- 受け皿の有無:来訪者をどのページで案内できるか
受け皿がないままコラムだけ増やすと、読者は「読んで終わり」になりやすいです。先に受け皿を整え、入口は後から広げます。
| キーワード | 検索意図 | 商談の近さ | 次に作るページ |
|---|---|---|---|
| 部品加工 見積 | 見積先を探す | 高い | 加工サービス |
| 図面支給 加工 | 依頼条件を確認 | 高い | 依頼の流れ |
| 短納期 部品加工 | 納期で比較 | 中 | 対応範囲 |
| 試作 加工 相談 | 相談先を探す | 中 | 試作ページ |
| 公差 どこまで | 可否を調べる | 低 | 技術コラム |
商談が近い言葉ほど、サービスページ側を先に整えます。情報収集の言葉はコラムで受け止め、最後にサービスページへつなげます。
ページ設計:サービスページとコラムの役割分担
検索から来た人の多くは、まず「依頼して大丈夫か」を確かめに来ます。そこでページの役割を分けると、相談までの道筋が見えます。
サービスページは「受け止める場所」
サービスページは、相談に必要な情報を一か所に集める場所です。対応範囲だけでなく、依頼の流れ、図面の受け取り方、試作の扱い、品質の考え方まで置きます。
できることだけでなく、できない条件も書きます。対応外が見えると、問い合わせ前の不安が減り、やり取りも短くなります。
コラムは「入口」と「不安の解消」
コラムは、疑問を解く入口です。記事を読んで納得した人が迷わないように、記事の中から関連ページへ案内します。
内部リンクは、記事から関連ページへつなぐリンクのことです。対応範囲や依頼の流れへ自然につなげると、相談までの距離が縮みます。
似たテーマは中心ページを決める
同じ内容のページが増えると、検索側がどれを見せるべきか迷うことがあります。テーマごとに中心ページを1つ決め、周辺のコラムは補足に回します。
費用と工数:内製と外注の考え方
製造業のSEOは、文章力より中身が問われます。現場の知見が強みになる一方で、忙しさで止まりやすいので、内製と外注を混ぜます。
内製で残すところ、外注に任せるところ
内製で残したいのは、一次情報が出る部分です。加工の判断基準、よくある失敗、実際の流れなどは、社内の短いメモがあるだけで精度が上がります。
外注に向くのは、構成の整理や文章化です。読み手が迷わない順番に整える作業は、現場の負担を減らします。
| 作業 | 内製担当 | 外注担当 | 目安頻度 |
|---|---|---|---|
| 狙う相談の確認 | 経営・営業 | 設計支援 | 四半期 |
| ネタ出し | 営業・現場 | 整理 | 月1 |
| 原稿の文章化 | 素材提供 | 執筆 | 月2 |
| 技術監修 | 現場責任者 | 反映 | 毎回 |
| 公開と更新 | 担当者 | 手順化 | 毎回 |
| 改善の提案 | 判断 | レポート | 月1 |
社内は短いメモを出し、外部は読み物として整えます。この分担なら、少ない本数でも継続しやすくなります。
体制:役割分担と承認フローの作り方
更新が止まる原因は「誰がOKを出すか」が曖昧なことです。機密や品質の観点がある製造業ほど、役割を小さく分けたほうが回ります。
最低限の役割は4つ
- 進行役:締切を決め、素材を集める
- 執筆役:構成と文章を整える
- 監修役:正確さと機密を確認する
- 公開役:反映し、導線を確認する
兼務でもかまいません。役割の名前だけ先に決めると止まりにくいです。
監修はチェック項目にする
監修が長引くのは、何を見ればよいかが曖昧なときです。確認項目を絞ると回ります。
- 社外秘に触れていないか
- 誤解されそうな表現がないか
- 次の行動が分かる案内があるか
リスクとトラブル:機密・誤解・競合対策
製造業のサイトは、技術情報の扱いが難しいです。出さないと信頼が作れず、出しすぎると不安が残ります。ここは「見せる範囲を決める」と迷いが減ります。
機密は「具体の数字」と「組み合わせ」で漏れやすい
公開しても問題が起きにくいのは、全体像や判断基準です。逆に、具体の寸法、公差、工程条件、取引先が推測できる写真の背景などは避けたほうが安心です。
たとえば同じ加工内容でも、次の形なら伝わりやすく、危険も増えにくいです。
- どんな用途で相談が多いか
- どんな条件なら対応しやすいか、難しいか
- 見積までに必要な情報は何か
- 品質の考え方と検査の流れ
数字を出さなくても「何を確認しているか」が分かると、発注側は相談しやすくなります。
誤解は「一言足りない」ときに起きる
技術用語や仕様は、読む側の前提がそろわないと誤解が起きやすいです。対策はシンプルで、条件が変わる点は先に書きます。
例えば「短納期」や「高精度」は、人によって期待が違います。だから「何がそろうと早いか」「どの条件だと時間がかかるか」を先に置きます。ここがあるだけで、不要な問い合わせや行き違いが減ります。
競合に真似される不安は「判断の根拠」で差が出る
設備名や対応材質は、どこも似た見せ方になりがちです。差が出るのは、判断の根拠と進め方です。
- 見積時に何を確認するか
- どの時点でリスクを共有するか
- 試作から量産までの見通しをどう立てるか
- 不具合が出たときの切り分け手順
このあたりは、簡単に真似しづらく、発注側が知りたい部分でもあります。強みの主張より「安心して任せられる理由」を作るほうが、相談につながりやすいです。
効果測定とKPI:問い合わせにつなげる見方
SEOは、記事を公開して終わりではなく、反応を見て直すほど伸びやすいです。そのときの道しるべがKPIで、進み具合を確かめるための目印です。
見るべき数字は「問い合わせまでの流れ」
アクセス数だけを追うと、判断がぶれます。製造業では、次のように段階で見ていくと納得しやすいです。
- 入口が増えたか(検索から来ているか)
- 受け皿が見られているか(サービスページまで来ているか)
- 相談が増えたか(問い合わせが増えたか)
- 質が合っているか(対応できる相談が増えたか)
確認サイクルを固定すると改善が止まらない
数字を見る頻度を決めておくと、忙しくても回ります。見方の例を表にまとめます。
| 指標 | 見る場所 | 確認頻度 | 次の打ち手 |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ件数 | フォーム・電話 | 毎月 | 導線と説明を見直す |
| 商談につながった数 | 営業メモ | 毎月 | 狙う業種を寄せる |
| サービス頁の閲覧数 | 解析画面 | 毎月 | 入口記事から案内強化 |
| 検索で来た言葉 | 検索の管理画面 | 毎月 | 見出しと題名を調整 |
| 記事→サービス移動 | 解析画面 | 毎月 | 関連頁を増やす |
この表どおりに見れば、何を直すかが決まりやすくなります。特に「商談につながった数」は、最終的な目的に近いので、月に一度だけでも記録すると軸がぶれません。
伸びないときの見直し順
反応が弱いときは、記事を増やす前に、受け皿を見直すほうが近道になることがあります。
よくある順番は次のとおりです。
まず、サービスページに「対応範囲」「依頼の流れ」「必要情報」がそろっているかを見ます。次に、記事からサービスページへ自然に案内できているかを見ます。最後に、入口の記事の題名や見出しが、顧客の言葉になっているかを点検します。
記事数を増やすより、迷いを減らす修正のほうが、相談の増え方が早い場面が多いです。
まとめ
製造業のSEOで技術用語を活かすには、言葉を増やすより「順番」と「受け皿」を整えることが近道です。まず、来てほしい相談の型を決め、発注側が使う言い回しを入口に置きます。次に、技術用語は根拠として本文で示し、サービスページへつなげます。優先順位は、商談の近さと受け皿の有無で決めると、更新が止まりにくくなります。
最後に、公開後は数字で反応を見て直します。機密や誤解のリスクを避けつつ、判断材料を増やすほど、相談は起きやすくなります。
ご相談をご希望の方へ
「技術は説明できるのに、Webだと伝わらない」「何から直すべきか迷う」「現場の負担を増やさずに更新を続けたい」。こうした状況は珍しくありません。
株式会社みやあじよでは、検索から相談までの流れを前提に、狙う言葉の優先順位、ページ構成、記事の設計、導線の整え方まで一緒に組み立てます。社内で止まりやすい承認や監修の回し方も、運用に落ちる形へ整えます。
まずは「現状の整理」と「次にやる順番」からでもかまいません。無理なく進める形を一緒に作りましょう。