案件の相談が来ないとき、原因は集客だけとは限りません。検索や紹介で見に来た人が「ここなら任せられそう」と感じる材料が足りないことも多いです。
実績ページは、技術力を誇る場よりも、相手の不安を減らして相談のハードルを下げる場です。ここを整えると、同じアクセス数でも問い合わせの質が変わります。
なぜ実績ページが問い合わせを左右するのか
まず結論:実績は「安心」を作るページ
受託開発の発注側は、最初から細かな技術を読み込みません。先に見ているのは「同じような状況の会社を、ちゃんと前に進めた経験があるか」です。実績の見せ方が整うと、初回の問い合わせで説明する量が減り、商談が早く進みます。
なぜそうなるか:検討側は失敗を避けたい
発注側が抱えやすい不安はだいたい決まっています。納期が遅れないか、途中で連絡が途切れないか、見積の根拠が分かるか、完成後に運用まで面倒を見てもらえるか。実績は、その不安に先回りして答える役目を持ちます。
ありがちな失敗:技術の羅列で終わる
開発言語やツール名を並べるだけだと、同業には伝わっても発注側の判断材料になりにくいです。相手が知りたいのは「何を解決し、どんな進め方で、どこまで責任を持ったか」。技術は、その裏付けとして最後に控えめに出すくらいで足ります。
次にやること:実績ページの役割を一文で決める
まず社内で、実績ページの役割を一文にします。例としては「発注前の不安を減らし、相談の入口を作る」。この一文があると、掲載する情報の取捨選択が早くなります。
まず決めたい実績の範囲:受託と人材提供が混在する場合
まず結論:受託と人材提供は分けて見せる
受託と、エンジニアを一定期間提供する契約形態のSESは、同じ実績ページに混在しやすい領域です。ただ、相手が期待する成果が違うため、同じ棚に並べると誤解が起きます。見せる単位を分けるだけで、相談のミスマッチが減ります。
誤解が起きる理由:評価される軸が違う
受託は「課題の整理から納品まで、どう責任を持つか」が見られます。一方で人材提供は「どんな人を、どんな環境に、どうフィットさせたか」が中心です。同じ言葉で実績を語ると、受託のつもりでも人材提供に見えたり、その逆が起きたりします。
ありがちな混乱:成果物が曖昧な実績が増える
「大手の基幹システムに参画」といった書き方は、関わり方が見えません。受託としての設計や納品があるのか、チームの一員として参加したのかで、発注側の受け取り方は大きく変わります。曖昧さは信頼の損につながります。
次にやること:実績のカテゴリを二つに分ける
最低でも「受託開発」と「人材提供」で分けます。さらに可能なら「新規開発」「改修・保守」「PoC(小さく試して確かめる取り組み)」のように、相談の入口になりやすい切り口も足します。最初は二つか三つで十分です。
実績1件の見せ方ひな形:書くべき情報と順番
まず結論:一件ごとに相手が判断できる材料をそろえる
実績は作品集ではなく、検討中の相手が「自社でも再現できそうか」を判断するための材料です。見た目を整える前に、読む順番と情報の粒度をそろえることが先です。
書く順番:背景から成果まで一本道にする
実績1件は、次の流れで書くと読み手が迷いません。
- どんな相手か(業界、規模、状況)
- 何に困っていたか(課題)
- 自社は何を担当したか(役割)
- どう進めたか(体制、期間、進行)
- どんな工夫をしたか(打ち手)
- 何が変わったか(成果、学び)
ここまで書ければ、技術の話を入れても「だからこの技術を選んだ」が自然に伝わります。
実績1件に載せる情報チェック表
| 項目 | 書く内容 | 例 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 対象と背景 | 業界と規模、目的 | 製造業 200名 受発注改善 | 固有名は伏せる |
| 課題 | 困りごとを一文で | 二重入力でミスが増える | 抽象語で逃げない |
| 役割 | 担当範囲を明確に | 要件整理と実装、運用支援 | 受託か提供か明記 |
| 進め方 | 期間と体制、進行 | 3か月 2名 週1打合せ | 武勇伝は書かない |
| 工夫 | 何をどう変えたか | 画面統一で入力を減らす | 技術名の羅列は避ける |
| 成果 | 変化を数字か言葉で | 作業時間が短く問合せ減 | 誇張はしない |
ありがちな失敗:成果が「がんばった話」だけで終わる
「短期間で対応」「柔軟に対応」などの表現は、努力は伝わっても判断材料になりにくいです。相手が知りたいのは、何が変わり、なぜ変わったか。数字が出せないときは、変化を言葉で具体化します。例としては「問い合わせ対応の漏れが減った」「担当者が一人でも回るようになった」といった形です。
次にやること:まず3件だけ同じ型で書き直す
全部を一度に直すと止まりやすいです。まずは受託の実績から3件だけ選び、この型で書き直します。3件そろうと、自社が得意な相談の入口が見え、次の実績も同じ手順で増やせます。
守秘義務がある案件の見せ方:社名非公開でも伝える方法
先に答え:出せない情報があっても、判断材料は作れます
社名や画面を出せない実績は珍しくありません。だからこそ「何を伏せて、何を出すか」を決めておくと、実績が弱く見えにくくなります。
隠す前提で組み立てると、検討中の相手が欲しい材料だけが残ります。
なぜ伝わるのか:相手が見たいのは「再現できそうか」
社名が見えなくても、次の情報が揃うと「自社でも頼めそうか」が判断できます。
業界や規模、困っていたこと、あなたの会社が担当した範囲、進め方、成果の方向性です。これらは伏せずに書けることが多いです。
よくある例:守秘義務のせいで文章が薄くなる
「非公開のため詳細は控えます」だけが続くと、読んだ側は比較できません。
代わりに、固有名詞を避けながら状況を具体化します。たとえば「多拠点で入力がバラつく」「既存システムが古く改修が怖い」など、現場の困りごとは書けます。
社名非公開案件の見せ方早見表
| 出せない情報 | 代わりに出す情報 | 例 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 社名・ロゴ | 業界・規模・状況 | 物流 80名 多拠点の在庫管理 | 特定できる要素は外す |
| 画面キャプチャ | 画面の流れを図で説明 | 入力から承認までの手順 | 運用が想像できる粒度 |
| 数値の成果 | 変化を具体的な言葉で | 転記が減りミスが起きにくい | 誇張せず事実だけ |
| 機能の詳細 | 目的と範囲を絞って書く | 受注登録と検索、帳票出力 | 未提供の範囲も明記 |
| 体制や期間 | 役割分担と進め方を書く | 週1打合せ、窓口は1名 | 相手の負担感も伝える |
| 取引先の評価 | 合意できた条件を示す | 仕様変更の扱いを先に決めた | 社外の言葉は載せない |
次にやること:実績ごとに「伏せる前提の型」を作る
案件ごとに迷うと更新が止まります。
上の表を社内で共有し、実績の入力フォームを作ります。フォームの項目が固定されると、担当者が変わっても同じ品質で出せます。
実績ページから相談までの流れ:比較検討の不安を減らす
結論:実績を読んだ直後に「次の一歩」が分かる導線にします
実績ページで満足してもらっても、次の行動が分からないと離脱します。
実績の一覧、詳細、関連するサービス説明、相談先を一本の流れにすると、検討中の人が迷いにくくなります。
なぜ必要か:検討側は頭の中で比較表を作っています
発注側は複数社を見ています。見比べるときに欲しいのは、だいたい次の三つです。
自社と似たケースがあるか、どこまで任せられるか、進め方が合うか。
この三つが実績ページ内で拾えると「一度話してみよう」に近づきます。
よくある落とし穴:実績がバラバラで比較できない
実績が増えるほど、書き方がまちまちだと逆に弱く見えます。
一件ごとに熱量はあるのに、担当範囲や期間が書かれていない、成果が曖昧、次に読んでほしいページが示されていない。こうした欠けが積み重なると相談に届きません。
次にやること:実績詳細の末尾に「おすすめの次ページ」を二つだけ置く
実績詳細の最後に、次のページを二つだけ案内します。
一つは「同じ課題の別事例」、もう一つは「この領域のサービス説明」です。
選択肢を増やしすぎると迷うため、二つに絞るほうが動きやすいです。
費用と工数の目安:内製と外注の切り分け
先に答え:費用は「素材の有無」と「確認回数」で伸びやすいです
実績ページの作業は、見た目のデザインだけでは終わりません。
実績の情報を集め、言葉に直し、社内外の確認を通して公開するところまでが本番です。ここが詰まると、費用も工数も増えやすいです。
どこに時間がかかるか:集める、整える、承認する
実績づくりで時間を使いがちな場所は次の三つです。
案件資料の所在確認、担当者からの聞き取り、守秘義務の範囲確認。
逆に言うと、この三つの段取りが整えば、制作自体は進みやすくなります。
内製が向くもの:事実の収集と一次原稿
営業や開発の現場が知っている情報は、外に出しにくいです。
そのため、内製は「事実を集める」「箇条書きで一次原稿を書く」までが向きます。文章の上手さより、漏れなく書くことが優先です。
外注が向くもの:読み手目線の整理と見せ方
外注は、読み手が判断しやすい形に整える作業が強みです。
実績の型の設計、文章の整形、図解、一覧の見せ方、全体の導線設計。ここは第三者の視点が入るほど、読みやすさが上がります。
次にやること:最初は「一枚に収まる実績」を基準にする
まずは、実績一件を一枚のページに収める前提で作ります。
情報が増えすぎると確認も長引きます。足りないと感じたら、よく読まれる実績だけを追加で深掘りします。こうすると、投資の順番が決めやすくなります。
社内体制の作り方:集める、書く、承認を回す
先に答え:更新できる仕組みがある会社は強いです
実績は、作って終わりだとすぐ古く見えます。更新が回る会社は「今も動いている」雰囲気が出て、初回の相談が入りやすくなります。
逆に、更新が止まると「忙しくて手が回っていないのかも」と不安を招きます。
なぜ止まるのか:情報が人にひもづくから
多くの会社で詰まるのは、次の二つです。
案件の情報が担当者の頭の中にあり、文章に落とす時間が後回しになること。もう一つは、誰が最終確認するかが曖昧で止まることです。
よくある例:営業は知っているが、書く人がいない
営業は要点を知っています。開発は工夫を知っています。けれど「サイトに載せる形」に整える人がいない。結果として、忙しい人の負担が増えて止まります。
実績更新の運用体制表
| 役割 | 担当 | 頻度 | 用意するもの |
|---|---|---|---|
| 取りまとめ | 営業責任者 | 月1 | 追加候補の一覧 |
| 情報提供 | 案件担当 | 随時 | 目的、課題、範囲 |
| 原稿整形 | Web担当 | 月1 | 型に沿った原稿 |
| 承認 | 代表 | 月1 | 公開可否の判断 |
| 公開と更新 | Web担当 | 月1 | 公開日と見直し日 |
次にやること:実績フォームを一つだけ作る
まずは、実績用の入力フォームを一つ作ります。項目は「対象と背景」「課題」「担当範囲」「進め方」「工夫」「成果」で十分です。
文章が苦手でも、箇条書きで埋められる形にすると集めやすくなります。
よくあるトラブルと回避策:権利、誇張、炎上
先に答え:公開前の確認項目を決めると揉めません
実績で起きるトラブルは、公開後より公開前に防げます。
一度揉めると、実績ページ全体が更新しづらくなるので、最初に型を作るほうが安全です。
トラブルになりやすい三つ
一つ目は権利です。ロゴ、画面、相手の社名は、許可なく載せないほうが無難です。
二つ目は誇張です。実績を盛ると、商談で期待値が上がり、後で苦しくなります。
三つ目は誤解です。受託のつもりで書いた内容が、人材提供に見えてしまうケースです。
よくある例:良かれと思って書いた一文が不安を増やす
「短期間で全部対応」などは、読み手によっては不安材料です。なぜなら、品質より速度を優先した印象が出ることがあるからです。
事実を丁寧に書き、条件があるなら条件も書くほうが信頼につながります。
次にやること:公開チェックを五つに絞る
確認項目は増やしすぎないほうが回ります。たとえば次の五つです。
- 掲載許可の有無(社名、ロゴ、画面)
- 受託か人材提供か
- 担当範囲が一文で言えるか
- 成果が誇張になっていないか
- 相談につながる案内があるか
成果の見方:KPIを決めて改善につなげる
先に答え:見る数字は三つで足ります
実績ページの成果は、難しい指標を追わなくても判断できます。
おすすめは「実績詳細を見た人の数」「実績から相談へ進んだ数」「相談の中身」です。
なぜ三つで足りるのか:改善の打ち手が決めやすいから
見た人が多いのに相談が少ないなら、実績の中身か導線に課題がある可能性があります。
相談は来るが内容が合わないなら、実績の見せ分けや担当範囲の書き方を直すとズレが減ります。
よくある例:実績は読まれているのに増えない
実績詳細の閲覧が伸びても、相談が増えないことがあります。原因は「次に何をすれば良いか」が弱いことが多いです。
実績の末尾に「相談で確認したいこと」を短く添えると、行動が起きやすくなります。
次にやること:問い合わせで「見た実績」を聞く
アクセスの計測が整っていなくても、簡単に追えます。問い合わせフォームに「参考にした実績」を選べる項目を追加します。
これだけで、どの実績が相談を生んだかが分かり、次に増やすべき実績の方向も見えます。
まとめ
実績の見せ方は、飾りではなく信頼づくりです。受託と人材提供は分け、実績一件は同じ型でそろえると比較されても強くなります。
社名非公開でも、背景、課題、担当範囲、進め方、成果の方向性が書ければ判断材料は作れます。更新体制と公開チェックを先に作ると、実績が資産として積み上がります。
相談をご検討中の方へ
実績が増えてきたのに、問い合わせが増えない。あるいは、相談は来るがミスマッチが多い。そんな状態だと、営業も開発も消耗しやすいです。
株式会社みやあじよでは、実績の棚卸しから、見せ方の型づくり、実績ページの導線設計までまとめて整理します。社名を出せない案件が多い場合も、出せる情報だけで信頼が伝わる組み立てをご提案します。
よく以下のようなご相談をいただきます。
- 受託と人材提供が混ざり、強みが伝わらない
- 実績の書き方がバラつき、比較で負けている気がする
- 社名非公開の実績ばかりで弱く見える
まずは現状を伺い、どの実績から直すと動きやすいかを一緒に整理します。サイトの改修を前提にしなくても大丈夫です。相談しやすい窓口からご連絡ください。