IT受託開発会社のホームページ実績の見せ方

2026.01.18

案件の相談が来ないとき、原因は集客だけとは限りません。検索や紹介で見に来た人が「ここなら任せられそう」と感じる材料が足りないことも多いです。

実績ページは、技術力を誇る場よりも、相手の不安を減らして相談のハードルを下げる場です。ここを整えると、同じアクセス数でも問い合わせの質が変わります。

なぜ実績ページが問い合わせを左右するのか

まず結論:実績は「安心」を作るページ

受託開発の発注側は、最初から細かな技術を読み込みません。先に見ているのは「同じような状況の会社を、ちゃんと前に進めた経験があるか」です。実績の見せ方が整うと、初回の問い合わせで説明する量が減り、商談が早く進みます。

なぜそうなるか:検討側は失敗を避けたい

発注側が抱えやすい不安はだいたい決まっています。納期が遅れないか、途中で連絡が途切れないか、見積の根拠が分かるか、完成後に運用まで面倒を見てもらえるか。実績は、その不安に先回りして答える役目を持ちます。

ありがちな失敗:技術の羅列で終わる

開発言語やツール名を並べるだけだと、同業には伝わっても発注側の判断材料になりにくいです。相手が知りたいのは「何を解決し、どんな進め方で、どこまで責任を持ったか」。技術は、その裏付けとして最後に控えめに出すくらいで足ります。

次にやること:実績ページの役割を一文で決める

まず社内で、実績ページの役割を一文にします。例としては「発注前の不安を減らし、相談の入口を作る」。この一文があると、掲載する情報の取捨選択が早くなります。

まず決めたい実績の範囲:受託と人材提供が混在する場合

まず結論:受託と人材提供は分けて見せる

受託と、エンジニアを一定期間提供する契約形態のSESは、同じ実績ページに混在しやすい領域です。ただ、相手が期待する成果が違うため、同じ棚に並べると誤解が起きます。見せる単位を分けるだけで、相談のミスマッチが減ります。

誤解が起きる理由:評価される軸が違う

受託は「課題の整理から納品まで、どう責任を持つか」が見られます。一方で人材提供は「どんな人を、どんな環境に、どうフィットさせたか」が中心です。同じ言葉で実績を語ると、受託のつもりでも人材提供に見えたり、その逆が起きたりします。

ありがちな混乱:成果物が曖昧な実績が増える

「大手の基幹システムに参画」といった書き方は、関わり方が見えません。受託としての設計や納品があるのか、チームの一員として参加したのかで、発注側の受け取り方は大きく変わります。曖昧さは信頼の損につながります。

次にやること:実績のカテゴリを二つに分ける

最低でも「受託開発」と「人材提供」で分けます。さらに可能なら「新規開発」「改修・保守」「PoC(小さく試して確かめる取り組み)」のように、相談の入口になりやすい切り口も足します。最初は二つか三つで十分です。

実績1件の見せ方ひな形:書くべき情報と順番

まず結論:一件ごとに相手が判断できる材料をそろえる

実績は作品集ではなく、検討中の相手が「自社でも再現できそうか」を判断するための材料です。見た目を整える前に、読む順番と情報の粒度をそろえることが先です。

書く順番:背景から成果まで一本道にする

実績1件は、次の流れで書くと読み手が迷いません。

  • どんな相手か(業界、規模、状況)
  • 何に困っていたか(課題)
  • 自社は何を担当したか(役割)
  • どう進めたか(体制、期間、進行)
  • どんな工夫をしたか(打ち手)
  • 何が変わったか(成果、学び)

ここまで書ければ、技術の話を入れても「だからこの技術を選んだ」が自然に伝わります。

実績1件に載せる情報チェック表

項目書く内容注意
対象と背景業界と規模、目的製造業 200名 受発注改善固有名は伏せる
課題困りごとを一文で二重入力でミスが増える抽象語で逃げない
役割担当範囲を明確に要件整理と実装、運用支援受託か提供か明記
進め方期間と体制、進行3か月 2名 週1打合せ武勇伝は書かない
工夫何をどう変えたか画面統一で入力を減らす技術名の羅列は避ける
成果変化を数字か言葉で作業時間が短く問合せ減誇張はしない

ありがちな失敗:成果が「がんばった話」だけで終わる

「短期間で対応」「柔軟に対応」などの表現は、努力は伝わっても判断材料になりにくいです。相手が知りたいのは、何が変わり、なぜ変わったか。数字が出せないときは、変化を言葉で具体化します。例としては「問い合わせ対応の漏れが減った」「担当者が一人でも回るようになった」といった形です。

次にやること:まず3件だけ同じ型で書き直す

全部を一度に直すと止まりやすいです。まずは受託の実績から3件だけ選び、この型で書き直します。3件そろうと、自社が得意な相談の入口が見え、次の実績も同じ手順で増やせます。

守秘義務がある案件の見せ方:社名非公開でも伝える方法

先に答え:出せない情報があっても、判断材料は作れます

社名や画面を出せない実績は珍しくありません。だからこそ「何を伏せて、何を出すか」を決めておくと、実績が弱く見えにくくなります。
隠す前提で組み立てると、検討中の相手が欲しい材料だけが残ります。

なぜ伝わるのか:相手が見たいのは「再現できそうか」

社名が見えなくても、次の情報が揃うと「自社でも頼めそうか」が判断できます。
業界や規模、困っていたこと、あなたの会社が担当した範囲、進め方、成果の方向性です。これらは伏せずに書けることが多いです。

よくある例:守秘義務のせいで文章が薄くなる

「非公開のため詳細は控えます」だけが続くと、読んだ側は比較できません。
代わりに、固有名詞を避けながら状況を具体化します。たとえば「多拠点で入力がバラつく」「既存システムが古く改修が怖い」など、現場の困りごとは書けます。

社名非公開案件の見せ方早見表

出せない情報代わりに出す情報注意
社名・ロゴ業界・規模・状況物流 80名 多拠点の在庫管理特定できる要素は外す
画面キャプチャ画面の流れを図で説明入力から承認までの手順運用が想像できる粒度
数値の成果変化を具体的な言葉で転記が減りミスが起きにくい誇張せず事実だけ
機能の詳細目的と範囲を絞って書く受注登録と検索、帳票出力未提供の範囲も明記
体制や期間役割分担と進め方を書く週1打合せ、窓口は1名相手の負担感も伝える
取引先の評価合意できた条件を示す仕様変更の扱いを先に決めた社外の言葉は載せない

次にやること:実績ごとに「伏せる前提の型」を作る

案件ごとに迷うと更新が止まります。
上の表を社内で共有し、実績の入力フォームを作ります。フォームの項目が固定されると、担当者が変わっても同じ品質で出せます。

実績ページから相談までの流れ:比較検討の不安を減らす

結論:実績を読んだ直後に「次の一歩」が分かる導線にします

実績ページで満足してもらっても、次の行動が分からないと離脱します。
実績の一覧、詳細、関連するサービス説明、相談先を一本の流れにすると、検討中の人が迷いにくくなります。

なぜ必要か:検討側は頭の中で比較表を作っています

発注側は複数社を見ています。見比べるときに欲しいのは、だいたい次の三つです。
自社と似たケースがあるか、どこまで任せられるか、進め方が合うか。
この三つが実績ページ内で拾えると「一度話してみよう」に近づきます。

よくある落とし穴:実績がバラバラで比較できない

実績が増えるほど、書き方がまちまちだと逆に弱く見えます。
一件ごとに熱量はあるのに、担当範囲や期間が書かれていない、成果が曖昧、次に読んでほしいページが示されていない。こうした欠けが積み重なると相談に届きません。

次にやること:実績詳細の末尾に「おすすめの次ページ」を二つだけ置く

実績詳細の最後に、次のページを二つだけ案内します。
一つは「同じ課題の別事例」、もう一つは「この領域のサービス説明」です。
選択肢を増やしすぎると迷うため、二つに絞るほうが動きやすいです。

費用と工数の目安:内製と外注の切り分け

先に答え:費用は「素材の有無」と「確認回数」で伸びやすいです

実績ページの作業は、見た目のデザインだけでは終わりません。
実績の情報を集め、言葉に直し、社内外の確認を通して公開するところまでが本番です。ここが詰まると、費用も工数も増えやすいです。

どこに時間がかかるか:集める、整える、承認する

実績づくりで時間を使いがちな場所は次の三つです。
案件資料の所在確認、担当者からの聞き取り、守秘義務の範囲確認。
逆に言うと、この三つの段取りが整えば、制作自体は進みやすくなります。

内製が向くもの:事実の収集と一次原稿

営業や開発の現場が知っている情報は、外に出しにくいです。
そのため、内製は「事実を集める」「箇条書きで一次原稿を書く」までが向きます。文章の上手さより、漏れなく書くことが優先です。

外注が向くもの:読み手目線の整理と見せ方

外注は、読み手が判断しやすい形に整える作業が強みです。
実績の型の設計、文章の整形、図解、一覧の見せ方、全体の導線設計。ここは第三者の視点が入るほど、読みやすさが上がります。

次にやること:最初は「一枚に収まる実績」を基準にする

まずは、実績一件を一枚のページに収める前提で作ります。
情報が増えすぎると確認も長引きます。足りないと感じたら、よく読まれる実績だけを追加で深掘りします。こうすると、投資の順番が決めやすくなります。

社内体制の作り方:集める、書く、承認を回す

先に答え:更新できる仕組みがある会社は強いです

実績は、作って終わりだとすぐ古く見えます。更新が回る会社は「今も動いている」雰囲気が出て、初回の相談が入りやすくなります。
逆に、更新が止まると「忙しくて手が回っていないのかも」と不安を招きます。

なぜ止まるのか:情報が人にひもづくから

多くの会社で詰まるのは、次の二つです。
案件の情報が担当者の頭の中にあり、文章に落とす時間が後回しになること。もう一つは、誰が最終確認するかが曖昧で止まることです。

よくある例:営業は知っているが、書く人がいない

営業は要点を知っています。開発は工夫を知っています。けれど「サイトに載せる形」に整える人がいない。結果として、忙しい人の負担が増えて止まります。

実績更新の運用体制表

役割担当頻度用意するもの
取りまとめ営業責任者月1追加候補の一覧
情報提供案件担当随時目的、課題、範囲
原稿整形Web担当月1型に沿った原稿
承認代表月1公開可否の判断
公開と更新Web担当月1公開日と見直し日

次にやること:実績フォームを一つだけ作る

まずは、実績用の入力フォームを一つ作ります。項目は「対象と背景」「課題」「担当範囲」「進め方」「工夫」「成果」で十分です。
文章が苦手でも、箇条書きで埋められる形にすると集めやすくなります。

よくあるトラブルと回避策:権利、誇張、炎上

先に答え:公開前の確認項目を決めると揉めません

実績で起きるトラブルは、公開後より公開前に防げます。
一度揉めると、実績ページ全体が更新しづらくなるので、最初に型を作るほうが安全です。

トラブルになりやすい三つ

一つ目は権利です。ロゴ、画面、相手の社名は、許可なく載せないほうが無難です。
二つ目は誇張です。実績を盛ると、商談で期待値が上がり、後で苦しくなります。
三つ目は誤解です。受託のつもりで書いた内容が、人材提供に見えてしまうケースです。

よくある例:良かれと思って書いた一文が不安を増やす

「短期間で全部対応」などは、読み手によっては不安材料です。なぜなら、品質より速度を優先した印象が出ることがあるからです。
事実を丁寧に書き、条件があるなら条件も書くほうが信頼につながります。

次にやること:公開チェックを五つに絞る

確認項目は増やしすぎないほうが回ります。たとえば次の五つです。

  • 掲載許可の有無(社名、ロゴ、画面)
  • 受託か人材提供か
  • 担当範囲が一文で言えるか
  • 成果が誇張になっていないか
  • 相談につながる案内があるか

成果の見方:KPIを決めて改善につなげる

先に答え:見る数字は三つで足ります

実績ページの成果は、難しい指標を追わなくても判断できます。
おすすめは「実績詳細を見た人の数」「実績から相談へ進んだ数」「相談の中身」です。

なぜ三つで足りるのか:改善の打ち手が決めやすいから

見た人が多いのに相談が少ないなら、実績の中身か導線に課題がある可能性があります。
相談は来るが内容が合わないなら、実績の見せ分けや担当範囲の書き方を直すとズレが減ります。

よくある例:実績は読まれているのに増えない

実績詳細の閲覧が伸びても、相談が増えないことがあります。原因は「次に何をすれば良いか」が弱いことが多いです。
実績の末尾に「相談で確認したいこと」を短く添えると、行動が起きやすくなります。

次にやること:問い合わせで「見た実績」を聞く

アクセスの計測が整っていなくても、簡単に追えます。問い合わせフォームに「参考にした実績」を選べる項目を追加します。
これだけで、どの実績が相談を生んだかが分かり、次に増やすべき実績の方向も見えます。

まとめ

実績の見せ方は、飾りではなく信頼づくりです。受託と人材提供は分け、実績一件は同じ型でそろえると比較されても強くなります。
社名非公開でも、背景、課題、担当範囲、進め方、成果の方向性が書ければ判断材料は作れます。更新体制と公開チェックを先に作ると、実績が資産として積み上がります。

相談をご検討中の方へ

実績が増えてきたのに、問い合わせが増えない。あるいは、相談は来るがミスマッチが多い。そんな状態だと、営業も開発も消耗しやすいです。

株式会社みやあじよでは、実績の棚卸しから、見せ方の型づくり、実績ページの導線設計までまとめて整理します。社名を出せない案件が多い場合も、出せる情報だけで信頼が伝わる組み立てをご提案します。

よく以下のようなご相談をいただきます。

  1. 受託と人材提供が混ざり、強みが伝わらない
  2. 実績の書き方がバラつき、比較で負けている気がする
  3. 社名非公開の実績ばかりで弱く見える

まずは現状を伺い、どの実績から直すと動きやすいかを一緒に整理します。サイトの改修を前提にしなくても大丈夫です。相談しやすい窓口からご連絡ください。

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