卸売業ホームページの取扱商材の見せ方

2026.01.16

取扱商材が多い卸売業や商社のサイトは、訪問した人が「結局、何を扱っている会社なのか」をつかめずに、別のサイトへ戻りやすい傾向があります。営業に問い合わせが来ても、相手の欲しい商材がサイト内に見つからず、機会を逃していたという話も珍しくありません。

ホームページは見た目より先に「探しやすさ」を設計すると、商材点数が多くても問い合わせへつなげられます。社内の情報がバラバラな場合は、まず現状の棚卸しから始めると進みます。

この記事では、次の内容を解説します。

  • 取扱商材が多いサイトで起きる機会損失の正体
  • 見込み客が迷わないための探しやすさの考え方
  • カテゴリ設計と導線の作り方

取扱商材が多い卸売業サイトで起きる機会損失

よくあるつまずきは「探す入口がない」

法人の購入担当は、最初から商品名や型番を知っているとは限りません。たとえば「梱包の破損を減らしたい」「納期を安定させたい」など、困りごとから探し始めます。

ところがサイト側が、メーカー別や社内の部門別だけで並べていると、訪問者は入口を見つけられません。結果として、商材の質や対応力を伝える前にページを閉じられます。

検索より先に見られるのは一覧と導線

導線は、ページから次の行動へ案内する道筋です。多くの人は、トップページを開いた瞬間にメニューと一覧の見え方を確認します。そこで「自分の探したい切り口」が見えないと、細かい説明文は読まれません。

たとえば、メニューに「製品情報」があっても、その中身が想像できないと迷います。逆に「用途から探す」「業界から探す」のように、探し方が見えれば次のページへ進みやすくなります。

機会損失は「問い合わせ前」に起きる

問い合わせが少ないとき、原因を問い合わせページや営業対応に求めがちです。ただ、実際には問い合わせの前段で止まっているケースが多いです。

訪問者は「この会社に相談してよいか」を短時間で判断します。扱い範囲が分からない、比較材料がない、連絡先まで遠い。こうした小さな不安が重なると、別の会社へ移動します。

見込み客が迷わない「探しやすさ」の考え方

探しやすさは「分類」と「説明」のセット

探しやすさは、分類の作り方だけで決まりません。カテゴリ名の意味や、含まれる範囲を短く説明して初めて、迷いが減ります。

たとえば「包装資材」と書いてあっても、袋なのか緩衝材なのかは分かりません。カテゴリの冒頭に「どんな用途に向くか」「選ぶときの基準」を一言添えるだけで、次の行動が早まります。

見込み客の頭の中は「用途」と「条件」で動く

卸売の検討では、用途が決まったら次に条件へ移ります。条件は、サイズや材質だけではなく、最小の注文数量、納期、対応エリア、加工の可否なども含まれます。

この流れに合わせると、サイトの階層は作りやすくなります。最初は用途や業界で大枠を見せ、次に条件を絞れる形へ寄せると、探し疲れが減ります。

迷わせないための基準は三つだけ

探しやすさを評価するときは、凝った仕組みより基準を揃えるほうが効率的です。目安は次の三つです。

  • トップから短い移動で候補に届く
  • 一覧で違いが分かり、次を選べる
  • 行き止まりがなく、相談先へ戻れる

取扱商材の見せ方:カテゴリ設計と導線の作り方

まず「入口」を二種類つくる

入口は一つに絞らず、訪問者の知識量に合わせて複数用意します。よく使われるのは次の二つです。

  • 困りごとや用途から探す入口
  • 商品名や規格を知っている人向けの入口

前者は「用途別カテゴリ」「業界別カテゴリ」などが合います。後者は「品名一覧」「規格一覧」「メーカー一覧」のように、探しやすい形が合います。

カテゴリ名は社内用語を避け、短く具体に

社内で通じる略称や型番ルールは、訪問者には伝わりません。カテゴリ名は、現場の呼び方より「買う側が使う言葉」に寄せます。

また、カテゴリの粒度がバラつくと迷いが増えます。「大分類だけ」「細分類だけ」など一貫した階層にすると、全体像がつかみやすくなります。

一覧ページは「次に進む判断材料」を置く

一覧ページは、写真を並べるだけだと比較が難しくなります。最初の一画面で、次の判断ができる材料を置きます。

  • 代表的な用途
  • 規格の幅や取り扱い範囲
  • 対応できる加工やサービス
  • 相談の入口

この時点で細かい仕様を全部書く必要はありません。個別ページへ進む理由と、相談する理由が見えれば十分です。

分類軸向く場面注意
用途保護・固定・防錆課題から探す言葉が曖昧だと迷う
業界食品・建材・医療用途が未確定想定外の業界も拾う
材質紙・樹脂・金属条件が明確専門語は補足を添える
規格サイズ・厚み・耐熱比較して選ぶ範囲を先に示す
形状ロール・シート・袋形で探す用途入口も併設する
サービス加工・小分け・在庫手配まで相談対応範囲を明記

次にやることは、営業がよく受ける相談を「用途」と「条件」に分けて書き出すことです。その一覧が、そのままカテゴリ名と一覧ページの見せ方の土台として使えます。

商材ページの作り方:比較に必要な情報を揃える

カテゴリや一覧で「候補」が見つかったら、次に読まれるのは商材の個別ページです。ここが薄いと比較ができず、相談先として選ばれにくいです。

商材ページは「選ぶ材料」と「相談の入口」を同時に置く

卸売の問い合わせは、見積依頼だけではありません。用途相談、代替品の相談、在庫や納期の確認など、入口は複数あります。商材ページで受け止めつつ、選ぶ材料もそろえると話が早くなります。

見た目より先に、情報の順番をそろえるだけで読みやすくなります。「この会社は分かりやすい」と感じてもらえる場面が増えます。

まずは「よく聞かれること」を固定項目にする

商材点数が多い会社ほど、説明の粒がばらつきがちです。そこで、全ページに共通の固定項目を決めます。文章を長く書くためではなく、比較の基準をそろえるためです。

下の表は、固定項目の例です。項目名を先に決め、社内で確認先も決めると原稿づくりが進みます。

項目記載例読者の安心社内の確認先
用途包装、保護、固定目的に合うか分かる営業、商品担当
対応範囲サイズ・材質の範囲対応可否が早い商品担当
納期標準と急ぎの目安計画を立てやすい物流、営業
最小注文数最小数量の目安予算感をつかめる営業
加工対応裁断、印字、貼り合わせ相談の幅が見える製造、外注担当
問い合わせ先用途相談、見積依頼迷わず連絡できるWeb担当、営業

固定項目が決まると、部署への確認も「この欄だけ」で済みます。更新が止まりにくくなり、情報の食い違いも減ります。

PDFは補助にして、ページ側に要点を置く

PDFカタログは便利ですが、検索で見つけてもらいにくく、スマホでは読みにくい傾向があります。PDFは資料として残しつつ、商材ページ側に要点を置く方が現実的です。

要点は「用途」「対応範囲」「相談の入口」の三つに絞ると迷いません。細かい仕様はPDFや資料請求で補えます。

SEO対策で「指名外」の検索から見つけてもらう

SEOは検索で見つけてもらう工夫です。卸売業の新規相談は、社名ではなく困りごとや条件で探されることが多いです。用途、材質、規格、納期、加工の有無などの組み合わせで検索されます。

狙うのは「困りごとからの検索」を受け止めるページ

検索から来た人は、最初から商材一覧に入るとは限りません。用途ページや商材ページが入口になることも多いです。だからこそ、そのページ内に「探している言葉」と「次の行動」をそろえます。

無理に難しい言い回しを増やさず、営業が普段使っている説明を短く整える方が伝わります。

小さなページを量産するより、上位から厚くする

商材数が多いと、全部を同じ深さで作りたくなります。ただ、更新が止まると情報が古くなり、信頼を落とします。最初は閲覧が集まりやすいカテゴリと商材から作り、ひな形に沿って増やす方が長続きします。

上位ページでは、用途の例、選び方、よくある相談、問い合わせ先をそろえます。検索から来た人が「相談してよい内容」を判断しやすくなります。

費用とスケジュールの目安

費用は、デザイン以前に「商材情報を集めて整える作業量」で大きく変わります。ページ数が同じでも、元データの状態で手間が変わります。

制作期間は数週間で終わる場合もあれば、内容が多いと数か月かかることもあります。急ぎたい場合は、上位カテゴリから先に公開し、後から増やす方法が合います。

予算がぶれやすい箇所を先に押さえる

見積で差が出やすいのは、原稿作成、写真の用意、確認の回数、絞り込み機能の有無あたりです。ここを先に決めると、途中で膨らみにくくなります。

商材が多い会社は、全部を一度に作ろうとして止まりがちです。優先度をつけ、問い合わせに直結しやすい範囲から固めます。

体制と進め方:社内で決めることと外注の分担

商材が増えるサイトほど、公開後の更新が勝負です。担当があいまいだと、追加や廃番の反映が遅れ、営業現場と情報が食い違います。更新が回る仕組みを先に決めると、長期的な負担が減ります。

最低限そろえるのは「入力する人」「確認する人」「最終判断」

更新作業は一人で抱えると止まります。入力する人、内容を確認する人、最終判断をする人を分けるだけで遅れが減ります。実務では、商品担当、営業責任者、Web担当の三者で回す形が多いです。

下の表は分担例です。会社の人数に合わせて、兼務する前提で組んでも問題ありません。

作業頻度担当決めごと
商材追加随時商品担当ひな形で入力
廃番反映月1商品担当代替案も併記
納期・在庫週1物流更新日を表示
資料差し替え随時Web担当旧版は非表示
問い合わせ振分毎日営業責任者担当表を維持
閲覧ページ確認月1Web担当追加修正を決める

外注に頼む範囲を決めると、社内の負担が読める

外注先に任せる範囲が曖昧だと、途中で「誰が原稿を書くか」「誰が写真を用意するか」が宙に浮きます。社内が出すものと外注が整えるものを分けると、進行が安定します。

社内が出したいのは、商材の一覧、用途の説明、よくある相談、対応条件です。外注側は、分類の設計、ページのひな形、文章の整え、導線の整理までをまとめて持つと、完成までの見通しが立ちます。

リスクとトラブル回避:更新負荷と情報の食い違いを防ぐ

商材の見せ方を整えると、次に出てくる悩みは「情報が古くならないか」「社内の言っていることと食い違わないか」です。ここを放置すると、問い合わせの質が下がったり、営業が説明に追われたりします。先回りしてルールを決めると、公開後のストレスが減ります。

トラブルの芽は「情報の鮮度」と「責任の所在」

サイトは一度作ると、内容が固定されがちです。一方で卸売の現場は、取扱の追加や廃番、納期や条件の変化が起きます。更新が遅れると「サイトに書いてあったのに違う」と言われやすくなります。

そこで、各ページに次の二つを用意します。

  • 最終更新日
  • 更新の判断をする担当

この二つがあるだけで、社内でも外でも話が早くなります。

価格を出さない場合は、代わりに「条件」を書く

卸売は条件によって金額が変わるため、価格を出しにくいことがあります。その場合は、価格の代わりに判断材料になる条件を置きます。

たとえば次のような情報です。

  • 価格が変わる要因(数量、規格、加工など)
  • 最小注文数の目安
  • 納期の目安
  • 見積に必要な情報(用途、数量、希望納期など)

価格そのものがなくても、相談の準備ができると問い合わせが増えやすくなります。

競合に見せたくない情報は「出し分け」で守る

何も出さないと、比較の土台がなくなります。逆に全部出すと、社内の不安が強まります。現実的なのは、出す情報と出さない情報を線引きすることです。

一般公開で出しやすいのは、用途、対応範囲、相談の流れ、よくある質問です。出しにくいのは、仕入れ条件、社内の運用の細部、取引先の固有情報などです。迷う場合は「相手が初回に判断したい材料だけ」を優先すると、過不足が減ります。

問い合わせの迷子を減らすだけで、対応が軽くなる

問い合わせが増えても、窓口が一つで内容が混ざると現場が疲れます。フォームに「用途相談」「見積依頼」「在庫・納期」などの選択肢を置くだけでも、振り分けが早くなります。電話番号を載せる場合も、受付時間と担当部署の目安があると親切です。

成果・KPI:問い合わせまでの数字の見方

KPIは成果を測る数字の目安です。卸売業のサイトでは「来た数」だけで判断すると、改善の方向がぶれます。問い合わせに近い行動を、段階ごとに見ます。

まずは問い合わせまでの「流れ」を数字にする

最低限、次の順番で追えると状況が見えます。

  • 検索で見つかった回数
  • サイトに来た数
  • 商材の一覧や個別ページが見られた数
  • 問い合わせの数
  • 有効な問い合わせの数

有効な問い合わせとは、条件がそろっていて次の打ち合わせに進める相談です。ここを社内で決めておくと、数字の意味が揃います。

毎月見ておくと判断が早い項目

大きな分析は不要です。まずは次の四つで十分です。

  • よく見られている商材カテゴリ
  • よく見られている商材ページ
  • 検索で使われている言葉
  • 問い合わせにつながった入口ページ

見られているのに問い合わせが少ないページは、情報不足か導線不足の可能性が高いです。逆に見られていないページは、入口の作り方やカテゴリ名の見直しが合います。

数字が伸びないときの切り分け

同じ「問い合わせが少ない」でも、原因は分かれます。

  • 検索で見つかっていない
  • 来ているが、一覧で止まっている
  • 個別ページは見られるが、相談まで進まない

どこで止まっているかが分かると、打ち手が絞れます。全部を直そうとせず、止まっている場所だけを直す方が早く進みます。

公開後の運用と改善:商材追加と改善を止めない

公開はスタートです。商材が多い会社ほど、増やし方のルールがないと、どんどん探しにくくなります。更新を止めないために、作業を単純にします。

追加のたびに迷わない「入力の型」を用意する

新しい商材を追加するときは、担当者が毎回悩まない形にします。具体的には、固定項目に沿った入力欄を用意し、空欄でもよい範囲を決めます。

最初から完璧に埋める必要はありません。まずは用途と対応範囲と問い合わせ先をそろえ、反応が良い商材から情報を厚くします。

営業の会話を、そのままサイト改善に使う

改善のネタは、営業のやり取りの中にあります。たとえば「よく聞かれる条件」「間違えやすい規格」「代替案が必要な場面」などです。

それらをカテゴリページの冒頭や、商材ページの下部に短く追加すると、より具体的な問い合わせが増えます。結果として、見積作業や説明の手間が減りやすくなります。

半年後に差が出るのは「増やす」より「整える」

商材ページを増やすこと自体は大切です。ただ、増えた結果として一覧が読みづらくなったり、古い情報が混ざったりすると逆効果です。

月に一度だけでも、見られている上位ページを見直します。説明の順番をそろえる、条件の書き方を統一する、問い合わせ先を近づける。こうした小さな整えが、後から差を生みます。

まとめ

取扱商材が多い卸売業のホームページは、見た目より先に「探す入口」と「比較できる情報」を整えると、問い合わせにつながりやすくなります。最初に全部を作り込むより、よく見られる範囲から揃えて広げる方が現実的です。

やることは大きく分けて五つです。

  • 用途と条件で入口を作る
  • 一覧で次の判断材料を出す
  • 商材ページは固定項目で揃える
  • 更新と窓口のルールを決める
  • KPIで止まっている場所を直す

取扱商材の見せ方を一緒に整理したい方へ

商材が多いほど、社内では当たり前の情報が散らばり、Webに載せる形に整えるのが難しくなります。現場の知識を無理なく集め、探しやすい形に落とし込むだけでも、問い合わせの質が変わります。

株式会社みやあじよでは、取扱商材の整理から、カテゴリ設計、商材ページのひな形、更新の分担、問い合わせ導線までをまとめて支援しています。

よく以下のような相談をいただきます。

  • 商材が多く、どの切り口で見せるべきか決められない
  • 一覧はあるが探しにくく、問い合わせが増えない
  • 更新が回らず、古い情報が残ってしまう

まずは現状のページ構成を見ながら、どこから直すと問い合わせにつながるかを一緒に整理します。ご相談はお問い合わせフォームから気軽にお声がけください。

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