施工事例ページを見られているのに、問い合わせが増えない。そんなときは「事例の数」より先に、「見せ方の型」と「迷わせない材料」を整える必要があります。現場の強みはあるのに、伝わり切らずに比較で負けているケースが多いからです。
この記事では、建設会社・工務店が指名相談を増やすために、施工事例ページをどう組み立てるかを順番に解説します。住宅と非住宅、元請と下請でも、考え方は同じです。
施工事例ページで指名相談が増える仕組み
施工事例は「比較の材料」になる
まず結論。施工事例ページは「この会社に頼んでも大丈夫か」を判断する材料です。トップページで雰囲気を見て、次に事例で確かめる。この流れは多くの見込み客に共通します。
理由はシンプルで、建設の発注は失敗が怖いからです。金額も大きく、やり直しが難しい。だから「実際にやった仕事」を見て、次の3つを確認します。
- 自分の依頼に近い工事をやっているか
- どんな手順で進め、どこまで任せられるか
- 仕上がりだけでなく、考え方や配慮があるか
ここが伝わると、価格の比較から一歩抜け出しやすくなります。逆に言うと、事例があっても「写真だけ」「説明が短い」だと、判断できずに別の会社へ流れます。
まずは、事例ページを「作品集」ではなく「検討の資料」として作り直すことです。
いきなり価格よりも「不安を消す」
問い合わせに近い人ほど、最初から価格を聞きたいわけではありません。まずは不安を消したい。たとえば次のような不安です。
- 工期はどれくらいかかるのか
- 近隣対応や養生はしてくれるのか
- 追加費用が出る条件は何か
- 施工後の保証や不具合対応はどうか
施工事例で、この不安に先回りして触れると「話を聞いてみよう」に変わります。ここで必要なのは、大げさな言葉より、具体の事実です。現場写真、工程の要点、判断の理由。これらが揃うと、信用の土台ができます。
まずは、事例の説明を「施主が知りたい順番」に並べ替えてください。
まず決めるKPIとターゲット
数字を決めないと更新が止まる
先に答えです。施工事例は更新ルールがないと止まります。忙しい現場では「そのうち載せよう」が続いてしまうからです。
そこで最初にKPIを決めます。KPIは、目標に近づいているかを見る数字です。難しくなくて大丈夫です。たとえば次のどれか一つから始められます。
- 月に公開する事例数
- 事例ページからの問い合わせ数
- 事例ページの閲覧数
例として、月に2件公開を目標にすると、逆算して「写真をいつ撮るか」「誰が文章をまとめるか」が決まります。数字があると、現場と事務の動きが揃います。
最初の3か月は、「公開件数」と「問い合わせ」だけを追ってみてください。
住宅・非住宅、元請・下請の見せ分け
迷うなら、ターゲットを一行で言える状態にします。誰に刺さる事例なのかが曖昧だと、説明も写真の選び方もぶれます。
住宅なら「新築」「リフォーム」「外構」などで迷いが出ます。非住宅なら「店舗」「倉庫」「改修」「設備」など目的が違います。元請と下請では、見せるべき範囲も変わります。
- 住宅寄り: 暮らしの課題と提案の筋道
- 非住宅寄り: 工期・安全・段取りの確かさ
- 元請寄り: 相談から引き渡しまでの管理
- 下請寄り: 担当範囲と品質基準、連携力
この見せ分けは、サイトを分ける必要はありません。事例の「分類」と「書き方」を揃えれば十分です。
まずは、想定する依頼を三つ書き出し、それぞれに近い事例を用意しましょう。
事例に選ぶ案件の基準
問い合わせにつながる事例の条件
先にお伝えすると、全案件を載せなくて構いません。見込み客が判断しやすい事例から優先します。
選ぶ基準は次の3つです。
- 依頼が多い工事の代表例
- 会社の強みが出る難所がある
- 事前の制約と工夫が説明できる
たとえば「狭小地での建て替え」「雨仕舞の難しい改修」「夜間の安全管理」など、同業者には当たり前でも、発注側には価値が高い材料です。
| 案件の種類 | 掲載メリット | 事前確認 | 代替の見せ方 |
|---|---|---|---|
| 代表的な工法・仕様 | 技術力が伝わる | 写真の権利 | 工程の要点を短く |
| 難条件の施工 | 解決力が伝わる | 施主の了承 | 図面はぼかして説明 |
| 予算重視の案件 | 相場観が出る | 金額の扱い | 範囲と前提を明記 |
| 下請の仕事 | 実力の証明 | 元請の許可 | 担当範囲を強調 |
| 法人案件 | 信頼材料が増える | 社名の扱い | 業種だけで紹介 |
ここでは、まず5件だけ「掲載前提」で材料を集める案件を決めてください。
掲載できないときの代わりの見せ方
守秘や近隣事情で載せられない案件もあります。その場合でも、価値は伝えられます。
例として、施主名や住所を出さずに「地域」「建物種別」「工事内容」をぼかして紹介する。図面が出せないなら、言葉で工夫の要点を書く。写真が少ないなら、工程の1枚と完成の1枚に絞って説明を厚くする。これだけでも検討材料として使えます。
まずは社内で、「出してよい情報」と「伏せる情報」を一度だけ決めましょう。
事例ページの型:一覧と詳細の作り方
一覧は「探しやすさ」が仕事
最初に押さえるのは、一覧ページで迷わせないことです。ここで探せないと、詳細まで読まれません。
一覧で最低限そろえたいのは、次の4つです。
- 工事種別(新築、改修、外構など)
- エリア(市区町村までで十分)
- 施工の規模感(延床や面積、棟数など)
- 一言の見どころ(難所や工夫)
写真は、同じ比率で統一すると見比べやすくなります。さらに「住宅」「非住宅」「元請」「下請」など、タグのように分類できると、探す負担が減ります。
最初は、過去の相談が多い順にカテゴリを三つだけ作れば十分です。
詳細は「工事前・中・後」の流れで
詳細ページは、読み手の頭の中の時系列に合わせると理解が早くなります。おすすめは「工事前」「工事中」「工事後」の順番です。
- 工事前: 相談の背景、課題、条件
- 工事中: 進め方、判断、現場の配慮
- 工事後: 仕上がり、数値、施主の反応
たとえば改修なら「なぜその工法にしたか」を一文で書くと、素人でも納得できます。完成写真の前に、課題と制約があるだけで見え方が変わります。
まずは既存の事例を1件選び、この流れに沿って並べ替えてみてください。
1件ページのテンプレを固定すると迷わない
施工事例が「写真だけ」になりやすい理由は、毎回ゼロから書こうとするからです。先に型を決めておけば、現場の情報が集まりやすくなり、書く側も迷いません。
次のように、詳細ページの項目を固定してしまうのが早道です。全部を長く書く必要はなく、短くても「判断できる材料」がそろう形を目指します。 ]
| 項目 | 何が伝わるか | 集める素材 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 工事概要 | 何をした案件か | 完成写真 | 場所は出し過ぎない |
| 相談の背景 | 困りごとの内容 | 着工前写真 | 個人情報は伏せる |
| 施工内容 | 対応範囲が分かる | 工程写真 | どこまでやったか明記 |
| 工期 | 段取り感が伝わる | 日程メモ | 天候など前提も添える |
| 費用目安 | 予算感がつかめる | 見積の範囲 | 条件を書いて誤解を防ぐ |
| 工夫・配慮 | 強みが見える | 現場メモ | 断定より事実を出す |
このテンプレを社内で共有し、案件ごとに埋めるだけにすると、更新が続きやすくなります。
写真と文章の集め方と社内体制
写真は「最低セット」を決めておく
撮影が苦手でも大丈夫です。大事なのは、毎回同じ種類の写真をそろえることです。比較できる材料がたまると、事例全体の信頼感が上がります。
最低限そろえたいのは、次の流れです。
- 着工前が分かる写真
- 途中の写真(工程の要点が分かる一枚)
- 完成が分かる写真
- 難所や工夫が伝わる写真(あれば強い)
スマホでも構いません。むしろ現場でしか撮れない写真は価値があります。明るさだけ整えて、同じ距離感で撮る。これだけでも見栄えが揃います。
文章は「現場メモを集めて整える」が現実的
現場が長文を書くのは難しいことが多いです。そこで、現場はメモで十分と割り切ります。
例として、次の四つだけメモしてもらうと、事例が書きやすくなります。
- 依頼のきっかけ(困っていたこと)
- 制約(予算、工期、立地、近隣など)
- 決め手になった判断(なぜその方法か)
- 施主の反応や引き渡し後の声(短くで可)
メモを材料にして、事務やWeb担当がテンプレへ整える。これが一番続きます。
| 集めるもの | 担当候補 | タイミング | 保管場所 |
|---|---|---|---|
| 完成写真 | 現場担当 | 引き渡し前後 | 共有フォルダ |
| 着工前写真 | 現場担当 | 着工前 | 共有フォルダ |
| 工程写真 | 現場担当 | 節目ごと | 共有フォルダ |
| 工期メモ | 現場担当 | 完了後 | 案件台帳 |
| 判断理由メモ | 現場担当 | 完了後 | 案件台帳 |
| 掲載文章の整形 | 事務・Web担当 | 公開前 | 原稿フォルダ |
「誰が」「いつ」「どこへ置くか」まで決めておくと、属人化が減ります。
信頼を落とす表現と掲載リスクの避け方
掲載許可は「最初に取る」がトラブルを減らす
施工事例で揉めやすいのは、写真や情報の出し方です。あとから消す対応は手間も信用も失いがちです。
おすすめは、契約時や着工前に「掲載してよい範囲」を一度だけ確認することです。確認する項目は難しくありません。
- 外観写真の掲載は可能か
- 室内写真の掲載は可能か
- 住所や地名の出し方(市区町村までなど)
- 施主名や会社名を出すか出さないか
- 図面や間取りの扱い
許可が取りにくい場合は、匿名化して紹介する形に寄せます。情報が少なくても、工夫の説明があれば価値は出ます。
断定より「条件と事実」で安心材料にする
見込み客が嫌がるのは、根拠のない言い切りです。たとえば、誰でも同じ結果が出るように見える表現は避けたほうが安全です。
代わりに、次のように書くと誤解を減らせます。
- 何が前提だったか(建物の状態、立地、工期条件)
- 何をしたか(工程の要点、選んだ材料)
- 何が変わったか(数値や状態の変化、運用のしやすさ)
費用を出す場合も同じです。「この金額でできます」ではなく、「この範囲ならこのくらい」を示すほうが、問い合わせにつながりやすくなります。
SEOで探されるための導線設計
事例のページ名は「検索される言葉」に寄せる
施工事例は、検索から見つかる入り口にもなります。ここでやることは難しくありません。
事例のページ名と見出しに、次の要素を自然に入れるだけで十分です。
- 工事の種類(例:外壁塗装、店舗改修など)
- エリア(例:〇〇市など)
- 建物の種別(例:戸建て、工場など)
「施工事例 No.12」のような名前は避け、内容が分かる名前に変えます。見込み客も探しやすくなり、営業が案内しやすくなります。
事例から問い合わせへ迷わず進める形にする
事例ページを読んだ人は、次に確認したいことがだいたい決まっています。
- 自分の依頼もできるのか
- どんな流れで進むのか
- どこに相談すればよいのか
そこで、事例ページの最後に「対応できる工事」と「相談の入口」を置きます。長い説明は不要です。短くても、次の一歩が見えるだけで離脱が減ります。
また、サービス紹介のページから、関連する施工事例へつながるようにしておくと、サイト全体が読みやすくなります。
公開後の改善と更新ルール
更新が止まらない最小ルールを作る
事例は作って終わりではありません。更新が止まると、せっかく整えた型が活かされません。
最初は、小さなルールで十分です。
- 毎月〇日に「今月の公開案件」を決める
- 公開前にチェックする項目を固定する
- 写真とメモは完了時に必ず保管する
会議を増やす必要はありません。カレンダーに入れて、淡々と回すだけで変わります。
反応が良い事例を増やすと成果が伸びやすい
問い合わせにつながった案件には共通点があります。たとえば、依頼の背景が具体的、制約が分かりやすい、判断の理由が書いてある。こうした事例は、同じ悩みの人に刺さりやすいです。
公開後にやることはシンプルです。
- 相談が多い工事に近い事例を増やす
- 反応の良い事例の書き方を他にも広げる
- 古い事例も、写真追加と文章補足で育てる
新規に作るだけでなく、育てる視点を持つと、事例ページは営業の武器になっていきます。
制作費用の考え方と投資判断
何に費用がかかるかを分解する
施工事例ページの費用は、見た目の作業だけで決まりません。実際は「材料を集める」「伝わる順番に並べる」「迷わず問い合わせへ進める」まで含めて考えると判断が早くなります。
主に費用が動くのは、次の4つです。
- 構成づくり(一覧と詳細の型、分類)
- 文章づくり(現場メモの整理、言い回しの調整)
- 写真まわり(撮影、選定、明るさ調整)
- 公開後の運用(更新しやすい仕組みとルール)
自社で用意できる材料が多いほど、外の手間は減ります。逆に、写真やメモが散らばっていると、作業は膨らみやすくなります。
小さく始めるなら「事例の型」と「導線」を優先する
全部を一気に変えなくても、成果に近い順に手を入れられます。最初は、次の2つだけでも相談の質が変わります。
- 事例の型を固定する(項目テンプレを決める)
- 事例の最後に相談の入口を置く(次の一歩を見せる)
この2つがあると、少ない事例でも検討材料として機能しやすくなります。
作り方別の費用感と向き不向き
費用は会社や範囲で大きく変わるため、ここでは金額ではなく「どの進め方が合うか」で整理します。
| 進め方 | 費用感 | 社内の手間 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 既存に追記だけ | 低め | 中(素材集め) | まず形を整えたい |
| 事例ページ再設計 | 中 | 中(確認が必要) | 事例が伝わり切らない |
| 導線まで含め改修 | 中〜高 | 高(決めること多い) | 問い合わせが伸び悩む |
| 撮影・取材も依頼 | 高め | 低(任せやすい) | 人手が足りない |
社内の手間を減らしたいときは、撮影や取材まで任せる選択が合います。逆に、社内で動けるなら「再設計だけ外へ」が現実的です。
回収の考え方は「増える相談の質」で見る
施工事例ページは、アクセスを増やすだけの場所ではありません。見込み客が比較しやすくなり、「条件が合う人」からの相談が増えると回収しやすくなります。
判断がつかないときは、次の視点で見てください。
- 受注単価が高い工事ほど、少ない相談増でも意味が出やすい
- 営業が事例を送って説明する回数が多いほど、整える価値が上がる
- 現場の手間が減るなら、それも投資の回収に含めてよい
外注する場合の進め方と依頼チェック
依頼前に用意すると早い情報
外注でつまずく原因は「丸投げ」よりも「材料が揃わない」ことが多いです。最低限、次を用意できると進みます。
- 相談が多い工事の種類(3つ程度)
- 掲載したい事例候補(5件程度)
- 写真の保管場所と撮影ルール
- 掲載許可の考え方(出せる範囲)
依頼内容は「成果物」で伝える
「いい感じにしてほしい」だと、受け手も判断がぶれます。そこで、欲しい成果物を先に言葉にします。
例として、次のような形です。
- 一覧ページの分類案と並び順
- 1件ページのテンプレ(項目と文の型)
- 既存事例の書き直し範囲(何件、どこまで)
- 更新の手順書(誰が、いつ、何をするか)
成果物が明確だと、見積の比較もしやすくなります。
失敗しやすい依頼のパターン
よくある落とし穴は次の2つです。
- デザインだけ先に決めて、写真と文章が後回しになる
- 公開までは整ったが、更新の担当が決まらず止まる
対策はシンプルで、最初に「公開後まで回る形」を前提にします。たとえば、テンプレを固定し、写真とメモの置き場を決め、確認の流れを短くする。これがあると更新が続きます。
公開後の運用まで含めて確認する
外注時は、公開後の扱いも確認しておくと安心です。
- 事例を増やすとき、社内だけで更新できるか
- 写真の著作権や掲載範囲は整理されているか
- 追加の改修が必要になったときの連絡手段
ここが曖昧だと、更新のたびに止まりやすくなります。
まとめ
施工事例ページは、会社の実力を「比較の材料」に変える場所です。案件の選び方、一覧と詳細の型、写真とメモの集め方がそろうと、見込み客は判断しやすくなります。
公開後も更新が回るように、担当とルールを小さく決めることが欠かせません。その上で、費用は作業量ではなく「どこまで任せたいか」と「誰に届けたいか」で決めると納得しやすくなります。
相談につなげるご案内
施工事例は、現場の強みがそのまま出る反面、見せ方が少しずれるだけで伝わりません。忙しくて更新が止まっている、写真はあるのに文章が追いつかない、営業が毎回説明に時間を取られている。こうした状況は多くの建設会社で起きています。
ご相談いただくと、施工事例の構成案、1件ページのテンプレ、既存事例の書き直し方針、更新が回る運用の形まで、必要なものを一緒に整理できます。社内でやる範囲と外へ出す範囲も切り分けられるため、投資判断がしやすくなります。
よくあるご相談は次の通りです。
- 事例はあるが、問い合わせが増えない
- 住宅と非住宅の見せ分けに迷う
- 更新が止まり、最新実績が出せない
用意すると話が早い情報はこちらです。
- 現在のサイトURL
- 事例候補の案件名(社内用で可)
- 写真の保管場所と撮影状況
- 相談が多い工事の種類
施工事例ページを「営業が使える資料」に整えたい場合は、株式会社みやあじよまでお気軽にご相談ください。