「料金はいくらですか」と聞かれるたび、答え方に迷う方は多いはずです。
一方で、何も出さないままだと、相談する側も不安が消えず、問い合わせの手前で止まりがちです。
結論として、料金表は「金額の宣言」ではなく「見積の前提を共有するページ」として作ると、比較検討が進みます。
ただし、案件ごとの幅が大きい場合は、断定せず条件つきの書き方に寄せます。
この記事で分かることは次の3つです。
1つ目は、料金表を出す狙いの決め方です。
2つ目は、料金表ページに入れるべき要素です。
3つ目は、相場に振り回されない費用の見せ方です。
料金表を作る目的を決める
料金表は「問い合わせの質」を上げる道具
料金表を出す一番の狙いは、値引き交渉を減らすことではありません。
相談前の不安を減らし、「この会社に相談したい」という気持ちを後押しすることです。
例えば、同じ「サイト制作」でも、会社案内だけ欲しい人と、採用を増やしたい人では、必要な内容が変わります。
目的が違うのに金額だけを並べると、安さだけで比べられやすくなります。
料金表は、金額と一緒に「どんなゴールのための費用か」を伝えるページにすると、話が前へ進みます。
目的別に、載せる粒度が変わる
料金表ページを作る前に、まず社内で次の線引きをします。
- 料金表を見た人に、何を決めてほしいか(問い合わせするか、相談予約するか、資料請求するか)
- 相談時に、何を持って来てほしいか(現状のサイト、やりたいこと、社内の決裁の形)
- どこまでを「標準」で受けるか(文章作成、写真撮影、更新の仕組みなど)
ここが固まると、価格の見せ方も、説明の順番も決めやすくなります。
料金表がないと起きやすいすれ違い
料金表がない状態は、相手に「いくらか全く分からない」というストレスを与えます。
結果として、次のようなことが起きがちです。
- とりあえず相見積もりだけ増える
- 予算が合わず、最初の打ち合わせで終わる
- 「何が含まれるのか」が曖昧なまま話が進む
料金表の役割は、こうしたすれ違いを最初に減らすことです。
料金表ページの基本構成
まず「結論」と「条件」をセットで出す
料金表ページは、読む人が短時間で判断したい場所です。
最初に出すべきは、金額の見せ方の結論と、その条件です。
例としては、次のような並びが読みやすいです。
- 価格の出し方(3つのプラン、価格帯、最低価格など)
- 含まれる範囲(ページ数、原稿作成、写真、問い合わせフォームなど)
- 増減する条件(ページ追加、撮影の有無、多言語、システム連携など)
- 進め方の概要(期間の目安、打ち合わせ回数の目安)
- よくある質問(追加費用、修正回数、公開後の運用)
この順番だと、金額を見た瞬間の不安を、すぐに言葉で回収できます。
「含まれる範囲」は、制作物ベースで書く
専門用語を増やすより、成果物として何が納品されるかで書いた方が伝わります。
例えば「トップページ」「会社概要」「サービス紹介」「採用情報」「問い合わせ」など、ページ単位で示すと誤解が減ります。
また、文章や写真がどちら持ちかも、ここで触れておくと親切です。
料金表を見て問い合わせする人ほど、準備物が分からず困っています。
料金表ページはSEOの入口にもなる
SEOは、検索で見つけてもらうための工夫です。
「コーポレートサイト 料金」「ホームページ 制作費」などで調べる人は、比較検討の真っ最中です。
料金表ページがあると、検索から来た人が「次に何を聞けばいいか」まで理解しやすくなります。
その結果、問い合わせの内容も具体的になり、打ち合わせの密度が上がります。
費用の見せ方と相場の考え方
相場は「金額」より「条件の幅」で決まる
相場を調べると、数十万円から数百万円まで幅があり、余計に迷います。
この差は、主に次の条件で生まれます。
- 目的の違い(会社案内中心か、集客や採用も狙うか)
- 作る量の違い(ページ数、原稿、写真、図解)
- 仕組みの違い(更新の担当範囲、フォームの数、連携の有無)
- 進め方の違い(要件整理の濃さ、打ち合わせ回数)
だから、相場を一つに決めるより、「自社の案件はどの条件に近いか」を示す方が納得されます。
よく使われる価格表示パターン
金額の出し方には型があります。目的に合わせて選ぶと、価格だけで比べられにくくなります。
| 表示パターン | 向くケース | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 3プラン提示 | 目的が近い案件 | 比較しやすい | 条件外は別途と書く |
| 価格帯提示 | 案件の幅が広い | 不安を減らす | 幅の根拠を添える |
| 最低価格提示 | 入口を広げたい | 離脱を減らす | 追加条件を明記 |
| 項目別単価 | 部分依頼が多い | 予算が読める | 合計例を添える |
| 個別見積のみ | 高度な要件が多い | 価値を守る | 判断材料を増やす |
この表は「どれが正解か」を決めるためではなく、説明の型を選ぶために使います。
迷ったら「価格帯提示」が扱いやすい
中小企業のコーポレートサイト制作は、会社ごとの事情が出やすい分野です。
そのため、最初から細かく単価を並べるより、価格帯で安心材料を出し、条件で補う形が合うことが多いです。
価格帯を出すときは、次の2点をセットで書くと誤解が減ります。
- この価格帯に入る典型例(ページ数や目的を短く)
- 価格が上振れする条件(撮影、原稿作成、機能追加など)
「その金額で何が手に入るか」が見えると、検討のスピードが上がります。
価格の見せ方は、次の章で完成する
ここまでで費用の出し方の土台は作れました。
ただ、料金表で本当に差が出るのは「どこまで含むか」と「追加費用の扱い」です。
書く内容の線引き:含まれる範囲と追加費用
まず「含む範囲」を言葉で固定する
料金表で一番揉めやすいのは、金額そのものより「そこまでやってくれると思っていた」というズレです。
ズレを減らすには、料金の横に“何が入っているか”を短く書きます。
書き方は難しくありません。次の3つに分けて置くと、読み手は判断しやすくなります。
- 料金に含むもの(例:ページ作成、問い合わせフォーム、公開作業など)
- 条件で変わるもの(例:ページ数、文章量、撮影の有無など)
- 別途になりやすいもの(例:文章作成、写真撮影、追加ページなど)
金額が幅を持つ場合でも、この3つが見えると「相談していいか」の不安が薄れます。
「別途」を悪者にしない書き方
追加費用は隠すほど不信感につながります。
逆に、最初から条件を見せると、相手は社内で説明しやすくなります。
表現は、強い言い切りよりも“条件つきの案内”が向きます。
たとえば「内容により別途」とだけ書くより、「別途になりやすい場面」を一言添える方が親切です。
下の表は、よく起きる追加費用を“先に言葉にしておく”ための一覧です。
| 項目 | 起きやすい場面 | 事前の書き方 |
|---|---|---|
| 原稿作成 | 掲載内容が未確定 | 作成支援は別途と明記 |
| 写真撮影 | 社員や現場写真が必要 | 撮影有無で費用が変わる |
| ページ追加 | 途中で掲載項目が増える | 追加単位と流れを記載 |
| フォーム追加 | 問い合わせ種別を増やす | 種類追加は別途と書く |
| 多言語対応 | 英語ページも必要になった | 対応範囲を限定して示す |
| 更新機能 | 自社更新が多い運用 | 更新対象を先に決める |
料金表に「増える条件」を入れると安心が増える
料金表を見た人が本当に知りたいのは、次のどちらかです。
- 自社の場合、だいたいどの辺りに入りそうか
- どんな条件で高くなるのか、逆に抑えられるのか
そこで、価格の近くに「増える条件」を短い箇条書きで置きます。
この一文があるだけで、問い合わせの内容が具体的になり、打ち合わせが速く進みます。
体制と進め方:社内と制作会社の役割
体制が曖昧だと、費用と期間が伸びやすい
制作が止まる場面は、技術の難しさより「確認する人がいない」「素材が出てこない」が多いです。
料金表ページにも、体制と進め方の輪郭を入れておくと、最初の相談が噛み合います。
社内側で最低限決めたいのは次の3つです。
- 最終判断をする人(方向性と予算の決裁)
- 情報を出す人(事業内容、サービス詳細、実績など)
- 確認をまとめる人(修正依頼を一本化する役)
人数が少ない会社ほど、兼務で大丈夫です。
ただ、役割が分かれていることが大切です。
見積が早くなる「事前にそろえる情報」
見積の精度を上げるには、専門的な資料より「判断に必要な材料」がそろっていることが効きます。
下の表を埋めるだけでも、見積の往復が減りやすくなります。
| 用意する情報 | 社内の担当 | 渡す形 |
|---|---|---|
| 現状サイトのアドレス | 担当 | メモで共有 |
| 目的と優先順位 | 経営者+担当 | 1枚メモでOK |
| 掲載したい資料 | 各部署 | ファイルやリンク |
| 参考にしたいサイト | 担当 | 3件ほど共有 |
| 公開希望時期 | 経営者 | 希望日と理由を添える |
| 予算の目安 | 経営者 | 上限と範囲を書く |
進め方は「何を決めるか」を先に見せる
制作の流れを細かく書く必要はありません。
代わりに、各段階で“何を決めるか”を一言で置くと、初めての人でも迷いません。
- 最初に決めること:目的と優先順位
- 次に決めること:載せる内容と順番
- その次に決めること:見せ方の方向性
- 最後に決めること:公開後の運用のしかた
この並びがあると、料金表を見た人が「何を準備すれば相談できるか」を想像できます。
リスクとトラブルを減らす注意点
一番のリスクは「想像で補われる」こと
料金表を出すと、誤解されないか不安を感じる方もいます。
実際に起きやすいのは、値段そのものより「書かれていない部分」を相手が想像で補ってしまうことです。
よくあるのは次の3つです。
- この金額なら、文章も写真も全部やってくれるはず
- この金額なら、何回でも修正できるはず
- この金額なら、あとから要望を足しても同じ金額のはず
対策はシンプルで、含む範囲と条件を先に言葉にしておくことです。
前の章で触れた「含むもの」「条件で変わるもの」「別途になりやすいもの」が、そのまま守りとして使えます。
「金額だけが独り歩き」しない配置にする
料金表ページで避けたいのは、金額だけ見て離脱されることです。
そのために、金額の近くに次の2つを置きます。
- 何のためのサイトか(問い合わせを増やす、採用を強くするなど)
- 何が手に入るか(作るページ、含まれる作業の範囲)
金額の上に小さく置くのが難しければ、直後に短い説明を入れるだけでも変わります。
「いくらか」より先に「何の費用か」が伝わると、比較の軸が整います。
追加費用は「条件」と「例」で伝える
追加費用は、隠すほど揉めやすくなります。
一方で、細かく書きすぎると読みづらくなります。
ここで使いやすいのは、条件と例をセットにする書き方です。
- 条件:写真が必要な場合
- 例:スタッフ写真、現場写真、商品写真など
- 補足:社内で用意できる場合は不要
この形なら、相手は自分ごとに置き換えられます。
社内で相談するときも、「何が決まっていないか」が見えやすくなります。
競合に見られる不安への向き合い方
「料金を出すと真似されるのでは」と心配されることもあります。
ただ、同業の競合が本当に欲しいのは、金額より中身と進め方です。
だから、出すのは価格帯や代表例にとどめ、社内の作業単価や原価まで書く必要はありません。
代わりに、含まれる範囲と増減条件を丁寧に書くと、検討中の相手にとって価値が出ます。
断る条件は、角が立たない言い方にする
対応できないことも、料金表で先に触れた方が親切です。
ただし、強い否定は避け、条件を示して道を残すと印象が良くなります。
例としては、次のような言い回しが使えます。
- まずは現状を見てから提案します
- 目的によっては別の進め方が合います
- 内容を伺ったうえで、最適な範囲を決めます
「できない」より「どうすれば進められるか」に寄せると、相談の場も前向きに進みます。
効果とKPI:問い合わせと採用につなげる
料金表は、問い合わせの数より「前進度」を変える
料金表を公開すると、問い合わせ件数が急に増えるとは限りません。
ただし、相談の内容が具体的になり、比較検討が一段進んだ状態で来てもらえることは増えやすいです。
ここで使う指標がKPIです。KPIは、目標に近づいているかを見る途中の数値です。
まず追いかけたいKPIはこの4つ
難しい計測は不要です。まずは次の4つを見て、改善の方向を決めます。
- 料金表ページを見た人の数
- 料金表ページを見たあとに問い合わせした件数
- 初回相談の時点で、目的と希望が整理されている割合
- 予算が合わずに終わる相談が減っているか
特に3つ目は、担当者の体感でも構いません。
「話が早い問い合わせが増えたか」を月に一度振り返るだけでも、判断材料として使えます。
採用にもつながる見せ方
採用目的の人も、会社の姿勢を見ています。
料金表ページは、価格の透明性だけでなく、仕事の進め方や責任範囲を示せる場所です。
たとえば、次のような情報があると安心につながります。
- どんな流れで進むか
- 誰が何を用意するか
- 公開後にどこまで面倒を見るか
こうした情報は、顧客にも採用候補者にも、誠実さとして伝わります。
公開後の更新と運用の進め方
更新しない料金表は、むしろ不安を増やす
料金表ページは作って終わりではありません。
内容が古いままだと「今は違うのでは」と疑われやすくなります。
更新のきっかけは、次のような変化です。
- サービス内容が増えた、減った
- よくある依頼が変わった
- 追加費用が出やすい項目が増えた
- 作業の進め方が変わった
半年に一度など、決まった間隔で見直すだけでも十分です。
頻度よりも、放置しない仕組みが欠かせません。
更新担当を一人決めて、判断を止めない
更新が止まる理由は「誰が直すのか分からない」が多いです。
そこで、更新の担当を一人決めます。
担当が決まると、次の動きができます。
- 変更点を集める
- 文章を短く整える
- 公開前に最終確認を回す
技術的な作業は、必要なときだけ外に頼めます。
担当の役割は、情報を止めないことです。
迷ったら「よくある相談」を更新する
料金表の本文を頻繁に変えるのは大変です。
迷ったら、よくある質問や相談例を更新します。
相談が増えているテーマは、今まさに相手が悩んでいることです。
そこに答えがあるだけで、問い合わせの前の不安が減ります。
まとめ
料金表は、金額を並べるページではなく、見積の前提を共有するページです。
目的、含まれる範囲、増減条件、進め方までがそろうと、比較検討が前へ進みます。
まずは、価格の出し方を決め、含む範囲と条件を短い言葉で固定します。
次に、社内の役割と準備物を整え、追加費用の起きやすい場面を先に示します。
最後に、公開後も見直し、古い情報を残さないようにします。
この流れができると、無理な相見積もりに巻き込まれにくくなり、相談の質も整います。
相談したい方へ
「料金表を出したいが、どこまで書くべきか決められない」
「価格帯は書けそうだが、含む範囲の言い方で迷う」
こうした悩みは、社内だけで抱えるほど長引きがちです。
制作相談では、次のような整理が進みます。
- 目的に合う料金表の形を選ぶ
- 含む範囲と増減条件を、誤解が少ない文章に整える
- 見積に必要な材料をそろえ、打ち合わせを短縮する
よくある相談は、次のようなものです。
- 料金表を出しても安売りに見えない構成にしたい
- 追加費用の説明で揉めたくない
- 問い合わせや採用につながる内容にしたい
事前に用意できると話が早いのは、現状サイトのアドレス、目的と優先順位、参考にしたいサイト、公開希望時期、予算の目安です。
手元にそろっていなくても構いません。分かる範囲で十分です。
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