リニューアルの目的定義で売上と採用とブランドを揃える

2025.12.26

目的定義がリニューアル成否を分ける理由

採用サイトの改修は、制作そのものよりも「何のために作り直すのか」を決める段階で成否が決まります。目的が曖昧なまま着手すると、判断基準が「好き嫌い」や「前の会社ではこうだった」に寄り、コストだけが膨らみやすいからです。

みやあじよでは、デザインを問題解決と捉え、成果は売上・問い合わせ・採用など、そのサイトに設定した目的で測るべきだとしています。また良いデザインは、見た目だけでなく、言語化できていない魅力を整理し、相手に驚きを与える提案として形にすることも含むと考えます。採用サイトでも同じで、目的が決まるほど「何を作るか」と同時に「何を作らないか」まで決められます。

目的が曖昧だと起きやすい4つのこと

1つ目は、要望が増殖することです。採用ページのつもりが、会社案内、サービス説明、投資家向け情報、広報まで巻き込み、ゴールが見えない大改修になります。2つ目は、コンテンツが薄くなることです。誰に何を伝えるかが決まらないため、当たり障りのない文章が増え、候補者の不安が解消されません。3つ目は、公開後に評価できないことです。成果指標がないため、改善の会話が「感覚」に戻ります。4つ目は、社内の温度差が放置されることです。経営は採用単価を下げたいのに、現場は紹介会社頼みのまま、というようなズレが残ります。

目的定義は社内合意と外部発注の仕様書になる

目的が決まると、意思決定に必要な材料が揃います。具体的には、投資判断の軸、優先順位、体制、リスク許容度、そして公開後の評価方法です。採用サイトは「作って終わり」になりやすい領域なので、目的定義は公開後の改善を続けるための契約書のような役割も持ちます。

目的を売上と採用とブランドで整理する考え方

目的定義のコツは、売上・採用・ブランドの3軸で整理し、一次目的と二次目的を分けることです。3つは同時に狙えますが、同じ1ページ内で優先すべき情報や導線がぶつかる場面が多く、優先順位がないと「全部入りで、どれにも刺さらない」状態になりがちです。

一次目的と二次目的を分けて設計の迷いを減らす

一次目的は、今期の経営課題に直結し、最優先で数字で追う目的です。二次目的は、一次目的を邪魔しない範囲で積み上げる目的です。たとえば採用が一次なら、ブランドは「応募の背中を押す材料」として扱い、ストーリーや実績は応募導線の邪魔にならない場所に配置します。

目的優先する成果測る指標の例主要コンテンツと導線
売上問い合わせ・商談化問い合わせ数、商談設定率課題提起→解決策→実績→問い合わせ
採用応募・面談設定応募数、面談設定率、辞退率職種理解→働くイメージ→不安解消→応募
ブランド信頼・指名での想起指名検索の増加、再訪率理念・文化→独自性→証拠→継続接点

上の表はあくまで骨格です。自社に当てはめるときは「誰の、どんな不安を、どの順番で潰すか」を言葉で説明できる状態まで落とし込みます。言葉で説明できない場合、UI/UX=画面の見た目と操作性、そして利用体験まで含めた設計がブレやすいからです。

意思決定がブレない捨てるルールを先に作る

一次目的が採用なら、採用に直接効かない改修は後回しにします。代表例が、トップページの装飾の議論に時間を使いすぎることです。候補者が見ているのは、職種ページ、社員の声、募集要項、応募フォーム周辺が中心になりやすいので、そこに投資を寄せるだけで費用対効果は変わります。

採用目的の成果指標と計測設計

KPI=目標達成までの進捗を測る指標を決めることで、リニューアル後に「効いた・効いていない」を合意の上で判断できます。採用サイトの場合、最終成果は内定承諾などサイト外で起きるため、サイト内で追う指標と、採用実務で追う指標をつなぐ設計が重要です。

指標は採用計画とセットで決める

まず採用人数と職種ごとの優先度を置き、次に採用要件=採用したい人物像を経験・スキル・価値観で具体化した条件を揃えます。ここが曖昧だと、アクセスは増えても応募が「欲しい人材」に寄らず、現場の面談工数が増えるだけになりがちです。指標は、要件に合う応募が増えたかを見える化する前提で設計します。

応募数だけを追うと採用の質が落ちることがある

応募数は分かりやすい一方で、質を見失いやすい指標です。たとえば、応募フォームを短くして応募数が増えても、面談設定率が下がれば現場工数が増え、結果として採用単価が上がることがあります。採用単価=1人を採用するためにかかった総コストであり、広告費だけでなく紹介手数料や工数も含めて捉えるのが安全です。

ファネルで先行指標を設計し改善できる状態を作る

ファネル=認知から応募までの段階を漏斗のように捉え、どこで候補者が減っているかを見る考え方です。採用サイトでは、次のように先行指標を置くと改善の手が打てます。
・募集職種ページの閲覧数
・募集要項の到達率
・応募ボタンのクリック数
・コンバージョン=サイト訪問者に期待する最終行動としての応募数
・フォーム開始数と完了数、完了率

これらは、アクセス解析=サイトの利用状況を計測して改善に活かす取り組みで可視化できます。公開後に改善を前提とするなら、計測設定は制作の後工程ではなく、設計と同時に決めるのが鉄則です。

採用管理とつなげて意思決定の精度を上げる

ATS=応募者情報を管理する採用管理システムを使っている場合、流入元や閲覧ページの情報と、面談設定・内定・承諾のデータを紐づけると、どのコンテンツが採用に効いたかが見えやすくなります。完全な因果関係を断定するのは難しくても、判断材料が増えるだけで投資の優先順位は付けやすくなります。

進め方と体制設計

採用サイトのリニューアルは「制作プロジェクト」ですが、実態は社内の意思決定プロセスそのものです。体制が曖昧だと、原稿や写真が集まらず、公開後の更新も止まりやすくなります。目的が決まれば、やることも、やらないことも決まるという考え方で、最初に体制と進め方を固めます。

まず決めるべき3つの役割

経営者が関与すべき点は「どこを成果として追うか」「何を優先し、何を捨てるか」の判断です。具体的には次の3役が揃うと、現場の迷いが減ります。

  • 最終決裁者:一次目的と投資判断を決め、優先順位が衝突したときに裁定する
  • 推進責任者:日々の進行と関係者調整を担い、論点を意思決定に載せる
  • 監修者:職種ごとの実態や魅力、表現リスクを確認し、内容の正確性を担保する

進め方の基本ステップ

大枠は「現状把握→目的・ターゲット→設計→制作→公開→改善」です。現状把握では、応募までの導線、よく見られるページ、離脱しやすい箇所、応募後の歩留まり=応募から面談・内定・承諾へ進む割合を一度に棚卸しします。設計段階で、計測項目とレポートの見方まで決めておくと、公開後の改善が続きます。

役割主担当(社内/外部)主タスク決めること
最終決裁者社内目的・優先順位の確定一次目的、予算上限、守るべき要件
推進責任者社内進行管理・合意形成論点整理、承認フロー、公開日
人事(採用)社内要件・選考情報の整理職種優先度、募集要項、FAQ
広報社内ブランド整合と素材手配トーン、写真/動画、社内調整
制作パートナー外部設計・制作・計測実装情報設計、導線、実装範囲

遅れやすい工程を前提に計画する

遅れの主因は「原稿」「写真・取材」「社内承認」の3つです。対策はシンプルで、原稿はゼロから書かず“素材を集めて編集する”発想に切り替えること、写真は先に撮影日を押さえること、承認は回数を減らすことです。たとえば、職種ページはテンプレート化し、各部門に同じ質問項目でヒアリングすれば、品質とスピードを両立しやすくなります。

応募につながる導線設計とコンテンツ企画

導線設計は、候補者の不安がほどける順番を決める作業です。採用サイトの閲覧者は、会社紹介より先に「自分がそこで働けるか」「入社後に後悔しないか」を確かめに来ます。

応募までの典型導線を設計の基準にする

採用サイトでは、次の流れが基本形になります。

  • 職種理解:仕事内容、求める人物像、1日の流れ、評価のされ方
  • 安心材料:働き方、チーム体制、育成、よくある不安への回答
  • 納得材料:社員の声、文化、なぜこの会社なのか、選考プロセス
  • 行動:応募(またはカジュアル面談などの次の一手)

コンテンツの優先順位は「職種ページ」から逆算する

採用目的が一次の場合、最優先は職種ページです。ここが薄いと、他のページを整えても応募の質と量が伸びにくくなります。職種ページで最低限揃えたいのは「任せたい役割」「成果の定義」「一緒に働く相手」「入社後の立ち上がり」「合わない人の条件」です。合わない条件も出すと、ミスマッチの応募を減らしやすくなります。

応募フォームでの離脱を減らす

マイクロコピー=ボタン周りや入力欄の近くに置く短い文言で、迷いを減らし行動を後押しする文章です。フォームでは入力項目を減らすだけでなく、「何分で終わるか」「どんな情報が必要か」「送信後の流れ」を明記すると心理的な負担が下がります。個人情報の取り扱いは、候補者の不安が強い領域なので、説明ページへの導線も近くに置きます。

費用の内訳と投資判断

費用の議論は、金額そのものより「成果に効く投資がどこか」を見極めるために行います。TCO=制作費だけでなく、公開後の更新・改善・保守まで含めた総コストで捉えると、意思決定がブレにくくなります。CMS=Webサイトの文章や画像を管理・更新する仕組みです。

費用項目期待できる効果変動要因削るリスク
目的・設計要件ブレ防止、手戻り削減関係者数、職種数公開後に成果が測れない
コンテンツ制作応募の質と量の改善取材量、撮影有無当たり障りのない内容になる
実装・CMS更新性、運用負荷の低減更新頻度、連携要件更新が止まり情報が古くなる
計測・改善準備改善の打ち手が増える計測範囲、レポート設計良し悪しが感覚論に戻る

投資判断は「採用単価の改善余地」で考える

採用サイト投資は、採用単価の改善と相性が良いです。たとえば、(現状の採用単価−目標の採用単価)×採用人数が、理論上の改善余地になります。求人広告や紹介に依存しているほど、サイトでの応募と歩留まりが改善したときのインパクトが出やすい一方、サイトだけで全てを解決しようとすると無理が出ます。一次目的に直結する職種から段階的に整備し、公開後に改善する計画で投資を分割すると、リスクを抑えつつ前に進めます。

リニューアルのリスクとトラブル回避

リニューアルは成果の近道になりやすい一方、やり方を誤ると「見えない損失」が出ます。経営判断として押さえるべきは、公開後に取り返しづらいリスクを先に潰し、改善できる状態で世に出すことです。

検索流入が落ちるリスクを抑える

最も多いのが、URLやページ構造の変更により検索評価が引き継がれないケースです。301リダイレクト=旧URLへのアクセスを新URLへ恒久的に転送する設定で、ユーザーと検索エンジン双方に移転を伝える方法です。URLを変える場合は「旧URL→新URL」の対応表を作り、漏れなく転送します。加えて、タイトルや見出しを一気に変えすぎず、職種ページなど成果に直結するページから段階的に改修すると、安全に更新しやすくなります。

計測が切れるリスクを避ける

計測の断絶は、成果が出ているかどうかを判断できない状態を作ります。ステージング=本番公開前に動作確認を行う検証環境です。ステージングで、応募フォーム送信やボタン計測まで確認し、本番公開後に同じ数値が取れているかを当日チェックします。QA=品質確認の工程で、表示崩れだけでなく、スマートフォンでの入力しやすさ、リンク切れ、速度、計測まで範囲に入れると事故が減ります。

作業範囲の増殖を防ぐ

スコープ=今回のリニューアルで扱う作業範囲です。採用サイトは関係者が多く、途中で「このページも直したい」が積み重なると、費用と期間が伸び、重要な職種ページの品質が落ちることがあります。変更要望は「目的に直結するか」「公開日までに必要か」「公開後の改善で十分か」の3点で仕分けし、優先順位を明文化して進めます。

コンテンツが古くなるリスクを設計で減らす

採用情報は変化が早く、情報が古いだけで応募の温度が下がります。更新が止まる原因は、担当不明・更新手順の不明確・更新に時間がかかる設計の3つです。更新頻度が高い箇所はテンプレート化し、文言の差し替えだけで済む構成にします。良いデザインはストーリーが初見で伝わる構成をこまめに確認するという考え方にもつながります。

表現・権利・個人情報のリスク

社員インタビューや写真は強い武器ですが、同意の取り方と管理が重要です。撮影・掲載の同意範囲、退職時の取り扱い、引用する実績の根拠を、社内ルールとして残します。個人情報は応募者の不安に直結するため、取り扱いの説明を応募導線の近くに置き、問い合わせ先も明記して透明性を担保します。

公開後の運用・改善設計

公開はゴールではなくスタートです。成果につなげるには、改善を前提にした運用設計が必要になります。

最初の90日でやることを決める

PDCA=計画して実行し、結果を検証して改善するサイクルです。まず90日分の改善テーマを決め、毎月の確認項目を固定します。例として、1カ月目は計測の安定化と職種ページの改善、2カ月目は社員の声やFAQの拡充、3カ月目は流入の強化と応募フォームの最適化、のように段階を分けると無理なく進みます。

改善の会議体とレポートの型を作る

改善が止まる会社は「見ないから直せない」状態になっています。月1回、30分で見られるレポートの型を作り、KPIと先行指標を並べ、打ち手と担当と期限まで書きます。意思決定が速いほど、同じ予算でも学習量が増え、採用単価の改善につながりやすくなります。

更新ルールを軽くして回し続ける

コンテンツカレンダー=更新予定を一覧化した計画表です。職種ページ、社員の声、FAQ、働き方など、更新対象を棚卸しし「誰が」「いつ」「どこを」更新するかを決めます。運用を回すコツは、完璧を狙わず小さな更新を積み重ねることです。文章の修正、写真の差し替え、FAQの追記のような軽い改善でも、候補者の不安解消に直結します。

相談前に整理するチェックリスト

外部に相談する前に、次の情報が揃っていると提案の精度が上がります。

  • 一次目的と二次目的(採用を最優先など)
  • 採用計画(職種、人数、優先順位、入社時期)
  • 採用要件の骨子(経験・スキル・価値観)
  • 現状の集客手段と採用チャネル別の状況(広告、紹介、直接応募など)
  • 現状の数値(応募数、面談設定率、辞退率など把握できる範囲で)
  • 用意できる素材(社員写真、ロゴ、会社資料、既存記事)
  • 連携したい仕組み(採用管理、フォーム、分析)
  • 公開希望時期と社内の稼働見込み(原稿・承認の体制)

これらを前提に、採用サイト制作、採用導線設計、コンテンツ企画、アクセス解析と改善を一気通貫で設計すると、制作が単発で終わりにくくなります。

まとめ

採用サイトのリニューアルは、見た目の刷新ではなく、目的定義から始まる経営課題の整理です。一次目的を売上・採用・ブランドのどこに置くかを決め、指標と導線とコンテンツと体制を揃えることで、投資判断がしやすくなり、公開後の改善も続きます。リスクは移行と計測と運用で多くが決まるため、先に設計で潰し、公開後は小さく改善を積み上げる進め方が現実的です。

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