BtoBサービスページ情報設計の要点

2025.05.26

企業間取引を前提にしたビジネスのサービスページは、見込み客が最初に読む「営業資料の入口」になりやすい領域です。中小企業でWeb専任がいない場合、営業・マーケ・経営の説明がバラつき、商談の質や受注できる案件がブレやすくなります。情報設計=ユーザーが迷わず目的に到達できるよう、情報を整理し配置する設計を先に固めることで、ページが「会社としての説明」を肩代わりし、問い合わせの量だけでなく質も整えやすくなります。

みやあじよでは、デザインを見た目づくりではなく「問題解決」と捉え、成果(売上・問い合わせ・採用など)を目的に据える方針を明文化しています。表現や手段に固執せず、目的達成に必要な設計を優先する考え方です。

BtoBサービスページの情報設計が「営業資産」になる理由

BtoBは検討期間が長く、意思決定者も複数になりやすい特徴があります。サービスページの役割は「問い合わせを増やす」だけではなく、問い合わせ前の段階で次の2つを同時に満たすことです。

1つ目は、価値提案=誰のどんな課題を、どう解決するかを短時間で理解できる状態にすること。2つ目は、比較検討に耐える判断材料を揃え、社内承認の資料としても使える状態にすることです。ここが弱いと、営業が毎回ゼロから説明し、価格だけで比較されやすくなります。

情報設計が整うと、営業資産=営業活動を効率化し続ける再利用可能な情報の塊として機能します。具体的には以下の効果が見込めます。

  • 期待値の調整:提供範囲・対象・進め方を明確にし、条件不一致の問い合わせを減らす
  • 商談の短縮:前提説明をページに寄せ、初回商談を課題整理と次アクションに集中させる
  • SEOの土台:SEO=検索エンジン最適化に必要なテーマの網羅と内部構造が作りやすくなる

また「良いデザイン」は、ページ全体を俯瞰し、初見でメッセージやストーリーが伝わる構成をこまめに確認する姿勢が重要だと整理されています。サービスページの情報設計は、まさにその土台です。

購買プロセスから逆算する前提整理(ターゲット・課題・判断材料)

購買プロセス=認知から比較、社内合意、発注までの意思決定の流れに合わせて、必要情報の順番を決めます。BtoBのサービスページは、少なくとも次の3者が読む前提で設計すると破綻しにくくなります。

  • 経営者・事業責任者:投資対効果、リスク、社内負荷、いつ成果が出そうか
  • マーケ責任者・Web担当:導線=ユーザーが目的ページへ辿り着くための経路、計測、改善の余地、運用体制
  • 現場・推進担当:導入までの工程、必要な協力、既存業務への影響

このとき重要なのは「ターゲット=読む人」だけでなく、「課題=解決したい状態」と「判断材料=決めるために必要な情報」をセットで整理することです。経営者は料金だけでなく、失敗時の損失や社内稼働を気にします。マーケ側は、流入の入口とコンバージョン最適化=問い合わせ率を改善する取り組みの余地を気にします。

前提整理でブレを減らす合意点

  • 誰に売るか:業種よりも「よく出る課題」と「意思決定の構造」で切る
  • 何を約束するか:提供できる範囲に合わせて成果の表現を定義する
  • 何を断るか:対象外、やらないこと、前提条件を明記する

前提整理で最低限そろえると良い材料は次の通りです。

  • 誰の何を解決するか(対象・課題・到達点)
  • なぜ自社ができるか(根拠:実績、専門性、体制、考え方)
  • どう進むか(プロセス、期間、役割分担)
  • いくらかかるか(料金の考え方、費用の幅、条件)
  • 次に何をしてほしいか(CTA=行動喚起。問い合わせ、資料請求、相談予約など)

サービスページの基本構成とコンテンツ要素(不足しがちな項目付き)

基本構成は「理解→納得→行動」の順で設計します。ファーストビュー=ページを開いて最初に表示される領域では、対象・提供価値・次行動を同時に伝えます。その後、課題の共感、解決策の全体像、選ばれる理由、進め方、料金、事例、FAQ=よくある質問、問い合わせ導線を並べ、判断材料を欠けなく揃えます。直帰=最初のページだけ見て離脱することを減らす観点でも、情報の順序は重要です。

不足しがちな項目をチェック

セクション読者の不安・疑問用意すべき情報不足時の悪影響
ファーストビュー自分向けか分からない対象、提供価値、次行動直帰が増え、比較検討に残りにくい
課題の整理何が問題か言語化できない典型課題、よくある状況価格比較に寄り、共感が生まれない
解決策の全体像何をしてくれるのか曖昧提供範囲、成果物、範囲外期待値ズレでトラブルになりやすい
選ばれる理由他社との違いが不明強みの根拠、体制、方針指名検索が増えず、受注を逃しやすい
進め方導入の負荷が読めない工程、期間、役割分担社内承認で止まり、検討が進まない
料金予算感がつかめない価格の考え方、幅、条件問い合わせが減るか、条件不一致が増える
事例・実績成果が想像できない対象、課題、取り組み信頼が積み上がらず、比較で負ける
FAQ不安が残るよくある懸念の先回り最後の一押しが不足し、行動に移らない

指名検索=会社名やサービス名で検索されることが増えると、比較の主導権を握りやすくなります。そのためにも、サービスページでは「言いたいこと」ではなく「相手が判断できる順番」で見せることが重要です。社内の営業資料や提案書から材料を転用できることは多い一方、言葉の粒度はWeb向けに整える必要があります。

情報設計の進め方(棚卸し→構造化→原稿設計→ワイヤーの順)

情報設計は、見た目のデザインより前に「何を、どの順に、どの言葉で伝えるか」を決める工程です。Web専任がいない体制でも進めやすいように、作業を4段階に分けて考えます。

1) 棚卸し:材料を集めて、足りない情報を特定する

棚卸し=社内にある情報を一覧化し、使える材料と不足を整理する作業です。サービスページ用に新規で文章を書く前に、以下を集めて並べます。

  • 営業資料(提案書・料金表・導入の流れ)
  • よくある質問(商談でよく聞かれること)
  • 事例に近い案件のメモ(守秘の範囲で、課題と取り組みを整理)
  • 競合比較で聞かれるポイント(違いになりやすい項目)
  • 契約や進め方の前提(対象外、必要な協力、対応時間など)

ここでのゴールは「文章の完成」ではなく、判断材料がそろっているかの確認です。UI/UX=画面の使いやすさと利用体験を設計する考え方。

2) 構造化:ページの骨組み(見出し)を決める

構造化=情報をグルーピングし、見出しの階層と順番に落とすことです。コツは「社内が言いたい順」ではなく「検討者が決める順」に並べること。

  • 理解:対象、課題、提供価値、全体像
  • 納得:根拠(実績・体制・考え方)、進め方、料金の考え方
  • 行動:不安の解消(FAQ)、問い合わせ導線、次の一手

この段階で、各見出しに「読者が抱える不安」を1行で添えると、後工程の原稿がブレにくくなります。ページ全体を俯瞰し、初見でメッセージやストーリーが伝わる構成かをこまめに確認する姿勢が大切だという考え方とも相性が良いです。

3) 原稿設計:一文で言い切れる“主張”を先に作る

原稿設計=見出しごとに「結論→理由→補足」の順で、短い骨子を書いてから文章化する進め方です。特にBtoBでは、次の3点が曖昧だと問い合わせの質が荒れます。

  • 誰が対象か(合う企業・合わない企業)
  • 何を提供するか(範囲、成果物、前提条件)
  • どこまで責任を持つか(成果の表現、支援範囲)

原稿の段階で「やらないこと」「前提条件」を明記するのは、ミスマッチを減らし商談の生産性を上げるための設計です。

4) ワイヤー:読み方を設計し、迷いを減らす

ワイヤーフレーム=画面構成を箱と文字で表した設計図です。デザインに入る前にワイヤーを作ると、関係者の合意が取りやすく、追加要望の膨張も抑えやすくなります。

  • 重要情報を上に寄せ、詳細は折りたたむ(長文の圧を下げる)
  • 比較される項目(料金、範囲、進め方)は見つけやすい位置へ
  • CTA=行動喚起は、ページ上部と検討が深まった位置に複数配置

ワイヤー段階で確認したいのは「読み飛ばしても要点が拾えるか」「初見で次に何をすれば良いかが分かるか」です。ここまでできると、見た目の装飾は“伝わる骨格”を強める役割になります。

成果を測るKPI設計と計測環境(見える化の落とし穴も含む)

KPI=目標達成度を測る指標です。サービスページのKPIは、問い合わせ件数だけでなく「商談につながる質」を前提に設計します。コンバージョン=問い合わせや資料請求など、Web上の成果行動を指します。

KPIは「経営の意思決定」に接続する形で置く

経営者・事業責任者が見たいのは、アクセス数そのものよりも、受注に近い指標です。代表例は次の通りです。

  • 相談・問い合わせ数(量)
  • 有効問い合わせ率(条件が合う割合)
  • 商談化率(問い合わせ→商談)
  • 受注率(商談→受注)

アクセス解析=ユーザー行動を計測し、改善に活かす分析では、KPIの分解が有効です。「問い合わせが増えない」場合でも、どこで止まっているかを見つけられます。

CRM=顧客情報と商談状況を管理する仕組みで、問い合わせから受注までを追跡します。

目的→KPI→計測→改善の対応表

目的KPI計測方法改善アクション例
有効な相談を増やす有効問い合わせ率フォーム送信後の分類(条件一致/不一致)対象外・前提条件を冒頭と料金付近で明確化
検討を前に進めるCTAクリック率クリック計測(相談/資料/見積)CTA文言を相談内容に寄せ、選択肢を整理
離脱を減らす重要セクション到達率スクロール・到達計測冒頭で全体像を提示し、詳細は折りたたみ
商談を増やす商談化率CRM/表計算で問い合わせ起点を紐づけフォーム項目を整理し、必要情報を回収

見える化の落とし穴

  • 小さな数の増減に振り回される:母数が少ない場合、短期判断は誤差が大きくなります
  • 計測できていないのに改善する:計測環境が未整備だと、施策の良し悪しが判断できません
  • Webだけで完結させようとする:BtoBは商談が主戦場のため、問い合わせ後の質の記録が重要です

計測は「管理のため」ではなく、改善の優先順位を決めるために使います。KPIが決まると、情報設計のどこを直すべきかが具体になります。

費用の考え方と投資判断(制作費・運用費・社内稼働の分解)

サービスページのコストは、制作費だけでなく社内稼働と運用費を含めて捉えると判断がブレにくくなります。TCO=導入後の運用費も含めた総コストとして見る考え方です。

コストを3つに分けて考える

  • 制作費:情報設計、原稿、デザイン、実装、計測設定、公開作業
  • 社内稼働:素材提供、レビュー、承認、営業との擦り合わせ
  • 運用費:保守、更新、改善、分析、追加コンテンツ

「制作費を抑えた結果、運用に時間がかかり続ける」状態は、兼任体制ほど負担が大きくなります。投資判断では、問い合わせ数だけでなく“有効な商談が何件増えると回収できるか”を目安にします。

  • 目安の考え方:総コスト ÷(商談化率 × 受注率 × 1件あたりの粗利)

粗利=売上から直接原価を引いた利益です。数値が置けない場合でも、式を共有しておくと、経営・営業・マーケで同じ物差しを持ちやすくなります。

リニューアル時のリスクと回避策(検索・移行・合意形成)

リニューアルは「情報の置き場」が変わるため、成果が出ていた導線や検索評価が崩れるリスクがあります。ここでは、経営・事業責任者が押さえるべき主要リスクと回避策を整理します。

検索流入が落ちるリスク:移行設計で“つながり”を切らない

多いのは、URL=Webページの住所を示す文字列の変更やページ統合によって、検索エンジンが「別ページになった」と判断し評価が引き継がれにくくなるケースです。対策は、公開前に“対応表”を作っておくことです。

  • コンテンツマッピング=旧ページと新ページを対応付ける表を作る(流入上位や問い合わせ貢献ページは優先)
  • 301リダイレクト=旧URLから新URLへ恒久的に転送する設定を行う(旧→最も近い新へ1対1でつなぐ)
  • 内部リンク=サイト内のリンクを新URLへ更新し、回遊を切らない
  • XMLサイトマップ=検索エンジンにページ一覧を伝えるファイルを更新して送る

「検索を落としたくない」場合、制作の早い段階で移行要件を決め、デザインより先に“移行の設計図”を握るのが安全です。

期待値ズレのリスク:合意形成の前に“決めるもの”を固定する

兼任体制で起きやすいのが、途中で要望が増え続け、ページが散らかる・費用が膨らむ・公開が遅れる、という連鎖です。合意形成=関係者の意思を揃える作業を、制作開始前に仕組みにしておきます。

  • 決裁者(最終承認)と、日々の判断者(窓口)を分ける
  • スコープ=作る範囲を明文化し、「今回はやらないこと」も残す
  • 変更が出たら、影響(納期・費用・成果)を記録して優先順位を決める

原稿が間に合わないリスク:ゼロから書かず、素材を再編集する

サービスページは情報量が多く、原稿遅延が起きやすい工程です。対策は、棚卸しした営業資料をWeb用に再編集すること。各見出しに「結論の一文」を先に置くと、レビューの負担が下がります。

体制づくりと運用改善(社内役割・外部パートナー・改善サイクル)

公開はゴールではなくスタートです。運用改善=公開後に計測し、仮説を立てて修正する取り組みを回せる体制が、投資回収を左右します。

最低限の役割を4つに分ける

  • オーナー:目的と優先順位を決める(経営・事業責任者)
  • 監修:内容の正確性を担保する(営業責任者など)
  • 実務:原稿・更新・計測を回す(兼任のマーケ/Web担当)
  • 外部:設計・制作・保守の支援(制作会社など)

属人化=特定の人にしか分からない状態を避けるためにも、小さくても役割分担が有効です。保守=サイトを安全に動かし続けるための点検・更新作業、セキュリティ=不正アクセスや改ざんを防ぐ対策も、誰が判断し誰が実行するかを先に決めます。

体制パターン別の分担イメージ

体制パターン社内の担当範囲外部の担当範囲注意点
経営+営業主導(Web兼任ほぼ無し)目的・対象・承認、素材提供情報設計、原稿整形、制作、計測、保守承認遅延で止まりやすいので期限を先に決める
マーケ兼任主導(営業が監修)KPI設計、更新運用、営業監修設計・制作、改善提案、技術保守負荷集中に注意。更新ルールと優先順位を明文化
社内にWeb担当あり(内製寄り)設計・更新・分析の主導デザイン・実装、専門領域の支援交代に備え、仕様・運用手順を文書化

改善サイクルは「月次の小改善+四半期の見直し」が回しやすい

  • 月次:CTA、FAQ、フォームなど“局所”を改善
  • 四半期:価値提案、事例、料金の見せ方など“構造”を見直し

良いデザインは、ページを通して伝えたいメッセージが初見で伝わるかをこまめに確認する姿勢が大切、という考え方ともつながります。

依頼先の選び方と発注前に揃える情報(比較軸とチェックリスト)

依頼先の比較で失敗しやすいのは、「デザインの好み」だけで決めてしまうことです。BtoBのサービスページは、情報設計と運用の設計がセットで提供されるかが重要です。

比較するべき5つの軸

  • 情報設計:ターゲット・課題・判断材料から構成を作れるか
  • 原稿支援:素材の再編集、言語化の伴走があるか
  • 移行とSEO:リニューアル時の移行設計まで責任範囲に入るか
  • 計測と改善:KPI設計、計測設定、改善提案まで見てくれるか
  • 保守運用:更新体制、障害対応の考え方が明確か

発注前に社内で揃えるチェックリスト

  • 目的(売上・問い合わせなど)と、優先順位
  • 対象(合う顧客・合わない顧客)と、解決したい課題
  • 提供範囲(できること/できないこと)と前提条件
  • 競合や比較されやすいポイント、既存資料(営業資料、FAQ、事例メモ)
  • 公開希望時期と、承認フロー
  • 予算の考え方(上限だけでなく、投資回収の目安)

RFP=要件をまとめた提案依頼書を用意できると比較は楽になりますが、上記が揃っていれば要件整理は前に進みます。

まとめ(意思決定のチェックポイント)

BtoBサービスページの情報設計は、問い合わせ数だけでなく「商談の質」と「営業の再現性」を高める投資です。意思決定では、①前提整理(誰の何を解決するか)②構成(判断材料の欠けをなくす)③KPI(質まで追う)④費用(制作+運用+社内稼働)⑤リニューアルリスク(移行設計)⑥体制(公開後の改善)を同じテーブルに乗せて比較すると、ブレにくくなります。

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