MEO運用の体制を決める前に整理すること(目的・商圏・店舗数・現状)
目的を「行動」まで落として言語化する
KPI=目標の達成状況を測る指標は、順位だけでなく「電話」「経路」「予約」「指名検索」など行動に紐づくものを軸に置くと、体制の優先度が決まります。たとえば新規客を増やすのか、既存客の再来店を促すのかで、投稿の設計や口コミ返信のトーン、写真の更新方針が変わります。目的が曖昧なままだと、作業は増えるのに判断が進まず、運用が止まりやすくなります。
商圏と競合を前提に、やる順番を決める
ローカルSEO=地域性のある検索で自店が見つかりやすくなるよう最適化する考え方では、商圏の広さと競合密度が現実的な目標と運用頻度を左右します。まずは検索結果で同業の上位店を観察し、写真の質、カテゴリ設定、口コミの量と内容、投稿の切り口など「勝ち筋の型」を把握します。型を把握したうえで、自店の強み(価格、技術、専門性、立地、対応時間など)をどこに載せるかを決めると、内製でも外注でも判断が揃いやすくなります。
店舗数と更新頻度で、必要工数の上限が決まる
1店舗と多店舗で大きく変わるのは、更新対象(営業時間、臨時休業、メニュー、サービス、写真、投稿、口コミ)を誰が持つかです。店舗数が増えるほど「現場が知っている情報」を本部が吸い上げるだけで時間がかかるため、現場協力の仕組みがない体制は継続しづらくなります。逆に、現場が入力する情報と、本部が統一する情報を分ければ、品質もスピードも両立しやすくなります。ここで重要なのは、情報の入口(誰が起点で更新するか)と、出口(誰が最終確認するか)を決めることです。
現状の棚卸しで、最初の1〜2か月の勝ち筋をつくる
初期は「整備」と「更新」の比率が高くなりがちです。営業時間や属性情報、カテゴリ、写真、商品・サービス説明など、土台が整っていないと運用施策の効果が読み取りにくくなります。体制を決める前に、各店舗のGBPの状態、投稿履歴、口コミ返信状況、店舗サイトの導線(予約・メニュー・アクセス)を棚卸しし、優先順位をつけます。棚卸しの結果は、次の判断材料として残します。
・今すぐ直す項目(誤情報、未設定、写真不足など)
・一定期間運用して差が出る項目(投稿、口コミ返信、写真追加など)
・サイト改善とセットで効く項目(予約導線、メニュー構成、FAQなど)
内製と外注の違い(作業範囲、責任範囲、スピード、再現性)
内製が向くのは「情報の鮮度」と「現場連携」が価値になる領域
内製の強みは、臨時情報の反映、現場の強み(接客、設備、専門性)を言葉にして投稿や写真に落とし込む速さです。
現場の当たり前を拾える体制ほど、差別化の材料が増えます。一方で、担当者が一人だと判断と作業が集中し、忙しい月に更新が止まるリスクが出るため、チェック者を置く設計が現実的です。
外注が向くのは「型化」と「第三者視点」で迷いを減らす領域
外注の強みは、チェックリスト化された運用、競合比較、レポート作成、改善案の継続提案など、再現性のある型を持ち込みやすい点です。ガイドライン=Googleが示す掲載・運用ルールを踏まえた表現監修や、店舗ごとの情報を整える運用設計は、第三者の視点が入ることでブレが減ります。ただし外注だけで完結することは少なく、素材提供や承認、現場の事実確認は社内側の役割として残ります。委託範囲と責任範囲を曖昧にすると、作業量の割に成果が読みづらくなります。
体制は二者択一ではなく、分業の設計で最適化する
ハイブリッド=内製と外注を組み合わせ、役割を分けて回す体制は、1〜20店舗で現実的になりやすい選択肢です。ポイントは、権限・承認・緊急対応のルールを先に決め、運用が属人化しない状態を作ることです。「何を外に出し、何を社内に残すか」を決めれば、費用もスピードも読みやすくなります。
<table> <tr> <th>体制</th> <th>向く条件</th> <th>主なコスト要素</th> <th>主なリスク・注意点</th> </tr> <tr> <td>内製</td> <td>現場情報が頻繁に変わる/店舗と本部の連携が強い</td> <td>担当者の工数、人件費、教育コスト</td> <td>退職・異動で停滞/チェック体制がないと品質がぶれる</td> </tr> <tr> <td>外注</td> <td>社内に時間が取りにくい/改善の型を早く導入したい</td> <td>月額委託費、初期整備費、ツール費</td> <td>作業が見えにくい/権限管理・引き継ぎ設計が弱いと属人化</td> </tr> <tr> <td>ハイブリッド</td> <td>重要情報は社内、分析と設計は外部に分業したい</td> <td>社内工数+外注費(範囲次第)</td> <td>役割が曖昧だと二重作業/承認遅れでスピードが落ちる</td> </tr> </table>
費用の考え方(社内工数、人件費、外注費、ツール費、切り替えコスト)
社内工数を「月のタスク」で分解して見積もる
費用比較の起点は、運用タスクを棚卸しし、頻度と所要時間を置くことです。例として、情報更新(随時)、投稿(週1〜数回の方針)、写真追加(毎月)、口コミ返信(週次)、簡易レポート(毎月)などに分けます。ここで初めて、内製に必要な担当者の稼働枠と、店舗側の協力時間が見えます。社内の時間単価は「人件費÷稼働時間」だけでなく、会議・管理・教育など間接作業も含めて考えると、現実に近づきます。
外注費は「やってほしい範囲」で構造が変わる
外注費は、初期整備(情報の統一、写真・カテゴリの設計)と、月次運用(投稿、口コミ、分析、改善提案)で別立てになることが多い構造です。さらに多店舗では、店舗別の投稿設計や現場ヒアリング、撮影の有無で変動します。比較するときは「作業メニュー」ではなく「成果に影響する責任範囲」を揃えて見ます。たとえば、投稿の文章だけ作るのか、企画まで含めるのか、口コミ返信の方針策定まで含めるのかで、同じ外注でも価値が変わります。
見落としやすいコストは、承認・素材・引き継ぎに出る
TCO=導入後の運用費も含めた総コストで見ると、外注でも内製でも「承認待ち」「素材収集」「店舗への確認」「引き継ぎ資料」の負荷が効いてきます。体制変更(外注から内製、またはその逆)を想定する場合、運用ルール、投稿テンプレート、権限設計、過去施策の判断理由が残っているかが切り替えコストを左右します。短期の安さより、継続できる設計かどうかで判断するとブレにくくなります。
体制パターン別の設計(内製型/外注型/ハイブリッド型の役割分担)
体制設計で先に決めるのは「作業」ではなく「責任の置き場」です。GBPは店舗情報の正確性と継続更新が価値になるため、事実確認担当・表現担当・最終承認担当の分担が曖昧だと更新が止まります。そこで、運用を回す最小単位として次の3点を固定します。
1)権限:管理権限の保持者と編集者を分ける
2)承認:投稿・返信・情報変更の最終OKを出す担当を決める
3)素材:写真・メニュー・キャンペーン情報の収集ルートを決める
この3点が決まると、内製と外部支援の組み合わせを変えても破綻しにくくなります。
内製型の設計ポイント
内製型はスピードと現場理解が強みです。運用担当が一人の場合でも、少なくとも「実行担当」と「チェック担当」を分け、週次で内容確認するだけで品質が安定します。店舗数が増えるほど、店舗側が提供する素材が成果に直結するため、現場には「事実提供」と「一次返信(下書き)」までを任せ、本部が表現統一と最終確認を持つ形が回りやすい設計です。テンプレート=繰り返し使える定型フォーマットを用意し、投稿の型(タイトル、訴求点、行動導線)を揃えると、担当者が変わっても運用品質が落ちにくくなります。
外注型の設計ポイント
外注型は、企画・文章化・分析を外部に寄せられる一方、社内側に「事実の担保」と「意思決定」は残ります。例えば、投稿文案や口コミ返信案を外部が作っても、事実と方針の確認が社内で止まると公開が遅れます。外注で成果を出すコツは、社内側が承認の窓口を一本化し、店舗側は素材提供に集中する形にすることです。
ハイブリッド型の設計ポイント
ハイブリッド型は、外部を「設計と監督」、内部を「実行と素材」に分けると、1〜20店舗でも運用負荷を抑えやすくなります。たとえば外部が、月次の競合比較・改善仮説・投稿テーマ設計・レポートを担い、社内が投稿公開・情報更新・口コミ返信を担う形です。手段に固執せず目的達成のために最善を選ぶという考え方は、体制の固定観念を外し、分業を進めるうえで有効です。
table> <tr> <th>業務項目</th> <th>本部</th> <th>店舗</th> <th>外部</th> </tr> <tr> <td>基本情報(営業時間・属性)更新</td> <td>ルール策定/最終確認</td> <td>変更の申告/一次入力</td> <td>監修/チェック</td> </tr> <tr> <td>臨時情報(休業・変更)対応</td> <td>承認/緊急連絡窓口</td> <td>即時連携/事実確定</td> <td>反映支援</td> </tr> <tr> <td>投稿(テーマ設計)</td> <td>販促方針の共有</td> <td>現場ネタ提供</td> <td>企画・構成案</td> </tr> <tr> <td>投稿(文章・画像)作成</td> <td>最終調整</td> <td>写真提供</td> <td>文案作成/画像選定</td> </tr> <tr> <td>口コミ返信</td> <td>返信方針/NG基準(NG=避けるべき表現・対応)</td> <td>事実確認/一次返信案</td> <td>文案作成支援/表現調整</td> </tr> <tr> <td>Q&A整備</td> <td>優先順位付け</td> <td>現場知識提供</td> <td>設計・文章化</td> </tr> <tr> <td>月次レポート/改善提案</td> <td>意思決定/実行指示</td> <td>実行/結果共有</td> <td>分析/提案</td> </tr> </table>
外注先選定の観点(運用品質、権限設計、レポート、連絡体制、継続条件)
外注先選定で重要なのは、作業内容の多さより「管理のされ方」です。作業メニューが多くても、方針と優先順位が不明確だと成果に直結しません。比較は次の5点で行うと、社内の意思決定が揃いやすくなります。
1)運用品質の定義を明確にする
運用品質は、投稿本数よりも「店舗の強みが伝わる設計」「写真と文章の一貫性」「口コミ返信の方針統一」「改善の根拠が残る」などで決まります。提案が毎月同じ型で、競合や季節性に触れない場合は、作業は進んでいても学習が進みにくい状態です。逆に、改善案に理由と優先順位があり、実行後の振り返りまでセットになっていると、外注でも社内に判断基準が蓄積します。
2)権限設計を安全にする
権限は「社内が保持し、外部は必要範囲だけ付与」が基本です。運用のしやすさだけで外部に強い権限を渡すと、担当変更や解約時に引き継ぎが難しくなるリスクが上がります。外部アカウントの管理方法、担当交代時のアクセス停止手順、作業ログの残し方を契約前に運用ルールとして決めておくと、トラブルを避けやすくなります。
3)レポートを「数字+行動」にする
レポートは、数字を並べるだけでは意思決定に使えません。見るべきは、指標の変化に対して「要因」と「次の打ち手」が書かれていることです。加えて、投稿・写真・口コミ・店舗サイトの導線のうち、ボトルネック(ボトルネック=成果を止めている要因)を特定して示し、次月の優先順位を明確にする形式だと、運用が前に進みます。
4)連絡体制を運用スピードに合わせる
店舗ビジネスは臨時情報が起きやすい前提があります。連絡手段、返信の目安時間、緊急時の連絡ルートの整備状況で、情報の鮮度が変わります。多店舗では、店舗→本部→外部の連絡が増えるため、依頼フォーマット(必要情報のテンプレート)を用意できる外注先だと、現場負荷が下がります。
5)継続条件と引き継ぎを事前に設計する
解約時に手元に残る成果物は、長期の安心材料になります。投稿の原稿、作業ログ、改善の判断理由、運用ルール、テンプレートが残る契約は、体制変更に強い設計です。逆に、ブラックボックス化すると、内製へ戻す際に再スタートになりやすく、TCOが上がります。
運用オペレーションの標準化(情報更新、投稿、写真、口コミ、Q&A、改善フロー)
標準化は「同じ品質を、同じ手順で出す」ための仕組みです。週次・月次・随時のリズムを固定し、店舗から上がる情報をテンプレートで受け取るだけでも、作業の抜け漏れが減ります。投稿はテーマを先に決め、写真は「店舗の強みが伝わるカット」を定義し、口コミは返信方針を共有しておくと、内製でも外部支援でも速度が上がります。次のパートでは、KPIの設計と、炎上・権限・ガイドラインなどのリスク対策まで含め、運用が止まらない仕組みに落とし込みます。
成果の見方とKPI運用
GBPの数値は「順位」よりも、検索ユーザーの行動に近い指標を中心に見ると意思決定がぶれにくくなります。インサイト=GBPの管理画面で確認できる閲覧・行動データは、店舗ごとの差や季節性が出るため、週次は異常値の確認、月次は要因分析と改善案の決定、という二段構えが現実的です。
会議体=意思決定のために参加者と頻度を固定した定例の場を作り、月1回は「数字→要因→次の打ち手→担当と期限」まで決めると、内製でも外部支援でも運用が止まりにくくなります。多店舗の場合は、全体傾向(成功パターン)と店舗別の課題(写真不足、口コミ対応の遅れなど)を分けて見ると、改善が進みやすいです。
また、GBPから店舗サイトに送客しているなら、CVR=サイト訪問から予約・問い合わせなどの成果に至る割合を意識し、リンク先ページの内容(メニュー、料金、予約導線、アクセス)を一緒に整えると効果が出やすくなります。GBPは「今すぐ行動したい層」が多いため、店舗サイト側の情報が不足していると機会損失が起きやすい点に注意します。 <table> <tr> <th>指標</th> <th>見る頻度</th> <th>主な改善アクション</th> <th>主担当</th> </tr> <tr> <td>検索での表示・閲覧</td> <td>週次/月次</td> <td>カテゴリ・説明文・写真の見直し</td> <td>本部/外部</td> </tr> <tr> <td>電話・経路・Webクリック</td> <td>週次/月次</td> <td>投稿テーマ、写真、営業時間の精度改善</td> <td>本部</td> </tr> <tr> <td>口コミ(件数・評価・内容)</td> <td>週次</td> <td>返信方針の統一、現場改善のフィードバック</td> <td>店舗/本部</td> </tr> <tr> <td>写真の閲覧傾向</td> <td>月次</td> <td>強みが伝わる写真の追加、古い写真の整理</td> <td>店舗</td> </tr> <tr> <td>店舗サイトの予約・問い合わせ</td> <td>月次</td> <td>導線改善、メニュー・料金の明確化</td> <td>本部/制作</td> </tr> </table>
リスクとトラブル対応
体制の失敗は、成果以前に「止まる」ことから始まります。止めないために、権限と運用ルールを先に整備します。
権限は社内が管理者を保持し、外部は編集に必要な範囲だけ付与します。加えて、複数名で管理者を持ち、担当交代時の手順(権限付け替え、連絡先更新、二要素認証=パスワード以外の手段も使って不正ログインを防ぐ仕組みの設定)を決めておくと、属人化を避けやすくなります。
口コミ対応は、事実確認→短い謝意→再発防止の方針→必要なら個別連絡、の順で統一すると、担当者ごとのブレが減ります。過度な反論や推測の断定は避け、店舗改善の材料として社内に戻す運用が重要です。
ガイドライン面では、NAP=店名・住所・電話番号などの基本情報を、店舗サイトや各媒体でできるだけ揃え、変更が出たら即時に更新する体制が必要です。情報の不一致は、ユーザーの不信だけでなく、運用上のトラブル(重複、表示の乱れなど)を招く要因にもなり得ます。引き継ぎでは「何を見て、何を変えたか」を残すだけで、体制変更の負担が大きく下がります。
相談前に準備するチェックリスト
内製か外部支援かを短期間で決めるには、比較できる材料を揃えることが近道です。最低限、次を準備すると議論が早くなります。
・店舗一覧(店名、住所、電話、営業時間、担当者)
・各店舗GBPのURLと、管理権限の状況(誰が管理者か)
・優先したい目的(電話増、予約増、来店増など)と、見たい指標
・過去3か月程度の投稿・写真・口コミの状況(止まっている理由も)
・競合として意識している店舗(2〜5件)
・現場で提供できる素材(写真、メニュー、キャンペーン、よくある質問)
・本部と店舗で確保できる運用時間(週次/月次の上限)
・外部に任せたい範囲(設計、投稿作成、口コミ、分析、店舗サイト改善)
みやあじよでは「やりたいけど分からないことの言語化」を起点に、MEO運用と店舗サイト改善を一体で整理し、体制と手順に落とし込む支援も行っています。
まとめ
MEO運用の体制は、内製か外部支援かの二択ではなく、情報の鮮度を担保する担当と、改善の型を回す担当を分けて設計すると安定します。まずは権限・承認・素材の流れを固定し、KPIを「行動」に寄せて週次/月次で見ます。口コミと店舗サイトの導線まで含めて整えると、地図枠の露出だけでなく実際の予約・問い合わせに近づきます。