デマンドジェネレーション 設計の全体像

2025.04.21

デマンドジェネレーション設計が経営課題に効く理由

デマンドジェネレーションとは、潜在層から検討層までの需要を育て、商談につながる状態をつくる活動です。BtoB=企業向け取引の商材ほど、初回接触から契約までに「情報収集→比較検討→社内稟議→最終決裁」という段階が発生し、途中で検討が止まる要因も増えます。Webサイトとコンテンツを中心に、その“途中”を前に進める設計を行うことが、デマンドジェネレーションの骨格になります。

経営目線での効きどころは、次の3つです。

1. 売上の再現性を上げる

受注は営業の努力だけで決まらず、検討に入った時点で「比較候補に入っているか」「信頼を獲得できているか」で勝敗が変わります。パイプライン=受注見込みの案件が積み上がった状態(商談の量と質)を増やし、かつ偏りを減らすために、検索・広告・紹介・既存顧客など複数の接点から、同じメッセージに着地させる必要があります。

2. マーケ投資の説明責任を果たしやすい

KPI=目標達成までの途中経過を測る指標を、流入数や資料ダウンロード数だけで終わらせず、「比較検討に必要な情報が揃ったか」「営業が対応すべき状態に近づいたか」まで分解できると、投資判断がしやすくなります。リード=見込み顧客の連絡先などの情報は重要ですが、量だけを追うと、営業が追えない・商談にならない・失注が増えるといった“詰まり”が起きます。

3. 属人化を減らし、営業と分業できる

BtoBでは、決裁者・利用部門・推進者など複数人が関わります。立場ごとに求める材料が違うため、営業が口頭で補うほど工数が膨らみます。Web上に「共通資料」と「立場別の補助資料」を用意しておくと、営業は案件ごとの論点整理と提案に集中できます。

みやあじよの制作思想でも、成果(売上・問い合わせなど)を目的に置き、表現や媒体は手段として最適解を選ぶことを重視しています。

設計の全体像:目的・ターゲット・提供価値を揃える

設計の出発点は「何を増やしたいか」を、経営が判断できる粒度にすることです。目的が曖昧だと、記事本数や広告出稿のような“活動量”が評価軸になり、途中で軌道修正できなくなります。逆に、目的・ターゲット・提供価値が揃うと、コンテンツも導線もKPIも一貫します。

目的を“数値”と“状態”に分けて言語化する

売上目標だけでなく、「どの業種・どの規模の企業から」「どの商材で」「どの単価帯で」増やすのかまで揃えると、必要な商談数や勝ち筋が見えます。さらに、状態目標として「比較検討の指名候補に入り続ける」「稟議で反対されにくい材料を整える」など、検討段階の前進を定義します。

この段階で重要なのが、言葉で説明できる状態にすることです。言葉にならない戦略は、社内にもユーザーにも伝わりにくく、UI/UX=画面の使いやすさと利用体験をまとめて捉える考え方の判断もブレます。みやあじよが制作前のヒアリングで目的の具体化を重視するのも、ここが曖昧だと全工程が不安定になるためです。

コンセプトを短い言葉に落とし、伝える順番を決める

コンセプトキーワード=提供価値を端的に表す単語のセットを先に決めると、コンテンツの軸がぶれにくくなります。キャッチコピー=価値を一文で伝える短い文章も用意すると、トップページだけでなく、記事や資料の書き出しでも一貫したメッセージを作れます。制作方針として、言葉で整理できない状態ではユーザーにも伝わる設計になりにくい、という考え方がここに直結します。

ターゲットを“購買プロセス”で定義する

ペルソナ=想定する代表的な顧客像を具体化したものは有効ですが、BtoBでは「立場ごとに知りたいことが違う」点が肝です。経営者は投資回収とリスク、マーケ責任者は施策の整合性、営業責任者は商談化の条件、Web担当者は運用の現実性を見ています。属性よりも購買プロセス(情報収集→比較→稟議→決裁)に沿って、必要な材料を並べるほうが成果に直結します。

提供価値を“驚き”と“納得”の両方で設計する

提供価値は、機能説明の羅列では伝わりません。みやあじよが「やりたいけどわからないことの言語化」や、価値を感動を持って伝えることを重視するのは、検討初期の不安をほどき、比較段階での納得材料を揃えるためです。テンプレートでそれらしく作れる時代ほど、相手に合わせたストーリーの組み立てが差になります。)

CTA=次に取ってほしい行動を促すボタンや文言です。

デマンドジェネレーション設計の全体像

要素決めることアウトプット例注意点
目的何をどこまで増やすか重点商材、目標商談数、優先業種抽象目標のまま走らない
ターゲット誰のどんな不安を解くか立場別の論点、購買プロセス属性だけで決めない
提供価値選ばれる理由の核コンセプトキーワード、要点整理特徴列挙で終わらない
コンテンツ伝える順番と量記事テーマ、資料、比較表作りすぎより設計優先
導線次の行動の設計CTA、回遊シナリオ押し売り導線にしない
計測何を成功とするか主要KPI、計測イベント後付け計測は破綻しやすい

この表は「施策を足すため」ではなく、「決める順番を守るため」のチェックリストです。特に、ターゲットと提供価値が曖昧なままコンテンツ制作に入ると、後からテーマを変えても整合が取れず、修正コストが増えます。

コンテンツとSEOの設計:検索意図からテーマを組み立てる

SEO=検索エンジン経由の流入を増やすための最適化です。検索意図とは、検索する人が「何を知りたい/解決したい」と考えている目的です。同じ商材でも、課題の理解、比較検討、社内稟議で必要な情報は変わります。まずは検索意図を購買プロセスに当てはめ、どの段階の不足を埋めるのかを決めます。

次に、ピラーページ=特定テーマを体系的にまとめた中心ページを置き、関連する個別記事で補強します。これにより、単発記事が点在する状態を避け、読者が迷わず理解を深められます。記事は「解説」「比較」「導入手順」「チェックリスト」のように役割を分け、最後に次の行動へつながる導線を置くと、SEO流入が商談に近づきます。

ここからは、検索意図を「段階」で扱い、ピラーとクラスターを運用に落とす観点を補足します。BtoB中心で検討期間が長い商材は、検索意図が段階ごとに変わります。ここを無視して記事を増やすと、読まれても商談に近づきにくくなります。

検索意図を「段階」で分ける

実務では、少なくとも次の4つに分けると設計が安定します。

  • 課題理解:問題の整理、原因、基本用語の理解
  • 解決策探索:手段の比較(例:内製か外部か、AとBの違い)
  • 導入検討:手順、体制、費用感、失敗しやすい点
  • 稟議・決裁:リスク、セキュリティ、投資回収の説明に必要な材料

同じテーマでも、課題理解層は全体像を求め、導入検討層は「運用が回るか」「誰が何をやるか」を求めます。段階別にコンテンツの役割を決めることが、後工程の導線設計とKPI設計につながります。

テーマ設計は「ピラー&クラスター」で組む

ピラーページ=特定テーマを体系的にまとめた中心ページ、クラスター記事=ピラーの補足として個別論点を深掘りする記事です。ピラーは全体像をまとめ、クラスターは必要な論点だけを深掘りします。これにより、読者の迷子を減らし、サイト内回遊も作れます。

BtoBでは、サービスページだけで勝ち切れないケースが多く、比較・導入・稟議に必要な論点が散らばりがちです。だからこそ、設計として「どこに何を書くか」を先に決め、後から記事を足す形が現実的です。

BtoBで効きやすいコンテンツの型

コンテンツは文章だけではありません。目的に応じて型を使い分けます。

  • 用語・全体像:初回接触での理解コストを下げる
  • 比較・選定:評価軸を提供し、検討を前進させる
  • 導入手順・体制:社内で動ける状態にする
  • チェックリスト:稟議資料に転用しやすい
  • FAQ:反対意見や不安の芽を先回りして解消する

E-E-A-T=経験・専門性・権威性・信頼性を重視して品質を判断する考え方です。BtoBほど「誰が言っているか」「根拠が何か」が問われるため、一般論だけでなく、自社の考え方・判断基準・支援範囲を明確にすると、指名検索や問い合わせにつながりやすくなります。

導線設計:CTAとページ役割を最適化する

導線設計とは、読者が次に取る行動が自然に決まるよう、ページ同士のつながりとCTAを配置する設計です。記事の出来が良くても、次の一歩が曖昧だと商談に近づきません。

ページ役割を先に決める

BtoBのWebでは、役割が違うページが混在します。代表例は次の通りです。

  • ハブ:ピラーやカテゴリ一覧(入口と案内)
  • 説明:サービスページ、支援範囲の整理
  • 信頼:会社情報、体制、プロセス、考え方
  • 判断:料金の考え方、比較ポイント、導入フロー
  • 証拠:事例、実績、よくある質問

「記事→サービスページ→問い合わせ」だけだと、検討段階の読者にとって材料が不足しがちです。判断ページやFAQに寄り道できる設計にすると、押しつけ感を抑えつつ前進を作れます。

CTAは“段階別”に2種類用意する

CVR=訪問者のうち成果行動した割合です。検討期間が長い商材では、いきなり問い合わせだけを求めるとCVRが伸びにくい傾向があります。そこで、CTAを2層にします。

  • マイクロコンバージョン=最終成果の前に起きる小さな行動。例:資料ダウンロード、メルマガ登録、セミナー申込
  • メインコンバージョン=最終成果となる行動。例:相談申込、問い合わせ、デモ依頼

記事の段階に合わせて、マイクロ→メインへ自然に移る導線を作ると、営業対応の質も上げやすくなります。

フォームは「安心」と「手間」のバランスで設計する

入力項目が多いほど離脱が起きやすい一方、項目が少なすぎると営業が初回対応で困ります。ここはマーケと営業で合意し、必要最小限の項目に絞ります。MQL=マーケ側で一定の条件を満たした見込み、SQL=営業が追う価値がある見込みです。定義を揃えると、フォーム項目やスコアリング設計が進みます。

成果・KPI設計:ファネル別に先行指標を置く

ファネル=認知から商談化までの段階を漏斗状に捉える考え方です。KPIを置くときは、遅行指標=結果として最後に現れる指標(例:受注)、先行指標=改善で動かしやすい途中指標(例:比較ページの閲覧)を分けて設計します。先行指標がないと、手を打っても効果検証が遅れます。

ファネル段階別KPIと施策の対応表

段階KPI例主な施策改善の観点
認知自然検索流入、指名検索ピラー作成、テーマ網羅検索意図との一致
学習回遊率、滞在、記事完読クラスター、内部リンク理解のしやすさ
比較比較/料金/FAQの閲覧比較軸提示、判断材料不安の先回り
行動資料DL、セミナー申込マイクロCTA設計次の一歩の明確さ
商談商談化率、受注率営業連携、追客設計リード定義の整合

KPIは多すぎると運用が止まります。経営者の判断用には「商談数・受注率・獲得単価」のような指標を置き、現場の改善用には表のように段階別KPIを置く、という二段構えが現実的です。

計測基盤とデータ連携:MA/CRM・アクセス解析の整備

アクセス解析=サイト上の行動データを収集・分析し、改善に活かす取り組みです。計測が曖昧だと、施策が増えるほど「何が効いたのか」が分からなくなります。

計測は「イベント」と「接点」を揃える

イベント=サイト上で計測したい行動(例:フォーム送信、資料DL、電話タップ)です。まずイベントを決め、次に流入元やキャンペーンを判別するためにUTM=URLに付与して流入元を識別するパラメータを統一します。これにより、記事・広告・メールなど複数接点の比較ができます。

MA/CRMは“運用”を前提に段階的に整備する

MA=メール配信や行動履歴の管理を自動化する仕組み、CRM=顧客情報と接点履歴を管理する仕組みです。重要なのは、ツール導入よりも「ステータス定義」と「引き渡し条件」です。たとえば、資料DL直後はマーケが育成し、特定ページ閲覧やセミナー参加で営業に渡す、と決めると、データ連携が活きます。

体制・運用フロー:内製/外注の役割分担と品質管理

デマンドジェネレーションは、制作物を増やすだけでは成果が安定しません。BtoBは検討期間が長く、営業の現場知とマーケティングの設計が噛み合わないと、良い記事でも商談に寄与しにくいからです。

役割分担はRACIで固定する

RACI=責任分担をR(実行責任)、A(最終責任)、C(相談先)、I(共有先)で整理する枠組みです。たとえば、Rを編集担当、Aを事業責任者、Cを営業責任者、IをWeb担当者に置くと、判断の拠り所が明確になり、レビューが迷子になりにくくなります。

編集フローは「企画→制作→公開→改善」を1セットにする

公開をゴールにせず、改善まで含めて1サイクルにします。具体的には、①検索意図と段階を確認して企画、②初稿で論点と根拠を揃える、③公開前に導線(CTAと内部リンク)を点検、④公開後に行動データで改善、の順です。「課題の言語化→打ち手の選定→体験設計」という流れで整理すると、社内の説明もしやすくなります。

品質管理は「表現」より先に「判断基準」を揃える

トンマナ=文章やデザインのトーンとマナー(統一ルール)です。トンマナ整備の前に、「誰のどんな不安を解消できたら成功か」「どのページで次の行動を促すか」を合意し、記事ごとの役割を固定します。テンプレートで似た見た目が作れる時代ほど、相手に合わせたストーリーの組み立てが差になります。

費用・投資判断:TCOと優先順位のつけ方

TCO=導入後の運用費も含めた総コストです。ROI=投資額に対してどれだけ利益が得られたかを示す指標も併せて見ます。初期費用だけで判断すると、更新が止まって成果が伸びない状態になりやすいので、「作る費用」と「回す費用」を分けて整理します。なお、LP=特定の目的に絞って作るページ(ランディングページ)、CMS=Webサイトのページや記事を管理・更新する仕組み、ABテスト=2案を同条件で出し分けて成果差で改善案を判断する検証方法です。

表C:費用カテゴリと変動要因(投資判断のための内訳整理)

費用カテゴリ内訳例変動要因削りすぎるリスク
戦略・設計目的整理、KPI設計、導線設計関係者数、合意形成の難度施策が散らばり改善できない
制作記事、資料、LP専門性、取材量、監修体制信頼性不足で比較に負ける
SEO/改善内部構造、表示速度、ABテスト既存サイトの負債、CMS制約流入はあっても行動が弱い
計測/運用アクセス解析、MA/CRM連携、レポートツール数、データ定義の複雑さ効果説明ができず継続しにくい

優先順位は「計測→導線→主要コンテンツ→拡張」の順が堅実です。計測が揃えば改善が回り、導線が整えば既存流入の価値が上がります。その上で、比較・導入・稟議に効くコンテンツから増やすと、短期と中長期のバランスが取りやすくなります。

リスクと失敗パターン:よくある詰まりポイントと回避策

失敗は、施策の良し悪しより「設計の抜け」で起きます。典型は、①リード数だけを追って営業が疲弊、②導線が弱く読まれるだけで終わる、③計測が曖昧で改善が止まる、④レビューが増えすぎて公開が遅れる、の4つです。回避策は、段階別KPIと引き渡し条件(MQL/SQL)を定義し、公開後の改善枠を最初から確保することです。

相談に向けて整理すべき情報チェックリスト

外部に相談する場合も、社内で進める場合も、次の情報が揃うほど意思決定が速くなります。

  • 重点商材と目標(売上・商談・優先業種)
  • 購買プロセスと関与者(決裁者/利用部門/推進者)
  • 現状の流入と問い合わせ導線(どこで止まっているか)
  • 既存コンテンツ資産(資料、導入事例、提案書)
  • 計測環境(アクセス解析、タグ、CRM/MAの有無)
  • 営業側の条件(対応可能なリード像、初回対応の型)
  • 制約(法務、セキュリティ、承認フロー、更新頻度)

まとめ

デマンドジェネレーション設計は、目的・ターゲット・提供価値を揃え、コンテンツとSEOを段階別に配置し、導線と計測で改善を回す取り組みです。体制とTCOを先に押さえるほど、検討期間が長いBtoBでも、商談までの前進を再現しやすくなります。

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