EFOのROI計算が必要になる場面と意思決定ポイント
施策が増えるほど「比較できる物差し」が要る
広告の配分、ランディングページの改修、営業体制の強化など、打ち手が増えるほど意思決定は難しくなります。EFO(入力フォーム最適化)は小さな改修に見えても、問い合わせ獲得が伸びると営業工数や受注計画にも影響が波及します。だからこそ「投資額に対して、どれだけ粗利が増える見込みか」を同じ尺度で比較できる状態が重要です。
ROIがあると決められること:投資上限と実行順
ROIがあると、投資上限(どこまで費用をかけるか)と実行順(フォームだけか、導線やLPも含めるか)を数字で整理できます。評価期間も決めやすくなり、施策の継続・停止の判断がブレにくくなります。
みやあじよが重視するのは「目的から逆算した問題解決」
みやあじよでは制作や改善を「問題解決」と捉え、成果は売上・問い合わせ・採用など、サイトに設定した目的で定義します。手段に固執せず目的達成に必要な打ち手を選ぶ、という考え方がベースです。また良いデザインは、見た目に加えて「言語化できていない魅力」を整理し、初見でストーリーが伝わる構成に落とし込む提案まで含みます。ROI計算は、その提案を費用と効果の言葉に翻訳し、意思決定で比較できる形に整えます。
ROIの定義とEFOに当てはめる考え方
EFOとCVRの関係を一文で押さえる
EFO(入力フォーム最適化)とは、入力の手間や不安といった摩擦を減らし、フォーム完了を増やすための改善です。CVR(コンバージョン率)とは、サイト訪問のうち成果に至った割合を指します。EFOは主にフォーム到達後のCVRを押し上げる施策として扱えます。
ROIは「利益」で計算する
ROI(投資収益率)とは、投資額に対して増えた利益の割合です。BtoBでは売上よりも粗利で見るほうが、値引きや原価変動の影響を受けにくく、投資判断が揺れにくくなります。ROI=(増分粗利−投資額)÷投資額で統一し、「問い合わせ増」だけで終えず、商談化率や受注率までつないで増分粗利を組み立てます。
回収期間は「いつ黒字化するか」を示す
回収期間とは、投資額を増分粗利で回収するまでの期間です。回収期間=投資額÷月次の増分粗利で置けるため、受注までの期間が長い場合ほど、ROIとセットで示すと社内説明が通りやすくなります。
EFOの効果は3段で出る
EFOの効果は、1)フォーム完了数、2)有効問い合わせ、3)商談・受注(粗利)の順で可視化すると整理しやすいです。件数だけ増えて質が落ちるリスクもあるため、量と質を同じ枠組みで扱う前提が必要です。
増分効果の切り出しの基本
改善前後を比べるときは、流入チャネルや広告費の大きな変動を避け、同条件に近づけて比較します。フォーム到達数と完了数を分けて見ると、流入増とEFO効果が混ざりにくくなります。
必要データ一覧と集め方(問い合わせ〜受注までのつなぎ方)
データは「アクセス解析」「フォーム」「営業管理」の3か所に分かれる
ROI計算に必要なデータは、アクセス解析(行動)、フォーム(離脱・完了)、営業管理(商談・受注・粗利)に分かれます。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)は、商談の進捗と顧客情報を一元管理する仕組みです。フォーム完了をゴールにせず、受注までを一本の線で結び、段階ごとの率で説明できる状態を作ります。
計測設計の最小セット:イベントと紐づけ
イベントとは、送信完了やエラー発生などの行動を計測する単位です。少なくとも「フォーム到達」「送信完了」「エラー」を揃え、問い合わせ番号などで営業管理と紐づく設計にすると、改善効果を粗利まで追いやすくなります。
ROI試算に必要な入力データ一覧
| データ項目 | 取得元 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| フォーム到達数 | アクセス解析 | 例:月1,000 | 流入施策で変動しやすい |
| フォーム完了数 | フォーム/計測 | 例:月50 | 重複・スパム除外を固定 |
| フォーム完了率 | 到達/完了 | 例:5% | 到達の定義を固定する |
| エラー発生率 | フォーム | 例:20% | 項目別に分解して改善 |
| 有効問い合わせ率 | 営業管理 | 例:60% | 無効理由の分類とセット |
| 商談化率 | 営業管理 | 例:40% | 商談の定義を揃える |
| 受注率 | 営業管理 | 例:25% | 評価期間(リードタイム)に注意 |
| 平均粗利 | 会計/営業 | 例:30万円 | 売上ではなく粗利で統一 |
| 社内運用工数 | 工数見積 | 例:月5時間 | 時給換算ルールを決める |
データが欠ける場合は「レンジ」で置く
理想は全データが揃った状態ですが、現実には「有効問い合わせ率は分かるが粗利が案件ごとに違う」「受注率は部署で集計していない」といった欠け方が起きます。その場合は、直近の実績から保守的な値を置く、粗利は代表的な商品の平均で置く、受注まで追えない期間は回収期間を長めに置く、など前提を文章で固定します。シナリオを1本に決め打ちせず、保守・標準の2パターンで並べると投資判断がしやすくなります。試算表は一度作って終わりではなく、改善後に実測値で更新し、次の改善サイクルの投資判断に使い回せる形にしておくと効率的です。更新頻度は月次を目安にします。
ここまで揃うと、次のパートで「CVR改善→商談→粗利」の順に効果を見積もり、費用と合わせてROIと回収期間を試算できます
効果の見積もり手順(コンバージョン率→商談→粗利)
まず「どこが詰まっているか」を分解して特定する
ファネルとは、ユーザーが成果に至るまでの段階構造を指します。EFOの効果見積もりでは、流入→フォーム到達→入力開始→送信完了→有効問い合わせ→商談→受注、のように段階を並べ、どこで落ちているかを率で把握します。フォーム完了率だけを見ると、流入の増減や商材の変更が混ざり、改善の効果が読みにくくなるためです。
増分粗利の基本式を先に置く
EFOのROI計算で使う増分粗利は、次の掛け算で組み立てるのが実務的です。
増分粗利=(増分フォーム完了数)×(有効問い合わせ率)×(商談化率)×(受注率)×(平均粗利)
ここで有効問い合わせとは、営業が追う価値がある内容として扱える問い合わせを指します。フォーム完了が増えても有効率が下がると、営業工数だけ増え、結果として粗利が伸びないことがあるため「量と質」を同じ式に入れておきます。
まずは増分フォーム完了数を、分母固定で見積もる
増分フォーム完了数は、フォーム到達数×(改善後の完了率−改善前の完了率)で置けます。分母を流入数ではなく「フォーム到達数」に寄せると、広告増減の影響を受けにくくなります。加えて、スマートフォンとPCで完了率が違うことが多いため、デバイス別に分けて見積もると過大評価を避けやすくなります。
改善幅は「実測できる指標」から保守的に置く
見積もりでやりがちなのは、フォーム完了率の改善幅を大きく置きすぎることです。最初は、現状データから説明できる範囲(例:特定項目のエラー率が高い、入力補助がない、確認画面が長い)を根拠にし、改善幅は控えめに置きます。根拠は、アクセス解析やフォームの入力ログから得られる、項目別の離脱・エラーといった観測値です。
受注まで追えない場合の代替:中間指標で幅を作る
リードタイムとは、問い合わせから受注までにかかる期間を指します。リードタイムが長い場合、短期では「商談化率」までしか実測できないことがあります。その場合は、MQL=一定条件を満たした見込み客、SQL=営業が商談対象として認定した見込み客、のように中間の段階を定義し、段階ごとの率で幅(上限・下限)を作ります。幅を作る目的は、数字を当てにいくことではなく、投資判断で必要な前提を明確にすることです。
CRO全体の中でEFOを位置づける
CROとは、コンバージョン率最適化を指します。EFOはCROの一部であり、LP(ランディングページ)=流入の受け皿として訴求を集約したページ、の訴求や導線が弱い状態だと、フォームだけ改善しても上限が出やすいです。逆に、LPの訴求が刺さっているのにフォームで落ちている場合は、EFOの投資効率が高くなりやすいという整理ができます。
費用の見積もり手順(制作・ツール・運用・改善工数)
投資額は「初期+運用+社内工数」で揃える
投資額には、初期の設計・実装・テストに加えて、運用(月額)と社内工数も含めます。社内工数は、担当者の稼働時間を時給換算して投資額に入れると、施策の比較がしやすくなります。時給換算が難しい場合でも、工数(時間)だけでも出しておくと、意思決定の材料になります。
EFOで発生しやすい費用ポイント
フォームは単体で完結せず、メール配信、顧客管理、営業管理などと連携することが多いです。連携があるほど、仕様確認・テスト・セキュリティレビューのコストが増えます。セキュリティレビューとは、情報漏えいなどのリスクがないかを仕様・実装から確認する工程です。また、入力補助やエラー文言、確認画面の設計は、画面作りだけでなく文章・要件の詰めが必要で、見落とすと手戻りが起きます。
費用の内訳と見積もりの置き方
| 費用カテゴリ | 主な内容 | 見積単位 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|---|
| 設計 | 要件整理、計測設計、項目設計 | 初期一式 | 営業要件・必須項目の調整 |
| 実装 | 画面実装、入力補助、エラー制御 | 初期一式 | 既存フォームの改修制約 |
| 連携 | メール、CRM/SFA連携 | 初期一式 | 項目追加で連携先も改修 |
| テスト | 端末/ブラウザ、例外パターン | 初期一式 | 入力ミス・通信断などの検証 |
| ツール | EFO支援ツール、解析 | 月額 | 計測イベントの追加費用 |
| 運用 | レポート、改善提案、A/Bテスト | 月額 | 勝ちパターンの横展開工数 |
| 社内工数 | レビュー、営業連携、会議 | 月次(時間) | 施策が進むほど増える |
A/Bテストとは、2つの案を同時に出して差を比べる検証方法です。フォームは「1項目減らす」「必須を任意にする」「入力補助を入れる」といった変更が複数重なると効果の因果が見えにくくなるため、検証の単位を切る運用コストも見積もりに入れます。
見積もり時点で決めるべき「範囲」を文章で固定する
同じEFOでも、フォーム画面の改善だけなのか、入力項目の棚卸しまで行うのか、LPや導線の改善まで含めるのかで費用も効果も変わります。範囲が曖昧なまま進めると、後から「そこまで含まれると思っていた」が起きやすいため、対象ページ、対象フォーム、対象の流入経路、評価期間を文章で固定しておきます。
ROIと回収期間の試算例(BtoBでの置き方を中心に)
仮の数値で、式がどう繋がるかを確認する
例として、月間のフォーム到達1,000、完了50、有効問い合わせ率60%、商談化率40%、受注率25%、平均粗利30万円と置きます。EFOで完了数が月10件増える見込みなら、増分粗利は10×0.6×0.4×0.25×30万円=18万円/月です。投資額が初期60万円、運用が月10万円なら、回収の考え方は「初期60万円を月次の増分粗利で割る」と約3.3か月が目安になります(運用費は月次で差し引きます)。
BtoBは「受注の遅れ」を前提に、評価期間を設計する
受注が平均で2〜3か月後に発生するなら、改善の翌月に粗利が増えないのは自然です。そこで、短期はフォーム完了・有効問い合わせ、長期は商談・受注、と段階を分けて追い、回収期間の見立てを更新します。最初から完璧なROIを当てにいくより、計測と更新ができる枠組みを作るほうが、意思決定の精度が上がります。
数字を作る目的は、手段に固執せず目的達成に必要な打ち手の範囲を決めるためであり、その判断材料としてROIと回収期間を使います。
投資判断で見落としやすいリスクと対策 品質・計測・運用
ROI・回収期間の計算式と意思決定の読み方
| 指標 | 計算式 | 意味 | 判断のヒント |
|---|---|---|---|
| 増分粗利 | 増分完了×有効率×商談化率×受注率×平均粗利 | EFOで増えた利益の見立て | 段階ごとに根拠がある値だけを入れる |
| ROI | (増分粗利−投資額)÷投資額 | 投資効率の比較軸 | 保守・標準の2シナリオで幅を持たせる |
| 回収期間 | 投資額÷月次の増分粗利 | 黒字化までの目安 | リードタイムが長い業態は長めに置く |
| 許容コスト | 月次増分粗利×許容回収月数 | 投資上限の目安 | 経営が許容する回収月数を先に決める |
問い合わせの「数」だけ増えて「質」が落ちる
スパム=自動投稿などの無効な問い合わせ、を含んだまま完了数だけ追うと、営業の確認工数が増えて逆効果になることがあります。対策は、無効理由を分類し、有効問い合わせ率をKPIに入れることです。入力項目は増やし過ぎると離脱の原因になるため、営業に必要な最低限の情報に絞りつつ、選択式の項目や入力例で負担を下げます。
計測が途切れると、改善が評価されない
フォームの送信完了が計測できても、営業管理側で商談・受注に紐づかなければ、ROIは更新できません。対策は、問い合わせIDや流入情報の受け渡しを設計し、誰がどのタイミングで記録するかを決めることです。アクセス解析でのイベント定義と、営業側のステータス定義がズレると数字が合わないため、定義表を作って共通言語にします。
運用が止まると、改善が一回で終わる
EFOは小さな変更を積み重ねて成果を伸ばす施策ですが、担当者が忙しいと「レポートを見るだけ」で終わりがちです。対策は、月次で見る指標を固定し、次の一手を決める場を短時間で回すことです。みやあじよが大事にしている「目的から逆算して、やることとやらないことを決める」という考え方で、検証の優先順位を整理すると継続しやすくなります。
推進体制と進め方 社内役割と外部支援の使い分け
役割の基本形は「意思決定・実行・検証」を分ける
マーケ責任者は目的と投資判断、Web担当者は実装と日次運用、営業責任者は有効条件と商談定義、というように役割を分けると進みやすくなります。判断が停滞する原因は、誰が決めるのかが曖昧なことが多いため、責任範囲を文章で固定します。
進め方は5ステップで回す
- 現状把握:到達・完了・エラーの分解と、無効理由の把握
- 目的設定:増やしたいのは問い合わせ数か、商談数か、粗利かを明確化
- 仮説設計:ボトルネック=成果を伸ばす上で一番詰まっているポイント、を特定し、改善案を小さく切る
- 実装とテスト:連携・端末・例外の確認を含めて品質を担保
- 検証と更新:実測値でROIを更新し、次の改善に予算を振る
外部支援を使う場合は、LP制作、CRO、EFO、アクセス解析、改善提案を一連で見られる体制だと、施策が分断されにくくなります。良いデザインは見た目だけでなく、価値の言語化とストーリー設計まで含めて提案する、という考え方で、フォーム改善も「何を伝え、何を入力してもらうか」から整えます。
外部に任せるときの確認ポイント
・成果指標と評価期間が合意されているか
・計測設計とタグ(計測のために設置するコード)実装の範囲が明確か
・改修の履歴と学びがドキュメント化されるか
・セキュリティ要件と個人情報の扱いが整理されているか
相談前に準備するチェックリスト 判断材料の揃え方
・対象フォームのURLと、連携先(メール、CRM/SFAなど)の一覧
・直近3か月程度のフォーム到達数と完了数(分かる範囲で)
・無効問い合わせの代表例と、営業が追う条件
・商談化率、受注率、平均粗利(幅でも可)
・社内の対応可能範囲(実装、レビュー、運用の工数)
・評価したい期間(短期は有効問い合わせ、長期は受注など段階で)
・改善の制約(フォームツール、CMS、承認フロー、法務確認)
このチェックリストが揃うほど、初期の試算が現実に寄り、投資判断がしやすくなります。
まとめ
EFOのROI計算は、フォーム完了の増分を起点に、有効問い合わせ・商談・受注・粗利へつなげて増分粗利を組み立て、投資額と並べて比較することが要点です。最初から数値を当てにいくより、計測のつなぎ込みと定義の統一で「更新できる試算表」を作るほうが、経営判断に耐える材料になります。
LPの訴求、導線、フォームの摩擦は連動するため、フォームだけで頭打ちになる場合はCRO全体として改善範囲を見直すのが合理的です。みやあじよでは、目的を起点に問題を分解し、必要な打ち手を設計して制作・改善までつなげます。
LP制作やCRO/EFO、アクセス解析、改善提案まで含めて、試算から実行までの整理が必要な場合は、社内の意思決定材料を揃えるところから支援できます。