LP改善で成果を伸ばすABテストの進め方

2025.02.10

ABテストで解決できる課題と、向くケース・向かないケース

ABテスト(ABテスト=複数案を同時に出し、成果指標の差が偶然かどうかを検証して採用案を決める方法)は、「当てずっぽうの改善」を減らし、意思決定の根拠を作るための手段です。特に、リード獲得ではLPやフォームのボトルネックを特定し、改善を積み上げていく運用に向きます。

ABテストが効きやすい領域

成果の改善幅が出やすいのは、ユーザーの迷いを減らす変更です。たとえば、ファーストビューの見出し、ベネフィットの順序、信頼材料、CTAの文言・配置などは、短い工数で検証しやすい代表例です。
また、入力フォームの使いやすさを改善し離脱を減らす取り組みは「入力が面倒」「不安で送れない」といった摩擦を減らせるため、成果に直結しやすい領域です。

向かない・やめたほうがいいケース

ABテストは万能ではありません。月間の流入が少なく、短期間で十分なサンプルサイズ(サンプルサイズ=結論を出すために必要な母数の目安)が確保できない場合、結果がブレやすく判断が遅れます。
また、計測定義が曖昧な状態(例:同じ「問い合わせ」でも到達ページが複数ある、重複計測がある)で走らせると、勝っているように見えて実態は違う、という事故が起きがちです。プロダクトや価格、営業導線など「価値の中身」が変わるタイミングでのテストも、差の原因が混ざりやすいので注意が必要です。

まず整えるべき前提条件

ABテストを始める前に、最低限そろえたい前提は3つです。
1つ目は「成果の定義」。CV(CV=問い合わせや資料請求など事業上の成果)を何にするか、計測地点をどこに置くかを固定します。
2つ目は「流入の条件」。広告出稿量やターゲットが大きく変わると比較が難しくなるため、テスト期間は極端な変更を避けます。
3つ目は「意思決定のルール」。有意差(有意差=偶然では説明しにくい差のこと)が出たら採用、出ない場合は延長か打ち切りか、など判断基準を先に決めておくと、社内合意が早くなります。

進め方の全体像:目的設定から改善反映までの流れ

CRO(CRO=Web上の行動を改善して成果を増やす最適化)としてABテストを機能させるには、「作る→当てる」ではなく「学ぶ→積み上げる」の流れにします。
良いデザインは“初見で伝わるストーリー”を俯瞰し、クライアントが言語化できていない魅力を整理して提案に落とすことも含む、という考え方です

QA(QA=表示や計測の品質確認)を工程に入れると、計測ミスの手戻りを減らせます。

目的設定:事業KPIから逆算する

まず経営側が押さえるべきは、テストの目的が「CVR(CVR=訪問者のうち成果に至った割合)を上げる」だけに閉じないことです。BtoBでは、問い合わせ数が増えても商談化しなければ売上に効きません。可能であれば、広告→LP→CV→商談→受注の流れのうち、どこを改善するのかを定義します。
この段階で決めるべき成果物は、KPIツリー(KPIツリー=目標を分解した指標の因果図)と、テストで守るべき制約(ブランド表現、法務、営業運用など)です。

運用の設計:学習を資産にする

次に、改善サイクルが止まらない形を作ります。具体的には、仮説→施策案→テスト結果→学び→次の仮説、を「ログ」として残します。ログがないと、担当交代や外注切り替えのたびに同じ失敗を繰り返します。
月1回の定例で、結果の共有だけでなく「次に何を学びたいか」まで決めると、ABテストが“イベント”ではなく“仕組み”になります。

フェーズ主担当成果物注意点
目的・KPI定義事業/マーケ目的・KPI・制約商談まで整合
現状分析Web/解析課題仮説計測欠損を修正
仮説・施策案マーケ/デザイン仮説文・案対象と理由を明確に
テスト設計マーケ/解析指標・期間・判定終了条件を先に
実装・計測デザイン/開発変更案・QA項目表示とタグ確認
分析・反映解析/マーケ結果・学び・反映外部要因も記録

仮説の作り方:データ起点で「変える理由」を作る

ABテストで最も差が付くのは、テスト設計より前の「仮説の質」です。仮説が弱いと、どれだけ丁寧に検証しても学びが残りません。

データの見方:どこで止まっているかを特定する

基本は導線を分解します。たとえば、広告クリック→LP到達→主要セクション閲覧→CTAクリック→フォーム到達→送信完了、のようにファネル(ファネル=段階別の通過率で課題を特定する考え方)で見ると、改善対象が絞れます。
フォームで離脱が多いならEFO、CTAクリックが少ないなら価値訴求や証拠、スクロールが浅いなら構成や冒頭メッセージ、といった具合に「打ち手の方向」が定まります。

仮説の型:誰の不安・期待が、どの理由で変わるか

使いやすい仮説文の型は、「対象ユーザー」「現状の障害」「変更」「期待する変化」を1文にまとめることです。
例:『比較検討中の担当者は、導入後のイメージが持てず不安なので、活用シーンと運用フローを先に提示すれば、CTAクリックが増える』。
この形にすると、デザインの好みではなく、行動変化の因果で議論できます。

LPとフォームで効きやすい仮説の典型

LPでは、①何が得られるか(ベネフィット)、②なぜ信じてよいか(根拠・信頼)、③次に何をすればよいか(行動の明確さ)の3点が弱いと離脱しやすい傾向があります。フォームでは、入力項目の多さ、必須の厳しさ、エラー表示の分かりにくさ、個人情報への不安が障害になりがちです。
重要なのは「思いつきの変更」を避け、観察された事実(数値・録画・ヒートマップ(ヒートマップ=閲覧やクリックの分布を可視化する手法)等)から、障害の仮説を立ててから案を作る順番です。
ここまでで作るべきは、仮説文と施策案をセットにしたバックログ(バックログ=実行候補を優先度付きで並べた一覧)です。バックログがあれば、担当交代があっても改善が継続し、外部パートナーに依頼する場合も前提共有が速くなります。

優先順位付け:インパクト×工数×リスクで決める

ABテストが止まりやすい原因の多くは「何から手を付けるか」が毎回ぶれることです。意思決定者が押さえるべきは、施策を“思いつき順”にせず、同じ物差しで並べ替えることです。ここではインパクト(成果への影響度)×工数(実装・制作の負荷)×リスク(不確実性や毀損リスク)で整理します。

施策の評価軸を固定する

  • インパクト:改善対象がボトルネックに近いほど高く見積もる(例:フォーム送信直前の離脱)
  • 工数:デザインだけで済むか、開発や計測改修が必要かで段階を分ける
  • リスク:結論が出にくい、ブランドや法務に触れる、計測が壊れやすいものは高く見積もる

この3軸を先に決めると、会議が「好み」から「事業判断」に寄ります。加えて、変数(変数=結果に影響しうる変更点)は増やしすぎない方が学びが残ります。初期は1テスト1変数を基本にし、複数要素を変える場合は“ひとまとまりの仮説”として扱います。

施策案期待インパクト実装工数優先度
ファーストビューの訴求を再整理A
CTA文言を具体化(例:資料の中身を明示)A
信頼材料(実績・体制・プロセス)をCTA近くへ配置A
フォーム項目の削減・任意化A
入力エラー表示と補助文の改善B
導入事例コンテンツの追加C

優先度はA/B/Cのような粗い区分で十分です。重要なのは、優先度が上位の施策ほど「仮説の根拠(観察された事実)」を強め、着手前に計測の成立条件を点検することです。

テスト設計:指標、セグメント、期間、サンプルサイズの考え方

設計で最初に決めるのは主指標です。主指標(主指標=テストの勝敗を決める最重要指標)を複数にすると結論が割れやすいため、原則は1つに絞ります。BtoBのLP改善では「フォーム送信完了のCVR」を主指標にし、補助指標で原因を読み解く運用が扱いやすいです。

指標は「勝敗」と「安全」を分ける

  • 主指標:問い合わせ・資料請求などのCVR
  • 補助指標:CTAクリック率、フォーム到達率、フォーム離脱率
  • ガードレール指標(ガードレール指標=改悪を早期に検知するための安全指標):不自然な離脱増、重複計測の増加、エラー率の増加

主指標が伸びても、リードの質が落ちると事業成果と乖離します。可能ならMQL(MQL=一定条件を満たした有望リード)や商談化率も後追いで確認できるよう、CRM(CRM=顧客情報を一元管理する仕組み)側の定義も揃えます。

セグメントは「見る」だけに留める

セグメント(セグメント=条件で分けたユーザー集団)を切りすぎると母数が割れて結論が出にくくなります。基本は全体で勝敗を判定し、デバイスや流入経路などは“解釈の補助”として使います。例外は、PC中心の商材など明確にユーザー行動が異なる場合で、そのときは最初から対象セグメントを固定して設計します。

期間とサンプルサイズは「基準」を先に置く

期間は、曜日や営業日の偏りが結果に混ざらないよう、同じ周期をまたぐように取ります。サンプルサイズは、現状CVRと「最低検出可能差(最低検出可能差=検知したい最小の改善幅)」を置くと見積もれます。加えて検出力(検出力=差があるときに差を見つける確率)も決め、一般的には統計計算ツールで必要母数を算出します。ここでのポイントは、事業上意味のある改善幅を先に合意し、それ以下の小さな差に振り回されないことです。

実装と計測:ランディングページ/フォーム改善での実務ポイント

ABテストは「実装の早さ」より「同条件で比べられること」が重要です。特にLPでは表示崩れ、フォームでは計測欠損が起きやすいので、実装と計測をセットで管理します。

実装方式は、運用の継続性で決める

  • クライアントサイド(クライアントサイド=閲覧者のブラウザ側で表示を切り替える方式):導入が速いが表示の揺れに注意
  • サーバーサイド(サーバーサイド=サーバー側で出し分ける方式):表示が安定するが開発工数が増えやすい
  • CMS組み込み:運用に乗ると速いが、設計と権限整理が必要

初期は小さく始め、勝ちパターンが見えたら安定する方式に寄せると、運用負荷が上がりにくいです。

計測で起きがちな落とし穴

  • CVの二重計測(例:完了ページの再読み込みで重複)
  • フォーム途中のイベント欠落(到達・入力開始・エラー発生が取れていない)
  • 広告側と解析側でCV定義が不一致(同じ成果でも集計がズレる)

対策は、テスト前のQAリスト化です。表示の差分、リンク先、フォーム送信、イベント発火、計測値の一致を“手順として”点検します。ここが弱いと、分析の精度以前に判断材料が崩れます。

フォーム改善での実装ポイント

EFOでは「入力の負担」と「不安」を減らすのが基本です。項目の削減・任意化、入力例の提示、エラー文言の具体化、プライバシー表記(プライバシー表記=個人情報の扱いを明示する記載)を要所に置くなど、行動を止める要因を1つずつ外します。

分析と意思決定:結果の読み方と、次アクションの決め方

分析は「勝った・負けた」だけで終えると、改善が積み上がりません。意思決定者が見るべきは、差の大きさと再現性、そして次の仮説に繋がる学びです。

まずはデータ品質を点検する

配信比率が想定通りか、期間中に大きな外部要因(広告の急増、訴求軸の変更、計測改修)が入っていないかを確認し、解釈に反映します。ここを飛ばすと、偶然や計測不備を“成功”と誤認しやすくなります。

意思決定の型を持つ

  • 採用:主指標が改善し、補助指標も整合する
  • 反映保留:差はあるが外部要因が強い、期間が短い
  • 否決:主指標が悪化、またはガードレール指標が悪化
  • 学びとして保存:差が小さくても、どの要素が効かなかったかを仮説に戻す

否決のときほど価値があります。「どの不安は解消できなかったか」を言語化すると、次の施策精度が上がります。

効果の見立て:短期成果と中長期の学習をどう両立するか

BtoBは受注までのリードタイム(リードタイム=成果に至るまでの時間)が長く、短期のCVR改善だけでは判断が難しい場面があります。そのため、短期はCVRやCPA(CPA=1件の成果獲得にかかった広告費)で見る一方、中長期は商談化率や受注率を追い、短期指標の改善が事業に繋がっているかを検証します。

運用としては、短期で回せる「摩擦の除去(CTA・フォーム)」と、中長期で効く「価値理解の促進(訴求・信頼材料)」を並走させると、改善が途切れにくいです。学びをログ化しておけば、勝ちパターンを別LPやホワイトペーパー訴求にも横展開でき、単発の改善で終わりません。

費用と投資判断:内製・外注・ツール費の考え方と意思決定材料

ABテストの費用は「テストを回した回数」より、周辺の運用設計で差が出ます。判断を早めるには、費用を工程で分解し、どこに投資すると成果と学習が最大化するかを見える化します。

費用を分解して考える

  • 設計:目的・KPI整理、仮説立案、テスト設計(指標・期間・判定ルール)
  • 制作・実装:LP改修、フォーム改修、出し分け設定
  • 計測・QA:タグ、イベント、重複計測の点検、表示確認
  • 分析・改善提案:結果整理、勝因・敗因の言語化、次のバックログ化
  • 継続運用:定例、記録、横展開

投資判断は「増分の事業価値」で見る

BtoBではCVの増加がそのまま売上に直結しないため、増分CV→商談化→受注までの見立てで判断します。たとえば「増分CV×商談化率×受注率×平均粗利」のように、社内で合意している前提を置いて概算すると、やるべきテストと見送るべきテストの線引きが明確になります。

選択肢向く条件費用の考え方主なリスク
内製制作・計測・分析が社内で回る人件費中心。改善回転が速い属人化、判断の偏り
外注人手不足、専門性が不足制作費+運用費。成果物が明確前提共有不足で手戻り
併用意思決定は社内、実務は外部コアは内製、実装と解析を補完役割が曖昧だと停滞

体制設計:役割分担、会議体、外部パートナーの使い分け

継続して成果を積み上げるには、役割と意思決定権限を先に固定します。特に勝敗の決定者と次アクションの決め方を曖昧にすると、結果が出ても反映が遅れます。

最低限の役割

  • 事業責任者:目的・KPIの最終決定、優先度の承認
  • マーケ責任者:仮説と施策バックログ、配信条件の管理
  • Web担当:計測設計、QA、運用の記録
  • 制作(デザイン/開発):改修案の制作と実装
  • 営業責任者:リードの質のフィードバック、商談化の定義整理

外部パートナーを使う場合は、施策案だけでなく「計測と判断ルール」まで含めて一気通貫で設計できるかが重要です。

リスク管理:誤判定・計測不備・同時施策の衝突を避ける

ABテストの失敗は、施策の良し悪しより運用事故で起きます。代表的なリスクと対策を標準手順にしておくと、担当変更や案件増加でも品質が落ちにくくなります。

よくあるリスクと対策

  • 早期終了:終了条件(期間・母数・判定)を事前に固定する
  • 計測不備:テスト前QAでタグとイベントを点検し、ログを残す
  • 同時施策の干渉:テストカレンダーで対象ページと変更点を管理する
  • 外部要因:広告配信量・訴求変更・価格改定などの発生を記録し解釈に反映する
  • リード品質の低下:主指標に加えて商談化率などを後追いで監視する

相談・依頼の進め方:依頼前に揃える情報と提案の見極めポイント

LP制作やCRO/EFOを外部へ依頼する場合、依頼前の整理が揃うほど立ち上がりが速く、手戻りが減ります。みやあじよでは、LP制作、CRO、EFO、アクセス解析、改善提案を、目的設定から運用までつなげて支援しています。

依頼前に用意しておく情報

  • 目的(問い合わせ増、商談化改善など)とKPI
  • 現状の数値(流入、CVR、フォーム離脱など)と計測方法
  • 対象LP/フォームのURL、入力項目、制約(法務・ブランド・運用)
  • 広告や流入チャネルの状況、配信の変更予定
  • 営業側の定義(有効リード、商談化)とフィードバック方法

提案の見極めポイント

  • 仮説の根拠がデータや観察事実に基づいている
  • 計測設計とQA、判断ルールが具体的に書かれている
  • 結果レポートが「次の施策」に繋がる形で設計されている

まとめ

ABテストの進め方は、手順そのものより「目的と判断基準」「計測品質」「学びの蓄積」で差が出ます。LPとフォームは成果への距離が近く、CRO/EFOの対象として優先順位を付けやすい領域です。目的設定からアクセス解析、改善提案まで一気通貫で設計すると、テストが単発で終わらず、問い合わせ・商談化の伸びを再現しやすくなります。

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