ローカルSEOでの多店舗戦略

2025.02.03

ローカルSEO=「地域名×業種」などの検索で、各店舗が検索結果や地図で見つかりやすい状態を作る最適化です。多店舗になるほど、個別のテクニックよりも「全店で再現できる運用設計」が成果を左右します。なぜなら、評価の土台になる店舗情報・写真・口コミ対応が、店舗ごとにばらつくと改善の努力が分散してしまうからです。

本記事では、GBP=Googleビジネスプロフィール(Google検索・Googleマップに表示される店舗情報の管理画面)を中心に、MEO=地図検索での表示最適化、店舗サイト改善、口コミ施策を「本部設計×店舗運用」の観点で整理します。CV=コンバージョン(予約・電話・来店など、事業の目的となる行動)を増やすための話として読み進めてください。みやあじよではデザインを「問題解決」と捉え、表現や手法よりも目的達成に必要な設計を優先します。

多店舗でローカルSEOが伸びにくい理由

伸びない原因は「施策不足」より「ばらつき」

1店舗なら担当者の勘と努力で伸びることがあります。しかし多店舗では、店長交代・繁忙期・人員不足などで運用が揺れやすく、店舗ごとに品質が散ります。結果として、同じ施策をしているつもりでも「やれている店」と「止まっている店」が混在し、全体最適ができません。

多店舗でよく起きる症状は次の通りです。

  • 営業時間やサービス情報の更新が遅れ、来店前の不安が増える
  • 口コミ返信が属人化し、クレーム対応のリスクが高まる
  • 店舗ページ(各店の紹介ページ)の情報が薄く、比較検討で負ける

店舗情報の揺れが評価を分散させる

NAP=Name/Address/Phone(店舗名・住所・電話番号の表記)に揺れがあると、別店舗として扱われたり、外部サイトの情報と突合できなかったりして、評価が集まりにくくなります。特に多店舗は変更が起きやすいため、情報の統制が成否を分けます。

そこで重要になるのが、台帳=店舗情報を一元管理する一覧を作り、変更時の手順を決めておくことです。最初にここを作ると、後からの修正工数と事故が減ります。

現場運用が回らない設計だと継続しない

写真追加や投稿、口コミ返信は「やれば効く」一方で、現場の負担が増えると続きません。みやあじよが大切にするのは、初見で意図が伝わる構成とストーリーの設計で、誰が見ても迷わず運用できる状態を作ることです。

つまり多店舗のローカルSEOは、個別施策の優劣より「運用が続く仕組み」を作れるかが勝負になります。内部リンク=同一サイト内のページ同士をつなぐリンクです。構造化データ=検索エンジンに「住所や営業時間などの意味」を伝えるための決まった書式です。エスカレーション=判断が必要な案件を上位(本部)に引き上げることです。

施策領域主な作業期待できる影響優先度
情報統制(NAP/権限)表記統一、重複整理、権限管理、変更フロー整備評価の分散防止、表示事故の低減
GBP整備カテゴリ・営業時間・サービス・導線リンク・写真の整備表示機会の改善、来店前の不安解消
口コミ運用依頼導線、返信テンプレート、エスカレーション信頼獲得、意思決定の後押し
店舗ページ改善店舗固有情報、内部リンク、構造化データ指名・非指名の両面を補強

多店舗戦略の全体設計:本部方針と店舗運用の分け方

本部が決めるべき3つの標準

多店舗のローカルSEOは、現場の頑張りを前提にしない設計が重要です。本部は少なくとも次を標準化します。

  • データ標準:店名表記、住所表記、電話、営業時間、カテゴリ、提供サービス
  • クリエイティブ標準:写真の撮り方、投稿テンプレート、NG表現(誇大・誤認につながる表現など)
  • 対応標準:口コミ返信のトーン、エスカレーション条件、改ざん・なりすまし時の対応手順

クリエイティブ=写真や文章などの制作物です。ここが決まらないと、店舗が善意で更新しても品質が揃いません。

店舗が担うべき日次・週次の運用

店舗側の役割は「現場にしかない情報」を反映することです。例として、臨時休業・混雑状況・季節メニュー・スタッフ紹介など。店舗が入力しやすいように、入力項目を絞り、承認フロー=更新内容を確認して反映する手順を用意すると品質が安定します(例:店舗入力→本部チェック→反映)。

進め方は段階導入が安全

全店同時に始めると、情報の整備不足や権限トラブルが表面化しやすいです。まずは数店舗で型を作り、チェックリストとテンプレートを固めてから展開すると、手戻りと現場負担を抑えられます。監査=定期的に状態を点検することを、月次などで回せる設計にしておくと「気づいたら情報が古い」を防げます。

GBP運用の標準化:情報整備・更新・品質管理

まず整えるべき基本情報

GBPの基本情報は、来店前の意思決定に直結します。優先度が高いのは、カテゴリ、営業時間(祝日・臨時営業を含む)、提供サービス、予約/電話/導線リンク、属性情報です。ガイドライン=プラットフォームが定める運用ルールを守りつつ、ユーザーが迷わない情報設計にします。

写真・投稿の品質を揃える

写真は「清潔感」「提供価値」「店内導線」を伝える役割があります。多店舗では撮影のばらつきが起きるため、最低限の撮影カット(外観・入口・内観・メニュー/施術スペース・スタッフ)と、撮影ルール(明るさ、文字入れの可否、個人情報の扱い)を決めます。投稿は、キャンペーンだけでなく、初来店の不安を減らす内容(流れ、料金の考え方、よくある質問)を織り交ぜると全店で再現しやすくなります。

口コミ対応をルール化する

口コミは量だけでなく、返信の質が信頼に影響します。返信は感謝→事実確認→改善(または案内)→再来店の導線、の型にするとぶれにくいです。低評価時は、店舗で抱え込まず本部が状況整理と表現チェックを行うルールを作ると、二次被害を減らせます。

店舗サイト改善:店舗ページの型と内部整備

店舗ページは「比較検討の決め手」を先に置く

多店舗のローカルSEOでは、GBPだけ整えても限界があります。検索や地図で興味を持った人が最終的に判断するのは「公式サイトの店舗ページ」であることが多いからです。店舗ページは、店名や住所を載せるだけの名刺ではなく、「この店を選んで大丈夫」と腹落ちさせるための意思決定資料にします。

多店舗で効く店舗ページのテンプレ要素

テンプレ=共通の型、のことです。各店舗ページに最低限そろえる要素を固定し、更新の属人化を防ぎます。

  • 来店の判断材料:提供メニュー/施術/サービスの範囲、料金の考え方、所要時間、予約方法
  • 安心材料:初回の流れ、よくある不安への回答、スタッフ体制、衛生・安全への配慮(業種に合わせて)
  • 位置情報:住所(表記統一)、最寄り、駐車場/駐輪場、入口の写真
  • 行動導線:電話、予約、地図、問い合わせ(導線=次の行動へ迷わず進める入口)
  • 信頼材料:口コミの扱い方、実績ではなく事実に基づく説明、運営会社情報(本部がある場合)

「共通で書けること」と「店舗固有で書くこと」を分けるのがポイントです。共通を増やしすぎると内容が薄くなり、店舗固有を増やしすぎると更新が止まります。

重複を避ける個別要素の作り方

重複=複数店舗のページ内容がほぼ同じ状態、です。多店舗サイトでよくある失速要因なので、個別要素は“現場にしか書けない情報”に寄せます。

  • 商圏に合わせた説明:来店が多いエリア、来店手段、混雑しやすい時間帯の案内
  • 店舗ならではの強み:席数、個室の有無、得意メニュー、担当者の得意領域
  • よくある相談の違い:店舗ごとに多い相談(例:整体なら部位、飲食なら用途)
    数値や断定表現で盛るのではなく、事実と顧客の不安解消に寄せる方が継続運用に向きます。

内部整備:内部リンク・構造化データ・表示速度

内部リンク=同一サイト内のページ同士をつなぐリンク、です。店舗一覧→各店舗→エリア一覧など、回遊しやすい構造にします。構造化データ=検索エンジンに「住所や営業時間などの意味」を伝える書式、です。LocalBusiness=構造化データで店舗ビジネスを示す種類の一つ、です(業種により使い分け)。
表示速度は、閲覧体験だけでなく離脱=ページをすぐ閉じること、にも影響します。画像の容量、テンプレの肥大化、不要なスクリプトを見直し、全店舗で同じ基準を保ちます。

GBPとの連携:計測のためのUTM

UTM=URLに付ける計測用パラメータ、です。アクセス解析=Webサイト上の行動データを計測・分析すること、です。GBPの「ウェブサイト」や「予約」リンクをUTM付きにしておくと、どの店舗のどの導線が成果に寄与したかを分析しやすくなります。店舗別の改善判断が速くなり、施策が“感覚勝負”になりにくいのが利点です。

口コミ施策:集め方・返信方針・運用品質

口コミを集める導線設計

口コミは、お願いの仕方とタイミングで集まり方が変わります。ただし、見返りを示して投稿を促す行為はトラブルになりやすいため避け、事実として「よければ感想を教えてください」と依頼できる仕組みに寄せます。
多店舗で再現しやすい導線例は、会計時の案内カード、予約完了メッセージ内の案内、店内ポスターのQRなどです。誰が案内しても同じ説明になるように、短い一言スクリプト(読み上げ文)を決めます。

返信方針:ブランドの声を揃える

返信は“評価対応”ではなく“次の来店を増やす接客”と捉えるとぶれません。多店舗ではトーンが店舗ごとに変わりやすいので、本部が基準を用意します。

  • 良い評価:感謝→具体点への言及→再来店の導線
  • 指摘:お詫び→事実確認→改善の方向性→個別対応の窓口

テンプレを用意しつつ、コピペ感が強い文面は避けます。初見で伝えたいストーリーがページを通して伝わるかを確認する、という考え方は口コミ返信にも応用できます。

低評価・クレーム時のエスカレーション

エスカレーション=判断が必要な案件を本部に引き上げること、です。低評価は店舗だけで抱えると、感情的な返信や事実誤認で二次被害が起きます。基準(例:特定の表現、法的な懸念、個人情報、差別表現)を定め、店舗は一次受付、本部は文面レビューと再発防止の整理、という分担が安全です。

成果の見方:KPI設計と効果測定の考え方

KPIは「露出→行動→成果」の3段階

KPI=重要業績評価指標(成果を測る指標)です。多店舗は店ごとの条件が違うため、最終成果だけで比べると判断がぶれます。そこで、露出(見られた)→行動(クリック/電話など)→成果(予約/来店など)に分け、詰まりを特定します。

KPI見る指標例主に使う計測手段判断の観点
露出検索/地図での表示回数、指名/非指名の比率GBPのパフォーマンス、検索分析商圏ニーズと情報整備の適合
行動ウェブサイトクリック、経路案内、電話GBP、アクセス解析写真・口コミ・導線の不足を特定
成果予約完了、問い合わせ、来店に近い行動予約システム、アクセス解析、UTM店舗ページの説得力と運用品質
運用品質更新頻度、情報の古さ、返信率運用チェックリスト、監査仕組み化できているか

店舗ごとの商圏差をどう扱うか

商圏=店舗の集客が起こる地理的な範囲、です。店舗ごとに人口や競合数が違うため、同じKPI目標を一律に置くと現場が疲弊します。店舗を「商圏が近いグループ」で比較し、平均との差分から運用課題を見つけると、打ち手が具体化します。改善の順番は、情報統制→GBP整備→口コミ運用→店舗ページ強化のように、土台から積み上げる方が再現性が高いです。

リスク対策:重複・情報改ざん・ガイドライン事故の回避

重複は「増え方」を先に止める

多店舗で起きやすいのが、店舗移転・統合・担当者変更のタイミングでGBPが二重になるケースです。重複すると、口コミや評価が分散し、現場が頑張っても効きにくくなります。
対策はシンプルで、「店舗台帳(店舗情報の一元管理表)」を起点に更新フローを固定します。店舗台帳には、店舗コード(社内で店舗を識別するID)、正しいNAP、GBPのURL、管理者アカウントを紐づけます。

オーナー確認=GBPを編集できる権利をGoogle側に認めてもらう手続きです。権限管理=誰がどこまで編集できるかを制御することです。
この2つを本部主導で整理し、店舗側は編集範囲を限定すると事故が減ります。

情報改ざんは「気づける仕組み」が勝ち

第三者による提案更新(営業時間の変更提案など)は、悪意がなくても誤情報になることがあります。多店舗では全店を毎日見るのが難しいため、週次の点検(本部)と日次の違和感検知(店舗)に分けます。
点検は「重要項目だけ」を見るのがコツです(店名、カテゴリ、住所、電話、営業時間、URL、予約導線)。ここが崩れると機会損失が大きいからです。

運用ガードレールでガイドライン事故を避ける

ガイドライン=プラットフォームが定める運用ルールです。事故の多くは「意図せず」起きます。そこで、全店共通のNG例を短くまとめ、投稿・説明文・口コミ依頼の文言をテンプレ化します。
みやあじよが重視する「やりたいけど整理できないことの言語化」は、まさにこの局面で効きます。ルールを短い言葉に落とせると、現場で判断が揺れません。

体制設計:本部・店舗・外部支援の役割分担

体制は「標準化」と「現場の事実」の分業で回る

多店舗ローカルSEOは、現場の頑張りを前提にすると破綻しやすいので、役割を次のように分けます。

  • 本部(設計・統制)
    • 店舗台帳、表記統一、権限管理、テンプレ(写真・投稿・返信)整備
    • 月次レビュー(KPIの見方統一、店舗別の課題特定)
  • 店舗(現場情報の反映)
    • 臨時情報、写真追加、現場での口コミ依頼、一次返信(ルール内)
  • 外部支援(品質担保・改善推進)
    • 初期整備の棚卸し、テンプレ設計、監査、改善案の作成、教育

費用と投資判断:内製/外部支援の選び方と進行計画

費用は3つに分けると判断しやすい

費用は金額の大小より、どこに負荷がかかるかの把握が重要です。

  • 初期整備:重複整理、台帳整備、テンプレ作成、主要店舗ページの型づくり
  • 定常運用:投稿・写真・口コミ返信の運用、点検(監査)、軽微更新
  • 改善:KPI分析、ボトルネック解消(導線、ページ内容、運用ルールの改訂)
進め方向く状況コスト要素つまずきやすい点
内製中心店舗と本部に担当時間が確保でき、更新が習慣化できる人件費、教育、チェック工数品質のばらつき、担当交代で失速
外部支援中心短期間で型を整えたい、監査や改善まで含めて進めたい初期設計費、月次支援費、制作費社内の意思決定が遅いと改善が止まる
併用本部が統制し、店舗が最低運用を回し、改善を外部が伴走内製の人件費+外部のレビュー/改善費役割が曖昧だと二重作業になる

進行計画は「少数店舗で型→横展開」が安全

最初は数店舗でテンプレとチェックリストを固め、次に全店へ展開します。展開後は、月次で「差が出ている店舗」を見つけ、原因を商圏差と運用差に切り分けて改善します。
この順番にすると、現場の負担が読みやすく、投資判断(内製で回すか、外部支援を入れるか)もしやすくなります。

相談前の準備:現状棚卸しチェックリスト

相談や見積もりの前に、次がそろっていると判断が速くなります。

  • 店舗一覧(店舗コード、正しいNAP、営業時間、提供サービス)
  • 各店舗のGBP URLと管理状況(誰が所有し、誰が編集できるか)
  • 重複・旧情報の有無(移転前、閉店店、統合前など)
  • 各店舗ページURL(店舗ページがあるか、テンプレ化されているか)
  • 予約・電話・経路案内の導線(リンク先が正しいか)
  • 口コミ対応ルール(返信担当、低評価時の引き上げ条件)
  • 計測の現状(アクセス解析の有無、UTMの運用有無、目標CVの定義)

まとめ

ローカルSEOの多店舗戦略は、施策の寄せ集めではなく「全店で再現できる運用設計」が成果を決めます。最初に店舗台帳と権限・テンプレを整え、GBPの基本情報と口コミ運用を標準化し、店舗ページで比較検討の不安を潰す。この流れにすると、店舗数が増えても品質が崩れにくく、KPIで改善が回ります。
自社運用で進める場合でも、初期の統制設計と監査だけ外部の目を入れると、重複・改ざん・運用失速のリスクを抑えやすくなります。

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