マーケ投資の失敗パターンを避ける判断軸とは

2024.12.09

BtoBでのマーケ投資が失敗に見える構造

マーケ投資とは広告費だけでなく、Webサイト、SEO、コンテンツマーケ、導線設計、アクセス解析などに投じる費用・時間・人の総称と捉えると、失敗は「施策の良し悪し」より前に起きます。
BtoB企業向けに商品やサービスを提供する取引形態では、検討期間から初回接点から契約までに複数の意思決定が重なる期間が長くなりがちです。そのため、短期の結果だけで投資判断すると、積み上げ途中の施策まで止めてしまい「失敗」に見えます。

BtoBのWeb戦略で成果が崩れる典型は、次の3点が分断されることです。
1つ目は設計(目的・ターゲット・訴求)。2つ目は実行(制作と運用)。3つ目は計測と改善です。分断すると、次の打ち手が定まりません。
UI/UXユーザーが情報を理解し行動するための画面設計と体験設計は、この3点をつなぐ接着剤です。みやあじよではデザインを装飾ではなく問題解決の設計として扱い、目的から逆算して手段を選び直すことを制作の基礎に置きます。

失敗の正体は「遅れ」と「切り分け不足」

BtoBでは、意思決定者と実務担当者が異なることが多く、同じ案件でも必要資料や懸念点が複数に分かれます。結果として、1回の訪問で問い合わせに至るより「何度か読み、社内で共有し、比較検討してから動く」形になり、成果が遅れて現れます。
この遅れを前提にしないと、アクセスが増えているのに止める、資料が読まれているのに改善しない、といった判断が起きます。

切り分けは4領域で見る

失敗の切り分けは、流入(見つけてもらえるか)、訴求(読む理由があるか)、導線(次の行動に進めるか)、営業接続(その後の対応で失注していないか)の4領域で見ると整理できます。
詰まりを特定せずに施策を増やすと、投資額だけが増えます。

まずは失敗パターンを「症状」ではなく「設計の抜け」として整理します。

失敗パターン起きがちな症状主因(設計の抜け)初手の打ち手
目的と優先順位が曖昧施策が増えるのに成果が見えない目的の具体化と判断基準がない目的→KPI→施策の順で棚卸し
ターゲットと訴求がズレる反応が薄く商談につながらない誰に何を約束するかが曖昧ターゲット定義と訴求の言語化
集客偏重で導線が弱い流入は増えるが問い合わせが増えない次の行動が設計されていない導線の分岐とページ役割の再設計
計測が弱く改善できない施策評価が感想で終わる計測設計と運用ルールがない計測項目とレビュー頻度を確定
コンテンツが資産にならない作って終わり、更新停止継続体制と再利用設計がないテーマ設計と運用フローを整備

失敗パターン1:目的と優先順位が曖昧なまま走り出す

痛いのは、「何に投資しているか」が説明できない状態です。制作物や施策が増えても、目的が深く定義されないと、合意が崩れます。

目的が“状態”で止まり、判断できない

「問い合わせを増やす」「認知を上げる」は方向としては正しくても、判断には足りません。KGI=最終的に達成したい事業目標(例:受注件数や受注金額)を置き、その手前にKPIを置くと、施策の続行・中止・改善が意思決定になります。
目的を1行に落とす型は、誰に(ターゲット)、何を(約束する価値)、どの状態に(次の行動)まで書き切ることです。ここが曖昧だと、SEOのテーマも、コンテンツの切り口も、サイトの導線もバラけます。

優先順位がないまま同時進行し、リソースが薄まる

SEO、広告、展示会、メール配信など、打ち手自体は増やせます。しかし、社内の運用工数(原稿、監修、更新、分析)が追いつかないと、どれも中途半端になり「全部やったのに」と感じます。
優先順位は、短期の穴埋めと中長期の積み上げを分けると整理しやすいです。短期は既存導線の詰まり解消(例:サービスページの説明不足や問い合わせ導線の欠落)、中長期はコンテンツと検索流入の積み上げ、というように役割を分けます。

“成果が出ない”の定義が曖昧で、止め時も決まらない

止める/伸ばすの基準がないと、判断は声の大きさに引っ張られます。例えば「3カ月単位でKPIをレビューし、未達なら仮説と改善案を1つに絞る」のように、判断の型を先に作ることが投資のブレを減らします。
みやあじよでも、目的を具体化し、目的達成のために集客方法とUI/UXを同列に設計することを重視しています。

失敗パターン2:ターゲットと訴求がズレたまま施策を積み上げる

“自社の強み”が、そのまま相手のメリットになっていない

ターゲットが見えていない状態でのコンテンツは、説明は丁寧でも刺さりません。ICP=受注可能性が高い理想の顧客像(業種・規模・課題・購買プロセス)を置き、相手が社内で説明しやすい材料(比較軸、導入条件、想定リスク)を先回りして提示すると、反応は改善します。
このとき、ターゲットは「業種・従業員規模」だけで終わらせず、意思決定に関わる役割(経営、現場、情報システム、購買など)と、それぞれが嫌がる失敗(導入後の運用負荷、既存業務への影響、社内調整の難しさ)まで含めるのが現実的です。

営業とマーケの前提がずれ、受注までの線が途切れる

BtoBでは、問い合わせが入ってから営業が「何を確認し、何を渡すか」までが設計範囲です。営業が欲しい情報(検討段階、関係者、予算感、導入条件)をサイトとコンテンツで集められると、マーケ投資は商談化に近づきます。
逆に、マーケ側が良かれと思って増やしたリードが、営業側では扱いづらい条件(業種不一致、導入時期が遠い、決裁者不在)ばかりだと、投資全体が失敗に見えます。ここは「欲しい案件の条件」を言語化し、サイトとコンテンツで選別する発想が効果的です。

マーケ投資の失敗パターンを避ける判断軸

BtoBで検討期間が長い商材ほど、マーケティング投資は「やったのに効かない」と見えやすいものです。実際には、施策そのものよりも、目的・ターゲット・導線・計測という“設計の抜け”が原因で、成果が出る前に判断を誤ってしまうケースが多くあります。本記事では、経営者/マーケ責任者が投資判断に必要な材料(費用・効果・リスク・体制)を揃えつつ、つまずきやすい失敗パターンを分解し、最初の打ち手まで整理します。

マーケ投資が失敗に見える構造とBtoB長期検討の前提

BtoBは「今日見て今日買う」が起きにくく、意思決定者も複数になりがちです。そのため、施策の評価を“短期の問い合わせ数”だけで見ると、実態より悪く見えます。まず前提として、成果が出るまでの道のりを分解して捉える必要があります。

ここでいうリード=将来の顧客になり得る見込み客情報(会社名・担当者・連絡先など)、商談=具体的な提案や見積に進んだ営業プロセス、受注=契約に至った状態、のように段階を切り分けます。さらにファネル=見込み客が認知から比較検討、意思決定へ進む段階モデル、を使うと、どこで詰まっているかを言語化できます。

失敗は施策より設計の欠落で起きる

投資が失敗に見える典型は、施策が散発的に増える一方で「何を問題として、何を解決すれば成果なのか」が定義されていない状態です。サイトやコンテンツの役割が曖昧だと、アクセスが増えても商談に結びつかず、改善も感想戦になります。

当社はデザイン=問題解決であり、成果=売上・問い合わせ・採用など“目的”で定義される、という考え方を土台にしています。表現や手段の前に、解くべき問題と目的を具体化することが、マーケ投資の失敗回避の出発点です。

失敗パターンを俯瞰するための早見表

なおCTA=ユーザーに次の行動を促すボタンや導線、のことです。以下は、経営判断に直結しやすい失敗パターンを「症状→主因→初手」でまとめた早見表です。

失敗パターン起きがちな症状主因(設計の抜け)初手の打ち手
目的・優先順位が曖昧施策が増えるが説明できない目的と判断基準が未定義目的→KPI→施策の順で再設計
ターゲットと訴求がズレ反応が薄く商談品質が低い誰に何を約束するか不明主要ペルソナと課題仮説を1枚化
集客偏重で導線が弱い流入はあるが問い合わせが増えない次の行動の設計不足主要ページの導線とCTAを見直す
計測・解析が弱い改善が進まず属人的データ定義と計測基盤の不足重要指標の計測を先に整える
コンテンツが資産化しない作って終わりで伸びない運用ルールと更新設計がない企画・制作・改善の運用を型化

失敗パターン1:目的と優先順位が曖昧なまま走り出す

最初に起きやすいのが「何となく集客が必要」で始めてしまうケースです。経営側としては投資の説明責任がある一方、現場側は打ち手を増やしがちで、優先順位が毎月変わります。

典型的な症状

・会議で「次はSNS」と話題が飛ぶ
・外部パートナーの提案を受けるたびに、施策が足し算される
・問い合わせ数は見ているが、商談や受注までのつながりを追えていない

SNS=XやFacebookなどの交流型プラットフォーム、は拡散力が魅力ですが、目的が曖昧なまま参入すると、運用の負荷だけが増えがちです。

なぜ起きるか

原因は、目的が「売上を上げたい」のように抽象度の高い状態で止まり、判断基準が未設定なことです。KPI=目標達成度を測る指標、を置かないまま走ると、施策の良し悪しが“好み”で決まり、投資が積み上がります。

また、初期費用だけで判断すると、運用・改善の手間が見落とされます。TCO=初期費用だけでなく運用・更新・改善まで含めた総コスト、で見ないと「安く作ったが更新できず機会損失」という形で失敗に近づきます。

回避の考え方:目的→KPI→施策の順に並べ替える

まず目的を、経営が意思決定できる粒度に落とします。たとえば「特定の商材の商談を増やす」「既存市場での指名検索を増やす」「採用の母集団を増やす」など、対象と期間を含めて言語化します。指名検索=企業名やサービス名など固有名で検索される状態、のことです。

次に、目的の手前に置くKPIを2〜3個に絞ります。長期検討のBtoBでは、受注だけをKPIにすると評価が遅れがちなので、商談化率や提案依頼数など“途中の行動”も設計します(指標例は後半でテンプレ化します)。

そのうえで、施策を「KPIに効く順」に並べます。ここで重要なのは、個別施策の優劣ではなく、ページ全体のストーリーが初見で伝わる構成になっているか、という観点です。

失敗パターン2:ターゲットと訴求がズレたまま施策を積み上げる

目的が定まっても、誰に何を約束するかが曖昧だと、広告もSEOもコンテンツも同じ壁に当たります。SEO=検索エンジンからの流入を増やすための最適化、のことです。特にBtoBは、意思決定者・利用部門・購買部門で関心が違うため、訴求のズレが発生しやすい領域です。

典型的な症状

・資料請求は増えたが、価格や要件が合わず商談にならない
・記事は増えているのに、比較検討の流入が伸びない
・営業から「Webの問い合わせは温度が低い」と言われる

なぜ起きるか

多くの場合、ターゲットを「業界」や「企業規模」だけで切ってしまい、相手の課題・前提条件・意思決定プロセスまで落とし込めていません。BtoBは同じ業界でも、導入目的が違えば刺さる訴求が変わります。

また、ペルソナ=意思決定に関わる代表的な人物像、を一人に決め切れず、結果として“誰にでも当てはまる一般論”になりがちです。一般論は否定されにくい一方で、選ばれる理由にもなりにくい点が落とし穴です。

回避の考え方:ペルソナと約束をセットで固定する

最初に決めるのは、主役となるペルソナを1〜2つに絞ることです。次に、そのペルソナが抱える「困っている状態」と「解決後に得たい状態」を短文で言い切ります。ここが曖昧だと、サイト改善もコンテンツも、検討を前に進める材料になりません。

そのうえで「何を約束するか」を定義します。約束とは、機能の説明ではなく、相手の判断材料としての価値です。たとえば品質担保、リスク低減、運用負荷の軽減、社内稟議の通しやすさなど、導入後まで含めたメリットに翻訳します。みやあじよが重視する「やりたいけどわからないことの言語化」という視点は、この翻訳作業は有効です。

失敗パターン3:集客だけに投資して導線設計が弱い

流入を増やす施策(SEO、広告、展示会後の誘導など)を強化しても、導線設計=訪問者が迷わず次の行動に進むようページの役割と遷移を設計すること、が弱いと成果は伸びません。典型は「アクセスは増えたのに問い合わせが増えない」です。

回避の要点:ページの役割を3つに分けてつなぐ

  • 入口:課題理解・比較検討のための情報(コラム、用語解説、検討の論点)
  • 判断:サービス理解と不安解消(サービスページ、費用の考え方、導入プロセス)
  • 行動:次の一歩(問い合わせ、資料請求、相談予約)

BtoBは一度で行動しない前提なので、行動の選択肢を1つに絞らず「軽い行動」と「重い行動」を併設すると取りこぼしが減ります。コンバージョン=問い合わせや資料請求などサイト上の目標行動、は複数あって構いません。

失敗パターン4:計測とアクセス解析が整わず改善できない

アクセス解析=サイト上の行動データを計測し改善に使う分析、が整っていないと、改善の議論が「何となく」になります。とくにBtoBは成果が遅れて出るため、途中指標を見えなくすると判断が荒れます。

回避の要点:計測設計→可視化→レビューを固定する

  • 計測設計:イベント=クリックやフォーム送信などの行動を記録する単位、をKPIと紐づけて定義
  • 可視化:主要指標だけをダッシュボード=重要データを一画面にまとめた可視化、に集約
  • レビュー:週次は運用(更新・公開)、月次は評価(改善優先度)のように役割を分ける

失敗パターン5:コンテンツ投資が資産にならない運用をしている

コンテンツマーケ=記事や資料などの情報提供を通じて見込み顧客との接点をつくる手法、は継続で効きます。一方で、場当たり的に増やすと資産になりません。

回避の要点:テーマを「商談の不安」から逆算して設計する

  • 検討が止まる理由(費用感、導入手順、社内稟議、比較軸)を先回りして記事化
  • 入口記事からサービスページへ、内部リンク=サイト内の関連ページをつなぐリンク、で橋渡し
  • 公開後に「追記・統合・削除」を行い、品質を維持する

費用と投資判断:予算配分・TCO・外注の見極めポイント

費用判断は「何に投資すれば学習が進むか」で考えるとブレにくいです。最初から制作量を増やすより、導線と計測を整えてから拡張するほうが、失敗の再現性を下げられます。情報設計=ユーザーが理解しやすい順に情報を整理し配置すること、はサイト改善の中心です。

投資対象狙う効果(KPI)主なコスト要素主なリスク・注意点
サイト改善(導線)問い合わせ・資料請求情報設計、ページ改修要件が曖昧だと手戻り
SEO設計指名外の流入増キーワード設計、内部最適化入口だけ増え導線未整備
コンテンツ制作検討材料の拡充企画、執筆、監修作りっぱなしで劣化
計測整備改善速度の向上計測設定、レポート定義がブレると比較不能
運用体制づくり継続と学習会議体、編集フロー属人化・停止の恐れ

TCO=初期費用だけでなく運用・更新・改善まで含めた総コスト、の観点で「誰が運用するか」「更新が止まったときの損失」まで織り込むことが、投資判断の精度を上げます。

体制と進め方:社内の役割設計と外部パートナー活用

最低限そろえたい役割は、意思決定(経営)、推進(マーケ責任者)、実務(Web担当)、監修(現場・営業)です。外部パートナーは、戦略・制作・解析など“専門性が要る工程”に置き、社内は意思決定と情報提供を担うと回ります。

リスク管理:データ品質・コンプラ・ベンダー依存を抑える

コンプライアンス=法令や社内規定を守ること、の観点では、個人情報の取り扱い、計測の同意、問い合わせデータの管理を先に整えます。ベンダー依存は「権限が社外にしかない」「設定がブラックボックス」で起きるため、アカウント権限と設定一覧を社内で把握できる状態にします。

成果とKPI設計:先行指標、レビュー頻度、意思決定ルール

先行指標=最終成果より早く変化する指標、を置くと判断が早まります。BtoBでは「入口の閲覧」だけでなく「判断材料の閲覧」「行動直前の接触」を指標にします。

検討段階追う指標(KPI)計測方法レビュー頻度
認知・流入主要記事の閲覧ページ別の閲覧数月次
比較検討サービスページ閲覧遷移・滞在の確認月次
社内説明資料ダウンロード・再訪ダウンロード数・再訪数月次
行動問い合わせ数フォーム送信週次

相談前チェックリスト:現状整理で投資判断の精度を上げる

  • 目的(商材・期間・達成したい状態)
  • ターゲット(業種・規模・役割・困りごと)
  • 現状の導線(入口→サービス→行動の流れ)
  • 計測状況(何が取れていて何が取れていないか)
  • 社内体制(誰が決め、誰が動かすか)
  • 営業側の条件(欲しい案件・避けたい案件)

まとめ

マーケ投資の失敗パターンは、施策の善し悪しより「目的・ターゲット・導線・計測・運用」の設計不足で起きます。BtoB長期検討では、先行指標を置き、改善できる状態を作ってから投資を拡張するのが安全です。Web戦略策定、SEO、コンテンツ、アクセス解析、サイト改善を横断して整理すると、投資判断が明確になります。

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