コンバージョン最適化とは?
コンバージョン最適化とは、コンバージョン率の改善・最適化するための施策のことです。「コンバージョン率最適化」やアルファベットの頭文字を取って「CRO」と呼ばれることもあります。
コンバージョン最適化は、ただコンバージョン率を上げるのではなく、コンバージョン率の向上によってWebサイトを運営している企業にどんな利益があるのかを焦点にしています。そういった意味では、コンバージョン最適化は企業のWeb戦略全体に関わる施策だといえるでしょう。
コンバージョン最適化を行う目的
「長期的な収益向上を目指す」ことが、コンバージョン最適化を行う最大の目的です。ただコンバージョン率を上げるということであれば、リスティング広告を活用するだけで達成する可能性は十分にあります。
しかし、それでは長期的な収益増加は見込めません。そこで重要となってくるのが、コンバージョン最適化です。
コンバージョン最適化を行えば、訪問者数やクリック数などを維持しながら、コンバージョン率を改善させるため、Webの集客効果を高めて、長期的な収益向上につなげられます。
ランディングページ最適化との違い
ランディングページ最適化とは、LPOともいい、ランディングページ(LP)を最適化する施策のことです。ランディングページとは、広告などによって誘導されたユーザーが着地(ランディング)するページのことです。
商品・サービスの購入・契約や資料請求など、CVに直結するページともいわれています。検索や広告などからユーザーを集客できても、アクセスしたページに魅力がなかったり、閲覧しづらかったりすると、ユーザーの離脱率は高くなります。
したがって、離脱率やCV率を向上させるためには、ランディングページの最適化は欠かせません。コンバージョン最適化とランディングページ最適化は最適化する対象が異なるため、別物だと捉えられやすいです。
しかし、ランディングページの最適化によって、CVまで進んでもらうことで、はじめてコンバージョン最適化が達成できます。したがって、ランディングページ最適化はコンバージョン最適化の施策の1つとなります。
エントリーフォーム最適化との違い
エントリーフォーム最適化とは、EFOともいい、問い合わせや商品購入などをする際に個人情報を入力するエントリーフォームを最適化する施策のことです。ランディングページを最適化して興味を持たせても、エントリーフォームの作りが悪いことが原因で離脱されてしまうことも少なくありません。
エントリーフォームからの離脱は企業にとって重大な機会損失です。したがって、エントリーフォーム最適化もコンバージョン最適化の施策の1つであり、最優先で取り組むべき施策といえます。
コンバージョン最適化が重要視される3つの理由
コンバージョン最適化が重要視される理由として次の3つが挙げられます。
- 商品・サービスの訴求力向上
- 費用対効果の向上
- ユーザビリティの向上
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.商品・サービスの訴求力向上
コンバージョン最適化に取り組めば、商品・サービスの訴求力を向上させられます。訴求力向上のために押さえておくべきポイントは次のとおりです。
- ユーザーの課題をどのように解決できるのか
- 商品・サービスの利用で得られるメリット
- 競合商品と比較して優れている点はどこなのか
コンバージョン最適化を行う際は上記ポイントを意識し、ユーザーの興味・関心・購買意欲を高める内容にしていきましょう。
2.費用対効果の向上
費用対効果を向上させるのも、コンバージョン最適化のメリットです。広告費15万円で2,000クリックが発生していると仮定して、コンバージョン率が4%から5%に向上したとしましょう。
コンバージョン率が4%の場合、2,000クリック×4%となり、CV獲得件数は80件となります。CV1件あたりの広告費は15万円÷80件で1,875円です。
一方、コンバージョン率が5%の場合、2,000クリック×5%となり、CV獲得件数は100件となります。CV1件あたりの広告費は15万円÷100件で1,500円です。
コンバージョン率が向上するほど、CV1件あたりの広告費用を抑えることができ、費用対効果を向上させられるでしょう。
3.ユーザビリティの向上
コンバージョン最適化の施策の中には、Webサイト内の導線やページ読み込み速度改善といった施策も含まれます。
そのため、これらを改善すれば、ユーザビリティ向上といったメリットを享受できます。また、ユーザビリティが向上すれば検索エンジンからの評価も高くなるため、検索上位表示も期待できるでしょう。
コンバージョン最適化の代表的な施策
コンバージョン最適化の代表的な施策として次の5つが挙げられます。
- 導線の改善
- ページ表示スピードの改善
- ABテストの実施
- コンテンツの見直し
- チャットボットの実装
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.導線の改善
導線の改善とは、ユーザーが行動しやすくするように道を整備する施策のことです。コンバージョンにつなげるまでには、広告からランディングページ、ランディングページから購入フォームというように流れがあります。
導線がぐちゃぐちゃだと、ユーザーの興味関心・購買意欲を高めることができず、離脱するリスクを高めてしまいます。導線の改善で特に重要になるのがCTAボタンの配置です。
例えば、リスティング広告からの流入の場合は、コンバージョンに近いユーザーである可能性が高いため、目に付く位置にCTAボタンを設置します。しかし、関心が薄いユーザーが多いとセールス感が強いイメージを与えやすく、離脱の要因につながりかねません。
そのため、商品説明した最下部にCTAボタンを設置するなどの工夫が必要となります。このように、コンバージョン最適化においては、導線の改善は非常に重要です。
2.ページ表示スピードの改善
ユーザーがランディングページにアクセスした際、ページの表示スピードが遅いと離脱者が増えて、コンバージョン率に大きな影響を与えてしまいます。どれだけ、質の高いランディングページを作成しても、読み込まれる前に離脱されてしまうと意味がありません。
離脱率を減らしユーザビリティを向上させるためには、ページの表示スピード改善は重要な施策といえます。
3.ABテストの実施
ABテストもコンバージョン最適化において有用な施策といえます。ABテストとは、ランディングページや広告の1部を変更したものを複数つくり、成果を比較・検証することです。
コンバージョン最適化におけるABテストでは、タイトルやCTAボタン、問い合わせフォームなどを変更してテストするとよいでしょう。
4.コンテンツの見直し
コンテンツを見直して、コンセプトを統一することも、コンバージョン最適化の施策の1つです。ユーザーは広告などをみて、ランディングページにアクセスします。
しかし、広告とランディングページのデザインが統一されていなければ、ユーザーはイメージと違う、必要な商品・情報が見つけられないといった理由で離脱してしまいます。離脱率を防ぐためには、ユーザーの行動や考えなどを想定して、ランディングページと広告のキャッチコピーやデザインなどを統一し、一貫性のある運用をしなければなりません。
5.チャットボットの実装
従来、人がすべての問い合わせに対応していました。しかし、つながるまで時間がかかったり、オペレーターの相性が悪かったりして機会損失することも少なくありません。
また、夜や深夜、早朝帯は対応できないため、ユーザーを取りこぼすリスクがありました。チャットボットを実装すれば、簡単かつ定型的な問い合わせに対応できるため、ユーザーはスムーズに疑問を解決できるようになりました。
また、24時間365日対応できるため、ユーザーの関心・購買意欲が高まったタイミングを逃す心配がなくなり、取りこぼしの防止にもつなげられます。
コンバージョン最適化のステップ
コンバージョン最適化のステップは次のとおりです。
- 責任者の決定
- 改善の洗い出し
- 仮説の立案・資源の最適化
- 施策・解析の実施
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.責任者の決定・資源の最適化
コンバージョン最適化は長期間にわたって実施するため、責任者を決定します。責任者に据えるのは、コンバージョン最適化のプロジェクトに専任できる人材がよいでしょう。
責任者が決定したら、計画段階でプロジェクトにかかる人的コストを割り出し、予算の算出や人材配置を行っていきます。前述のとおり、コンバージョン最適化は長期間にわたるため、費用も人員もそれなりにかかってきます。
結果が中々でなくても、プロジェクトを進めていくためには、資源を最適化して余裕を持った予算配分にしなければなりません。
2.仮説の立案
資源の最適化が完了し、コンバージョン最適化を行う環境が整ったら、現状の調査を行って改善点を洗い出し、仮説を立案していきます。この際、直帰率や訪問ユーザー数、コンバージョン率などの数値を調べて、客観的に仮説を立案することが大切です。
効果測定する際に成果が出た要因、出なかった要因を区別するためには、数値のように可視化できるものを指標にしましょう。より包括的に課題点を洗い出したいのであれば、アンケートやヒアリングなどを実施して、顧客の声を知るのも1つの手段です。
3.施策・解析の実施
ABテストなど仮説検証がしやすい施策を選択して、施策の成果比較や指標の推移確認を行います。また、解析する際は、コンバージョンだけでなく、訪問者数や離脱率、クリック数など、最終的な成果に至るまでに経由する数値分析も大切です。
包括的に改善点や成果を洗い出し、コンバージョン最適化を行っていきましょう。
4.改善・実施を繰り返す
解析によってデータが集まったら、再度改善点の洗い出し、仮説を立案し、次の施策の実施・解析を行っていきます。また、成果が出てもそれで終わりではありません。
というのも、消費者心理や市場動向は日々変化しているからです。時代にあったアプローチを行っていくためには、継続的に最適化プロセスを回していかなければなりません。
コンバージョン最適化を行う際の3つのポイント
コンバージョン最適化を行う際のポイントとして次の3つが挙げられます。
- 長期的な視点で取り組む
- 優先度の高い課題から取り組む
- コンバージョンのバランスを意識する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.長期的な視点で取り組む
コンバージョン最適化は様々な要素を改善してはじめて成果が出ます。地道な検証と改善を繰り返し行う必要があるため、短期的に結果が出るものではありません。
そのため、コンバージョン最適化は時間がかかることを念頭に置いて取り組む必要があります。
2.優先度の高い課題から取り組む
コンバージョン率が低い要因はWebサイトやランディングページによって異なります。また、コンバージョン率向上には様々な様子を改善していく必要がありますが、これらの課題点を同時に行うことはできません。
そのため、自社の課題点を洗い出して仮説を立案した後は、優先度の高いものから準備に取り組んでいく必要があります。
3.コンバージョンのバランスを意識する
コンバージョン最適化をする際は、コンバージョン数とコンバージョン率のバランスを意識しましょう。例えば、コンバージョン最適化によって、コンバージョン率が改善してもコンバージョン数が改善していなければ、成果が出ているとはいえません。
コンバージョン数とコンバージョン率のバランスを見て、成果が出ているのか判断することが大切です。
コンバージョン最適化のまとめ
コンバージョン最適化とは、ただコンバージョン率を改善させるものではありません。コンバージョンに至るまでの訪問者数やクリック率、離脱率などの要素も包括的に改善し、「長期的な収益向上を目指す」ための施策のことです。
コンバージョン最適化を行えば、訴求力の向上や費用対効果向上など、様々なメリットを享受できます。しかし、コンバージョン最適化は地道に検証と改善を繰り返し、各要素を少しずつ改善してはじめて成果が生まれるものです。
したがって、短期間で成果が出るものではありません。コンバージョン最適化を行う際は、時間がかかることを念頭に置いたうえで取り組んでいく必要があります。