レスポンシブWebデザイン対応サイトの代表的な5つの制作方法
レスポンシブWebデザイン対応サイトの代表的な制作方法として次の5つが挙げられます。
- WordpPressのレスポンス対応テーマ・プラグインの使用
- レスポンシブ対応のCMS導入
- Web制作会社に制作を依頼する
- レスポンシブ変換ツールの使用
- HTML・CSSの使用
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.Wordpressのレスポンス対応テーマ・プラグインの使用
WordPressを使用している場合、Wordpressテーマやプラグインを導入することで、サイトをレスポンシブ対応にできます。
ただ、WordPressテーマは商品によって仕様が異なるため、レスポンシブ対応だけでなく、SEO効果やサポートの有無、操作性などを加味して自社に最適なテーマを選びましょう。
レスポンシブ対応にできる有名なプラグインが「WPtouch」です。プラグインをインストールして有効にすれば、自動的にモバイル用デザインページを生成できます。
インストールして不具合が起きる可能性があるため、必ずバックアップを取ってから実施するようにしましょう。
2.レスポンシブに対応しているCMS導入
レスポンシブに標準対応しているCMSを導入するのも、レスポンシブWebデザイン対応サイトを制作する方法の1つです。後述する変換ツールや、HTML・CSSを使用するよりも、簡単にレスポンシブ対応にできるため、Webの知識がない方でも安心して取り組める方法です。
ただし、CMSによって特徴が異なるため、目的や今後の運用方法を見越したうえで、自社に合ったものを選ぶことが大切です。
3.Web制作会社に制作を依頼する
Webの知識がない、レスポンシブ対応に割く人員がいないという場合、Web制作会社に制作を依頼するとよいでしょう。これまで紹介した方法と比べると費用はかかりますが、プロが制作してくれるため、費用対効果はそれなりに見込めます。
また、会社によっては改善サポートや競合分析といったコンサルティングや、保守・運用・管理などを代行してくれる場合もあります。これらも一元的に依頼すれば、企業の運用負担も軽減できるでしょう。
4.レスポンシブ変換ツールの使用
レスポンシブ変換ツールとは、既存サイトをレスポンシブ対応に自動変換してくれるツールです。簡単にレスポンシブ対応にできそうですが、現行サイトをモバイル用の見せ方に変えるだけのため、デザインの古さや使いづらさを根本から改善することはできません。
また、変換ツールはランニングコストがかかります。デザインの古さや使いづらさを根本的に改善したいのであれば、別の方法でレスポンシブ対応にした方がよいでしょう。
5.HTML・CSSの使用
HTMLはサイト内容に関するファイル、CSSはデザインを関するファイルです。WebサイトはHTMLやCSSなどのファイルを組み合わせることで制作されるため、HTMLやCSSを使用すれば、サイトをレスポンシブ対応にできます。
ただし、HTML・CSSはプログラミングスキルが必須です。そのため、Webの専門知識がない場合、この方法はおすすめしません。
HTML・CSSを使用したレスポンシブ対応サイトの制作ステップ
HTML・CSSを使用したレスポンシブ対応サイトの制作ステップは次の3ステップです。
- HTMLファイルにmeta viewportタグを追加
- CSSファイルで指定
- 正しく表示されているか確認
上記が一連の流れとなります。meta viewportタグを追加する場所は次のとおりです。
- HTMLファイルで制作されたWebサイト:全てのHTMLファイルのヘッダー部分
- WordPressで制作されたWebサイト:header.phpなどの共通テンプレートファイル
また、正しく表示されているか確認する主な方法は「Chromeの検証画面で疑似的に確認する」「Webサービスを活用する」「スマホを活用して実際に表示を確認する」の3つです。
レスポンシブ対応における2つの注意点
レスポンシブ対応における注意点として次の2つが挙げられます。
- 画像ファイルは軽くする
- スマホ要素を意識してサイト制作する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.画像ファイルは軽くする
レスポンシブ対応にする際は、できるだけ画像ファイルを軽量化しましょう。レスポンシブWebデザインの場合、スマホであっても、パソコン用のHTMLが読み込まれてしまうため、通常のデザインよりもサイトの表示スピードが遅くなります。
サイトの表示スピードはユーザビリティの観点からSEOにも大きな影響を与えます。そのため、容量の大きな画像を掲載する場合、画像圧縮や容量が軽い画像ファイル形式にして、サイトの表示スピードを早くする工夫を凝らさなければなりません。
2.スマホ要素を意識してサイト制作する
スマホはパソコンと違って、画面領域が小さいです。そのため、パソコンの感覚でデザインを作ってしまうと、ユーザビリティを損なう原因となります。
文字サイズを14~16px程度とパソコンよりも大きくする、指でタップすることを前提にボタンやリンクを配置するなど、スマホの要素を意識してサイト制作しなければなりません。
不安であれば無理してHTML・CSSをいじらない
デザインを調整する必要はありますが、Webの専門知識などがあれば、HTML・CSSをいじって、サイトをレスポンシブ対応にするのはそれほど難しいことではありません。一方、HTML・CSSの知識のない方がいじる場合、デザイン調整・対応に時間がかかる他、デザインが崩れたり、サイトがバグったりするリスクがあります。
コストを抑えようとした結果、機会損失をしてしまったり、修正などに手間や費用がかさんだりする事態になりかねません。したがって、不安な場合は無理にHTML・CSSはいじらないようにしましょう。
そもそもレスポンシブデザインとは?
レスポンシブ(responsive)とは、レスポンスの派生語で、「敏感に反応する」という意味を持つ言葉です。Web業界におけるレスポンスデザインは、ユーザーが閲覧しているデバイスに合わせて、サイトレイアウトを最適化させるデザインのことを指します。
スマホが登場した当初は、パソコンのデザインをスマホに表示させたり、パソコンとスマホで別々のサイトを用意したりするのが一般的でした。しかし、スマホでパソコンのデザインを表示すると見えにくい、デバイス別にサイトを用意するのはコストも運用の手間もかかるといったデメリットがあります。
そこで登場したのがレスポンシブデザインです。レスポンシブデザインであれば、1つのサイトでパソコン用、スマホ用の表示が行えます。
そのため、ユーザビリティの向上やコスト・手間を抑えられる他、SEOの評価を1つのサイトに統合できるため、集客効果を上げやすいといったメリットを得られます。
レスポンシブデザインのメリット
レスポンシブデザインのメリットとしては以下が挙げられます。
- Googleにモバイル対応認定されやすくSEOで優位になりやすい
- URLが統一されユーザーはシェアしやすい
- HTMLを1つのファイルで管理できるため、運用しやすい
- ユーザーの仕様端末に合わせてレイアウト変更できるため、ユーザビリティを向上させやすい
現在はモバイルサイトの評価がWebサイト全体のSEO検索順位に影響するため、レスポンシブデザインはWebサイトに必須といえるでしょう。
レスポンシブデザインのデメリット
レスポンシブデザインのデメリットは次のとおりです。
- コーディングが従来のデザインよりも複雑なため、知識・スキルが必要となる
- スマホをベースに使いやすいデザインを制作しなければならないため、デザインに制約がある
また、レスポンシブデザインはパソコン・スマホで共通のHTMLを使用します。
そのため、複雑化しないようにサイトを設計する必要がある、ユーザーのブラウザによってはパソコンの画像を読み込もうとして表示スピードが遅くなるといったデメリットも存在します。
レスポンシブデザインの種類
レスポンシブデザインの種類として次の4つが挙げられます。
- レスポンシブレイアウト
- グリッドレイアウト
- フレキシブルレイアウト
- リキッドレイアウト
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.レスポンシブレイアウト
レスポンシブレイアウトとは、表示の有無や要素の配置場所をデバイスの画面領域に合わせて変化させるデザイン方法です。レイアウトの変更基準である画面幅(px数)はブレイクポイントと呼ばれ、このポイントの設定により、デバイスごとにサイドバーの表示・非表示といった対応を行えます。
デバイスやコーティングによって表示される情報量が異なるのが、レスポンシブレイアウトの特徴です。
2.グリッドレイアウト
グリッドレイアウトとは、画面を格子(グリッド)のように分割して、要素を並べていく比較的新しいデザイン方法です。全体が整然としているため、すっきりとしたデザインに仕上げられます。
パソコンは横6列、スマホは横6列というように、各デバイスの画面領域に合わせて表示方法を変更できます。近年、プログラミングスクールのWebデザインコースでよく用いられている手法であることから、スクールを卒業したばかりの人から提案されやすい方法でもあるようです。
3.フレキシブルレイアウト
フレキシブルレイアウトとは、デバイスに合わせたレイアウト表示が行えるデザイン方法です。後述するリキッドレイアウトと似ているデザイン方法ですが、表示可能な最小幅および最大幅を指定できるといった特徴があります。
最小幅・最大幅を指定することで、大きな要素を盛り込んでもレイアウトが大きく崩れないことから、パソコン・スマホともに閲覧しやすいデザイン表示が可能です。
4.リキッドレイアウト
リッドレイアウトとは、使用するデバイスによって、レイアウトの組み合わせを変化させるデザイン方法です。画面領域によって表示内容が変化しないため、どのデバイスであっても同じ情報量をユーザーに届けられます。
リッドレイアウトはpxではなく、%指定などでサイズが変化するため、横スクロールバーは出現しません。デザイン次第では表示画面が長くなりすぎてしまい、ユーザーの可読性が下がるリスクがあるため、リキッドレイアウトを採用する際は、注意が必要です。
レスポンシブデザイン対応サイトが必要な3つの理由
レスポンシブデザイン対応サイトが必要な理由として次の3つが挙げられます。
- スマホのサイト閲覧数の増加
- SEOに大きな影響を与える
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.スマホのサイト閲覧数の増加
レスポンシブ対応サイトが必要な1番の理由は「スマホの閲覧数の増加」です。現代人のほとんどはスマホを所持しています。
それに伴い、パソコンよりもスマホでインターネットを利用することが当たり前となりました。スマホからインターネットを利用する割合はLINEが2022年に調査・公表した「インターネットの利用環境 定点調査(2022年上期)」によれば、96%に達しているそうです。
つまり、スマホ閲覧に対応していないとそれだけで離脱率の向上を招くということです。離脱率の向上および、PV・CVの低下を防ぐためには、レスポンシブ対応は必須事項といえます。
2.SEOに大きな影響を与える
スマホの普及および、スマホでのインターネット利用率向上を受けて、Googleなどの検索エンジンは、モバイルファーストインデックスを推奨しています。モバイルファーストインデックスとは、モバイル用サイトを優先的にインデックスすることです。
2021年からはSEO評価基準がパソコンからモバイルへと完全移行し、モバイルサイトが検索順位の評価対象となりました。モバイル対応でない場合、インデックスされにくくなり、SEOにも大きな影響を与えてしまいます。
今後もSEOで優位に立っていくためには、レスポンシブデザインなどを実装してサイトをモバイル対応にしていく必要があります。
レスポンシブデザイン対応サイト制作のまとめ
レスポンシブデザインは、各デバイスに合わせて、サイトの表示内容を最適化させるWebデザインです。レスポンシブデザイン対応サイトを制作する方法は、「Wordpressのレスポンス対応テーマ・プラグインの使用」「レスポンシブに対応しているCMS導入」など、様々な方法があります。
どの方法でも一定の効果は得られますが、全くの素人がレスポンシブ変換ツールやHTML・CSSを使用してしまうと失敗するリスクは非常に高いです。したがって、Web知識のない企業の場合は、WordPressなど簡単レスポンシブデザインにできるツールを導入するか、Web制作会社に依頼して制作することをおすすめします。