ECサイトの運営代行とは?
「ECサイト運営代行」とは、ネットショップの運営業務を専門業者に外部委託できるサービスのことです。
ECサイト運営に関わる作業をこなしてくれる他、ECサイト運営の専門家として売上の最大化にも努めてくれるため、依頼すれば業務負担軽減や売上の向上が期待できます。
ホームページ制作業者との違い
ホームページ制作業者は、ホームページ制作を専門としている業者のことです。ECサイト運営代行業者とホームページの制作業者の違いは、対応できる範囲の広さです。
ECサイトを運営する場合、業務はホームページ制作や更新だけでなく、SNS・広告の運用、在庫管理など多岐に渡ります。ホームページ制作業者が代行してくれるのは、ホームページの制作や更新、保守・管理のみであるため、残りの業務はすべて自社で対応しなければなりません。
一方、ECサイト運営代行業者はECサイト運営に関する業務全般もしくは部分的に代行してくれるため、運営の大半を委託して、コア業務に専念することも可能です。
ECサイト運営代行の費用相場
ECサイト運営代行の費用相場は、費用体系によって大きく異なります。費用体系は大きく分けて、次の3つです。
- 月額固定制
- 成果報酬制
- 月額固定制+成果報酬性
月額固定制は、月々の費用が固定で発生する費用体系です。費用相場は30万~80万円程度ですが、依頼する業者や運営代行する業務範囲によって費用はピンキリです。
そのため、都度費用内容を確認する必要があります。
成果報酬型は企業の売上に対して、業者が決めた割合の額を支払う費用体系です。費用相場は売上の10~20%程度となっています。
月額固定制+成果報酬制は、月額固定費+企業の売上に対して業者が決めた割合の額を支払う費用体系です。固定費で5万~10万円程度、成果報酬額で売上の5~10%程度が相場となっています。
また、テキストコンテンツの制作依頼や、追加する商品の登録数によっては、別途追加費用が発生する場合があります。費用体系は事業者によって異なるため、利用前には必ず確認するようにしましょう。
ECサイト運営代行業者のタイプ
ECサイト運営代行業者のタイプは大きく分けて次の4タイプです。
- サイト運営特化
- 総合支援
- 作業処理特化
- 細分作業
それぞれ詳しくみていきましょう。
サイト運営特化
「サイト運営特化タイプ」は、高い戦略のもと、ECサイト運営代行する業者のことです。
売上向上を目的に新しい施策を提案するなど、高レベルかつ手厚いサポートを受けられます。
総合支援
「総合支援タイプ」は、ECサイト運営には欠かせないホームページの制作や集客、問い合わせ対応、物流といった一連のプロセスを総合的にサポートしてくれる業者です。
ECサイト運営のノウハウがない企業と相性が良いタイプですが、戦略や組織体制をしっかりと構築する必要があるため、外注費は高額になりがちです。そのため、費用対効果が見込めるかどうか慎重に見極める必要があります。
作業処理特化
「作業処理特化タイプ」は、多くの作業をスピード重視で処理することに長けている業者で、多くの作業を比較的安価に処理してくれるといったメリットがあります。一方、戦略性は低いため、総合支援タイプのように網羅的なサポートを受けることができません。
そのため、ECサイトの運営戦略は十分に練られているものの、戦略を実行するための人手が足りないという場合におすすめのタイプです。
作業細分化
「作業細分化タイプ」は、特定の業務において、人手が足りないという場合に活用できる業者のことです。
細かい作業を都度発注できる他、このタイプはフリーランスが多いことから、費用を抑えて代行依頼できるといったメリットがあります。
ECサイト運営代行の主な対応業務
ECサイト運営代行の主な対応業務として次の6つが挙げられます。
- ホームページの管理
- Webマーケティング
- 商品登録・撮影
- 在庫管理から商品発送
- 顧客対応および顧客情報の管理
- コンサルティング
それぞれ詳しくみていきましょう。
ホームページの管理
「ホームページの管理」とは、商品情報の更新や新着情報・セール情報の掲載などを行い、ECサイトを最新の状態に保つ業務のことです。他のECサイト運営業務に時間を取られて、新着情報の掲載が遅れてしまうと、ユーザーが離脱して別のECサイトに流出するリスクがあります。
情報の更新回数が多い場合や管理の時間やリソースが不足しているという場合には、ホームページの管理を代行してもらうことをおすすめします。
Webマーケティング
「Webマーケティング」とは、メルマガ配信やSEO対策、SNS運用、広告出稿先の選定など、宣伝・販促に関わる様々な施策を行う業務のことです。
ECサイトを立ち上げたばかりでノウハウがない、ECサイトビジネスが軌道に乗らないという場合は、Webマーケティング業務を代行してもらうとよいでしょう。
商品登録・撮影
「商品登録」は、商品名や価格、詳細情報、画像といった商品登録業務のことです。商品登録は正確で分かりやすいデータを記載することはもちろん、商品の魅力が伝わるための工夫を凝らす必要があるため、商品登録は非常に時間がかかる作業です。
登録数が多くて処理できない、他の作業にも時間をかけたいという場合、商品登録業務の委託を検討するとよいでしょう。
商品撮影業務も代行してくれる業者もあります。画像のクオリティはユーザーを引き付ける重要な要素です。
プロ目線で意見をもらえることもあるため、画像の質にこだわりたいという場合、運営代行に委託することを検討してみるとよいでしょう。
在庫管理から商品発送
在庫管理から商品発送の工程には、受注や検品、梱包、発送、棚卸し(在庫数点検)など、様々な業務があります。リソースが少ない中でこれらの業務をこなすのは大変です。
ECサイト運営代行では、在庫管理から商品発送に関わる業務も代行しています。
顧客対応および顧客情報の管理
ECサイト運営代行業者では、ECサイト運営への問い合わせ対応も代行してくれます。
ECサイト運営のプロである代行業者のスタッフが対応してくれることで、ECサイトのイメージアップにつなげられるでしょう。問い合わせ内容をフィードバックしてもらえれば、運営の改善点を洗い出せるため、ECサイトの質を向上させることも可能です。
また、利用者の増加によって他の業務に手をとられて、顧客情報を管理するのが困難になります。情報漏えいが起きてしまうと、ECサイトの信頼を大きく損なってしまうため、適切に管理しなければなりません。
ECサイト運営代行業者によっては、顧客情報管理にも対応しているため、きめ細い管理が難しいという場合、顧客情報の管理を専門業者に委託することも検討しましょう。
コンサルティング
ECサイトを立ち上げたばかりで運営ノウハウがない企業向けに、コンサルティングを行っている運営代行業者もあります。集客や売上をアップさせるポイントだけでなく、決済方法や押さえておくべき法律など、様々なアドバイスを受けられます。
様々なECサイトの運営を代行し豊富なノウハウを有したプロからコンサルティング支援を受けることで、ノウハウを蓄積しながら、ECサイトを効率よく運用することが可能です。
ECサイト運営代行を活用する4つのメリット
ECサイト運営代行を活用するメリットとして次の4つが挙げられます。
- ECサイト運営を効率化できる
- 運用ノウハウの補完
- 人件費を抑えられる
- リソース不足の解消につなげられる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.ECサイト運営を効率化できる
ECサイト運営代行を活用すれば、ECサイト運営の効率化が可能です。ECサイト運営の業務は多岐にわたります。
これらの業務を自社ですべて行うとすると、相応の人員を確保しなければなりません。また、ECサイトを立ち上げたばかりだと自社にノウハウがないため、すべて手探りで進行していかなければならず、最初のうちは効率的に業務を行えないでしょう。
ECサイト運営代行を活用すれば、自社ですべての業務を行う必要がなくなるため、効率よくECサイトを運営することができ、作業時間を削減することができます。
2.運用ノウハウの補完
自社でECサイトを立ち上げたばかりの場合、ノウハウが蓄積しきっていないため、中々売上をアップできない可能性もあります。
運営代行サービスを提供し多くの実績を上げているECサイト運営代行業者は活用すれば、運用ノウハウを補完できるため、売上を向上させやすくなるでしょう。
3.各種コストを抑えられる
EC運営に関わる業務をすべて行う場合、膨大な時間や手間を要します。利用者数が増えればそれなりの人員を確保しなければなりません。
物流業務では梱包資材や在庫を保管するための倉庫も用意しなければならないため、当然人件費や運用費といった各種コストも高くなり、自社のみで管理するのは困難となる可能性があります。
ECサイト運営代行を活用すれば、人件費といったコストを抑えながら、業務のレベルをプロレベルに引き上げることが可能です。ノウハウを蓄積しなくてもECサイト運営が可能となるため、社内で人材育成する手間も省けるため、コア業務に専念できます。
4.リソース不足の解消につなげられる
運営代行業者を活用すれば、自社でECサイト運営を行わなくてすむため、リソース不足の解消につなげられます。ただし、むやみにすべての業務を委託するのはおすすめしません。
すべての業務を委託すると、自社内でノウハウを蓄積できないからです。業者によっては、カスタマー対応のみや受発注業務のみ、コンテンツ制作のみというように、業務を部分的に委託することもできます。
そのため、実際にECサイト運営業務を行いながら、委託した方がよい業務を見極めることが大切です。
ECサイト運営代行を活用する2つのデメリット
ECサイト運営代行を活用するデメリットとして次の3つが挙げられます。
- 運営ノウハウを社内で蓄積できない
- 運営体制を変更しにくい
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.運営ノウハウを社内で蓄積できない
ECサイト運営代行を活用した場合、当然ながら自社で運営や対応を行いません。そのため、ECサイト立ち上げ当初から業務のすべてを外部に委託してしまうと、運営ノウハウを社内で蓄積できないというデメリットがあります。
結果として業務内容を完全に把握できなかったり、代行事業者の担当者がいないと最適な対応方法の仕方が分からなかったりといった事態にもなりかねません。運営ノウハウを社内で蓄積していきたいという場合、ECサイト運営を総合的にサポートしてくれる「総合支援タイプ」の業者に依頼することをおすすめします。
2.運営体制を変更しにくい
ECサイトの立ち上げ当初は運営代行を活用し、売上状況や自社体制に合わせて後々、自社に移管していく構想を練っている場合は注意が必要です。ECサイトの規模や売上規模が大きくなっていたり、運営ノウハウを蓄積できていなかったりすると、切り替えハードルが高くなり、運営体制を変更しにくくなるからです。
また、運営体制の変更によって、予想よりも各種コストが高くなってしまう可能性もあります。そのため、構想をしっかりと練ったうえで委託したり、ECサイト運営の手間が大きくなってきたタイミングで部分的に委託したりするといった工夫を凝らさなければなりません。
運営代行業者を選ぶ際のポイント
ECサイト運営代行業者を選ぶ際のポイントは大きく分けて次の4つです。
- 運営代行の費用
- ノウハウ支援およびコンサルティングの有無
- 自社の弱い部分を補完できるか
- ECサイトのタイプ
運営代行を活用した場合、業務は効率化できますが、自社で対応しないため、ノウハウを蓄積できません。自社でノウハウを蓄積するためにも、ノウハウ支援やコンサルティングも並行して行っている代行事業者を選ぶことが大切です。
部分的に委託して自社の弱い部分を補完する場合は、その分野に強い代行事業者に依頼しなければなりません。そのため、自社の課題となっている分野で豊富な実績がある業者かどうか確認する必要があります。
ECサイトのタイプは「自社サイト型」とAmazonや楽天などに出店している「モール型」の2タイプに分類されます。タイプによって運営方法は異なるため、どのタイプのECサイトに強い業者なのかしっかりとリサーチしておきましょう。
まとめ
ECサイト運営はホームページ更新やSNS・広告運用といった業務だけでなく、商品の受発注・在庫管理といった物流関連や問い合わせ対応など、その業務は多岐に渡ります。そのため、一般的なホームページ運用よりもやることは非常に多いです。
ECサイトを立ち上げたばかりでノウハウがなかったり、利用者数の増加で自社の負担が大きくなったりという場合には、ECサイト運営代行業者の利用を検討するとよいでしょう。